領土領海を守るための法整備 復興財源 平成23年9月27日 衆議院予算委員会 石破茂氏 4 |
動画:http://www.youtube.com/watch?v=0Gxrtni_pPI
(10分49秒頃から終わりまでの5分間程度)
http://www.youtube.com/watch?v=6CPIxGZZIdA
石破 (承前)尖閣の問題。一年になります。私は今でも、あの時の対応は間違っていると、そのように思っている。今でもビデオは公開されていない。それはなぜなのか。そして、あれは検事の判断である。そんなことを検事が判断していいわけはないでしょう。なぜならあれは日本国憲法に定められた外交関係を処理することに他ならない。外交関係を処理することは、玄葉さんが率いる外務省ではなくて、合議体たる内閣が処理をするということなのです。
だとするならば、検事の判断である、あの見解は明らかに誤りだと思う。ビデオを公開しないことも誤りだと思う。今でもビデオ公開をしなければ、きちんとした外交などできないと思うが、総理、どうです?
野田 基本的には、検察の判断で対応したというふうに思います。で、その上で、はっきりした外交問題については、これは政治主導で判断をしてきたというのが、これが従来の政府の解釈でございます。
色々と、その事案の対応については反省すべき点があるとは思いますけれども、今申し上げた基本線については、私はおおむね皆さんに御理解をいただいているというふうに思います。
石破 我が党と見解がはっきり異なるということがよくわかりました。
それでは、領土を守る、領海を守る、それは具体的にはどういうことですか。
尖閣問題が象徴したことは何なのか。我が国は領海を守るというきちんとした決然たる法整備が欠けているということでしょう。国連海洋法条約に定められた、適法でなはい航法というものに対する国内法の整備がされていないということでしょう。領海侵犯に対処するのは、警察権ですか。警察権と自衛権の相違は何ですか。警察権と自衛権の相違は、警察比例の原則が適用されるかされないかでしょう。それが本質的な違いでしょう。
国家公安委員長、警察比例の原則が領海侵犯についても適用されるか、されないか、お考えを述べてください。
山岡国家公安委員長 その問題はですね、その事犯のひとつひとつの状況によると思っております。ですから、一概にですね、どれが該当し、どれが該当しないと、そういうお答えはできないと思います。
石破 それでは、基本の基本ですけれど、承りましょう。警察比例の原則についての認識を述べてください。
委員長 山岡賢次国家公安委員長。
石破 もう一回言いましょうか。警察比例の原則についての認識を述べてください。基本の基本ですから。
(事務方が山岡氏の側に行って打ち合わせを始める。)
委員長 速記止めますか?
石破 速記止めてください。
委員長 山岡賢次国家公安委員長。
山岡 今私が申し上げた通りでございます。その事例、事例に応じて対応していく。そういうことです。
石破 ごめんなさい、もう一回言います。警察比例の原則について認識を述べてくださいと問いました。
(再び事務方が山岡氏のもとへ。会場「休憩だな」)
委員長 山岡国家公安委員長。(ざわつく会場)それは、質問通告も何もない中でやるんですから。
山岡 何度も申し上げておりますが、警察の強制力の行使というのはですね、その事案、事案に応じてこれを行っていくと、こういうことです。
石破 これは防衛大臣にお尋ねしてもいいんだけれども、警察権と自衛権の行使の本質的な違いは、警察比例の原則が適用されるかどうかです。治安出動にしても、海上警備行動にしても、これは自衛権の警察権的流用というように申します。その範囲において、治安出動であれ、海上警備行動であれ、警察比例の原則、すなわち、侵されようとする砲撃に対する、それ以上の警察権を行使してはならない、それが警察比例の原則です。ですから、逃走するときに危害を加えてはならないというのは、これは能登半島沖事案で明らかになった事例です。逃走しようとする北朝鮮の船に対して、銃撃行為を加えられなかった、人的被害を与えられなかった、よって逃走を許したというのは、この警察比例の原則が厳格に適用されたからだということに他なりません。
ですけれど、我が国の領海を侵犯しようとする外国の勢力に対して、警察比例の原則というのが要求をされるのは、憲法13条に定められた基本的人権の尊重でしょうね。これが淵源でしょうね。そういう者に対して、我が国の領土領海を侵犯しようとする者に対してまで、この警察比例の原則は適用されるのか。これが本質的な問題です。そのことについて議論をしない限り、いくら海上自衛隊が出ようが、海上警備行動をやろうが、この領海侵犯の事案というのはなくならない。そういうものです。この法的な手当をしない限り、領海侵犯なんてなくならない。相手が公船の場合はなおさらです。
法的整備をしなければならない必要性、このことについて指摘をしておきます。
そして、日米同盟の強化に話を戻せば、周辺事態法は日米安全保障条約とセットですから、色々な協力はアメリカ合衆国相手でなければできない。オーストラリア、ニュージーランド、韓国、そういう国がいかにそのまま放置すれば我が国の独立と平和に重大な影響を与える事態に対して対応していようとも、我が国はアメリカ合衆国に対してしか支援ができない。
それはおかしい。この法改正も必要です。
いいですか。内閣の使命というのは、色んなことがあるでしょう。大震災もありますよ。景気もありますよ。あと6分でその話をしましょう。ですけれど、その他に、いいですか、民主党のやってきたこと、そのことに対して、いいです、過去の反省はいいから、じゃあ、このように法的に対処すると、そういうことをきちんと明示をしてください。総理のお考えを問います。
野田 我が国の領海・領土を守るために、それをしっかり果たすために、やるべきことはしっかり検討していきたいというふうに思います。
