中曽根弘文氏の代表質問への答弁 2 平成23年9月15日 参議院本会議 野田内閣総理大臣 |
(長さ 11分57秒)
(承前)を活用する円高対応緊急ファシリティを発表したところであり、迅速に実行していく所存でございます。また、市場において投機的な動きがないか注視し、あらゆる措置を排除せず、必要な場合には断固として行動するとの考え方に変わりはございません。さらに、急速な円高等による産業の空洞化を防いでいくために、金融政策を行う日本銀行と連携し、あらゆる政策手段を講じていく必要がありますが、まずは第三次補正予算や予備費により、思い切った立地補助金の拡充や中小企業金融のさらなる充実等を行うとともに、円高メリットを活用して日本企業による海外企業の買収や資源権益の確保を支援をしてまいります。
「TPPへの交渉参加についていつまでに結論を出すか」
TPPについてのご質問をいただきました。世界経済の成長を取り込み、産業空洞化を防止していくためには、国と国との結びつきを経済面で強化する経済連携の取り組みを欠かすことはできません。このため、包括的経済連携に関する基本方針に基づき、高いレベルの経済連携の締結を戦略的に追求をいたします。同時に、農業の活性化や再生も重要であり、先般の「食と農林漁業の再生実現会議」で中間提言を取りまとめたところでございます。「農業は国の本なり」との発想の下、東北の被災地の基幹産業である農業の再生を図ることを突破口として、「食と農林漁業の再生実現会議」の中間提言に沿って、早急に農林漁業の再生のための具体策をまとめます。
TPP協定交渉参加の判断時期については、8月15日に閣議決定した政策推進の全体像にあるような広範な視点を踏まえ、総合的に検討し、できるだけ早期に判断をいたします。(野次)
「法人税は下げるのか上げるのか」
法人税についてのお尋ねがございました。平成23年度税制改正法案に盛り込まれた法人実効税率の5%引き下げについては、復興の基本方針において、与野党間での協議を経てその実施を確保することとしております。なお、復旧・復興のための税制措置については、復興の基本方針において基幹税などを多角的に検討することとし、税制調査会が具体的な税目、年度ごとの規模とを組み合わせた複数の選択肢を復興対策本部に報告した上で、与野党間での協議を経て党本部で決定することとしており、法人税をどのように扱うかについては早急に取りまとめたいと考えております。
「消費税増税への道筋」
税制抜本改革のスケジュールについてのご質問をいただきました。若い世代を含め、国民が将来に不安を持たないようにするため、社会保障のための安定財源を確保し、あわせて財政健全化を同時に達成するための社会保障と税の一体改革は、どの内閣であっても先送りできない課題であります。消費税を含む税制抜本改革の具体的な内容を定める法案については、本年6月に政府与党で熟議の末に取りまとめた社会保障・税一体改革成案に基づき、平成21年度税制改正法附則第104条に示された道筋に従って、本年度中の法案提出に向けて準備を進めてまいります。各党会派の皆様におかれましては、法案成立に向けて与野党で合意形成できるよう、社会保障・税一体改革に関する政策協議にご参加をお願いをいたします。(野次)
「4K、特に子ども手当に関する三党合意の確認」
三党合意についてのご質問をいただきました。8月4日の政調会長レベルの三党合意において、平成24年度以降の子供のための現金給付については児童手当法に所要の改正を行うことを基本とすることで確認をされております。8月9日に幹事長レベルで交わされた確認書においては、高速道路無料化については平成24年度予算概算要求において計上しないこととする、高校無償化および農業戸別所得補償の平成24年度以降の制度のあり方については政策効果の検証をもとに必要な見直しを検討することが確認をされております。
私は、民主党代表に選出をされた翌日、組閣を行う前に、自民・公明それぞれの総裁・代表と党首会談を行わさせていただき、その場で、三党合意について、私が約束したのだから是非信頼してくださいと申し上げました。(野次)三党の合意確認については誠実に履行をしてまいります。
現在、来年度の予算の概算要求基準を政府内で取りまとめている最中でありますが、高速道路無料化については、三党合意に則り、概算要求に計上しないこととしております。(野次)
「民主党政権の外交失政と2012年問題を踏まえて国連でどのようなメッセージを発信するか」
