谷垣禎一自民党総裁・夏野剛氏 ツィッター対話集会 8月23日 3 |
谷垣 (承前)もう一回頑張れるようにするにはどうしたらいいか、という問題があって、そうすると、だけどまた借金すると二重に借金を背負っちゃうというようなことがあるわけですね。たとえば、工務店なんかでもリースで重機を借りてると、その重機が全部津波をかぶっちゃってやられてしまったと、で、また重機を借りなければ瓦礫の処理の仕事も出来ないけど、借金を抱えたままで困っちゃう。そうするとその借金を買ってやる、債務を買ってやる人がいて肩の荷を軽くしてやってというようなことを、何か色々工夫しないと駄目だと、まあそういうような法案とですね、これはまだ通ってないんですけど、色んなのを実は、(森まさこ議員に)仮払いもそうですね。要するに原発で被災者の方々になかなか補償の一部が届かないから、とにかく。だってもう、あれでしょう、家なんかも倒れちゃって、勤め先もなくなってる方、全然収入がないと。少しでもまずお金が手に届くように仮払いをやらせようとか、まあ色んなことをやってきたんです。
夏野 これはね、素晴らしいと思いますよ。っていうのは、一般にはね、ねじれ国会で、何か、いい法案もみんな野党が反対するから通らないってことも言われてますでしょ。ところが、野党のほうから提案してる、自民党のほうから提案してる法案がいっぱい通ってると。こういうことをお聞きするとね、噂の大連立なんていうのはいらないのかな、なんて思ったりするんですけど、大連立はどうなんですかね。
谷垣 いや、大連立はですね、私も実は、あの、津波を見た時ですね、あの直後は、ひょっとしたら大連立というのもあるのかなと、しゃべらなかったですよ、腹の中ではそういう感じを持った時期もありました。
だけども、今、私の選挙区もそうですけど、私ともうひとり民主党の若い代議士とで、こう、いつも争ってるわけですよね。だから、自民党と民主党がどう政策が違うのかっていうことで日本の政治の基礎が組み立てられているわけですよね。それで、震災の復旧とか復興っていうのはね、自民党も民主党も方向はそんなに変わらないから、これは協力しようと思えば出来ないわけじゃないんですよ。ところが、外交政策でですね、普天間をどうするだとかですよ、あるいは日教組についてどうだっていうと、それずいぶん違うんですよね。それ全部一緒にっていうのはなかなか無理だと思いますね。だから私は原則というか、こういう制度の中で大連立というのは例外中の例外だと今は思っているんです。
その代わり、復旧とか復興では補正予算なんかもみんなそうでしたけど、これは基本的に協力していこうと。それで、そうでないものはやっぱり是々非々でいこうというのが、私は今自民党の基本スタンスはそういうふうにあると思っています。
夏野 今のところ大連立はいらない?
谷垣 まあ、大連立っていう…それに菅さんが持ちかけてきた時もですね、あの時はまだ震災の直後で、だから火事場の馬鹿力を出してやらなきゃならないことは確かにあったですよ。だから、あの時点では大連立っていうのは全くなかったわけじゃないと思います。だけど、結局のところ、それをやるには、外交政策とかですね、教育政策とかみんな違うわけだから、少なくとも政策協議で、組んでる時はこういうことにしてやろうっていうぐらいの話し合いがなきゃいけないんで、それなしにいきなり、あんた副総理やってくれないかって言われると、なんか俺一本釣りされてるのかなって(会場笑)、こういうふうにも思わないでもなかったわけですよね。
夏野 それはやっぱり、野党の党首を一本釣りするってのはあり得ないですよね。
谷垣 それはちょっと、ええ。
夏野 ということで、メディアの皆さん、連立はあり得ないということなので、向こうの候補で連立を言っている方はちょっと形勢が不利ですね。はい。ま、余計な人の話はしないで、次の質問に行きましょう。「菅首相の後、前原さんが選出された場合、対話ができる分野については、積極的により大きな成果を出すべく取り組むことが出来ますか?」
