東電損害賠償手続きの改善状況・福島に人が戻るには 11月16日 参院予算委 小野次郎氏(みんな)3 |
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質問 小野次郎氏(みんなの党)
答弁 西澤俊夫東京電力株式会社代表取締役社長
細野豪志環境大臣・原子力行政担当大臣
枝野幸男経済産業大臣
野田佳彦内閣総理大臣
安住淳財務大臣
小野 (承前)次の質問に入りますけれども、今日はあの、東京電力の西澤社長にお越しいただきました。おられますか?
先日も来ていただきましたが、その際私の方からこの東電の原発損害賠償手続きの改善についてご注文申し上げました。で、東京電力の方では、ま、速やかに検討していただいて、改善をしたいということを言ってきていただき、今日は確認のために、項目ごとに質問、説明を求めますから、一個ずつお答えいただきたいと思いますが、まず、当初見てた合意書の表記、どういう部分が変更になりましたか?
西澤東京電力株式会社代表取締役社長 えー、お答え致します。あの、合意書の見本の方に記載しておりました「なお上記金額の受領以降は云々一切の異議、追加の要求を申し立てることはありません」という表記がありましたけれども、これはあの、先生をはじめ、多くの方々から誤解を招くという記載であるというご批判をいただきましたので、お送りする場合は、この表現はもう削除してございます。
小野 誤解じゃなくて、あの、誤解とは思いませんけども、とにかく削除していただいたということで、次に進みますが、たとえば東電が定めた標準金額を超える支払いがあった場合に、領収書を提出して、まあ、実費でかかったっていう証明を出来る場合には賠償支払いを応じるべきだと思いますけども、この点はいかがでしょうか。
西澤 原則としまして、領収書等の必要書類を確認させていただきまして、必要と考える範囲で実費は賠償させていただいております。
小野 あの、状況に応じてですね、一括で請求が難しい事情の方っているわけで、一部項目のみの賠償請求も認めるべきだと思いますけど、西澤社長、いかがでしょうか?
西澤 先生のご指摘の件ですけれども、一部項目のみについて賠償を進めさせていただいております。
小野 まああの、同じように、双方合意に達すれば、全部達すればいいんですけれども、達した部分と達しない部分がある時に、合意に達した部分から支払い、賠償支払いを先行させるっていうことを認めるべきだと思いますけども、社長の見解を伺います。
西澤 合意した項目のみを先行してお支払いをさせていただいてございます。その際あの、合意に至ってない項目がございますけれど、これはあの、改めて協議させていただくという形でさしていただいております。
小野 やむをえない事情があって、請求漏れがあった場合もあります。そういう場合の請求の追加が、これも認めるべきだと思いますけども、いかがでしょうか?
西澤 えー、合意した後に領収書等が見つかるなど、やむを得ないご事情がある場合につきまして、追加のご請求の相談には応じさせていただいております。
小野 改善の取り組みについて私なりに要点をお伺いしましたが、東京電力としては、簡単ガイドを配布したり、改善を工夫されてるようですけども、その内容についてもしおっしゃりたいことがあればどうぞ社長、おっしゃってください。
西澤 えー、前回にあの、先生からいただいたご指摘も踏まえまして、あの、先ほど先生からもお話がありました簡単ガイド等につきまして、福島県や市町村の皆さんから伺った意見を反映して作成させていただいております。現在、あの、二回目の請求書についても作成中でございますけれども、本件につきましても、県や市町村の皆様からのご意見を伺い、改善に努めている最中でございます。
今後とも、あの、これはあの、えー、枝野大臣の方からも指摘され、機構の方からも言われておりますけれども、親身・親切な賠償のための五つのお約束についてしっかりと進めさせていただきたいと思っております。
小野 枝野大臣からも、あの、厳しく指導をしていただいたということを聞いてますので、ま、その点も評価をしたいと思います。東電には引き続き親身な、その賠償手続きが円滑に進むように、親身なサービス提供を私からも重ねてお願いしておきたいと思います。
さて、11月9日付の新聞にですね、福島大学が中心になって行なった1万数千所帯からの回答ですから、かなりの母数の調査結果が出てます。原発避難戻らんというのが27%という見出しになってまして、特に34歳以下、若い世代では、半数を超す方が、除染が終わっても帰らないということを答えています。低線量と言われてもなかなか生活を元の場所で再び作ることは難しいとお考えの方が、大変、若い人を中心に多いわけですけども、この調査結果に表れた住民の認識について、どう向き合っていく考えか、原発担当相にお伺いしたいと思います。
細野環境大臣・原子力行政担当大臣 えー、今回あの福島大学の災害復興研究所が行なわれた調査については、私もあの、全ての項目を拝見を致しまして、その中で、特にあの、若い世代の皆さん、えー、そしてまあ、上の方も含めてそうですけれども、えー、戻ることについて、色んなお考えを持っておられると。特に若い方は52%の方がですね、あの、戻る気がないとお答えになったというのは、ま、大変、本当にあの、申し訳ないという思いで一杯でございますし、この結果自体は非常に重く受け止めなければならないと思っております。
で、私どもはまず、そうした皆さんの気持ちにこたえるためにも、ステップ2をですね、一刻も早く達成をする、年内に達成をですね、これはしっかりやっていきたいと思っております。併せて除染を進める事によって、できるだけ多くの皆様に現実に帰っていただく、あるいは帰っていただく可能性を広げるという事について尽力をしてまいりたいと思っております。
ま、その上で、あの、当然色んな事をお考えになる方がおられるわけでありますから、そうした皆さんに選択肢をお示しをするということも非常に大事であると考えておるところでございます。そうした検討をすでに始めております。
小野 あの、細野さんは環境大臣も兼ねておられるんですが、環境省の方の除染の基本方針というのが出てますね。これは配布資料の4ページ目、5ページ目ですけれども、その中に、年間20ミリシーベルト以上の地域は段階的かつ迅速に、ま、縮小する、ま、その汚染地域を縮小するという事だと思いますけども、そう書いてあります。この「迅速に」、「段階的かつ迅速に」というのは、何年を目途に考えてるんですか?
