地域「主権」って何だ 平成22年2月5日 衆議院予算委員会 石破茂氏の質問 |
石破先生の講義の続きです。
動画:http://www.youtube.com/watch?v=JNy_FjL0lqw
質問 石破茂氏(自民党)
答弁 平野博文内閣官房長官
原口一博総務大臣
石破 私はね、憲法の理解というのを、私たちも含めて、きちんと理解をしないと本当に大変なことになると思っているんです。言葉の使い方も気をつけて使わなければいけません。地域主権という言葉をよくお使いになりますね。主権て何ですか。(会場から「総理」「官房長官」など多くの発言)
総理でも官房長官でも結構です、主権て何ですか。
平野官房長官 私の理解するところによりますと、国のあり方を決める最高権力と、こういうふうに理解をいたしております。
石破 国のあり方を決めるですよね。国民主権てのは、国のあり方を国民が決める、国内的な権利なのですよ。それが対外主権と違うところなんですよ。いいですか。
そうすると、地域主権ということは、国のあり方を地域が決めるということですか。この答えはいいです。この答えは、地域のことは地域が決めるんだ、そういう意味で言いましたというお答えなんだと思います。そうでしょう。(野次多し)ですけれども、主権というのは、国民主権というのは、国のあり方を国民が決める、そういうものなんだ。それを地域に移すということは、これはどういうこと。連邦国家でもつくるのか。主権という言葉はもっと気をつけて使うべきではないのか。(発言多し。原口大臣が指名されると拍手が起こる。)
原口総務大臣 石破委員にお答えいたします。
憲法の中には、国民主権とそれから国権という言葉があるわけです。
国権というのは、今、石破委員がお話しになったように、主権者たる国民がみずからの国の形を決めるということでございまして、地域主権というのは、憲法九十二条において、補完性の原則、団体自治の原則、そして住民自治の原則、これが定められておるわけですけれども、主権者たる国民がみずからの地域についてみずから責任を持つという意味でお話をしておるところでございますので、御理解をよろしくお願いいたします。
石破 だから、そういう答弁になるのでしょうねと最初に申し上げておいたんです。原口さんのそういう答弁は何度も私読みました。原口さんがそのようにお考えであるということも承知の上で申し上げました。
いいですか。主権という言葉はもっと気をつけて使わなければならない。私は、憲法に対する内閣の感覚はどうなんだということを申し上げているんですね。
じゃあ、冒頭の議論に戻りますよ。いいですか。
陳情は民主党に一本化をしなさいということですよね。そしてまた、先ほど、それを伝えるということについての議論がありました。このことの意味は一体何なんだろうかということなのですよ。つまり、憲法第十五条、「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」と定めます。憲法十六条、何人も、平穏に請願する権利を有し、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない、憲法十六条です。憲法八十六条、内閣は、予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない、こうなっていますね。
憲法の規定というのは、このように、請願権、陳情もそれの一部です、それを認めて、だれにもそれを認めて、差別的な待遇をしてはならないと定め、公務員は全体の奉仕者であると定め、そして、予算というのは国会の議決を経なければならないと書いてあるんですね。
憲法をきちんと御理解された上でこの内閣を運営されているとは私にはとても思えないのですが、聞いてみます。(「総理大臣」「総理大臣」など)
平野 わからないところもありますが、当然、お答えいたします。
当然、請願は請願権に基づいてあるものでありますから、そのルールにのっとってやっていただくと。結構なことだと思っております。
石破 もう一度内閣は、国民に対する恐れとか、憲法に対する恐れとか、そういうものをきちんと持つべきではないかと私は思うのです。憲法というものをきちんと読み、それぞれの趣旨をちゃんと理解をした上で内閣は運営されなければならない、私はそう思いますね。
一丁目一番地と言っておられる地域主権だ。一丁目一番地って言葉はすごく受けがいい。これが一番と。だけれども、主権というのは何なのかといえば、どの憲法の教科書を読んでも、国民主権というのは国家のあり方については国民が決める、これが国民主権であるというふうに書いてあるんです。地域主権ていう言葉は、主権という言葉に敏感な感覚を持っていれば必ず違和感を持つものなんです。持たない方もおられるかもしれません。私は、持たないことの方がよほど問題だというふうに思っています。
そしてまた、総理初め、閣僚も含め政務官も含め、公務員は全体の奉仕者でなければなりません。一部の奉仕者であってはなりません。族議員化を排すという言葉は確かに国民受けはするでしょう。ですけれども、党全体が利益誘導集団と化したとするならば、これほど恐ろしいものはないのです。(野次、拍手)私はそう思いますね。ぜひその点はよく御認識をいただきたいと思います。