谷垣禎一自民党総裁・夏野剛氏 ツィッター対話集会 8月23日 1 |
177国会が終わり、今国会の審議は全部衆議院会議録と参議院会議録のホームページに公開されているようですので、しばらくは過去の会議録の抜粋のご紹介に加えて、国会審議以外の動画の書き起こしを行っていく予定です。。最初に、8月23日に行われた谷垣禎一自民党総裁と夏野剛氏によるツィッター対話集会の書き起こしを、今日から少しずつアップしていきます。
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動画:http://www.youtube.com/watch?v=oioJIT2ku-M
夏野 皆さん、こんにちは。(会場「こんにちは」)今日お集まりいただいた方、ありがとうございます。それから、ニコニコ動画ならびに色んなネットメディアを通じて見られている方の皆さん、こんにちは。えー、私、夏野と申します。今日は、谷垣総裁のインタビューを急にやれと言われまして、びっくりしました。私、自民党員でもないし、あんまり政治的信条がないんですけども、今日は谷垣総裁の色んな側面を、是非引き出し役として、ここでがんがん突っ込みすぎると、ここから帰してもらえないんじゃないかという危険性はあるもののですね、やらしていただきたいと思います。
今現在私はですね、慶応大学で教員をしておりますが、そのほかにも色んな実業の世界で取締役等もやっておりまして、まあ、あの、昔は携帯のビジネスやってたんですが、すっかり足を洗わせていただいて、本業はコメンテーターという勘違いされている方も結構いらっしゃるんですけれども、色々やらせていただいています。
今日は、総裁、どうぞよろしくお願いいたします。
谷垣 どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
谷垣 じゃあ、私の方から。
夏野 はい。
谷垣 あの、じゃあ、今日は90分、長丁場ですがよろしくお願いいたします。このツィッター対話集会は、7月にオバマ大統領がなさったんですよね。それで私も、これは使えるなって言ったら変なんですけれども、野党になりましてね、なかなか我々の言ってることも、野党って悲しいですね、なかなか取り上げていただく機会が少ないもんですから、我々のやってることもなかなか伝わらないなあというもどかしい思いがありました。
それから、野党になってもう一つ考えたことはですね、自民党も与党の時は少しふんぞり返ってたところがあるかもしれないけれども、できるだけやっぱり多くの方に、多くの方の声を、この、吸収すると言いますかね、パイプを作っていく必要があると。それで、このクリントンさん、クリントンさんじゃない(笑)、オバマさんがやったこの対話というのは使えるなあ、と。日本ではまだ他にやった政党はないだろうと思いますが、そんなことがあって、今日こういう企画をお願いしたわけです。大変緊張しておりますが、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
夏野 えー、ちなみに、今日、オバマ大統領に倣ってツィッター集会と名づけておりまして、ツィッター上でご質問を受け付けしてます。ハッシュタグは、#AskTanigaki、A、S、K、T、A、N、I、G、A、K、Iですね。そのほかにニコ生で生放送、ニコニコ生放送で生放送しておりますし、Ustream等のメディアも使ってますんで、実を言うとオバマ大統領のツィッター集会は、ツィッターをメインにされてるんですが、今日はですね、ニコニコ動画をはじめとして他のメディアもフル稼働しておりますので、そういう意味ではオバマ大統領の先を行っていると…
谷垣 なるほど。なるほど。
夏野 …言っていいんじゃないかと思います。ちなみに、某国の首相はですね、コメント禁止でしかやっていただけないので、ユーザーの不満は、某国ってこの国ですけど(笑)、あのー、不満が募っておりますが、今回は、ニコ動、ニコニコ動画でもコメントフル活用でやらせていただきます。
えー、それではですね、総裁にキックオフツィート…
谷垣 あ、キックオフツイート、これでやるんだ。(iPadを渡される)
夏野 まずやっていただきたいと思います。
谷垣 はいはい。これ、ここですね。行ったかな。ああ、行った行った行った。はい。
夏野 iPad、いいですね。
谷垣 これを使いこなしている自民党総裁っていうふうになるかどうかわかんないけど。(笑)
