政治家としての覚悟、指揮官としての責任 平成23年10月27日 参議院外交防衛委員会 佐藤正久氏 2 |
動画:http://www.youtube.com/watch?v=8Q1FIvsh9cw
佐藤 (承前)構成部隊を見直すという情報が、情報がアメリカからもたらされていると、これは非常に沖縄の人々の大きな情報なんですよ。だから、であれば、12月にアメリカ側はこのマスタープランとか戦力構成を出すわけでしょ。だから、それを待って評価書を提出してもいいわけですよ。そうでしょ。そうでしょ。沖縄の人から見たら、沖縄の人から見たらですね、やっぱ、全体がわからない、どのぐらいの部隊が行くかわからないのに、それで評価書、これ、グアムへの移転と辺野古移転パッケージですから、言われているように。
だったら、防衛大臣、この12月の上旬に出されるマスタープラン、戦力構成というものを、提出を、これ、見て確認してから、評価書を沖縄のほうに提出すると、こういう丁寧さがあってもいいんじゃないですか?
一川 今、環境影響評価書に影響を与えるような問題は、常にしっかりと把握するというのが大前提だというように私も思います。で、そういうものがはっきりしないまま評価書を提出しても、それは信用していただけないということになりますから、そこはしっかりとチェックしていきたいと、そのように思っております。
佐藤 非常に前向きな答弁をありがとうございます。やはり沖縄にこれを説明するには、パッケージと言っている以上は、どういう戦力構成が変わるのかという部分もないと、実際どのぐらいの部隊が辺野古に行くのかわかんないんですよ。
で、アメリカは、12月の両院協議会までに、こう求められてるわけですから。それはもう出しますよ。だから、それを待って説明しなければ、全然、ほんと、沖縄の方からすると、一方的にアメリカの圧力に負けている、頭越しだ、となると思いますよ。
これは非常に大きな情報なんですよ。我々も知らないし、外務省の方も、このマスタープラン、知らない、我々が知りたいぐらいだと。日本がお金だけ出しておいて、そして実際に、真水のプロジェクトはもう凍結されてる。みんなわかってますから。非常に大きなこのデータですので、今大臣言われたように、この情報を待って、しっかりそれと併せて評価書を提出する時に説明するということをやっていただきたい。前向きな答弁をありがとうございました。
それと、一川防衛大臣、大臣の所信の中に、沖縄への理解を求めながらこの普天間移設やる、これは玄葉外務大臣も述べられてます。沖縄の理解を求めながらやるんだと。
じゃあその一川防衛大臣が言われる沖縄の理解って何ですか? 地元の理解って何ですか? 知事の同意ですか、それとも県議会の同意ですか、名護市長の同意ですか、名護市議会の同意ですか? この地元の理解とか、沖縄の理解、この定義を教えてください。
一川 まああの、沖縄県民を代表する、まあそういう立場にある人が、まあ知事さんであることは間違いないと思います。
で、私は沖縄県民の皆様方の御理解を求めるという中には、当然色んな段階・段階で、色んなレベルレベルでの説明の仕方の中で、その反応を見極めながら、我々は誠心誠意努力することに尽きると思いますが、私自身も沖縄県の知事選挙とか名護の市長選挙とか、あるいは国政選挙っちゅうのが昨年ございました。
で、そういう中で大変厳しい状態にあるっちゅうのは重々承知いたしておりますし、ま、そういう中で、私たちは誠意を込めて県民の皆様たちとか、県知事さんなり名護の市長さんを中心とした責任者の皆様方にまずしっかりと説明した上で、理解を求めていくというのがまず先決ではないかなというふうに思っております。
佐藤 この部分は非常に大事で、一応二元代表制でしょ、地方自治というのは。地方の政治、行政もそうです。だったら、やっぱり、市長さんだけではなく、議会っていうのも大事なんですよ。で、地元対応の責任は、所掌事務から言って防衛省ですから。防衛省設置法第4条第19項に、これは地元対応は、米軍の地元対応は防衛省って書いてあるわけです。であれば、やっぱり首長だけではなく議会というものも必要だと思います。じゃなかったら、沖縄の理解と言っても、それは、収まんないですよ。
であれば、たとえ仮に知事が埋め立ての許可をしたとしても、やっぱり名護市長とか県議会、あるいはその名護の議会が反対したら、そんな工事なんかうまく行かないですよ。違いますか、防衛大臣?
