「船長釈放は最高検の判断」 平成23年10月25日 衆議院法務委員会 棚橋泰文氏 1-4 |
動画:http://www.youtube.com/watch?v=xD_i_rYlfrk
質問:棚橋泰文氏(自民党)
答弁:平岡秀夫法務大臣
棚橋 今後の日中関係に対する考慮というのは外交的配慮ではないんですか? (会場「そうだ」)違いを教えてください。
平岡 えー、外交的配慮という言葉がですね、まあ、どういう意味で、その、使われているかというのがちょっと定かではございませんけれども、まあ、外交というのは、ええ、国と国との間で行われるという話だろうというふうに思いますけれども、今後の日中関係というのは、その、国と国との間で行われる外交の問題とはちょっと別次元の問題だというふうに思います。
棚橋 もう一度確認いたします。まず第一に、刑事訴訟法により日中関係を考慮、ひとつの考慮要素として釈放したということでよろしいですね、大臣。刑事訴訟法に基づき、日中関係をひとつの考慮要素として釈放したと。これはまず大臣お認めになりますから、よろしいですね?
平岡 刑訴法248条の中に、考慮すべき事情としての社会一般の状況の変化や社会に与える影響というものの中に今後の日中関係というものが含まれているということでございます。
棚橋 次に、今後の日中関係についての考慮と、外交的配慮とはどう違うんですか?
先ほど、少し違うとおっしゃいましたが、今後の日中関係というのはまさに外交的配慮だと思いますが、こういった判断要素を出先の捜査機関がしてよろしいというふうに刑事訴訟法は規定していると大臣は解釈なさっているわけですね?
平岡 あくまでもですね、社会一般の状況の変化や社会に与える影響ということが基本でありまして、えー、えー、その中の一要素としての日中関係というものを申し上げたのであって、この社会一般の状況の変化や社会に与える影響ということには、今委員がご指摘されている外交関係というような、ちょっと、もう、まあ、えー、次元の話っていうのは、あの、この中では、位置付けられてはいないんではないかというふうに思います。
棚橋 今後の日中関係のあり方、位置づけと外交的配慮がどう違うのか、明確にお答え下さい。
まさに今後の日中関係というのは外交的配慮じゃないですか。違いませんか? 委員、あの、大臣のご説明では、全く理解ができません。外交的配慮と、今後の日中関係のあり方についての配慮と、どう違うのか、もう一度分かりやすく御答弁下さい。
平岡 あの、まあ、委員が使われている外交関係という言葉は私…(棚橋「外交的配慮」)ああ、「外交的配慮」という言葉の定義が必ずしも私にははっきりいたしませんけども、外交っていうのは国と国との間で、えー、ま、基本的には、あー、行われる、うー、その交わりということなんだろうというふうに思います。うー、ま、国の場合は基本的には、政府と政府の間の、えー、交わりということなんだろうというふうに思いますけども、えー、あくまでも刑事訴訟法上、えー、えー、の、248条で、考慮すべき諸事情というのは、えー、社会一般の状況の変化や社会に与える影響という枠組みの中で判断されているものであるというふうにご理解いただきたいと思います。
棚橋 今後この問題に関しては、さらに何度もお聞きすることになると思いますが、もう一度確認いたします。今後の日中関係のあり方を、身柄を拘束するかしないか、釈放するかにおいて、捜査機関が刑事訴訟法上の規定により判断要素に入れることができ、そのことによって釈放するかしないかが変ることがありうるということですね、今のお話では。それだけ確認させてください。次の質問に移ります。
平岡 えー、先ほどもですね、御答弁申し上げたように、あくまでも、えー、色んな、あー、えー、犯罪や被疑者に関する情状と、いうようなものも全てこうあるわけですね。そういうことを総合的に判断する中のひとつとして、先ほど私が申し上げたように、社会一般の状況の変化や社会に与える影響というものがあるということでございます。あくまでも検察当局としては法と証拠に基づく判断として、えー、これを、この判断を行ったものであってですね、外交的見地から行ったということではございません。
棚橋 あの、答弁が変っております。法と証拠に基づいて行った判断と、今後の日中関係についての判断を加味したもので、これは法と証拠に基づいてるんですか、今後の日中関係に対する配慮というのは。法と証拠じゃないでしょう。
平岡 あの、法というのはですね、刑事訴訟法248条も法でございます。先ほど来から申し上げるように、248条で、起訴不起訴の判断に当たって考慮すべき諸事情と言うものの中に、犯罪や被疑者に関する情状、あるいは犯罪後の状況を定めていてですね、その中には、えー、社会一般の状況の変化や社会に与える影響ということもあるということでございまして、あくまでも先ほどの判断の根拠になっているのはですね、刑事訴訟法248条の法でございます。
棚橋 あの、私はですね、総合的な国益を考えて内閣総理大臣あるいは国務大臣がそういった被疑者の身柄をどうするかということを国民に責任を負う形の中で判断するのはひとつの判断だと私は思います。しかし、日中関係が問題になるから釈放しなきゃいけないと那覇地検が判断し、じゃあ、日本とあまり外交関係も含めて近くない国であれば釈放しなくてもいいと、今のお話だったらそうなるじゃないですか。
その判断を、対極的な外交的配慮ではなくて、出先の捜査機関がしてもいいと刑事訴訟法は規定していると、そう大臣はおっしゃっているわけですが、それでいいんですか? その解釈でよろしいんですか?