夏野 ちょっと使いこなしてる感じですよね、今ね。僕もこういうのを作りたかったですね。こういうの作れなかったんで、Docomo辞めました。はい、それではですね、今日の進めかたなんですけども、こちらのモニターにツィッター上で募集しております質問が表示されます。それについて総裁にお答えいただきながら進行をしていきたいというふうに思っております。今でもツィッターで質問を受け付けしておりますので、ご覧の皆様でご質問のある方はどんどん送ってください。会場の皆さんも質問はツィッター経由にしてください。皆さん、もうやってらっしゃいますけれども。
はい、それでは早速まいりましょうか。まず一つ目の質問です。いきなり来ました。(会場どよめき)「原発のことになると元はといえば自民党が…という人がいますがそれについてどう思いますか?また今後の原発について何かしらビジョンはありますか?」今、原発の問題というのは非常に日本人にとって重要な問題になっておりますが、これをこのあとどうするおつもりかというご質問ですね。
谷垣 あの、確かにこれは自民党は今まで原子力発電、自民党は推し進めてきたわけですね。ですからね、今こういう大きな事故が起こりましてね、慙愧の思いというのがずいぶんあります。で、まあ、しかし、冷静に振り返ってみると、功罪両方あったと思うんですね。やっぱり安定的に、比較的まあ当時安いと言われたエネルギーの、今大体電力の三割ですけどね、やれたということが、今日の日本の豊かさに相当役立ったと思います。しかし、罪のほうは、今回のこの原発の事故、これが一番大きいですけども、まだ原発できてないところがたくさんあるんですね。できてないという意味は、たとえば廃棄物が出てくるその処理施設をどこにやるのかというようなことも、道半ばですね。そういうところもまだ十分解決していない。そういう功罪両方あると思います。
で、これからどうしていくかっていうことになると、まあ福島のあの原発はこれはもう廃炉にして、これも廃炉するのも実は長い期間がかからなければ、なかなか処理は、最終処理はいけないわけですけれども、そうなると、じゃあやっぱり日本人が、日本の経済や何かやっていくためにどうしていくかということは考えていかなきゃいけない。
だから一つはやはり省エネとか、そういう技術を徹底…日本の省エネ技術はかなり進んでるんですけども、省エネや何かを徹底的にやるような技術を開発してもっともっと進めていかなきゃならないっていうのは一つだと思います。
しかし、その上で、じゃあそれで全て足りるか、まかなえるかというわけにはなかなか行かないですから、当面はやっぱり私は原発、動かせるものは安全性を確保した上で動かさざるを得ないだろうと思います。そして、太陽光であるとか、あるいは風力であるとか、地熱というのもあるかもしれません。そういう、その自然エネルギー、再生エネルギー、ここにどれだけ技術革新ができるか。これ全力で追求していかなきゃならないですね。それから、火力とかLNG、こういうのももちろん利用しなきゃいけません。これは、あの、CO2をどう削減するかというところでは問題があるわけですけれども、そういうものの結局組み合わせで、そこで自然エネルギーや再生エネルギーをどんどん進めていけば、その分原発というのを減らしていくことができると思いますが、相当これは長い道のりだということは覚悟しなきゃいけないと思います。
夏野 そうすると短期的には、まあそれはすぐにやめるわけにはいかないってことは皆わかってることだと思うんですが、長期的には原発の依存は少なくしていく方向と…
谷垣 あの、自然エネルギー、再生エネルギーが増えていけば、当然その分は減らしていけるということになりますね。
夏野 これは、方向性としてはやっぱりそちらの方が日本のためであるという…
谷垣 まあ、ここがまた新しい技術を使ってですね、またそこに新しい可能性が当然開けていく、そこで新しい技術革新が起こる、そういうことも含めて、相当力を入れなきゃいけないんじゃないかと思います。
夏野 ちなみにですね、私は今回の原発の問題、ま、原発そのものはさることながら、その、今回放射性物質が出たことを、情報がなかなか外に出てこなかった。たとえばSPEEDIの情報開示。これは自民党政権でも同じようなことが起きてたでしょうか、それとも、もし自民党政権だったら、ああいう情報が出てくる遅れというのはなかったんでしょうか?
