瓦礫処理の遅れに見る行政の不作為 平成23年9月28日 参議院予算委員会 衛藤晟一氏 2 |
動画:http://www.youtube.com/watch?v=87trxRmC8xs
(12分10秒ごろから22分53秒ごろまで)
衛藤 財政について、震災の基本姿勢についてちょっとお尋ねをしたいと思います。
震災直後の3月16日に、天皇陛下が被災者や国民に向けて、ビデオによりましてお言葉を発表されました。お言葉はですね、深い悲しみの中、極めて困難な状況にある被災者を励まされると共に、被災者が取り乱すことなく助け合っている姿をたたえられておられます。そして、これからの日々を生きようとしている人々の雄雄しさに深く胸を打たれています、というお言葉がございました。このお言葉により、どれだけ多くの国民が勇気づけられたでしょう。
実は、陛下がビデオによるお言葉を述べられたのは初めてのことであります。こうした国民へのお言葉は、いわば昭和20年8月15日以来とさえ言えるというぐらいに思っています。そして、あの敗戦の中で、あのお言葉を聴きながら、私どもは頑張ってまいりました。
今総理のお話がありましたように、東日本からの、とにかく東日本、原発からの復興が第一だと、それが今の自分の使命だと言われるところ、まさにそんな意味では60数年ぶりの大変なことだというぐらいに天皇陛下も認識されて国民にビデオで述べていただいたんだという具合に思います。
そのことをよく認識をしてやっていただきたいと思うんでありますが、しかし、あなたは菅内閣の下で財務大臣という最も重要な大臣をやられておりました。今、あなたに代わられて、震災発生後6ヶ月半ですね。あなたはその間大臣を続け、今総理としてやられているわけでありますけれども、極めてやっぱり遅すぎたということが色々あります。それについてあなたはどういう具合に認識されておられますか?
野田 御指摘の通り、菅内閣で財務大臣を務めさせていただきました。そして3月11日の東日本大震災の発災以降は、第一次補正予算、第二次補正予算、皆様の御協力をいただいて、成立をさせていただき、その執行に務めているところでございます。
で、その中で、衛藤先生御指摘の通り、私どもは私どもなりにその取り組みはしてきたつもりでありますけれども、あの、まだ行き届いた、きちっとした支援ができていないとか、あるいは遅いという御指摘があることも事実でございますので、そういう声に真摯に耳を傾けて、これから本格的な復興予算を作っていきたいというふうに思います。
衛藤 そうですね、本気で取り組まなければですね、このまま行けば、第三次補正予算の提出だって、おそらくいくら早くても10月の末でしょう。ね。そうすると、4、5、6、7、8、9、10(と指を折りつつ)、7ヶ月半ですよ。やっぱり、ちょっとですね、これは本当に大変だと思います。少なくとも、この第三次補正がちゃんと出て、そしてこの中でですね、まずは瓦礫処理が行われて、それから将来どうするかっていう計画が組まれて、そして二重債務もちゃんと処理されて、動き出す、ということが最も必要なことであります。これにですね、あまりにも時間がかかりすぎている。
私は、あなたが本当にこれをやりたいと言うんであれば、大変頑張ってきたけれども遅れて申し訳ないということを国民の前に弁明していただきたいという具合に思います。それが政治家として真摯な態度、これがまさに正心誠意なんだという具合に思います。どうですか?
野田 あの、先ほどお話したとおり、私どもなりには、3月11日の発災以来、復旧に万全を期すべく、瓦礫の処理、仮設住宅の建設、被災者の生活支援等々取り組んできたつもりです。
で、一方で、率直に申し上げた通り、あの、被災者のお立場からすると、遅いんではないか、きちっとした行き届いた支援が届いていないという声があるということも事実でございます。で、そういうことを真摯に耳を傾けて、これからの復興予算を通じて、これまで以上にですね、スピード感を持って被災者のための事業を推進をしていくことによって責任を果たして行きたいというふうに思います。
衛藤 瓦礫処理もね、極めて遅れてるんですよ、やっぱり。これは何が一番大きいかというとですね、財務大臣としてお金を一生懸命つけたと言いたいかもしれませんけれどね、結局どう処理すればいいかという方向性を出せないまま、今積んだきりになっていると。これを積んだきりになって、この前火災まで起こりましたけどね、方向を出さないと、お金をつけたって、処理できないわけですよ。
私は、この状態を見ると、ある意味では行政の不作為ではないのかとすら言えるぐらい大変なことなんですよ。それについて総理は、そういうことを認識されておられるんですか?
