TPP もっと広く深く国民的議論を 11月9日 衆議院予算委員会 笠井亮氏(共産党)4 |
動画:http://www.youtube.com/watch?v=WvnFrGTY15E
質問 笠井亮氏(共産党)
答弁 野田佳彦内閣総理大臣
笠井 (承前)費用を病院経営者自らが決めることが可能になってるんです。結局アメリカルールでやれってことになってきて、それを受けなかったら、いいですよ、受けないんだったらTPP参加については保留しましょうと、入れてあげませんと、アメリカが認めなかったら入れないということになります。
総理ね、そこまでしてどうしてTPP交渉に参加に前のめりなのか。(会場どよめく)総理はですね、TPP協定について、アメリカだけじゃなくて幅広い参加国が参加するものであって、世界の成長エンジンであるアジア太平洋地域の成長力を取り込むことが出来る枠組みだと言われました。しかし、現在のTPP交渉参加国というのは、アジア太平洋諸国、たくさんありますけれども、そのうち9カ国だけということです。それに日本が加わったとしても、10カ国のGDP、これをずっとこう、あの、計算してみますとね、日本とアメリカで全体の91%を占めると。で、残りの9%のうち、大体5%がオーストラリアです。それ以外の国が数%という、そういう比率になっている。
結局日本のTPP参加というのは、結局のところ事実上の日本とアメリカのFTA自由貿易協定と、こういうことになるんじゃないですか? 総理、いかがですか、これは?
野田 あのう、相当前提条件が違うと思うんですが、そこまでして前のめりにというお話がございましたが、委員がおっしゃったような、日本の誇るべき公的保険制度を壊すようなことまでして、何かを進めようという気持ちは私は全くありません。
二国間の交渉があって、相手は色々要求してくるということはあるでしょう。それは可能性はゼロではないと思うんです。それは玄葉大臣がおっしゃる通りです。
だけど、対応困難なもの、対応できるもの、それはきちっと国益を踏まえてきちっと交渉するというのは日本の立場であるべきであろうというふうに思っています。もし交渉に参加する場合の話ですよ。というふうに基本的には思いますので、前のめりで云々と、そんなことまで飲み込んでという、そういう議論はちょっと飛躍があり過ぎるというふうに思います。(パラパラッと拍手)
委員長 あの、総理、総理、日本とアメリカの二国間のFTAじゃないかという質問に答え……
野田 あの、現状の9カ国の中で日本が入った場合には、おっしゃるようにGDPの比率で見ればそういうふうになるということには思います、数字の上では。ただ、これは、TPPから、これ、FTAAPへの道筋もあるわけで、それからの広がりも考えると、あの、何カ国かのTPPだけで比べるものではないだろうとは思います。
笠井 あの、広がっていくんだと言われましたが、じゃあたとえばアジアの国々でインドネシアの外務大臣は、私たちはTPPじゃなくてASEANでやっていきますよって昨日も言われました。結局それができてるわけじゃないんですよ。
で、今総理は冒頭に、いや、守るものは守るんだと、皆保険守る、絶対そこは交渉で頑張ると言われましたが、じゃあですね、具体的に示してください。加入、参加意志表明する、それにあたっては、これは守ります、これは守ります、これ守ります、その一覧表をちゃんと出して、その上で議論しようじゃないですか。出しますか? (着席後)だってそう言われたんだから。
玄葉 あのですね、まずその、まずその自由化交渉のテーブルにはですね、全てまず乗せるというのが全ての国のまず原則なんですね。で、その上で、その上で我々は、同意を得て参加国に、仮にですよ、入る場合はなるということです。
で、その上で、交渉の中で、我々は何を守り何を攻めるのかということを踏まえて、しっかりと対応するということだと思います。
笠井 あのね、交渉がわかってないって言う声がありましたが、その通りだと私は思いますよ。だってね、テーブルに乗る前に日米の協議があるんですよ。入れてもらうかどうかあって、テーブルに乗ってからさらになってくるわけで、そもそも最初に言ったように、このTPPというのは、関税をゼロにしていくと、それからそれ以外の規制も取っ払うという話の世界に入ろうというわけですから、そうじゃなくてこれは守りたいんですと言うところが入ってきたら、これは異質な国ですねと、我々の世界とは違いますよと言われたら、断られるって言う話になるんですよ。
だからこれは守るって言うのをはっきり出して、国民と議論してっていう話にならなきゃおかしいと思うんです。
