民主党政権七つの大罪 8月11日参院予算委員会 小坂憲次氏の質問 1 |
8月11日 参議院予算委員会 小坂憲次氏の質問 1
民主党七つの大罪
動画:http://www.youtube.com/watch?v=znkyLMnmg6k
(冒頭から22分まで)
質問 小坂憲次氏(自民党)
答弁 菅直人内閣総理大臣
野田佳彦財務大臣
玄葉光一郎内閣府特命担当大臣
民主党政権の2年半を検証する
小坂 自由民主党の小坂憲次でございます。今日が8月の11日、お盆の直前であります。ちょうど5ヶ月前、3月11日に東日本大震災が起こったわけであります。改めて、被災された皆様、亡くなられた皆様のご冥福をお祈りするとともに、いまだに厳しい避難所生活を余儀なくされていらっしゃる被災者の皆様、さらには、先日の豪雨で被災された皆様に、心からお見舞いを申し上げたいと思います。
国会は被災された皆さんの立場に立って、その側に立って、その気持ちをしっかり受け止めて、全力で復旧復興に当たらなければならない。改めて決意するところであります。
さて、昨日、総理は退陣を表明されました。また、野田大臣は月刊誌に「我が政権構想」という論文を発表されました。民主党政権にとって、まさに節目の一日と言えたと思うのであります。そこで私は、今日これまで2年半の民主党政権のあり方を振り返って、そしてそれを検証してみたいと思うのであります。国民が民主党政権の誕生に期待をし、その期待が裏切られ、そして、不信に変わり、失望に変わり、その失望が絶望に変わった2年半でありました。
辞意は本当か
まず菅総理に最初に伺います。昨日、「特例公債法と再生エネルギー法が成立したら、申し上げてきた私の言葉をきちんと実行に移す、そしてまた総理という職務を辞する」と発言されました。しかし、これまで、「たとえ1%になっても退陣はしない」、あるいは、民主党の同僚議員、あるいは先の前任者の総理大臣からもペテン師とまで、ペテンだと言われるような、そういうことを言われた総理でありますので、もう一度確認をしてまいりたいと思いますが、総理を辞任するという考えに変わりはありませんね?
我が内閣はやるべきことはやってきた
菅 私は政権を担当して以来、常に自分の内閣がやるべきことがやれているかどうかということを判断基準にしてまいりました。そして、当初は、20年来先送りになってきた社会保障の問題等、そして3月11日以降については、この震災対応、原発事故対応、そういうものに我が内閣はきちんと対応できているかということを判断の基準にしてまいりました。
色々ご意見はありますけれども、私は我が内閣それぞれの大臣、副大臣、政務官を中心に、場合によっては与野党を超えた議員の皆さんの協力も得て、確かに100点とは言いませんけれども、復旧は進み、復興にも進んでおります。また、原発事故についても、7月の19日に発表いたしましたように、予定をほぼ達成するステップ1の段階までなってまいりました。
そういった意味で私は、内閣がやるべきことはやっているというのが私の認識であります。
しかし、6月の2日の段階で御党を含む野党が不信任案を出されるにあたって、我が党の中でもそれに同調する動きがかなり出てまいりまして、そういう中で私のほうから代議士会において、そういう形になった時には内閣としての機能が果たせなくなるということを考えまして、私としては一定の目途がつく、ついた段階で若い人に譲りたい、逆に言えば、一定の目途がつくまでは是非やらしてもらいたいということで皆さんの合意を得て、不信任案は大差で否決をされたわけであります。
そしてその後、その一定の目途についてお聞きになりましたので、今小坂議員がおっしゃったような3つの点が私にとっての一定の目途だということを私自身が申し上げて参りましたので、その3つの予算、第2次補正予算とふたつの法案が成立した時には、私がこれまで申し上げていた通りのお約束の行動を取ると、つまりはその段階で次の民主党代表の選任という手続きに入り、新しい代表が選任された段階で私自身総理を辞するということを昨日も申し上げましたし、この場でも申し上げておきたいと思います。
8月末までに辞任するか
小坂 また6月2日の代議士会の発言からずうっと続いてまいりました、延々とご答弁をいただきましたが、最後の部分は、それが8月中なのかどうかよくわからないところがあるので、ちょっとだんだん心配になってまいりましたが、直近の世論調査の数字では、菅総理が辞める時期について、「すぐに退陣」と「8月末までに」というのを合わせますと、読売が68%、日テレが69.9、約7割ですね。しつこいようですが、総理、このように8月末までには皆、辞めてもらいたいと思ってるんですね。8月末までにお辞めになりますね?
