野田総理から古川禎久氏への答弁 平成23年9月14日 衆議院本会議 |
(長さ11分35秒)
衛藤副議長 内閣総理大臣、野田佳彦君。
野田 古川議員からご質問をいただきました。十数年前、お互いに浪人している頃に将来を語り合った頃を思い出させていただきました。
「一川防衛大臣の適格性を問う」
まず、防衛大臣についてのご質問をいただきました。一川大臣には防衛大臣として適切に仕事をしていただけると信じております。(野次)シビリアンコントロールについての防衛大臣の発言は、一般の国民を代表する政治家が国民の目線に立って物事を判断していくべきとの趣旨であったと承知をしております。(野次)政府としては文民統制の徹底に万全を尽くす一方で、地域の平和や安定を図り、国民の安全を確保すべく、平時からいかなる危機においても迅速に対応する体制を作ることとしており、新防衛大綱に従って即応性、機動性等を備えた動的防衛力の構築に務めていることを改めて申し上げます。
「靖国参拝についてなぜ姿勢を変えたのか」
靖国神社参拝についてのご質問をいただきました。国に殉じた方々に感謝や敬意を表することは当然のことと考えております。他方で、日本政府を代表する内閣総理大臣の立場として、靖国神社については、総合的に考慮すると、総理や閣僚が公式参拝することは差し控えなければならないと考えます。(会場騒然)
日本の危機克服に対する私の決意は昨日の所信で述べた通りであり、目の前の危機を乗り越え、国民の生活を守り、希望と誇りある日本を再生するために、国会のご協力をいただきながら、政府として全力を尽くします。(野次)
「A級戦犯分祀論への見解は?」
A級戦犯の分祀論に関してのご質問をいただきました。一般論として言えば、不当な内政干渉に対しては断固とした態度を取るべきだと考えます。ただし、宗教法人である靖国神社においてどのような祭神を祀るかについては、憲法が保障する信教の自由に関する事柄であり、政府として見解を述べる立場にはないということを是非ご理解をいただきたいと思います。(野次)
「外国人地方参政権付与への見解は?」
永住外国人への地方参政権付与に関するご質問をいただきました。永住外国人への地方選挙権付与の問題については、さまざまな意見があり、各党、各会派においてしっかりとご議論いただくことが必要であると考えます。
「菅前総理の外国人献金問題にどのようなけじめをつけるつもりか」
政治資金規正法問題に関するご質問をいただきました。前内閣の閣僚の政治家個人としての政治資金の問題に関してご質問をいただきましたが、これは政府としてお答えするべき問題ではなく、政治家それぞれが説明し、適正な措置を講じるべきものであり、また菅前総理も国会答弁等で説明するべきはしてきたと考えております。
「外国人献金と外国人参政権付与の動きとの関係」
また、定住外国人の地方選挙権の問題について、現在の民主党が極めて慎重に検討していることはご承知の通りであり、過去において政治家個人が外国籍の方とは知らずに寄付をいただき、事実が確認された時点で返金等の措置を講じていることとは関係がないというふうに思います。(野次)
「朝鮮学校授業料無償化を撤回するか」
なお、谷垣総裁と同じという形でご質問をいただいた高校無償化に関する朝鮮学校の審査再開についてでございます。これはあの恐縮でございますが、あの、先ほど申し上げたことと、あの、同じになります。朝鮮学校の審査手続きについては、菅前総理が関係閣僚と相談し、事態が昨年の砲撃以前の状況に戻ったと総合的に判断し、審査手続きの再開を指示されたところでございますけれども、朝鮮学校を指定するかどうかについては、今後文部科学省において厳正に審査を行うべきと考えております。
「自主防衛にかける決意はあるか」
続いて、自主防衛の覚悟についてのお尋ねがございました。私は、国の防衛は国家が担うべき最も基本的な施策であり、またその根幹となるのは、我が国自身が主体的に行う努力であると認識をしております。我が国を取り巻く安全保障環境は不透明性を増しております。そうした中で、いかなる危機にも迅速に対応する体制を構築すべく、政府は昨年末に新防衛大綱を策定しましたが、その新防衛大綱においても、「我が国の安全保障の目標を達成するための根幹となるのは自らが行う努力である」との認識に基づき、同盟国等との(ママ)連携しつつ、平素から国として総力をあげて取り組むこととしております。政府としても、今後ともこうした考え方に立って、我が国の平和と安全の確保に万全を期してまいります。
