東電は解体されるのか? 電力料金は上がるのか? 7月7日参院予算委員会 片山さつき氏 |
7月7日の参議院予算委員会、片山さつき氏の質疑の三つ目、最後のエントリです。ひとつ目はこちら、二つ目はこちらです。
今回の答弁者、東電の勝俣会長と言えば、今月号の『文藝春秋』万城目学氏の「やけどのあと――人気作家の東電株主総会突入記」がよかったです。野田氏、海江田氏、馬淵氏の寄稿を目当てに買ったのですが、収穫はむしろこれでした。
このところ、原発事故の賠償金捻出のため、政府保有のNTT株や東電保有のKDDI株を売却するという報道がありますが、通信インフラは安全保障上大変重要なので、国益を損なわない方法で対処していただきたいです。
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動画:http://www.youtube.com/watch?v=Wc8o1Se9O5k
質問 片山さつき氏(自民党)
答弁 勝俣恒久代表取締役会長
片山 今日は東京電力の勝俣会長に来ていただきました。7月3日付けの毎日新聞の一面、「東電解体極秘プラン」。勝俣会長は、政権中枢の仙谷官房副長官と何度もお会いになって、東日本大震災は原子力損害賠償法が決めている天変地異だから免責してくれと訴えた。
世耕 これは週末の毎日新聞のスクープ記事です。
片山 そして、政府の賠償支 援策が固まらなければ、東電は膨大な賠償負担を背負って債務超過に陥るとの観測が広がった。そのころに、仙谷氏ら官邸首脳は、やむを得ず今の東電の賠償スキーム法案をその場しのぎで出した。
世耕 これは全部実名入りで出ている記事です。実は東京電力の賠償スキーム法、今国会に出ている法律は、あくまでも株主総会を乗り切るためのものであって、本来は東電解体を考えているという記事でありました。で、その通告が仙石さんから東電の勝俣会長に行われたという記事であります。これが事実なのかどうか、勝俣さんに質しています。
片山 そしてそのときに、あくまでこれは東電の決算対策、市場を動揺させない対策であって、東電解体を今後本格的に検討する方針を明記した文書を勝俣氏に通告した。
勝俣会長、会長は一部上場企業の会長で代表権がありますから、今日の御発言が仮に後で正確でないということになりましたら金商法に触ることになります。その点もお考えの上、この記事が全て正しいのか、間違っているところがあるのかどうか、お答えください。
勝俣 先生御指摘の新聞記事には、私が仙谷副長官に免責を訴えたとの記載がございます。しかしながら、私は、免責を訴えるのではなく、今の福島の状況、あるいは東電の状況も御説明いたしましたが、私どもとしては、事故の当事者であるということを真摯に受け止め、被害を受けられた方々の早期救済の観点から、原賠法の趣旨を踏まえて公正かつ迅速に補償を進めていく所存なので、よろしくお願いしたいと申し上げた次第であります。
もう一点、東電解体を今後本格的に検討する方針を明記した内部文書で通告したという記載もございますが、
世耕 ここは重要なところです。ここが事実かどうかは非常に重要です。
勝俣 私がこうした通告を受けたことは全くありません。
世耕 これは事実でないと、毎日新聞の記事は違うということを答弁されました。
片山 それはおいおい明らかになると思いますけれども、いずれにしてもこの東電スキームというのは、利益が出たら毎年1000億、利益が出た分は全て機構に返済する、そして一般負担金も負う、一般負担金と特別負担金を合わせて2000円を納入することが期待されております。そうでないと、このスキームは成り立ちません。
今、燃料が非常に上がっております。最初に法案の説明を始めたときに、民主党と政府は値上げはしないと断言しておりました。値上げをせずに、経営者として、このスキームが仮に法案として成立したときにやっていく自信がおありになるのか。
そして、今週の月曜日に、中部電力の社長が経済産業大臣に駆け込んできました。理由はこれは、一般負担金は、浜岡という原発が安心だけれども政府の申入れによって止めている中部電力としてはとても負担できないということです。今からストレステストをやって、安全な上にも安全をということで再開をしていくのであれば、東電の原発も同じ状況になります。一般負担金を払えるんですか。そして、値上げはするんですか、しないんですか。しないと言い切れるのか、お答えください。
世耕 毎年2000億のお金を東京電力は機構に返さなきゃいけない。それを値上げせずにできるのかということを聞いています。
勝俣 まだ具体的に法案の内容というのが決まっているわけではございませんので、例えば一般負担金が幾らになるのか、特別負担金が幾らになるのか、これもちょっと私は存じ上げていないんですが、
世耕 これは知らないわけがありません。これは政府は2000億円、毎年2000億円という説明をしています。
勝俣 私どものお支払いする予定になっています特別負担金というのは利益が出た中から できる限りのものを支払うと、そんなような条項になっていたかと思います。
世耕 今回勝俣社長はこの件で初めて国会に登場をいたしました。が、しかし、ちょっとやはり答弁の歯切れは悪いな、という印象は否めません。
勝俣 それから、電気料金の値上げにつきましては、ただいま私どもとしてはとにかく福島第一原子力発電所を収束させる、そして、できれば避難民の方に早期に元に戻っていただけるようなことが一番大事だと考えておりますのと、いわゆる今のスキームですね、その賠償の救済、これをいたすということでございます。
片山 今、政府では10数%の値上げを前提とした検討が進められております。
世耕 これは通常で考えたら、値上げをせずにこういうスキームはできないわけですね。
片山 それから、先ほどの菅総理の答弁のストレステストについての問題は全く答えになっておりませんので、正式に答えをいただけるように理事会で検討をお願いして、私の質問を終わります。