谷垣 前原さんというお名前が出ましたけど、前原さんも京都選出、私も京都選出の衆議院議員ですから、個人的にはよく知ってます。だけど、前原さんのほかにも候補者がいるわけですから、前原さんだったらどうだとか、あの、どなただったらどうだとか、ちょっとよその代表選挙にはあんまり嘴を入れるのはどうかなというふうに思いますんでね。あの、ただ、今言ったように、どなたが…どなたがって、それはやっぱり人によって協力の出来る出来ないっていうのは若干の違いがあると思いますけど、どなたがおやりになっても、震災の復旧とか復興は協力が基本だと私は思います。で、あとは是々非々であって、どなたでも、人によって若干の差はあっても、基本は変わんないですよね。
夏野 あの、前原さん人気があるんで、やりにくいということはないですか。
谷垣 そこはあの、ノーコメントで。あの、今、あんまり言うとあれですから(笑)。
夏野 ちょうどあの、今、ニュースで、前原さんが正式に出馬表明を出されたそうです。はい。じゃあ、次の質問行きましょう。「さて、」さてで始まるツィートっていうのも面白いですね。「さて、昨今の円高(というよりドル安)傾向につきまして。現政府の対応がマズイのは自明ですが、自民党が与党であればどのような対策を考えておられますか?」円高の問題、ちょっとシビアですね。今、77円です。
谷垣 これはね、あの、なかなか簡単ではないですね。これは、ひとつは、ヨーロッパでギリシャや何かをはじめとしたユーロが本当に大丈夫かっていうヨーロッパの中の不安定がひとつあるわけですね。それから、アメリカも、結局財政がちょっと放漫じゃないかっていうのがあって、国債の格付けが落ちちゃったというようなことがあって、その背後には、いわゆるサブプライムローンの処理が本当に正直に行われているの?というような問題があって、日本の国内の問題だけではないから、ちょっと難しいところがあるわけですね。
で、ただですね、それは私は日銀にも色々考えてもらわなきゃいけないと思いますし、特に日本の財務大臣、それから我々日本の政治家も言わなきゃなんないことは、結局日本だってこれだけの震災あってですね、それから財政もそんなによくないですから、円だけが独り勝ち、独り勝ちってちょっとおかしいんですよね。やっぱりその、経済のファンダメンタルズ、基礎的な条件が、円だけがどんどんどんどん上がっていくようなことではないっていうことは、きちっと外国の人たちにも言わなきゃいけない。で、そんな変な思惑買いや何か投機マネーがわっと入ってくるような時には、やっぱり、ぱっと(刀を抜く動作で)抜くものは抜かなきゃ。まあ、だから介入ですね、そういうことはしなきゃいかんと思います。
で、ただですね、それはとりあえず今の円高をどう対応していくかっていう問題ですけど、もっとこれだけ、さっき申し上げたように、エネルギーも安定的に供給されるかどうか分からないと、それからこれだけ円高が続いてると、現に製造業なんか、もう日本の国内ではもうやって行けないというんで海外に出て行っている企業はもう相当そういう動きは出てるだろうと私は思います。それで、それはそれ自体大問題なんですが、やっぱり出て行くところはまだ体力のあるところなんかは出てっても、体力のないところなんかは日本を出られない。そういうところのやっぱり資金繰りなんかは、今度の第三次補正でですね、中小企業金融対策なんていうのは手厚くやらなきゃ私は駄目だと思います。
それから、それはまあ早急にやらなきゃならないことですけど、もっと大きな方向としては、じゃあ日本全体の経済が沈没しない、ここが難しいんですよね。日本経済の全体が沈没しない、伸びていくぞっていうことをどんどんやると、また円高になっちゃうという面がないわけではないと思います。だけど、やっぱり全体としては、こういう中でも日本はこうしたらやれるぞと、政府がそういうふうに頑張っている人にはこういうふうにバックアップする構えをするんだぞという、そういうものを早く打ち出して行かなきゃいけないと思います。そこはちょっと、今あの、民主党の代表選でもですね、小沢さんの党員資格停止をどうするかなんてことばっかり議論してたんじゃいけないんで、やっぱりこの円高、日本の空洞化、どう対応していくかっていうようなことをもっと考えてやってもらわなきゃならんと思いますよ。
夏野 もし、今、自民党政権下だとしたら、この円高対策っていう、まあ、やる、お金の対抗手段は限られてるわけですけれども、まあ大まかに言うと、介入と金融緩和ですね。
谷垣 そうです。
夏野 両方とも発動されますか?
