教育の中味は問わない 平成22年10月21日 参議院文教科学委員会 義家弘介議員の質問 4 |
質問 義家弘介氏(自民党)
答弁 鈴木寛文部科学副大臣
高木義明文部科学大臣
東祥三文部科学副大臣
義家 (承前)することはできないと答弁してきたわけですよ。できないんですよね、現行制度上、これら一つのことを確認すべしといったって。具体的に、じゃ、どうやって確認するのかと言ったら、できないと皆さんは答弁し続けてきたわけですよ。できないのに対象に入るなんといったら、これは初めからないという形になるわけですけれども、これいかがですか、大臣。
鈴木文部科学副大臣 これまでは、学校教育法上、各種学校である朝鮮学校の所管は都道府県知事になっておりますので、私ども文部科学省が直接にコンタクトすることはできません。
しかしながら、新たな基準を作り、そして支援金の対象にするか否かについて判断するその根拠規定を作りましたならば、そこで初めて文部科学省に権限が生じることになります。その上で、その新たにできる基準に基づいてオフィシャル、正式に関係が構築されて、そしてその基準に基づいて個別の指定手続に入ると、こういうふうなプロセスになろうかというふうに思われます。
義家 ということは信頼する関係が構築されない限り朝鮮高校がこの無償化の対象になることはないということですね。
鈴木 信頼する関係ではございません。法律を根拠とした明確な権限が文部科学省に付与されるということでございます。その法律というのは、今回の就学支援金給付に基づく諸規定と、こういうものが権限を文部科学省に、その法目的とそれを実現するための手続及びそのための基準ということについての今ルール作り、省令等作りを行っておりまして、それができた場合には文部科学省は正式な権限を有すると、こういう法的な状況に入ります。
義家 確認ですが、それは省令ですか、それとも法として新たに考えているか、それとも省令として考えているんですか。
鈴木 省令等といいますのは法律に授権された省令等でございます。
義家 ならば、その省令の議論は当然今後の国会の中でしっかりと行っていくべきでありましょう。つまり、その省令が作られる前段階の問題に対してもやはりこの委員会で、国会の場でしっかりとやっていかなきゃいけない。このところを同じふうにぐるぐるぐるぐる回っているわけです。是非ともこれは国民のためにもしっ かりとしたプロセスを開示していただきたい、これは何度も何度も申し入れていきたいと思っております。
さらに、中身について踏み込んでいきますが、個々の具体的な教育内容については基準としない、先ほど大臣は専門的議論も含めてと。教育において専門的議論をしていて教育の中身を問わないって、これ一体どんな専門家なのかと、私なんかはちょっと信じられないわけですけれども、本来、教育にとって最も重要な のは中身です。どんな中身を提供していくのか、どんな教育をするのかという中身が重要であって、箱や形じゃないんですよ。その中身をどうしていくかというのは教育において非常に重要なこと。つまり、この判断基準から考えて、教育における最も重要な点を判断基準から除外する、これ教育行政の矛盾だと大臣お考えになりませんか。
高木 検討会議の報告につきましては、教育課程及び教育水準などの教育内容については、中学校卒業程度を基礎として、高等学校の教育に類する教育を施すにふさわしい授業科目の開設を求めることが適当との指摘がなされております。
義家 そういう形骸的なものじゃなくて、教育の内容については問わない。つまり、どんな教育をしていても国費から支援金を出すという理解でよろしいんですか。
高木 そのことも含めて私として慎重に判断をさせていただくと。
義家 本当に恐ろしい答弁ですよ。これずっとやっているんですよ、この議論。そして、慎重に判断、慎重に判断って、もう法律は始まっちゃっているんですよ。そして今、10月の終わりですよ。これで、その件も含めて慎重に判断します。ということは全く進んでないということじゃないですか。一方で、手続だけはどんどん どんどん進んでいる。基準が出され、与党の部門会議では話し合われ、そしてこれから私が出すと。でも今の段階では何も言えない。これは、やはり大臣、余りにも無責任だと思いますよ。
9月7日、この参院の文教科学委員会で私が質問したとき、川端大臣、検討会議は朝鮮学校についてカリキュラムや教科書も資料として入手したというふうに答弁もしていますが、カリキュラムや資料を具体的に入手して議論した結果が教育内容を問わないという判断につながったということで高木大臣もよろしいでしょうか。
高木 川端大臣の御意見と一緒でございます。
義家 だからこそ、これ多分、それはやっぱりおかしいと思うのは私だけではないはずです。是非、それを国民にしっかり分かる形で早急に出していただきたい。そして、本当は柳田拉致担当大臣の見解等も聞きたいわけですけれども、例えば、拉致担当部局はいらっしゃっていますね。
外形的、形式的に判断基準を満たすことのみをもって朝鮮学校を無償化するということが妥当な結論たり得るかどうか、どうお感じになっているか、是非お答えください。