一川 まああの当然、地域の方々をはじめですね、今お話のように議会の皆さん方も含めて、理解がない限りは、現地においてそういう具体的な工事を進めるということは、私も不可能だというふうに思っております。
佐藤 あの、極めて真っ当な答弁ありがとうございます。やはり、いくら知事が首を縦に振って埋め立て許可をしても、やっぱりそれなりの地元の代表という方が理解しないと、工事強行するとか、これは大変だと思いますよ。そこは今大臣から約束をしていただいた真摯なお答えありがとうございます。
ただ、注意していただきたいのは、民主党の場合は言っていることが人によって違うと、今までも。特に今回は前原大臣が、前原政調会長が、来年の6月まで沖縄は動かないとアメリカのほうに一応一方で言っておきながら、片や沖縄のほうには、環境影響評価、これを出すと。動かないと思っておきながら、出すってのは変なんですよ。そうでしょう? 沖縄が動かないっていうふうに、本当に知事が動かないっていうふうに思ってるなら、評価書を出して知事の意見を求めるというのは変な話であって、しっかりとそのあたりを調整してやらないと、今まで全部そうなんですよ。この普天間問題。
山本委員もずうっとここでやってきましたけど、言ってることが人によって違う、これは党のほうで、答弁は求めませんけども、党のほうでしっかりやってもらわないと、今本当に大事な時期なんですから。そこはしっかりと、民主党の幹部と当大臣のほうでしっかりとすり合わせをしてやっていただきたいと思います。
ただ、そういう上において、やっぱり汗をかく努力ってもっとしないといけないと思うんです。なぜかと言うと、民主党のほうが当てもなく県外・国外って言ったわけですよ。そして色々迷走して沖縄県民の気持ちというものを高めた。でも結局辺野古。でも、言った張本人の鳩山前首相は、辞めてから一度も沖縄に謝罪に行ってないんですよ。怒ってますよ、みんな。全然、辞めてから謝罪に一回も来ない。しかも、民主党の沖縄県連は、移設反対派の名護市長を擁立し、当選させた。名護の市議会も、民主党沖縄県連が応援して議会の多数を取ったわけですよ。
こういう状況と、しかも沖縄の民主党の国会議員、県外・国外を訴えて当選したわけでしょ。今もその持論変えてないんです。それでいくら民主党が現行案お願いしますって言ったって、全然説得力ないですよ。民主党県連も違うわけですから。実際、沖縄県議会、民主党と社民党系合わせて多数ですよ、今。
だったら、今、やっぱり渡辺防衛副大臣ぐらいをもう沖縄に常駐させて、まず沖縄の民主党県連、これを説得をする。これがやっぱり、防衛省が一応地元対応の所掌なんですから、防衛省設置法から言って。外務省じゃないんです。外務省設置法には、それは書いてませんから。であれば、やっぱり副大臣クラスがずっと常駐して、県議会、市議会、名護市長、沖縄県の人、説得しないと。週末に大臣がちょっと行ったって、そんな甘いもんじゃないですよ。先ほど谷岡委員が言われたように、本当に覚悟、心の問題と思いますよ。
防衛大臣、いかがですか? 防衛大臣が決心したら、大臣なり政務官、常駐できるんですよ。それに福島のほうでも、ずうっと経済産業省の政務官、来られてますよ。やっぱ覚悟の問題なんです、本当に。そのぐらい、大臣が決心すればできるんですよ。いかがでしょう。
一川 あの、今先生が色々とご指摘になってることは、我々も政治的には大変苦しい感じを持っております。えー、しかしそういう政権交代後の色んな事実関係ちゅうのは、しっかりと頭の中に入れて、で、私たちもそういう状況の中でしっかりと努力をしてまいりたいとは思っております。
まあ先生お話のように、防衛省も覚悟を決めてやれということは当然のことだと我々も認識いたしておりますので、当然責任を持って防衛省もこの問題にはしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思いますし、まあ先生の今お話になったようなことも、まあひとつの我々の検討の、まあ、案としては当然検討もしていかなきゃならないことだろうというふうに思っております。
佐藤 実は本当にアメリカも正念場なんです。ほんと今予算削減、削減で、下手したら、もう予算の縛りにあって、アメリカ政府から違う提案も出てこないとも限らないような状況なんです。後で軍事的な合理性は後でくっついてくる、まさに本当にお互いの正念場。
