冷静な質問で菅総理の資質が暴かれていく 8月8日 衆院予算委 高村正彦氏の質問 1 |
8月8日 衆議院予算委員会 外交・安全保障についての質疑
動画:http://www.youtube.com/watch?v=yWQs-9_yxvg
(0:45ぐらいから終わりまで)
質問 高村正彦氏(自民党)
答弁 菅直人内閣総理大臣
66年間の平和
高村 今日は外交・安全保障について基本的なことを総理にお聞きしたいと思います。総理が知らないようなことは全く聞きませんので、財務大臣も防衛大臣も口出し無用でお願いをいたします。
日本は、戦争に負けてから、占領時代を含めれば66年間、主権を回復してからでも59年間、平和を維持してまいりました。このことはとてもいいことだと思っておりますが、総理も同じ考えでしょうか?
菅 全く同様に、平和をこの間維持できたことは素晴らしいことだと思っております。
抑止力の重要さ
高村 この平和を維持できたことについて、日本の平和外交努力だとか、あるいは国際情勢に恵まれたとか、色々あると思うんですが、ひとつの大きな理由は、日米同盟による抑止力、それがあったと、こういうふうに思いますが、総理も同感でしょうか?
菅 この66年間日本が平和な状態を維持できたことは、もちろん我が国自身の、あるいは国民の色々な努力、あるいは経済力の向上等、色々な要素があると思いますが、その中で、国際的には国連の存在、さらに二国間で言えば、今おっしゃった日米の同盟関係、これが平和を維持する上で大きな要素であったと私も思っております。
抑止力の重要さを国民に説明することは政治家の責任
高村 この抑止力というのは、まさに平和を維持するひとつの大きな要因であったわけでありますが、これ、機能すれば機能するほど、水や空気のようにありがたみがわからないというところがあります。この抑止力というのは大切なんだということを国民に説明する責任が政治家にはあると思いますが、菅総理も同感でしょうか?
菅 抑止力という言葉を、高村委員、特にお使いになっているわけですが、私が先ほど申し上げたのは、色々な要素のある中で、二国間で言えば日本とアメリカの同盟関係は大変重要だと、もちろん同盟関係の中には抑止力ということも含まれておりますが、どういう趣旨でおっしゃっているのか正確にわかりませんが、たとえば米ソ冷戦時代においては、ある意味西側東側にあって、東側に対する、特にソ連に対する核抑止力というものが、大変大きな国際社会の中でトータルとしても大きな要素であったわけであります。
冷戦後においては、同じような意味での抑止力という考え方は、かなり、冷戦前よりは変わってきたと思っております。
そういった意味で、ちょっと趣旨が私には正確にわかりませんが、抑止力一般が日本の平和に貢献したかと言われれば、広い意味ではそれは肯定をいたしますけれども、少なくとも冷戦以前の構造とは相当程度変わってきているし、また今後も変化をしていくだろうと、こう思っております。
高村 抑止力と一般的な意味で聞いているわけでありますが、かなり、何かひっかけられるかと思って慎重に(会場笑)答えておられますが、ひっかけるつもりは毛頭ありません。ごく常識論だけお聞きしているわけであります。
抑止力というのは、たとえば、まあ具体的に名前を出してもいいかと思いますが、北朝鮮という国は、日本をミサイル攻撃したいと考えたとする、たとえばです。そうしたら、もし攻撃したら、アメリカから叩き潰されるだろうなあ、と思って、それを思いとどまる。それが抑止力ですね。
それが抑止力なんです。
だから国際情勢によってそれぞれ違いますけれども、常にこの抑止力というのは必要だと思いますが、そうは思いませんか? それから私の質問に答えてないんですが、その抑止力の重要性を国民に説明する責任が政治家にはあると思いますが、どうですか、と言いました。その質問に答えてませんが、答えていただきたいと思います。
菅 今、北朝鮮のある意味での脅威というものに対する抑止力という意味でおっしゃったと思いますが、日米同盟がそういう効果を、あるいはそういう機能を持っていて、相当程度にその機能を果たしているというふうに私自身も思っております。また、そういうことについて、国民の皆様に、ま、実態と言いましょうか、色々な事実関係を伝えることは、政治家として義務のひとつだと、そう考えております。
抑止力について説明する責任を果たしてきたか
高村 総理、あの、衆議院議員になられてから31年間、その責任を十分果たしてきたと思われてますか?