石破 もうひとつ申し上げておきましょう。総理、捕鯨についても同様ですよ。今、調査捕鯨ができなくなっていますね。これは、我が国として、我が国の立場を支持してくれる36カ国に対する責任としても、この調査捕鯨は続けて行かねばならない。生態系の維持という考え方からしても、我が国の主張は正しい。これをやめてしまうようなことがあれば、総理がいつか国会でおっしゃったように、テロに屈することになってしまう。そのことについて考えを問います。
野田 私あの、IWCに過去二回出ています。日本は極めて科学的根拠に基づいた主張をしています。残念ながら表決では負けますが、しかし、調査捕鯨は引き続き続けるべきだと思います。(会場「よし」「よし」)
石破 復興について承りましょう。なぜ今の世代なのか。今の世代というのは、どこからどこまでが今の世代なのか。そのことについて述べてください。そして、国民皆で負担をするというのはどういうことなのか。そうだとするならば、相続税、すなわち5%の人しか払っていない相続税、これを上げるということが本当にあるべきなのか。薄く広くということであるならば、それは、むしろ課税の裾野を広げるという考え方であってしかるべきではないのか。
そして、道路にせよ、鉄道にせよ、漁港にせよ、そういう恒久的なインフラについて、たとえば今回の台風の災害、これは建設国債で対応しますね。なんで今回今の世代でということが殊更強調されるのか。今の世代とは何か。そして等しく国民で負担するというのはどういう概念か、お述べ下さい。
安住財務大臣 あの、石破政調会長におかれましては、もう三党合意の経緯を一番御存知でおられるわけでございますが、やはり今を生きるということは、今納税をして、そして、長さというか、は、色々あると思いますけども、この先、何十年か先に納税の負担をする人たちにできれば負担をさせないで、今納税をしている人たちの幅広い範囲の中で、この復興のいわば財源を確保していこうということが、総理のお考えになっていることではないかというふうに思っております。
石破 等しく今の世代でというのは、道徳論、精神論としては結構です。具体的にどのようなものに対して誰が負担をするかということを明確にしなければなりません。(会場「そうだ」)何年も持つものに対して、何で今の世代が負担をしなければならないのか。
そして、増税をすべきだということは、税と社会保障のお話と、この復興は、分けて考えなければなりません。いいですか。成長すれば何が起こるか。デフレを脱却すれば何が起こるか。金利の上昇でしょうが。金利が上昇した時に、この国は財政破綻をするということをどうやって回避をするかということを考えなければならない。だとするならば、どうやって借金の額を減らすのかということを考えなければいけない。
我々は三党合意において、子ども手当、そのほかのことも、農家戸別所得補償、あるいは高校無償化、このことについては、これから政策効果を検証するけれど、いいですか、どんどん、どんどん、財政をふくらませればいいというものではない。
どうやってその額を減らしていくかということを考えなければならないし、どうやってこれが発散しないように、これは、消費税の引き上げというのは、社会保障の目的に限って、一日も早く上げなければならないと私は思っている。しかし、今、法人に負荷をかけること、GNPっていうのは、法人が生み出した付加価値の総和ですからね。GNPを上げるということは、法人にいかに負担をかけないかということですよ。
そして、いかに財政に負荷を与えないかということを考えるならば、それは、政策効果の発現度合いの薄いものを削って、公共工事等、国土の強靭化、そして雇用の確保、そのために必要なお金に振り向けて、財政の拡大を防ぐということなのでしょう。
デフレを脱却するということ、成長するということ、金利の高騰を防ぐということ、財政の再建ということ、このことについて必要な施策、財務大臣をお務めになった総理の御見解を承ります。
野田 経済成長と財政再建、この両立を図るというのが、私どもの政権の大きな命題だと思います。で、そのために、昨年6月の成長戦略と財政運営戦略をまとめました。で、財政運営戦略によると、これは2015年までにプライマリー・バランスの対GDP赤字を半分にしていくと。で、2020年にバランスを取って黒字化して、その後債務を縮減していくというのが基本的なシナリオです。で、そのことのシナリオを踏まえて、税と社会保障の一体改革も、あるいは今回の復興の財源を巡る議論も、大枠の中で位置づけなければいけないというふうに思っています。で、これは先送りのできない課題でございますので、胸襟を開いて、ゴールは同じだと思います、御党と。アプローチの仕方は違うかもしれませんが、そういう相違を超えて、まさに大同について、いい議論ができればというふうに思います。
石破 財政の再建と経済の成長、これは口で言うほど簡単なことではありませんよ。ものすごく難しいことですよ。そのことについては共に議論しましょう。答えを出しましょう。
最後に、災害関係について。これは、災害関係の法律を全部見直すことが必要です。市町村がその主体となっている、そのことには限界があります。今回の大震災・大津波が示すが如くです。この災害基本法の体系、このことは基本的に全て見直す。そうでなければ、災害に強い国家なんか作れません。最後に総理の決意を承って、質問を終わりたい。
野田 これまで、市町村を中心に対応するという基本的な法律の枠組みがございました。ただ、今回の東日本大震災では、財政力の乏しいところの自治体が壊滅的な打撃を受けて、そのことによって、国が大きく関わる、あるいは国が責任を持って対応するという場面が増えました。
これをもって特例的にやるのか、そうじゃないのかということは、丁寧な議論をしていくべきだろうと思います。