「武器輸出三原則についての見解は?」
武器輸出三原則等の見直しについてのご質問をいただきました。防衛大綱の見直しの過程では、武器輸出三原則等についてさまざまな意見がございました。こうした経緯を踏まえ、新防衛大綱においては、防衛装備品を巡る国際的な環境変化に対する方策を検討する旨の規定が明記をされてございます。もとより、武器輸出三原則等については、国際紛争等を助長することを回避するという、平和国家としての基本理念に基づくものであり、政府としては、この基本理念は引き続き堅持をしてまいります。なお、ご指摘のような安全保障上の重要案件を政党間の取引材料に利用したなどという事実はございませんし、これからもそういうことは全くするつもりはございません。
「水源林と地下水を守るべきだと思うか」
森林の適切な整備・保全についてのご質問をいただきました。森林は、水田の涵養、国土の保全などの公益的機能を有しており、森林林業の再生を図り、緑豊かな国土を次世代に伝えていくことは政治の使命と考えております。本年4月には、野党の皆様のご協力も得て、森林法が改正され、森林の土地の所有者となった旨の届出制度や、森林所有者が誰であれ、森林の適切な整備・保全が図られる仕組みなどが措置されたところでございます。なお、規制制度改革においては、再生可能エネルギーの設備の設置のために、保安林の指定を解除するための要件等を見直すこととしておりますけれども、その上でも森林の公益的機能にも十分配慮する考えでございます。今後、森林・林業基本計画に基づき、森林施業の集約化、路網(?)整備、人材育成等の施策を講じ、我が国林業を再生し、森林の適切な整備保全を進めてまいりたいと考えております。
「人を守るコンクリートの必要性」
災害対策インフラとしての社会資本整備についてのご質問をいただきました。三陸縦貫自動車道等の高速道路は、今回の震災でも住民の避難や物資輸送等に重要な役割を果たしたものと認識をしております。こうした災害時に重要な機能を果たす道路をはじめ、安全・安心な国民生活を支えるために、真に必要な社会資本整備について戦略的に実施していくことが必要であると認識をしています。
「災害に強い国土作りにかける熱意は?」
続いて、災害に強い国土作りについてのご質問をいただきました。我が国には今般のような豪雨災害をはじめ、地震、津波などにより、災害が発生しやすい国土であると認識をしております。従って、引き続き災害の防止や被害の軽減のために真に必要な事業を優先的、重点的に実施し、災害に強い国土作りを推進をしてまいります。
引き続いて、災害に強い国土作りについてのご質問をいただきました。あ、これは、今、すいません。重なりました。失礼いたしました。
「TPP交渉参加を拙速に判断してはならない」
ええ、TPPについてのご質問をいただきました。世界経済の成長を取り込み、産業空洞化を防止していくためには、国と国との結びつきを経済面で強化する経済連携の取り組みを欠かすことはできません。このため、包括的経済連携に関する基本方針に基づき、高いレベルの経済連携協定の締結を戦略的に追求をしてまいります。TPPについては、8月15日に閣議決定した「政策推進の全体像」にあるような広範な視点を踏まえ、協定への交渉参加についてしっかりと議論し、できるだけ早い時期に結論を出してまいりたいと思います。(野次)
「台湾への感謝表明を」
最後に、あの、これはご質問と受け止めさせていただきましたけれども、震災に対する台湾からの支援に関するお尋ねがございました。今般の国難に際して国際社会から寄せられた幅広い支援に対して、日本国民に対する国際社会の温かい連帯の表れとして、深く感謝をしています。台湾においても、支援に対する謝意を盛り込んだ菅前総理のメッセージを馬英九総統をはじめとする台湾当局者に伝達したほか、ホームページや新聞広告を通じて、謝意をこれまでも表明してきております。このように、台湾に対しては、適切な形で謝意表明を行ってきたところでございますけれども、改めて、私としても、台湾からの友情あふれる破格の心からのご支援に対して、深く心から感謝申し上げたいと思います。(拍手)