残り2法案が成立したら辞める
菅 世論調査に関しては、私はひとつの民意として尊重しなければならないとは思っております。しかし、それだけで物事を判断するわけではなくて、先ほど申し上げましたように、私は、内閣としてやるべきことがやれているか、いないか、それがやれていないとなれば、私の責任ですから、それは辞めなければならない。しかし、現実には、すでに第2次補正が成立をし、そして次の復興の基本方針も決めて、そして第3次補正に向かっての作業も始まっております。ですから、私は、内閣の動きが止まってしまっているというふうには全く思っておりません。ですから、世論調査について、それは色々な判断がありますけれども、ひとつの判断であって、それだけで私の進退を決めるということではありません。
その上で申し上げますと、私が言っていることはひとつであります。6月2日以来ずっと、変わったことは申し上げておりません。つまりは3つの、法案ふたつと第2次補正というものが成立した時点で、先ほど申し上げたように、次の代表の選任に入るということを申し上げているわけであります。そしてその法案ふたつが今国会で審議をされているわけですが、それができるだけ早く私としては成立をしてほしいと願っておりますが、それがどの時点でどういう形になるのかというのは、私が決めることができない問題でありますので、それが成立した時点でということを申し上げているわけで、決してあいまいなことを申し上げているわけではありません。
小坂 今のをお聞きしておりますと、今日要求大臣としてご指名をさせていただいたのは、昨日の新聞、今朝の新聞等に、次の代表選に出馬をされるであろうと言われている方で現職の大臣の方をご指名を申し上げたところでありまして、玄葉さんにはまた別の意味もありますが、もしかすると玄葉さんもそういう声明をされるかもしれません。しかし、今の総理の答弁を聞いていらっしゃって、果たして代表選はいつ行われるのか、不安になられたのではないでしょうか。
民主党政権は国民の政治に対する信頼を極限まで失わせた
私は、民主党政権の罪は、ひと言で言えば、国民の政治に対する信頼をこれ以上ないところまで貶めてしまったこと。孔子は論語の中で、政治の要諦を尋ねる弟子に対して、食糧、軍備、民の信頼の三つが重要だと答え、弟子に「この中で何かふたつを捨てなければならない場合、どうしますか」と問われて、食糧と軍備を捨てても、民の信頼なくして国家は成り立たず、信頼が最も大切だと答えたわけであります。いわゆる「信なくば立たず」であります。その重要な民の信頼を民主党政権は極限まで失わさせ、国民を失望に落としめたのであります。
民主党の七つの大罪
そこで今日は、民主党が犯してきた七つの大罪を取り上げてみたいと思います。
「菅総理の七つの大罪」と書いてありますが、菅総理、民主党の七つの大罪とは、一つ、実現不可能なマニフェスト、思いつき政策、法に基づかない行政、(「四つ」)不適切な組閣人事、(「五つ」)危機管理能力の欠如、(「六つ」)政治と金の問題、そして七つ目が国益を損なう外交であります。時間もそんなにたくさんはありませんが、ひとつひとつ検証してみたいと思います。
その一、実現不可能なマニフェスト
まず、実現不可能なマニフェストでありますが、マニフェストの目玉政策はほとんど、満足に実現できないまま破綻しており、私どもはこのように思っております。そもそも財源を考えずにバラ撒き的な約束を並べただけで、実行できないことは民主党の皆さんにもわかっていたはずであります。マニフェスト自体、選挙で国民を騙して政権を取るための偽りの契約だったのです。特にバラ撒き4K政策、すなわち、子ども手当、高速道路の無料化、高校の授業料の無償化、農業者の個別所得保障、この財政状況では無理な政策であります。もっと早い段階で潔く撤回し、見直しを行っておくべきだったと思います。
子ども手当の廃止が決まり、次いで8月9日に三幹事長が民主党のバラ撒き予算の見直しで合意書を確認書として交わしたわけであります。
高速道路の無料化、高校の授業料の無償化、農業者個別所得保障、これらの見直しに合意したということは、これは廃止をするというふうに考えてよろしいですね? 野田大臣、いかがですか?
