TPPによる治外法権 国内法は枉げられる 11月11日 参議院予算委員会 佐藤ゆかり氏(自民)2 |
国益を大きく毀損しかねないISD条項について答弁できない総理。
佐藤ゆかり氏のこの日の質疑はネット上で相当に注目されており、既に全文を起こしている方が複数おられます。当ブログは速報を謳っていながらもたもたしていてすみません。お急ぎの方は
http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65774846.html
で全文が読めます。
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動画:http://www.youtube.com/watch?v=-q3_8xK2tDA
佐藤 (承前)というのは、悩ましいのはですね、先ほど小宮山厚労大臣からは、患者さんの手術の特許についてお答えいただきました。今国内法でそういう特許は許されていないと、また、鹿野農水大臣からはですね、今、こういう国内で外国企業を差別化するような法律はないと伺ったわけでありまして、仮に今後ですね、日本が国内法において、これは水の安全保障に関わる事案であるから国内法を設置して、外国企業と国内企業によって水資源の近隣の土地の買収は何らかの差別化をするんだと、そういう事案を設けたとしてもですね、これは条約ですから、国内法が枉げられるんですよ。(会場「そうなんだよ」)
そのことをですね、野田総理、いかがお考えですか? 総理、お伺いします。
野田 あの、まさにこれ通商の交渉だけではなくて、あの、社会的影響が色々出る分野があるということをよく理解をしながら、踏まえながら対応していきたいというふうに思います。(会場騒然。「何を言ってるんだ」)
佐藤 国内法が条約によって枉げられるという認識について、TPPの絡みでどう思いますか?
野田 基本的には我が国のその守ってきた法律で対応できるように交渉していきたいというふうに思います。(会場騒然。激しい野次。野党側理事が立ち上がる。)
(理事たちが委員長席の周りに集まる。)
(速記中止により音声中断)
(速記再開)
委員長 それじゃあ答えてくれますか?
礒崎理事 (野田総理が手を挙げる。)今の答弁じゃ駄目。手を下ろして。手を下ろして。
委員長 はい、野田内閣総理大臣。
野田 国内法よりも条約の方が上位にあって、それに対応しなければいけないという、その現実の中でどう対応するかということを考えると言うことであります。
(失笑してかぶりを振る佐藤氏。激しい野次)
委員長 佐藤ゆかりさん。
(山本一太氏が立ち上がって委員長席の方へ行く。)
佐藤 (席で)意味わからない。
(西田「どうやって対応できるんだよ。条約が上だから対応できないんだよ、国内法では」「何を言ってるんだよ本当に」「とんでもないこと言ったよ、今」)
委員長 それじゃあ、さあ、速記は止まってるんでしょ。
(速記中止により音声中断)
(速記再開)
委員長 内閣総理大臣、野田佳彦君。
野田 これですね、投資協定、え、あ、裁判管轄の問題を国際仲裁の判断に委ねる、そういうような場合ですね、(西田「何を言ってるんだよ」)ちゅ、仲裁人が入ってきて、仲裁人によって決めていくということなんで、というプロセスがあるということだとで、によ、えー。(と席に戻る。)
(激しい野次。理事たちが委員長席の周りに集まる。山本一太氏は大きく手を左右に振りながら委員長席へ。)
(西田「おい、総理、何を言ってるんだよ。)
(速記中止により音声中断)
(速記再開)
委員長 それでは、内閣総理大臣野田佳彦君に答弁を求めます。
野田 あの、ISDSの話で、あの、話だったもんですから、ちょっと、私あまり寡聞にしてそこ、詳しく知らなかったんで、あの十分な答えじゃなかったんですが、あのその中で、あの、まさに条約と国内法との上下関係だったらそれは条約です。だから、だからこそ、この、我が国が守ってきたもので、いいものだというものを、条約を結ぶためにそれを殺してく、壊していくということはしないというのが基本的な考え方でいくということでございます。(会場依然として騒然)