であれば、やっぱり政治主導と言うのであれば、政治家を現地にはりつけて、説得をする。とりわけ、民主党の沖縄県連、民主党の沖縄国会議員、彼らを現行案に持ってこなかったら話にならないと、私は本当にそう思いますよ。本当に両方とも今大事な時期だと思ってます。
で、そういうことでもありますので、委員長、普天間問題に関する集中審議、これを求めます。
委員長 理事会で協議を致します。
佐藤 では次の議題、南スーダンへのPKO派遣についてお伺いします。どうしても見ててですね、野田政権前のめりし過ぎる。すごく急いでる、もう派遣ありきの調査団と。あのような調査団の規模、あるいはこの1ヶ月半の間に三つの調査団が南スーダンに入る、普通じゃないです。
ただ、一川大臣、あなたは自衛隊の指揮官なんです。自衛隊の指揮官なんです。隊員の命を直接預かる立場にあって、ここはやっぱり外務省やあるいは内閣府の大臣とは違う。絶対に検討不十分での見切り発車、事態も起きてからこれは想定外だということは、絶対言っちゃいけない立場です。命を預かる立場ですから。
で、実際に一川大臣は、当委員会で、21年の6月11日、自衛隊の海外派遣については、シビリアンコントロールという観点から、文民統制の主体である国会をしっかりとクリアしていくことが非常に重要だというふうに自ら述べておられます。その考えは今でも変りありませんか?
一川 はい、私はもう当然そういうふうな考え方で、国会の議論の中でしっかりと審議をしていただき、そこで合意を求めてくちゅうのは大事なことだというふうに思っております。
佐藤 大臣、であれば、大臣自身が自衛隊の指揮官として、PKOを理解し、スーダンの派遣の意義とか、あるいは自衛隊の活動内容、あるいは安全確保した上でこれで大丈夫だという得心がなければ、当たり前ですけども派遣決定してはいけないんです。大臣がやっぱ納得しなければ。絶対大丈夫だと。
これは、私がイラク派遣のときも石破当時の長官と直談判を色々します。大臣が最終的にこれで絶対安全確保、こういう場合はどうなんだと、想定外をなくすということをやらなければ、やっぱり派遣できないんですよ。それは、外務大臣とも、やっぱり内閣府の担当大臣とも違う。やっぱり、自衛隊の指揮官の防衛大臣が言わないといけないことなんです。
だから、北澤前大臣も、色々、このヘリコプターの派遣があった時も、ずっと踏みとどまったんです。それはそれで私は評価してます。そこはやっぱ防衛大臣として違うとこもあるんです。隊員の命を預かり、国益を全うする。
であれば、やはり、しっかりとこの国会で、大臣が、そういう安全確保策についても説明しないまま、派遣というのは絶対あってはいけないというように思います。
もう一度お願いします。
一川 今佐藤委員御心配のこと、私もまったく、あの、同感でございますし、特に南スーダンという国の置かれてる場所等々考えればですね、また海岸線からも2千キロ近い距離が離れてるということも承知いたしております。で、そういう中で、私たちは、第一回目の調査団は派遣させていただきました。で、その結果を聞いた中で、まあ十分その段階では判断できる材料が十分整ってないという感じは受けました。で、そういうこともあって、追加的な調査を、しっかりと防衛省が中心となった調査団を派遣しようということで派遣させていただきました。
で、今、先生御心配のようなことを我々なりにしっかりとチェックをしてですね、それで、まあ政府として、最終的にはどういう方向で臨むかということを詰めさせていただきたいというのが現段階の状況でございます。
佐藤 それは当然だと思います。ただ、今回の派遣の前提となるPKO協力法、これはどちらかというと、国連憲章6章半ということを前提とした法案なんです。法律なんです。7章型のPKOっていうのを意識して作った、元もとの法案じゃないんですよ。6章半型なんですよ。
6章半のPKOと7章型のPKOと何が違うか、軍事的強制措置が取れるんです。自己防衛だけではなくて、強制措置ができるのが7章型なんです。今回のUNMISSも7章型なんです。だから、自己防衛以外のこともできるというのが、このUNMISSなんです。
大臣、武器使用基準、UNMISSの武器使用基準と、PKO協力法に基づく武器使用基準、これ違いますよね。で、今、野田総理は、この今までの会見等では、現行法のPKOの武器使用の基準のまま派遣を考えていると言っておりましたけれども、UNMISSとはそれは多分違う……(続く)