安住 あの、被災地のほうでございますので、ちょっと私のほうからも申し上げます。あの、瓦礫のことは、先生おっしゃっているように、今、山積みをしている状況でありますが、私の住んでいる石巻市が最も多くて600万トンと、これはもう岩手県全部よりも多い数でございます。
色々お叱りも受けますが、あの、瓦礫を積む場所がそもそもなくてですね、それを探すのも大変悪戦苦闘いたしました。それから、私がたとえば住んでいるところは、中心部から40キロも離れてる道路があって、そこが分断が10箇所ぐらいされてまして、そこをトラックや何かが運ぶのも大変でございます。
確かに、政府に対するご不満は大変ありました。私も行くたびに、もうさんざんお叱りは受けますが、地政学的にやっぱりなかなか牡鹿半島とか、三陸沿岸とか、おいでいただいた先生にはおわかりだと思うんですが、そう何十万トンとですね、一日に次から次へと運べるところではないこともわかっていただいて、今ようやくですね、民間の土地を借りたりして、市役所もですね、私の石巻市役所でも50人近い人間が亡くなっておりますが、そういう中で、各支所が場所を借りたりしてやっているという事情も、是非御勘案いただきながら、なお一層スピードアップに務めていきたいというふうに思っております。
衛藤 今のね、大臣の言葉に全て表れてます。ね、大変頑張ってる、頑張ってるけど大変だと。今回のいわゆる東日本の瓦礫は、阪神淡路と決定的に違うんです。阪神淡路の時には建物なんです。中の物は何もないんです。ほとんどないんです。でも、今度はですね、机から椅子からテーブルからですね、本から書類から、それから家財道具一式ですね、布団から、それから家事の道具から、それが一緒に壊れて、潮まみれになって油まみれになって泥まみれになって、そしてもう、ぐしゃぐしゃになっている状況なんです。
だからこそ、どう処理したらいいかということを早く示さなかったら、出来ないんです。その方法も示さない、で、集めたあとどうするかってことも明確にしていない。海からでもいくらでも運べるのに、そういうことの処理も何もしないから、これだけ遅れるんです。その方向をちゃんと示さない、行政として、まさにその方向を示さないことが不作為じゃないのかということを言っているんです。
だからこそ、こんなにも半年以上も経っても、こんな状態が続いてるんじゃないのか、ということを言っているんです。あなたは、一生懸命やったということは言い訳にならないよということを言っているんです。結果的にこれだけ遅れてしまったことは全く意味がないということを言っているんです。このことだけ、はっきりやらなければ、本当にこんなことを続けていたら、行政の不作為ということが言われますよと、そこを言っているんです。
それについてどう思われますか?
細野 あの、瓦礫はですね、処理というのは環境省の所管でございまして、私が責任者でございますので、お答えをさせていただきます。
6月に被災地、その前も見ておったんですが、瓦礫を前に私もいたしまして、本当に愕然といたしました。地元の方からですね、この瓦礫があるとなかなか復興に向けて気力が湧いてこないというお話もいただいて、これは本当に何とかしなければならないという思いを、おそらく多くの皆さんがお持ちになったと思うんですけれども、私も共有をいたしました。
で、まず環境省として真っ先に取り組んできたのは、住宅の近傍にある瓦礫はですね、これは早く取り除かないと生活が始められませんから、それからやろうということで、8月中に福島県内の警戒区域を除いては仮置き場への搬出というのが終了いたしました。
一方で、生活空間以外も含めてということで言うと、衛藤委員御指摘の通り、9月の27日現在で57%が仮置き場へ移動が完了しているということでございまして、今しばらくどうしても時間がかかるということでございます。これをできるだけ急ぎたいと思っております。
で、やり方の部分なんですけれども、環境省でも、今とにかくこれを処理をできるところまでやろうということで努力をしておりまして、ふたつ考え方としてございます。
ひとつは、焼却所が足りません。石巻の場合ですと100年、宮城県全体でも20年分の廃棄物ですから、足りませんので、仮設の焼却炉をできるだけ早急に発注をして準備をしている、これひとつ。
で、もうひとつ、おそらくこちらのほうが効果があるのではないかと思うんですけれども、広域処理といいまして、地元の焼却がなかなか間に合いませんので、色んなところで助けていただいて、全体で減らしていこうと、こういうやり方を今やっております。
残念ながらですね、途中でこれがなかなかうまく行かなかったのは、これは本当に残念なことでございますけれども、放射性物質の飛散の影響が、たとえば宮城県とか岩手県にも及んでいるのではないかという懸念を持たれた市町村が非常に多うございまして、それはもう多分に誤解の部分がございますので、私自身が、意欲を持っていただいている市町村には直接御説明をしてですね、首長の皆さんにはお願いをして、この広域処理を加速をさせたいと、そう思っております。
衛藤 今の言われたことは、当初からわかっていることです。それを今頃ね、6ヵ月半経ってね、たらたら言う。だから、私は、行政の不作為じゃないかと言っているんです。
地元での処理施設は足りない。それから、緊急に造っても、そんなに大きいものが完全に出来るわけじゃない。だからどう処理するかということを、早急にその方法を示さないから、ただ貯めとくだけになってるんですよということを言っている。だからこれは、方向を示せない民主党政権の無能力さなんです。だからこそ行政の不作為になるんではないのかと言っているんです。まだわからないんですか?
もうちょっと深刻に反省してくださいよ。