谷垣 これは、あの、仮定の話にもちろんなります。ただ、あの、実は正直に言いますとですね、かつていくつか原子力発電所あるいは動燃等事故があった時に、そのデータを粉飾したということがなかったわけではありません。そういうものを粉飾しないような体制をどう作るかっていうことが当時も大きな課題であった。それだから動燃を解体したり、組織替えしたりというようなことをやりましたね。しかし、今日、この、本当に正直に出ているのかどうかっていうのはですね、国際的に見ても日本がこの原発をどう安定化させていくのかっていうのは、国際的に見ても非常な関心事ですけど、国際的にもかなり眉に唾をつけて見られているところがあると思うんですよ。
夏野 そうですね。
谷垣 で、それはやっぱり起こった以後の対応っていうのにかなり疑問が、今のそのSPEEDIの話や何か皆そうですね。だから私は行政府の中だけで解明して足るのかと。今我々はやっぱり、これは国会でもう一回きちっと検証をしなきゃならないんじゃないかと。そういう組織も作る必要があるんじゃないかっていう議員立法出してるんですけど、まだ通ってないんですけどね。だから、国際的な信用を回復して、こういう事故を乗り越える、損害を、こういう事故を乗り越える道筋を作るためにも、もう一回検証してデータをきちっと出していかなきゃあ、これは駄目だと思いますね。
夏野 そうですね。
谷垣 はい。
夏野 それでは、次の質問。「自由民主党が考えている、あるいは想定している今回の東日本大震災及び原発事故に関してのゴール」つまり、どういうふうに着地させるかっていうことだと思いますけども、そのゴール「はどの様な形なのか、財源含めてぜひお話下さい。」うわ、これは大きな質問ですね。
谷垣 これはあの、ゴールっていうことになるとですね、なかなかまだ全容は見えてないんですけれども、我が党も、つまり本格的な復興のためにはどれだけのものを考えなきゃいけないかと。あの、北海道の町村信孝さんが委員長になってくれましてね、いわば本格的な復興補正予算っていうのを大体我々で考えて、17兆ぐらいの金が、今度のいわば第三次補正って言われるやつで、一部はもう第二次補正でやりましたから、17兆まで行かないかもしれませんが、やる必要があると思っているわけです。
で、その財源はですね、今のところ、復興債という新しい国債を発行して、そしてその、普通のほかの予算と別にこの復興の予算というのは区分経理して、きちっとやる必要があると。で、復興債っていうことの意味は、結局この財源は相当かかりますから、どこかでその財源は調達しなきゃいけないんだけど、今こういうダメージを受けた中で、すぐじゃあ税だっていうことになると、なかなか行かないと思います。だから、復興際をやってその償還財源を考えていくっていうことは、これまだ何年か、十何年かかけて、やっぱりやっていくっていうことにせざるを得ないだろうと思います。今すぐいっぺんに重荷がかかってくるっていうのを少し緩和しながらやっていくことになりますね。
夏野 つまり、増税はしないで復興債の形で調達して、で、17兆なら17兆を一気に使うと。
谷垣 現在、現在それはやっぱり用意するということですね。ただ、そのままいつまでも、あの、ほっといて、その、俺たちの孫か曾孫に払わせようっていうわけにはなかなかいかないと思いますから、そこは景気の動向とか復興の動向を見ながら対策を考えなきゃいけないですよね。
夏野 今、あの、他党では、有力候補のひとりが増税を掲げていらっしゃいますけれども、その立場はちょっと賛成できないと?
谷垣 まあこれ、増税って言っても何をやる…復興、あの、復興で増税っていうのも、今すぐっていう、今すぐ一気にですよ、十何兆あるものをいっぺんにじゃあ所得税や法人税でばーんと今年全部やっちゃう、そういうわけにはいかないでしょう、やっぱり、これは。と思いますけどね。
夏野 原発のことには先ほど答えていただいたので、この質問には答えているということにします。
次の質問。はい。「ばらまき4Kと呼ばれる政策について。大まかに問題点と、自民党としての方向性をお聞かせ下さい。」
谷垣 ばらまき4Kっていうのは、子ども手当と、それから高等学校の無償化と、高速道路料金の無料化と、ええとそれから、農家の戸別所得補償と。まあ、これ、我々、ばらまき4Kって言ってるわけですね。つまり、一昨年民主党が政権を取ったときのマニフェストの、まあ目玉政策ですよね。で、彼らは、結局これは、自民党の時代の財政は無駄がたくさんあったから、無駄をはぶけば、それは大体この何年か成熟した時には16点何兆ぐらいの金が要るけど、そのぐらいは出てくるという前提で、だから増税なんかしなくてもできるんだというのが、マニフェストのいわば一番中心部分ですよね。
ところが、結局出てこなかったわけです。そこで、結局それは赤字国債を発行しているんだと。それは私たちは、やっぱりちょっとおかしいんじゃないかと。あの、やっぱり財源を見つけられなくて全部赤字国債でやるというのはおかしい、基本的におかしいじゃないかと思っております。それで、このあいだ、自民党、民主党、公明党でやって、子ども手当(続く)