再生エネルギー法案 7月14日衆院本会議 平智之氏(民主党)の質問 |
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民主党の平智之です。
私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案及び電気事業法及びガス事業法の一部を改正する法律案について質問をいたします。
Q1 エネルギー政策全体の見直し、再生可能エネルギーの位置づけ、買取制度はエネルギー政策全体の見直しを行ってから議論すべきだという意見に対する見解
まず、エネルギー政策の今後についてであります。
現行のエネルギー基本計画では、2020年までに再生可能エネルギーを10%、そして、原子力を含むゼロエミッション電源の比率を、2020年までに50%以上、30年までに70%を目指すとしております。
しかしながら、新たな原発の増設は極めて困難な状況であり、現行のエネルギー基本計画は、実質的に抜本的な見直しを迫られております。今後、政府は、エネルギー政策全体の見直しをどのように行うのか、そして、再生可能エネルギーをどのように位置づけるのか、お考えをお伺いします。
なお、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度については、国民の負担を伴うものであることから、本来は、まずエネルギー政策全体の見直しを行った上で慎重に議論すべきだとの意見もありますが、この点についても見解をお伺いします。
Q2 当面の電力供給源としての原子力の位置づけと原発再稼動についての見解
次に、当面の原子力の位置づけについてお伺いをします。
昨日の記者会見で菅総理は言われました。これからの日本の原子力政策として、原発に依存しない社会を目指すべきと考えるに至りました、つまり、計画的、段階的に原発依存度を下げ、将来は原発がなくてもきちんとやっていける社会を実現していくと。
私も一人の議員として、基本的にはそのお考えに賛同するものであり、原子力の将来の方向性は大いに議論するべきものと考えます。しかし、当面の問題はエネルギー需給にかかわる国家政策なのであり、具体的かつ現実的でなければなりません。
再生可能エネルギーは、一朝一夕には増大せず、当面の電力供給源にはなり得ません。火力発電所の稼働率アップや再稼働も行われておりますが、温暖化ガスの発生あるいは割高なコスト等の問題もあり、火力だけでは限界があると言われております。原子力の利用を当面のエネルギー源から直ちに排除することは、現実的には不可能と言わざるを得ません。
しかしながら、周知のとおり、既存の原発の再稼働が極めて困難となっている今、国民、産業界から、電力の供給に関して大きな不安が示されております。政府が打ち出したストレステストは、国民の安心を確保するためではありましたが、その唐突さと基準の不明確さから、かえって、国民、産業界の不安を拡大させております。
今後、政府として、当面の電力供給源としての原子力の位置づけ、そして、原子力発電所の再稼働についてどのようにお考えであるのか、見解をお聞かせください。
Q3 再生可能エネルギーの買取価格と期間の設定についての考え&将来的な電力量の見込み
次に、再生可能エネルギーの将来的見込みについてお伺いをします。
今回の特別措置法案では、再生可能エネルギーのうち、当面、太陽光、風力、バイオマス、地熱、水力の五種類を買い取ることとし、その後、そのほかの再生可能エネルギーについても、実用可能となり次第、順次買い取りの対象としていくこととしております。
ところで、固定価格買い取り制度では、買い取りの価格が高いと国民負担が増大し、逆に買い取りの価格が低いと導入促進が進まないとの問題が指摘されております。
政府として、この買い取りの価格と期間の設定についてどうお考えなのか、また、その結果、将来的に再生可能エネルギー普及の電力量がどの程度となると見込んでおられるのか、見解をお伺いします。
Q4 再生可能エネルギー20%目標を具体的にどのように実現するのか
次に、菅総理の再生可能エネルギー20%目標についてお伺いをします。
菅総理は、本年の5月にフランスで開催された主要国首脳会議において、発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合を2020年代のできるだけ早い時期に少なくとも20%を超える水準との目標を表明されました。
この20%目標は、現在のエネルギー基本計画では2030年の見込みの水準であります。菅総理の目標は、これを大きく前倒しする内容となっております。政府としては、今後、具体的にこの目標をどのように実現するおつもりなのか、お考えをお聞かせください。
Q5 我が国の再生可能エネルギー関連産業の競争力、現状と今後の見通しは?
次に、国際競争力についてお伺いをします。
国民の負担を伴いながら再生可能エネルギーの導入を促進する以上は、新設される発電設備等にできるだけ国産品が使用され、我が国の産業、雇用に大きなメリットがもたらされることを期待いたします。そのためには、太陽光発電や風力発電等の設備について、日本のメーカーが十分な国際競争力を持つことが必要であります。
一方で、再生可能エネルギー関連産業の国際競争は激化しており、政府の支援なくして国内メーカーの優位性を維持することは極めて困難だと考えます。
政府として、我が国の関連産業の競争力について、現状のレベルと今後の見通しをどのような認識でお考えなのか、そして、今後どのような支援策を講じようとしているのか、お答えください。
Q6 産業界に対するプラスとマイナスの影響についての見解&費用負担調整機関の必要性
次に、産業界等への影響についてであります。
特別措置法の目的には、「国民経済の健全な発展に寄与すること」とすることとあります。
政府は、経済効果として、再生可能エネルギー関連産業が、2009年から2020年で約1兆円から10兆円の規模に拡大すると試算をしております。
他方、負の面としては、電力を多く消費する産業において何らかの負担緩和措置をとらない限り、コスト増で著しく国際競争力が低下すると懸念されております。
産業に対するプラスとマイナスの影響について、政府の見解をお伺いします。
また、再生可能エネルギー電気に係る賦課金、いわゆるサーチャージについては、費用負担調整機関と呼ばれる新たな機関を設置することとしています。これ は、発電量よりも買い取り電気量の方が多くなるような都市部と、逆に発電量の方が多くなる地域との間で買い取りの負担に顕著な偏りが生じる問題、それに対処するための機関とされています。
こうした地域間の調整をする仕組みの導入について、その必要性をお答えください。
Q7 法案の規定で風力等の発電者を十分応援できるか
次に、電力ネットワークのためのアクセスについてお伺いをいたします。
風力発電等を実施しようとしても、電気事業者が保有する送電網への発電者からの接続が難しく、これが再生可能エネルギーの普及促進の大きな障害になっているとの指摘があります。
そこで、今回の電気事業法改正案においては、発電者が電気事業者の送電網を使えるようにする託送供給制度や、その際の送配電ネットワーク利用ルールの運用体制など、送配電ネットワークの利用に係る制度を整備するための規定が設けられております。
政府は、この措置で電力ネットワークのためのアクセスが十分に達成されると考えているのか、つまり、風力等の発電者を十分に応援することができると考えておられるか、お考えをお聞かせください。
Q8 国民の理解を得るためにどのような取り組みをするのか
次に、国民への周知方法についてお伺いをします。
固定価格の買い取り制度の導入は、我が国のエネルギー自給率の向上や地球温暖化対策に資するという効果がある一方で、電気料金の上昇という形で国民に負担を生ぜしめます。再生可能エネルギーを買い取るのは国民なのであります。
したがって、本制度の施行に際しては、国民の皆さんに丁寧な説明を行い、制度の意義や内容について十分な理解を得ることが不可欠であります。こうした国民の理解を得るため、政府としてどのような取り組みを行うおつもりなのか、お答えください。
最後に、エネルギー安定供給の将来像を示すためにも、早急に、冒頭申し上げた新たなエネルギー基本計画を示すことを改めて求めるとともに、原子力災害の賠償スキームが与野党協議のもとにしっかりと確定をされ、原子力災害の被災者の皆さんに一刻も早い安心と納得が得られますことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。