島尻安伊子氏の代表質問と答弁 2 平成23年9月16日 参議院本会議 |
島尻 一川防衛大臣に伺います。
あなたは「防衛の素人であるから、本当のシビリアンコントロールなんだ」とおっしゃいました。国民目線で国民に訴えることは大事ですが、防衛省という安全保障の専門家たちのリーダーたる大臣が、自ら素人だということは、専門家集団をまとめ上げる能力がないことを露呈してしまったということではないでしょうか。防衛大臣のこんなお粗末な発言が、諸外国にどう伝わったとお思いか、ご本人にお伺いします。
一川 (会場から多数の発言)島尻議員にお答えいたします。私の発言についてお尋ねがございました。報道されている内容は、私の発言が正確に表現されていないとは考えておりますけれども、(会場騒然)私の発言は、一般の国民を代表する政治家が常に国民の目線に立って物事を判断をしていくべきであるとの趣旨を述べたものでございます。で、特に私は、この防衛政策といいますのは、国民ひとりひとりの理解と、それから協力・支持の下に成り立っているというふうに思いますので、そういうふうに努力してまいりたいという趣旨を述べたものでございます。
また、私としましては、野田総理からの指示もあり、専守防衛の原則に基づき、シビリアン・コントロールを確保しながら、我が国の平和と安全、それから国民の生命と財産をしっかりと守ってまいりたいと、そのように考えてもおります。まあいずれにしましても、世界の平和と、アジア太平洋地域の、この平和と安定を目指して、我が国の役割をしっかりと果たしていくことによって、諸外国の理解と信頼の増進を図ることは、大変重要であると、そのように考えております。(この間会場から多くの発言)
以上であります。よろしくお願いします。(拍手と野次)
野田総理は一川大臣を指導したか
島尻 さらに、このことで野田総理は防衛大臣をご指導なさったのか、総理にもお答え願います。
野田 防衛大臣の御発言についての御質問をいただきました。防衛大臣の発言は、一般の国民を代表する政治家が国民の目線に立って判断していくべきとの趣旨であったと承知をしており、特に指導はしていません。(会場から発言)一川大臣には防衛大臣として適切に仕事をしていただけるものと信じています。
総理はマルチ商法業者との関係を承知の上で山岡大臣を任命したのか、マルチ商法にどのような見解を持っているか、山岡大臣はマルチ商法をもっと厳しく規制すべきと考えているか
島尻 続いて消費者関係の問題についてご質問します。
消費者問題については、政策以前の問題として、今般消費者担当大臣にご就任された、山岡大臣の適格性に大いに問題があると考えます。(会場「その通り」など)山岡大臣は、マルチ商法を推進する議員連盟の会長を務め、マルチ商法の業者から献金を受け取っていました。このような方が、本気で消費者保護の政策を実行できるのか、はなはだ疑問です。山岡大臣は、受け取った献金を全額返金するとのことですが、返金すれば済むというような問題ではありません。マルチ商法を認め、何の問題意識も持たず、むしろ積極的に推進しようとするお考えの方に、消費者行政を任せていいのかという問題なのです。(会場から多数の発言)
野田総理は、山岡大臣とマルチ商法業者との関係をご存じの上で消費者担当大臣に任命されたのでしょうか。マルチ商法へのご見解とともにお答えください。
野田 山岡大臣の任命についての御質問をいただきました。山岡大臣は政治経験も豊富であり、その経歴を見ても、閣僚たる資格があると判断し、任命をいたしました。御指摘の件につきましては、報道があることは承知をしていますが、政治家個人の政治資金の問題については、指摘された本人が説明し、必要であるなら適切な措置を講ずるべきものと考えております。
マルチ商法や消費者庁についての御質問をいただきました。まず、御指摘のマルチ商法については、明確な定義はなく、取引の合法性・妥当性を一概に判断できないものの、特定商取引法における連鎖販売取引に該当するものについては規制があり、違反行為に対しては厳正に対処してまいります。
さらに、山岡大臣にもお聞きいたします。消費者担当大臣としてマルチ商法をもっと厳しく規制すべきと考えますが、大臣のご認識を伺います。
山岡消費者および食品安全担当大臣 (野次と拍手)マルチ商法の規制についてお尋ねがありました。質問のいわゆるマルチ商法については、明確な定義がないということは今総理の御答弁の通りでございます。(会場から多数の発言)しかし、商取引法においては、連鎖販売取引について、書面交付の義務付け、(発言多数)不実告知・誇大広告の禁止などが規定されております。従前から連鎖販売取引において特定商取引法の規制に反する行為があれば、当該事業者に対して業務停止を命令するなど、厳正に対処してきたところであります。(会場から発言多数)