野田財務大臣 三党の幹事長を含めて、あるいは政策責任者を含めてまとめられた今回の合意は、まさに文字通り私は解釈をしておりまして、今ご指摘のあった個別所得保障であるとか、高校授業料の無償化は政策の検証、効果の検証ということでございますので、その通りだというふうに思っています。
小坂 政策効果を検証して見直すと、財務大臣にお聞きしたのは、財務大臣が財政規律、大変前向きでいらっしゃるということで、私ども大変評価をしている、その面で。そういう意味で、この高校の授業料無償化というのは、私どもは、もしそれをやるのであれば、本当に困っている家庭、そして、学生が自分が行きたい道を自分で選択できる、家庭が貧しくても、何とか苦学をしながらでも、通いたいところに通いたい、その気持ちを叶えるためには、無償の奨学金を充実させるほうが、私は、裕福な家庭も含めて全てを無償化してしまう、義務教育でもないのに無償化するようなことより、はるかに政策効果が高い、こう思うわけであります。
是非とも、これから、党首選に立候補されるそれぞれの皆さんには、そういった政策効果を検証する、それにふさわしい政策を掲げて戦っていただきたいなと、こう思います。
報道によれば、玄葉政調会長は、この三幹事長の確認書を交わす時に、「決定には従うが、自分は不満だ」と述べて同席を拒否したと、このように報道されています。なぜ不満だったのですか?
また、もしあなたが代表選に出馬するとすれば、この決定をどういうふうに扱われるつもりですか? 大臣。
マニフェスト見直しの合意は、見直しではなく、見直しの検討
玄葉内閣府特命担当大臣 三幹事長の合意書、まさにこれは最終的に岡田幹事長が与党の幹事長、特に国民経済、国民生活を踏まえた上で、政策判断を超えて政治決断をするということでございました。私はそのように理解をしております。ただ、小坂先生ご存知の通り、今回の合意は、あくまで、見直しを決めたとかそういうことではなくて、政策効果を検証して見直しを検討するということで、まさにこれから代表選挙が行われて、新総理が誕生して、たとえば野党の皆さんとどういう形で協力をしていくか、そういったことにも関連してくるのかなというふうに考えております。
小坂 玄葉大臣は、子ども手当の時には、民主党の政調会長として、我が党の石破政調会長とともにサインをされました。しかし今回の残った3Kについては、幹事長に任せてサインをされなかった。ちょっと残念な気持ちでありますが、まあ次の問題に行きましょう。
マニフェストで約束した16.8兆円の無駄削減も、絵に描いた餅でありました。事業仕分けも単なるパフォーマンスしかなかったと、今は思っております。同じ仕分けをするにしても、もっと時間をかけて丁寧に行って、そして、幅広い意見をテーブルの上に開陳をして、国民の理解を得ながら進めたならば、もっと実績の上がる見直しになるのだろうと思っております。
そこで伺いますが、マニフェストで約束した総額16.8兆円の財源創出ができなかった理由は何だとお考えでしょうか、野田大臣。
野田 マニフェストの16.8兆円の財源確保は、この中味は歳出削減、あるいは組み替え、それから埋蔵金、それから租税の特別措置の見直しと、こういう形で財源確保していこうということでございました。租税の特別措置といわゆる埋蔵金については、私はそれ相応の結果は出してきているというふうに思っています。もちろん不断の努力はしなければなりませんが、特にこれ4年間かけて実現していくというテーマでございました。