国際情勢の現状認識についてのご質問をいただきました。国際社会は多極化が進行する新たな時代を迎えています。世界を襲っている経済危機にも国際社会が一致して対処しなければなりません。安定した国際環境が確保されることが我が国自身の平和と繁栄にも不可欠でございます。我が国としても、世界共通の課題の解決に向けて、主要各国地域とも協力して挑戦をしていきます。
国連総会におけるメッセージの発信についてのご質問をいただきました。国連総会の一般討論演説は、我が国の主要な政策を国際社会に広く表明する重要な機会でございます。私としては、我が国は各国の支援も得つつ大震災から着実に復興を遂げていること、また、我が国が国際社会の平和と繁栄に引き続き積極的に貢献をしていく旨のメッセージを発信するつもりでございます。
「普天間問題に関する鳩山政権の失政をどう考えるか 具体的にどう解決するのか」
普天間基地移設問題についてのご質問にお答えをいたします。普天間飛行場の移設問題については、鳩山政権の発足以降、なんとか県外移設ができないかという考えの下、様々な案を検証してまいりましたが、結果的に現在の日米合意に至りました。民主党政権としては、この過程で沖縄の皆様に大変なご迷惑をおかけしたことについては深くお詫びしなければならないと認識をしております。
政府としては、普天間飛行場の固定化を回避し、沖縄の基地負担の軽減を図るべく、沖縄県の皆様に誠実に説明し、理解を求めてまいります。また、沖縄振興策などについて、沖縄政策協議会の下で議論を進めてまいります。沖縄において県外移設を求める声があることは承知をしておりますが、現在の日米合意は、全体として、少なくとも現状に比べると、沖縄の大きな負担軽減につながると考えており、政府としては、引き続き沖縄の皆様のご理解を得るべく、誠実に努力をしていく考えでございます。(野次)
「防衛政策」
防衛政策、集団的自衛権についてのお尋ねがございました。我が国を取り巻く安全保障環境は不透明性を増しております。そうした中で、いかなる危機にも迅速に対応する体制を構築すべく、政府は昨年末に新防衛大綱を策定をいたしました。政府としては、新防衛大綱に従い、各種事態のシミュレーション等を平素から実施するとともに、即応性、機動性等を備えた動的防衛力を構築し、新たな安全保障環境に対応しつつ、我が国の平和と安全の確保に万全を期してまいります。
「集団的自衛権に関する見解」
次に、集団的自衛権とは、一般に、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにも関わらず、実力を持って阻止することが正当化される権利であり、国際法上主権国家として持つ固有の権利と解されているものと承知をしております。(会場「答えになってない」など)
「武器輸出三原則と武器使用基準緩和に関する前原発言は内閣の方針か」
武器輸出三原則等および国際平和協力業務に従事する自衛官の武器使用権限についてのお尋ねがございました。
武器輸出三原則等については、防衛大綱の見直しの過程で様々な意見がありました。こうした経緯を踏まえ、新防衛大綱においては、防衛装備品を巡る国際的な環境変化に対する方策を検討する旨が明記されており、今後とも幅広い視点から検討をしてまいります。もとより武器輸出三原則等については、国際紛争等を助長することを回避するという平和国家としての基本理念に基づくものであり、政府としては、この基本理念は引き続き堅持してまいります。
国際平和協力業務に従事する自衛官の武器使用権限については、国会やPKOのあり方に関する懇談会等における議論を踏まえつつ、引き続き検討することが必要であると考えております。(野次)
「国家戦略会議の設置法を作るか否か 設置スケジュールと権限の範囲はどうなるか」
国家戦略会議についてのご質問をいただきました。国家として重要な政策を統括する司令塔の機能を担うため、産官学の叡知を集め、既存の会議体を集約して、私が主宰する新たな会議体を創設をいたします。この会議体の詳細は現在検討中であり、できるだけ早い時期に、その設置方法を含め、具体像をお示ししていきたいと考えております。(会場「答えになってないぞ」など)
「強引に4日間の会期を押し切る一方で、どのように与野党協議を深めるつもりか」
与野党の議論の進め方についてのご質問をいただきました。国会の会期については、告解において各党会派ご議論の上ルールに従って決められたものと理解をしております。大震災からの復旧・復興、原発事故の収束、円高対策を含めた経済対策を進めていくため、三次補正の準備と成立に全力を尽くすことは、与野党を超えた最優先事項と考えます。与野党が徹底的な議論と対話によって一致点を見出し、ともにこの危機に立ち向かっていただけますよう、切にお願いを申し上げて答弁を終わります。(野次と拍手)