具体的には、消費者庁創設以降、連鎖販売取引を行っている5つの事業者に対して行政処分を行っているところでございます。(会場から発言多数)消費者庁といたしましては、今後も、特定商取引法の規制に違反する連鎖販売取引を行う事業者に対して、業務の停止を命令するなど、厳正に対処してまいりたいと思っております。(会場から発言多数。拍手)
消費者庁が消費者の立場に立っていない。今後の充実についての総理の見解を問う
島尻 消費者庁は来年三年目の全体の見直し時期を迎えます。我が党福田内閣の時に、真に消費者目線に立った消費者行政の強化を謳い消費者庁が設置されました。私は今、 関係する消費者団体を訪問し、情報交換をさせていただいておりますが、あちらこちらから、消費者庁は設置当初の理念からずれてきたのではないか、こんなはずではなかった等の声が寄せられております。国民生活センターの消費者庁への統合の問題や、消費者相談窓口の縮小など、この方向性では真に消費者問題の解決に寄与するものとは言えません。東日本大震災の後の一連の放射能汚染での食品の安全についても、まるで消費者の立場からのメッセージを発しているとは思えず、むしろ他省庁に言いくるめられての言い訳担当省のようでした。こんな有様では、この先が思いやられます。消費者教育推進も含めて、さらなる消費者庁の充実を野田総理はどうお考えなのか、お答えください。
野田 また、消費者庁が発足してから三年目を迎えますが、取り組むべき多くの課題に直面しているのも事実でございます。このため事業者中心の行政からの転換を引き続き進めるとともに、自主的かつ合理的に行動する消費者を育成する消費者教育の推進など、消費者や地域の現場の視点を取り込んだ実効性の高い消費者行政を今後も協力に推進してまいります。
子ども手当は廃止、今後このようなばら撒き政策はしないことを確約せよ
島尻 先月の自民・公明・民主三党幹事長、政調会長会談において、来年度から「子ども手当」を廃止し、「児童手当」を復活させると共に、その内容を充実することで合意されました。これにより、我が党が主張してきたように、家庭を基盤とし自助自立の精神に基づく子育て支援にようやくもどることになります。わが党女性局で行ったアンケート調査でも、子ども手当に国の予算を充てるより、所得制限を設けた児童手当や子育て環境・サービスの充実にあてた方が良いと答えた人が全体の78.3%にも上ったことからも、国民に歓迎される施策だということがわかります。
小宮山厚労大臣にご確認いたしますが、今後子ども手当は廃止されるということで間違いありませんね。このような理念も効果もない単なるバラマキ型の政策は今後はないと明確にお聞かせください。(拍手)
小宮山厚生労働大臣 (野次と拍手)子どもに対する手当に関する三党合意についてのお尋ねをいただきました。子ども手当は子供ひとりひとりの育ちを社会全体で応援をするという観点から支給をするもので、相対的に高額な所得者に有利な所得控除から、相対的に支援の必要な人に有利な手当に切り替える、控除から手当へという考え方に沿って実施をするもので、単なるばら撒き方の施策ではないと考えています。(会場騒然)
来年度以降の子供のための現金給付については、三党合意に沿って8月に成立した特別措置法の附則で、政府は児童手当法に所要の改正を行うことを基本として法制上の措置を講ずることを規定しています。同時に、三党合意でも、中学生までの子供を支給対象とするなど、以前の児童手当がそのまま復活するものではないということも事実です。(会場騒然)
今後、合意に基づいて三党で十分に協議をしていただき、年末までに具体的な制度について取りまとめていただきたいと考えています。(野次と拍手)
結び
島尻 最後に、野田総理には、司馬遼太郎「坂の上の雲」の中にある秋山真之の言葉、「自分が一日怠けると、日本が一日遅れる」、この言葉をお送りいたします。民主党政権が丸2年全く稚拙な政権運営をしたために、日本は何十年遅れたかというのは別といたしましても、国会が、我々国会議員が一日怠けると、この未曽有の国難・問題山積の我が日本の再生が一日、いや、半年、1年と遅れてしまうのです。
総理の言われる「正心誠意」が「誠」のものであるならば、あるいは、あなたが「本物」であるならば、国会の会期延長などは当然至極、自明の理であります。
不完全内閣のぼろを出さぬよう逃げたつもりが、我々野党や全国民から非難されて、この会期末にしぶしぶこの中途半端な延長に応じるなど、「正心誠意」四文字が軽く聞こえてしまいます。(会場「そうだ」など)早くも国民の信頼を失った内閣に、日本の将来を任せるわけにはまいりません。(会場「そうだ」など)野田総理には、三次補正通過後ただちに国民の信を問うよう、強く申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。