一方で、歳出削減、組み替えのところなんですが、これについては子ども手当含む主要な政策については、3.6兆円を確保しながら対応させていただきました。評価は色々あるかもしれませんが、着実に財源を確保しながら実行していこうという思いを持ってきたところでございます。
「コンクリートから人へ」
小坂 まあ、全く反論したいことばかりでありまして、これをひとつひとつ反論しておりますと、検証どころか、これでは討論になってしまいますので、ひとつひとつ先へ進んで生きたいと思いますが、「コンクリートから人へ」というのがありました。これもですね、政策の失敗だと思いますね。
このスローガンを民主党は金科玉条として、防災対策や経済の影響など考えずに公共事業を削減してまいりました。その一環として、災害対策の予備費、学校の耐震化の予算、これも仕分けをされてしまいました。しかし、その後に大震災が起こったのであります。すると震災後の第2次補正予算には、また予備費を計上しております。「備えあれば憂いなし」と、こういうことが予備費の本来の目的でありますけれども、災害対策のためには、公共事業も、あるいは予備費も、これは必要なものでありました。
災害対策を削ったのは間違いだ。このように思いませんか? 野田大臣、引き続きいかがですか?
野田 平成22年度の当初予算を編成するときには、ご指摘の通り、「コンクリートから人へ」というひとつの考え方のもとに、予算の大幅な組み換えを行いました。で、その結果、公共事業関係費は激減をする結果になって、その分社会保障と文部科学部門のところは増やすという形の、メリハリの効いた予算を心がけました。
その後は、真に必要なインフラ整備については、必要な予算措置は続けてきたというふうに思っております。
誤った「政治主導」
小坂 まあ色々とありますけれども、やはり政治主導、政治主導と言ってきたことも、これも大きな問題なんですよね。この政治主導というのは、皆さんはよく「全て政務三役が決めます」こういうことで、「官僚に騙されるな」こういう考え方でスタートされて、そして本来、野党の時代ならいざ知らず、官僚は大臣の部下でありますから、大臣がその部下を信頼関係の下に一所懸命働いてもらうような環境を作り、そしてチームとしてのお互いの信頼関係の下に効率よく動くことが、真の政治主導だと思うのですね。本来ひとつぐらいしか出してこない案であれば、三つぐらい選択肢を持って来い、そして政治決断でその中から的確なものを選ぶ、私どもの大臣はそのように心がけてきたと思っております。
ですから、やはり今回多くの過ちを指摘しておりますけれども、そのひとつである政治主導、私は政治主導のはき違えを是非とも改めていただきたい、このように思います。そうでなければ、どのような人が党首になろうと、また首班指名でその方が総理になった場合には、同じようなことが起こってしまう。それでは菅総理を代えてもどうにもならないわけでありまして、その時には、民主党に一日でも早く政権を降りて明け渡していただく以外にないと思うわけであります。
民主党はマニフェストを撤回して民意を問え
民主党はマニフェストひとつで、これだけ多くの点で国民を騙し、政権を取っておいてそれを実行できなかったわけですから、単なる謝罪だけでは済むはずがありません。岡田幹事長、あるいは菅総理も、過日色々な委員会の中で、そのマニフェストの財源的な裏づけがなかった点等々について謝罪をされたこともありましたけれども、謝罪だけで済むものではありません。最近の世論調査でも過半数が年内解散を求めております。マニフェストを全て撤回し、白紙に戻して、ただちに解散すべきだと思いますが、菅総理、いかがですか?