谷垣 金融緩和、金融政策は日銀があれですから、じゃあ私が財務大臣をやってたころも、日銀総裁をこっちの思うがままにやるっていうことは、なかなか簡単ではなかったです。でも、時々、私の頃は福井総裁でしたけど、お互いに独立なんですけど、福井さんと時々飯を食いながら基本的な認識はすり合わせるようにして、あんまりあさっての方向に行かないようにしていました。それから、介入は、私、もう今思い出したくもないですけれども、めちゃくちゃやったもんですから。でも今度の場合はめちゃくちゃやればいいってものじゃなくて、やっぱりこれはマーケットとの、言ってみれば呼吸ですから、何かあるときに、バッとこう、意外性のあるですね、バッと打ち出して、ああこれは気をつけなきゃと思わせるような心理戦ですよね。それをやらなきゃやっぱりいけないんだろうと思います。
夏野 今はちょっと心理戦とか高等戦術になってないような感じですね。
谷垣 これもですね、まあ、野田財務大臣の立場に立てばですよ、私が立つ必要もないんですけど(会場笑)、やっぱり財務大臣っていうのは、抜く手も見せずバサッと斬らなきゃいけないから、あんまり外野の声がうるさいとやりにくいという点もあるんですね。だから私は野田さんに心がけてもらいたいのは、やっぱり、やる時は抜く手も見せずやってくれということだと思います。
夏野 なるほど。前財務大臣の経験者として素晴らしいお言葉だと思います。応援ではありませんので、マスコミの皆さん気をつけてください。それでは次の質問行きましょう。「人権擁護法案と外国人参政権について谷垣さんの意見を聞かせてください。」あの、今日、念のため申し上げますけれども、私たち、この質問の詳細は知らされておりません。何となく原発の話とかあるよとか、そういうのは知らされておりますけれども。またいきなり濃いのを事務局選んできましたね。「人権擁護法案と外国人参政権について谷垣さんの意見を聞かせてください。日本人としてはこんなあほな法案通すなんてばかげてると思います。」放送禁止用語で大変失礼いたしました。(会場笑)
谷垣 まあ、あの、人権擁護法案はですね、自民党の中では3年前ぐらいは大議論があったんですけど、今は…だから自民党の中にも色んな考え方があるのは事実なんですね。だけど、最近はもうほとんど、あんまり問題になってないんですが、江田法務大臣がちょっと何か考えてるんでしょう。どういう中味になってくるのかというのはよく見なきゃいけないんで、まあ今のところは、あの、賢明な内容になってくるのか、それとも馬鹿な内容になってくるのかは、江田さんがどうするのか見てます。それから、外国人参政権については、これはもう党の態度ははっきりしておりまして、外国人参政権というのは認められないと、憲法違反の疑いさえあるんだと、こういう考え方ですね。
夏野 あの、今、この話題に関しては、ニコニコ動画が大変盛り上がっておりまして、「よく取り上げた!」という声があるんですけれども、この、ひとつね、意見で出てるのが、民主党は、これ、一色になってると。人権擁護法案とか外国人参政権にまあ、肯定の方向で一色になってるんですかね。一色っていうのはありえないんじゃないかっていう…
谷垣 民主党も実態は一色じゃないんだと私は思いますよ。やっぱり賛否非常に分かれてるんじゃないかと思います。まあ、あまりよその党がどうとか言わなくてもいいんですけど。
夏野 わかりました。はい。それでは、次の質問どうぞ。(モニター画面を見て)はい、来ました。「谷垣さん。2010年度時点で日本における自殺者が13年連続して3万人を超えています。それまで国や社会を支え続けてきた中高年の方々が多くを占めている現状をどのようにお考えになり、政党としてどのような対応と政策をお考えですか?」これは、自殺される方が多いというのが昨今、特に経済情勢が悪くなると大きくなるんですが、こちらのご指摘は、特にその中高年の方が自殺をする方の多くを占めている、これについてどういうふうに思われますか?
谷垣 これはですから3万人を超してるということですからね、腰を入れた対策が必要だと思うんです。その場合、二つの側面があると思いますね。ひとつはやっぱり経済的な苦境によって追い詰められて自ら命を絶つっていう方がかなりいらっしゃる、これは事実だろうと思います。そうすると、結局問題は雇用とか景気をよくしていくっていう、それが基本にないとですね、雇用もだんだん縮んでいって失業者がますます増えていくというようなことでは解決できない。結局そういう、もう少し経済的にも明るいことを作れないかっていう。ですから、成長政策やったり、色んな(続く)