菅 高村議員とは初当選同期でありますので、もうそんなになったかなと思いながら、31年という期間を聞いておりました。私、学生時代でありますが、『平和の代償』というキューバ危機の時のことを永井陽之助という方が書かれたものを読んでお話を聞いたことがありますが、やはりそうした場合は、米ソの間における核抑止の問題でありましたけれども、そういった問題が大変重要であることは、私自身その当時から感じていたところであります。
私自身、31年間を渡って、そういったことについて何をやったかと、具体的に聞かれると、ひとつひとつ今すぐお答えできるだけのものは持っておりませんが、少なくとも私の頭の中に、そういった問題が日本にとって、世界にとって、極めて重要であるということは、ずっと思っておりまして、そういう考え方で、私自身もその場その場重要な課題、私が取り組むべき課題の中心であったかどうかは別として、常にそういう考え方をもって事にあたってきたつもりであります。
抑止力の大切さを言わず、基地被害だけを言うポピュリズム
高村 私の知る限り、総理が国民に向かって、抑止力が大切なんですという意味のことを言ったということ、一回も記憶がないんです。あとで思い出したら、この時は言ったということ、どうぞおっしゃっていただきたいと思います。
この抑止力の大切さっていうのは、水や空気のようなもので、ありがたみがなかなかわからない。一方、基地被害というのは、よくわかりますね。うるさいとか、また米兵が事故を起こしたと、事件を起こしたと、基地被害というのはよくわかるんです。ですから、そのわかりやすいことを、政治家はみんな言いたがるんです。言うことが悪いと言いません。これも大切な、基地被害も大切な問題です。ただそこを、抑止力も大切な問題ですよ、ということを、日米同盟も大切ですよということを、バランスよく言わない。基地被害だけ言う。これは、私は、ポピュリズムだと思います。大衆迎合主義だと思います。
賛成ですか、反対ですか?
菅 高村議員が私の発言、どこまでご覧になって言われたのか知りません、言われたのかよくわかりませんが、先ほど申し上げましたように、私は抑止力の重要性ということは、ずっと、基本的な大きな要素として感じておりましたから、私の発言の中で、たとえば日米同盟の重要性とかですね、もっと言えば日米安保条約の重要性とか、そういうことを何度となく、総理になってからは特にそういう機会が増えましたので、答弁などでも申し上げておりまして、その中には当然抑止力という考え方も含まって(ママ)いることは当然でありまして、何か私がですね、そういうものを全く無視してきたかのように言われるのは、ちょっと私のこれまでの発言をよく見ていただければ、それは違っているのではないかと思います。
また、基地の問題について、抑止力という面と、一方で、基地による、特にそれの存在する地域の皆さんにとっての、まあ何と言いましょうか、ある意味で騒音とかそういった問題で迷惑を受けることに対して、一方だけを言うのがポピュリズムではないかというご質問かと思いますが、ポピュリズムという言葉は、かなり色々な意味で、広いだけではなくて、レッテル貼りに使われます。まあ私もしばしばその対象にもなっておりまして、何かそのことを言った人に対して、そういうことだけ言うのはポピュリズムだと、私のほうからそういったレッテル貼りをするつもりはありません。
高村 総理はよく、ポピュリズムだとレッテル貼りをされていることを言われましたが、たぶんそう言われているだろうと、私もそう思います。
安保ただ乗り論
それで、安保ただ乗り論っていうのが、最近はあまり声高に言われませんが、アメリカで底流としては今でも続いてるんです。特に声高に言われたのは、冷戦の末期の頃。日本は日米安保条約にただ乗りして、そして、GDPのたった1%に軍事費を集めて、残りを全て経済につぎ込んで、そして経済を強くして、自動車や家電を洪水のようにアメリカに輸出してくる。今やアメリカの脅威はソ連の軍事力ではなくて、日本の経済力だ。このようなことが言われたことがあります。
で、私は、当時防衛政務次官としてアメリカの基地を視察したんですが、アメリカの軍人さんに、安保ただ乗り論どう思うかって、聞いたことがあるんです。そしたらその軍人さんは、独立国の中に他国の基地を置く負担の大きさをワシントンの奴らは全くわかってないんだ、(次のエントリに続く)