佐藤 あの、既にですね、日本は、仮に総理がAPECで参加表明をしてもですね、もう米国で先ほど言いましたように90日議会で承認手続きかかるんですよ。要するにTPPの中身の条約の中身の交渉は、我が国日本としては手遅れなんですね。もう決まった段階で二者択一で、日本政府これを丸呑みするんですか、しないんですか、どっちにしてくださ……、どちらかにしてくださいよと、それを半年後以降に言われるしかないんですよ。
ですから日本の国内法と言うのは、条約が上位にあるわけですから、TPPで決められたものを丸呑みにすれば、国内法は枉げなければいけない、変えなければいけない。TPPを選ばなければ国内法はそのまま我が国が管理をすると、まあそういうシナリオになるんですね。
で、その、ま、条約のことをお答えいただかなかった。総理、これ当たり前の質問でしてね、憲法に書かれてることですから、私は、あの、お伺いしたまでで、ちょっとすぐにお答えいただかなかったのは非常に、まあこれはある意味驚愕して、まあここで決めるっていうことはですね、こういうこともわからないでお決めになるということは、あまりに国民軽視ではないだろうかな。非常に大きな問題を感じたわけであります。
(西田「断念しろよ。はっきりしろ」他の議員「そうだ」)
佐藤 さてあの、それでですね、この水ビジネスの件は、今我が国日本でも関わってますから、少し掘り下げてお伺いしたいと思いますが、このいわゆるISD条項の賠償リスクについてですね、ISDというのは Investor-State Dispute、ステート、国に対する訴訟なんですね。ま、というふうに理解をされているわけでありますが、ステートの定義についてもう一度確認をしたいと思います。あの、連邦政府は、アメリカやカナダによってはですね、ま、連邦政府があって、ブリティッシュコロンビアのように州政府があるわけでありますから、ステートに日本の地方自治体入らない、まあ当然入らないと思いますが、確認をさせてください。
山口外務副大臣 ステートは締約「国」を指すと解釈してます。
佐藤 その確認ができましたので、それでですね、そうするとこの水ビジネスの例にもありますように、これからですね、地方自治体が我が国日本では、ま、復興予算もつけます。企業立地もこれからやっていかなければいけない。円高で空洞化対策もやっていかなければいけない。色々地方自治体がですね、受けた予算や税制を駆使してですね、企業誘致をしていかなければいけないんですね。で、その時に様々な、まあ安全性の角度から、ま、規制強化をするような自治体もあればですね、あるいはこの企業誘致で様々な行政で、この企業、外国企業も引っ張ってくる事例というのも出てくるわけでありますが、その中で特に空洞化対策について言えばですね、やはりこの政府発注、公共事業の発注などにおいてもですね、地元の、ま、業者を優先的に発注するような事例ってのはどうしても出てくると思うんですね。
で、そうした中でこのISD条項というのが関わってきますと、当然ながら外国企業はですね、この地元優先の事業、政府調達、不公平じゃないか、我々の利益が損なわれたと言って、まずこれは日本の国が訴えられますよ。そしてこういうですね、様々な地方自治体でやる様々な地方行政措置についてですね、国がひとつひとつそれをモニターしてリスク管理することはできないんです。でも実行するのは地方自治体ですよ。でも、訴訟を受けるリスク、管理をするのは国なんです。
これをどうマネージしていくとお考えか、総務大臣、お答えいただきたいと思います。
川端総務大臣 え、現在の、その先生御案内だと思いますけども、えー、アメリカは入っております、アメリカとはやっておりませんが、諸外国と15の投資協定、9つのEPAを締結しております。この中では、の、のものに関しては、ISDSの手続きを組み込むということで協定を結んでおります。そういう意味におきまして、えー、総務省の立場だけで申し上げますと、そういうことで、よし外国との差別をしてはいけないということがそれに含まれておりますので、そのルールに基づいた部分で、えー、しっかりとそれが遵守されるということを関係省庁と連携をしながら徹底をしているところであります。その延長線上にあるということであります。