私は、今アジアでそういう広がりがあるっていうのを言われましたが、このTPPの動きというのは、アメリカ主導で、そういう自由貿易圏を日米主導で広げようということになってると、金、人、物さえ自由に動かせば、経済は良くなると、妨げるものは悪だと言ってきた、そして各国の自主性を否定する、そんなやり方をやってきたマネー資本主義の典型だと思います。もう完全に失敗したわけです、そういうやり方。それを装いを変えて蒸し返すのがTPPで、新しいどころか古いシステムでしかないと。だから韓国だってね、米韓FTAにすごいやっぱりね、そういう流れに対して、強い抵抗、反論、そして運動が起こって、批准になって問題になってるわけですよ。
総理ね、今焦ってるのは、アメリカの方だと思います。国内の長引く不況、金融危機の下で、失業率も増大する。経済が行き詰っている。来年の米大統領選挙を控えていてオバマ大統領は再選戦略を取っているという中で、日本のTPP参加によって、アメリカの対日輸出戦略に取り組もうと必死になっている。そういう中で日本が早くTPP交渉に参加表明しないと入れてあげないからと言いながら、結局はこの間だって期限をずらしながら日本待ってますって言ってんのがアメリカ政府通商代表部です。
それを何でですね、乗り遅れるからなどと慌てなきゃいけないのか。一旦交渉参加表明したら、次々とアメリカは対日要求を突きつけてくる、そういう国です。それを呑まなかったら参加認めないと言われるだけじゃないですか。
総理、それを本当に国益を考えるなら、こんな道取るべきじゃないと考えるんですが、いかがでしょうか。
野田 あの、まあ、私どもの政権としてはですね、高いレベルの経済連携と、そして特に農業との両立を図っていこうということは基本姿勢でございまして、日本とEUとのEPA交渉も、これ、加速化させていきたい、日韓もやっている、日中韓も考えている等々、その中で、TPPはその可能性があるのかどうかということを今議論させていただいているということでございまして、あの、単にアメリカがこういう思惑があるとか、こんな話だけではなくて、日本の国益としてこの交渉に参加した方がいいのかという主体的な判断で行きたいというふうに考えております。
笠井 だったらそういう主体的な判断について、もっと国民的議論しなきゃ駄目じゃないですか、国益は何かって。そこが問題だと思います。私は、やっぱり今進むべき道は、国民生活を応援する内需主導の政治に切り替えると、そして、世界との関係、アジアの関係も互恵平等の経済関係作っていくっていうことでですね、食糧主権はその中できちっと大事にする、そして経済主権も大事にする、尊重しながらやる、そういう枠組みを大いに作るって言う先頭に立つべきだと思います。
最後に聞きたいと思うんですが、政府はですね、国民や国会には情報を出さずに、ようやく出すって言い出しましたが、与党に小出しに出して、そして様々議論してきたと言っていますが、懸念には、主体的に判断する、最大限に努力する、慎重に検討する、余地は考えにくい、可能性はゼロとは言えない、こういう言葉を並べ立てて、事を小さく見せようとしていると思います。
他方ではアメリカとは緊密に協議しながら、国のあり方の根本、国益に関わる重大問題で、拙速に結論を出そうとしている。こんな姿勢許せないと思うんです。
そこで、この問題の最後に総理に伺いたいんですが、政府はですね、与党に対し、さっき言ったように、与党のチームには資料を出して、追加資料出して、ということで22回やってきたそうです。でも、日本の国会は公式の議論の入り口に入ったかどうかと、そういうところであります。
一方で、どうですか? アメリカ議会の方で行きますと、さっき大臣も答えましたが、日本政府の交渉参加の是非について、米政府との事前協議に時間をかけた上で、日本が交渉に参加するかどうかを認めるかどうかだけでも、3ヶ月も議論する時間があるんですよ。
日本の国会では議論もこれからで、国民の意見も聞かずに、まさか3ヶ月どころか明日交渉参加表明するなんてことは、あっていいんですか? アメリカの方は御丁寧に3ヶ月以上の手続き経るわけです。参加するかどうかだけで。日本には明日にも参加表明するなんてこと、あっていいんですか? こんな国会軽視ないんじゃないですか、国民軽視は。
野田 あの、交渉参加の云々を前提としたアメリカの90日のルールがあるということはそうです。他の国はありません。で、そういう中で、日本はじゃあどうかと言うと、仮に交渉参加をして、政府が署名をしたとしても、最終的には国会の承認、批准を得なければいけないわけで、国会の統制は受けるし、しっかり議論をいただくということはあるんです。
で、その前にも、当然しっかりと情報収集して御説明はしていきたいというふうに思います。