東文部科学副大臣 まず、答弁させていただく前に義家議員に一言申し上げたいと。
平成19年に国会議員になられ、そして今までの個人的な経験、体験を踏まえた上で教育問題に瞠目すべき御尽力されていることに心から敬意を表します。是非頑張っていただきたい。初めてお会いさせていただきますので、その上で答弁させていただきたいというふうに思っています。
拉致問題担当として、また一政治家としても思っているわけでありますが、先日、飯塚代表を始めとする拉致被害者御家族等とお会いした際に、高校無償化に 関して様々な御意見を伺いました。その際、教科書の記述に関する御懸念もありました。ただし、誤解していただきたくないことは、その趣旨は、誤った教育の中で子供が育っていくことへの御懸念であり、朝鮮学校の子供たちを差別しようとするような意図からではない、この点については是非御理解しておいていただきたいというふうに思います。
私も朝鮮学校の教科書について読まさせていただき、その記述に問題があるのではないかとの懸念を持っております。昨日開催されました民主党の文部科学・内閣合同部門会議においては、文部科学省の専門家会議が示した基準についておおむね了とするとの結論が出されたものの、朝鮮学校で用いられている教科書の記述や経理の透明性等についての強い懸念も示されたと聞いております。
今後、政府といたしまして、民主党としての意見が示された段階で、必要ならば拉致問題担当大臣から文部科学大臣に意見を言ってもらいたいと私は考えております。
いずれにいたしましても、最終的には文部科学大臣が適切に判断するものと、先ほど来、文部大臣言われているわけでありますから、適切に判断してくださると、このように思っております。以上です。
義家 引き続き、東副大臣にお尋ねしたいと思いますが、この問題について高木文部科学大臣と部局がきちっと向き合って議論を今までしてきたのかどうか、それから、これからしていく予定があるのならば、どのぐらいのタイムスケジュールで行うつもりがあるのか、そして、その話合いは判断基準を文部科学省が決定する前にしっかりと行えるのかどうなのか、その辺について教えてください。
東 いや、物事の道理というのは、よく存じ上げている方が話せばいいだとかそういうことじゃないはずです。私たちは拉致問題担当として、まずこの問題についてどういうふうにとらえるのか、そしてその上で我々としてどういう意見なのか、そういうことをしかるべき人々とお話をしていくわけです。
だから、先ほど来申し上げさせていただいているとおり、政府にちゃんとした見解が示され、そして、その上で必要とあらば、先ほど来申し上げさせていただいているとおり、拉致問題担当大臣から文部大臣にちゃんとした意見を申し述べると。しかし、最終的な決断は文部大臣がされるということになっているわけですから、皆さん方の御意見も含めた上で、我々の意見も踏まえた上で、そして判断をされる、それがルールなんじゃないでしょうか。
義家 内閣府の拉致担当としては、この高校無償化の中に朝鮮高校を含めるか否かという議論は、現在、新しい組閣が行われましたが、具体的にされているんでしょうか。
東 もちろん、今僕がお話ししたことを聞いてくださっているのかどうか分かりませんが、この問題も一つの問題であり、拉致被害者の皆さん方から強い懸念も示されているわけです。それに基づいて当然、先ほど申し上げさせていただいたとおり、記述に問題があると、このように僕はとらえておりますし、大臣もそのよう にとらえております。
義家 是非、その思いや意見、そして記述の内容についてしっかりと文部科学省と向き合っていただきたいと心から思っております。
続きまして、関連して笠文部科学政務官にお尋ねいたします。笠政務官、国会では北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会に所属するなど、この拉致問題には非常に長くかかわってきた笠政務官に是非ともお聞きしたいわけですが、率直に、現時点での議論の中で、笠政務官は一人の政治家としてこれからどう進めていくべきであると考えているのか、是非お聞かせください。
笠 私は9月の21日に文部科学大臣政務官を拝命しましたけれども、一人の政治家として、やはりこの問題について、先ほど申し上げた座長という立場で取り まとめに当たってきた、また北朝鮮の拉致問題についてまさに党派を超えてこの問題に向き合ってきた立場として、やはりそういう今懸念をされているような一つ一つの今いただいているような国会での御意見、あるいは党内でもこれからまとめられる、正式に決まってくる懸念をされる点、例えば教科書というか、これは教材なんでしょうけれども、私も拝見をいたしました。拉致問題に対する記述について、例えば、日本当局は拉致問題を極大化し、反共和国、反総連、反朝鮮人騒動を大々的に繰り広げることによって、日本社会には極端な民族排他主義的な雰囲気がつくり出されていったというような記述については(続く)