佐藤 ま、特にですね、この国内政策において、先ほどからですね、社会保険の分野でもそうですし、水ビジネスの分野でもそうです。そして政府調達の分野でもそうですが、やはりこの地方自治体の努力とですね、国の訴訟リスク、これをどう管理していくかってこれ、到底できない話でありましてね、そういう中でISD条項の方が日本の国内法より優越してくるわけでありますから、非常にこれは、ま、ある意味、危険な時期尚早な判断というのは、総理、是非避けていただかなければいけないなというふうに思うわけであります。
あの、先ほど衆議院の予算委員会の御答弁でですね、枝野経産大臣もおっしゃっておられましたが、ま、国内法でですね、こういったものをしっかりと守るんだから、たとえば先ほどの御答弁では遺伝子組み換え食品についてですね、あるいはBSEの食肉の問題について、輸入を強要されればですね、国内安全基準できっちりと守るから大丈夫なんだと、そういう枝野大臣御答弁されておられましたね、先ほど午前中。
無理なんですよ。国内法がISD条項の劣位にあるわけですね。ですから、そんなことはとっても無理なことであって、御答弁、午前中の御答弁は、あまりに無理であると、えー、問題であるということを申し上げておきたいと思います。
ま、要するにこのISD条項と言うのは、治外法権で、
委員長 もう少しね、あの、いや……
礒崎理事 (委員長席の前に行って)いやいや、発言中に手を挙げるのけしからんよ。
委員長 いやいや、名前を言ってるから手を挙げてるんで、うん、うん。
礒崎理事 注意しなさいよ、注意。
(会場騒然)
委員長 速記を止めて。
(速記中止により音声中断)
(速記再開)
佐藤 まあ要するにですね、まあ、国内法は枉げられる、治外法権を含むですね、(西田「そういうことだよ」)ISD条項を含むTPP条約、TPP協定だということを、あの、明言をしておきたいと思います。
さて、あの、時間もないので次に移りたいと思いますが、こうしたですね、デメリット、社会保障の問題、あるいは農業の問題、色々挙がりました。水ビジネスの問題ありました。
で、そのデメリットに対して、ま、メリットをですね、できるだけ大きくして、そしてトータルでは日本経済として前に進んでいくにはどうしたらいいかと、そういう議論が大事なわけであります。
そこで先ほど冒頭の話に戻りますが、総理にお答えいただきましたし、また、衆議院の予算委員会で総理は繰り返しおっしゃっておられました、このTPPがFTAAPに向けてのベストのシナリオなんだと、そしてこれで約10年間で2.7兆円実質GDPを押し上げると、まああの、0.54%実質GDPを押し上げるという数値が内閣府のGTAPモデルの試算結果で出ているわけでありまして、これが総理の考えのよりどころになっているというふうに認識をしているわけであります。
そこでですね、このパネルをご覧いただきたいと思いますが、ま、この同じ内閣府のですね、GTAPモデルなんですが、残念なことに内閣府の中で独自にこのGTAPモデルを回せる人がいないということで、外部のですね、この川崎健一さんという方が、ま、唯一政府の委託でやっていると、まあ、そういう政府の委託で外部の人が試算したものに則って、総理がこれから数時間後にTPP参加表明をするかどうかということを言われて、まあそういう次元の話を私たちはしているわけでございます。
まああの、色々ですね、このパネルご覧いただきますと、色々な包括的自由貿易協定というのは種類があります。FTAAPに向けてですね、ま、TPPが右のコラム、赤ですね。そして日中韓のもありますし、ASEAN3、ASEAN+6、ま、要するに結論から言いますとね、このASEAN+6の青の部分とTPPの赤、下のグラフでご覧下さい。日本、シンガポール、オーストラリア、米国、全て経済押し上げ効果が高いのは青い方、ASEAN+6であって、TPPじゃないんですよ。(会場「おー」とどよめく。)(続く)