笠井 最終的には批准されるからいいんだって言われますけど、そこで否決されたら日米関係色んなこと言われるんじゃないんですか? そんなことが起こる前に、まずこの段階で、だってアメリカ議会の方は3ヶ月もかけて日本が交渉に入るかどうかやるんですよ。日本の議会にちゃんと資料を出して、国民にも資料を提示して、国益はどうなのか、これは守る、これは大事だ、ここまではこうなんだってことを含めて、色んなシミュレーションも出てくるでしょう? そういうことを徹底して議論した上で、日本が参加するのかどうかって事を判断したっていいんじゃないんですか? (会場「そうだ」)私たちは交渉参加反対ですけど、少なくとも民主主義を考えたら、主権国日本を考えたら、そのことぐらいやっていいんじゃないでしょうか。総理、いかがですか。
玄葉 あの、国会でですね、えー、議論するということはもちろん大事なことだと言うふうに思います。ただ、事実関係を改めて申し上げますけど、アメリカの場合は元々議会に通商権限があったと。で、それをTPP法という法律で、謂わば授権してたという経緯があるわけです。で、日本は今野田総理がおっしゃった通り、まさに内閣に条約締結権があって、国会は承認するんだと、まさに制度の違いなので、これはですね、あの、もちろんこういう制度であっても日本としてできる限りの情報提供に努めて、その中で国民的な議論、議会の中での議論を成熟させていくということは大切だというふうに考えています。
笠井 あの、それぞれの制度の違いがあるのは私も知ってます。アメリカの制度と日本の制度と違うと。条約にあたっても違うと先ほど述べられました。アメリカも詳細に条約については色々あります。日本は日本であるって言われたけれども、しかし事情があったって、こういう大事な問題で、国のあり方そのものに関わることで、これだけたくさんの懸念が出ていて、そしてそれに対するのに十分に答え切れなかったと言えば、与党民主党の中だって22回議論されたんでしょう? 私も報道でしか知りませんが、最終的にその時に、じゃあ民主党として参加しますと表明しますって決めたんですか? 決められないんでしょ?
そういう問題がある時に、それがわかっていて、そして、政府自身も懸念事項があると言っていて、与党の中からも野党の中からも、団体や国民の中からもですね、こういう懸念がある、そうなった時どうするのか、と、たくさんの疑問や問題点が出ているときに、それについてきちっと議論を経ずして踏み出していくって言うことが、民主主義としてあっていいのかっていう問題だと思うんですよ。何か手続き論じゃないんです。
条約で結ばれたら、その後は当然、手続きに則って、日本でどうするかっていうのは批准手続きがあります。でも、少なくともこれだけ、この日本の命運に関わる問題で、しかも大震災の後に、被災地に大きな問題をもたらすというようなことも言われていて、当事者からも声が上がっている中で、こんなことやっていいのかっていう問題に私はなってくると思うんです。
総理、率直にその点については、被災者のことを思って、あるいは国民のことを思って、少なくともこういうプロセスは必要だと、そして時期が熟したらと言われましたが、今熟していると言えるのかということについては、真剣にお答えいただく必要があるんじゃないですか?
機が熟したって言うが、なぜ、何を以って熟したのかと。先ほど私、たくさんの反対の決議申し上げました。疑問点、意見も申し上げました。なおかつ熟してるから判断するってことが言えるとすれが、何を以って言えるのかっていうこと、そして熟してると今思っているのかどうか、この問題をどう扱っていくのかということについて、最後に伺っておきたいと思います。
野田 あの、被災地の復興は、これ、最優先です。これは我が内閣の最大かつ最優先の課題であるということはずっと申し上げてまいりましたし、その賛辞補正予算もそれが骨格となっています。それと同時に、まさにこの問題は、日本がアジア太平洋地域の成長力を取り込んで、貿易投資のルール作りに主体的に関わっていくかということと、農業の再生との両立を図れるかどうか、そのほかご指摘の色んな御懸念があることは事実でございますが、そういうものを踏まえて、何が国益かということを総合的に判断をしなければいけないし、そのための議論をこれまで行ってまいりましたけれども、その結論は早急に出していきたいというふうに考えております。
笠井 まあ、こうなればよくなるっていう色んな願望があったり、色んな計画があっても、実際に起こってきたこと、起こること、マイナス点っていうのは大きいという問題も含めて、私は委員長にお願いしたいと思います。このTPP交渉参加の是非に関してですね、当委員会で参考人をお呼びいただいて質疑をすること、そして全国各地で色々な意見が出ていますから、地方の公聴会、参考人招致の公聴会をですね、開催することを理事会で協議いただきたいと思いますが、いかがでしょうか?
委員長 理事会で後刻協議いたします。(拍手)
笠井 終わります。(拍手)
委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。午後1時から委員会を再開することとし、この際休憩いたします。