平岡 委員が、その、出先の機関がって言うような言い方をされましたけれども、これは検察当局においては、あー、検察当局全体の問題として考えたということでございまして、それはあくまでも判断としては、刑事訴訟法248条に基づく判断として適切であるかどうかということに基づいて行われた判断だと言うふうに承知しております。
棚橋 そうすると、昨年の尖閣諸島における中国人船長の釈放問題に関しては、今、検察全体のご判断というお話がありましたが、那覇地検の独断ではないんですね? あくまで検察庁全体の判断だと法務大臣は今おっしゃったわけですよね? 今おっしゃいましたが、よろしいですね?
平岡 えー、検察当局全体です。
棚橋 ということは検事総長も判断していると、そういう理解でよろしいんですね?
平岡 えー、我々としてはですね、あの、まあ、最高検察庁とも協議の上で判断したというふうに報告を受けておりますので、えー、多分その中には、検事総長も入っていると、まあそこは意思決定の手段の、えー、やっぱりぶん…意思決定の、権限、の配置によって、誰がなるのかってちょっと私も今承知してませんけれども、最高検察庁も含めての判断であるということでございます。
棚橋 なんか不自然じゃありませんか。今、検事総長の判断も含めてということですが、たとえば那覇地検の事件、東京地検の事件、大阪地検の事件、全部検察側一体だからといって、身柄を確保したままにするかどうか、釈放するかどうか、全部検事総長に上がっていくんですか? そんなことあり得ないでしょう。
今のお話ですと検事総長まで判断したということですが、じゃなぜこの那覇地検の事件だけは検事総長まで判断し、ご説明できます?
平岡 えー、それはですね、あの、全部が最高検察庁に上がって判断されるというのではないというのは、組織におられた棚橋委員であればおわかりになるかと思いますけども、まあそのことの重要性如何によって、ま、最高検察庁と協議することもあれば、高等検察庁と協議することもあれば、その地方検察庁の中だけで判断することもあるというふうに思ってます。
この問題については、事実として最高検察庁の、と協議の上で、判断をされたと言うふうに私としては報告を受けているところでございます。
棚橋 この問題、あの、少し、あの、きちんと今後さらに質疑を重ねてまいります。
あの、私どもは、あの、大変昨年残念なことに、当時の総理大臣だった菅さんは、この問題に対して那覇地検が勝手に判断したんだと、こういうような趣旨の発言をされました。
外交的な判断で大局的にものを考える、それは政治家が政治的責任を負って内閣総理大臣がならばわかりますが、そういう捜査機関にそういったものを押し付けるようなやり方をしている。それで果たしてこの国の治安が保てるのか、私は大いに疑問を持っておりますので、改めてこの問題はさらに追及してまいりたいと思います。
まだ持ち時間がございますので、次の質問の、あの、に入らせていただきます。
大臣秘書官、唐津さんとおっしゃるんですかね。ええと、松本さんでしたっけね、唐津さんでしたかね、お辞めになった大臣秘書官。この方はいつ詐欺事件が平岡大臣に発覚し、いつお辞めいただいたんですか?
平岡 発覚と言いますか、あの、この問題があるということがわかったのは雑誌社の取材が彼に入ったところで彼から報告があったということでございますけども、その具体的な日付というのは、ええ、ちょっと私も定かではございません。確か9月の中、下旬あたりではなかったのかなというふうには記憶しておるところでございます。
(一度席に戻りかけて)辞めたのは、10月の19日ですかね。
棚橋 今のお話ですと、9月の中・下旬から退職するまでに、10月の中旬ですか、約1ヶ月もかかっておりますが、詐欺の前科があり、なおかつそれをかくして大臣秘書官になったということが判明しながら、なぜ1ヶ月もそのままにしていたんですか?
平岡 ま、これはですね、私としてもそういう取材があったところでですね、具体的な事実関係がわかるわけではございませんので、えー、彼にどういうことがあったかとか、その事情はどうであったかとか、まあそういうようなこともですね、えー、色々と自分なりに調べなければいけないというようなことがありましたので、色々書類等も取り寄せて、えー、自分なりに調査をし、そして、えー、自分なりに考え方をまとめていくというところで、えー、時間が少し必要であったということでございます。
棚橋 まず本人に聞けばすぐ分かることじゃないですか。本人が嘘をついてれば別として。本人は認めたんでしょう? それなら、なぜ1ヶ月もそんな温情ある措置を取るんですか?
ちなみに、この秘書官は、辞職ですか、解雇ですか? 民間の用語で言うと。いわゆる辞表を出して自分が辞めたのか、免官、懲戒免職ですか? どちらでしょう。お答え下さい。
平岡 えー、確か、願いにより職を辞するということでございますので、委員が使われている言葉で言えば辞職ということではないかというふうに思います。
棚橋 詐欺の前科があり、しかもそれがいわゆる地方公共団体からの公金詐欺であり、そのことを隠して法務大臣秘書官という機密を司る秘書官に採用された。そのことがわかっても懲戒免職事由にはならない。そう大臣はお考えだったんですか?
平岡 あの、委員が言われていることは、まああの、過去の事案というものがですね、えー、ま、どういう事案であったのかによって、その時点で、えー、ま、採用後の時点で、懲戒免職とか懲戒処分というのをすべきだというふうに質問されたんでしょうか?
ちょっとそこのところがよくわからなかったんですけど。
棚橋 過去、公金詐欺で、執行猶予がついているとはいえ、確か1年6月の判決が出た、そのことを隠して大臣秘書官に採用され、機密を司る大臣秘書官でありながら、そのことが発覚したにもかかわらず、なぜ懲戒免職、免官にしなかったのか。なぜ、民間で言うと辞職にしたのか。これはすごく由々しき問題ではありませんか。
公金詐欺のような前科があり、なおかつそれを隠して大臣秘書官に採用される。しかも大臣秘書官というのは、大臣秘書官の規定にあるように、機密を、法務大臣の機密を司るような、非常に信頼度の高い職にありながら、それでいてそれが発…(続く)