細野 えー、明確に何年でということでですね、あの、特定の年限を検討してるわけではございません。ただ、一定の目途と致しましては平成26年の3月末までというのを目標にしておりますので、ま、およそ2年少しというこの期間で、出来る限りですね、除染を進める事によりまして、20ミリシーベルト以上の地域を少なくしていくと、これが当面のですね、目標という事になってまいります。
小野 20ミリシーベルト以上の部分を小さくする、縮小する、この表現は非常にね、曖昧なんですよ。だって、一方で同じ除染の基本方針の中に、1ミリシーベルト以下を目指すっていうのがあるのに、今の言い方、20ミリシーベルト以上の地域を縮小する、つまり、19ミリシーベルトとか18ミリシーベルトになれば、ま、その言ってる趣旨は達せられるんだと思いますが、それではこのさっき言った11月9日に出てる調査結果でもですね、戻る意志のある方はどれぐらい待てますかって聞いたら、3年以内って方が7割ですよ。で、その3年ってのは、7割って言ってるのは、19や18ミリじゃ戻れないですよ。矛盾してるじゃないですか。
細野 あの、現在の、現存被曝状況において私どもが避難の基準としておりますのが、追加放射線量が、ま、年間20ミリシーベルトに相当する地域ということでございます。従いまして、少なくともですね、この20ミリを下回ってくれば、えー、現実的に帰っていただくためには、あの、もちろんインフラの整備であるとか、行政のしっかりとした体制であるとか、医療機関であるとか、そういったことが必要ですので簡単ではありませんけれども、帰っていただくことができる可能性が出てくるという意味で、20ミリをあの、ひとつの目標としているところでございます。
小野 ま、とりあえずそこは置いといて、同じ文章の次にですね、「ただし、線量が特に高い地域は長期的取り組みが必要だ」とも書いてあるんですね。留意すると書いてあるんです。「特に高い地域」って、何ミリシーベルト以上の事を言ってるんですか? で、どれぐらいの面積になるんですか?
細野 え、こちらで言っております、「特に高い地域」というこの部分についてもですね、特に明確な、あの、数字を設定をしているというものではございません。ただ、現実に今、モデル事業実施を実施しておりまして(ママ)、その中で、えー、そ、まあ、元々の放射線量が非常に高い地域について、なかなかその線量がですね、下がらないということもやはりあの、考えなければならないだろうと思っておるわけです。従いまして、モデル事業を、かなりの箇所今やっておりますので、それを見極める中でですね、長期的な計画の下に除染を行なわなければならない地域を、やはりどうしても特定していかなければならないだろうと考えております。
小野 まああの、報道では朝日新聞も読売新聞も、さっきの報道と相前後してやっぱり11月9日ぐらいだと思いますけども、原発20キロ圏に帰還困難域を作る、他の新聞の方では、居住困難地域と書いた新聞もありますけど、いずれにしてもそういったものを指定して、不動産の借り上げ、買い上げなどのスキームを作っていくんだって書いてありますけども、こうした施策についての検討はどの程度具体化してますか?
枝野経済産業大臣 あの今環境大臣の方からご答弁がありました、今後の除染、除染によってどの程度下がるのか、そしてより詳細なモニタリングもやっております。こうしたところからですね、あの、どのあたりの地域がどれくらいの期間でどの程度の数値まで下がっていくのかということの見通しを年内ぐらいには何とか付けたいというふうに思っております。で、その、どれぐらいでどれぐらいの数値になるのかという見通しを片方で持ちながらですね、地元の皆さんのご意見・ご要望をしっかりとご相談をさせていただく。そして一方では、放射線量が下がるだけでは戻れません。特にあの、海側のところは津波による被害を受けたところも含めて、あの、インフラの整備、復旧等の計画も立てる。まあこうしたことを、あの、総合的にやっていくということが、ステップ2が達成された段階から、あの、かなり具体的に進んでいくという見通しで、そのためのあの事務的な検討を進めているという状況です。
小野 前から指摘してますけど、ステップ2とかステップ1というのは原発の収束の問題ですよ。残存してる放射線の影響の問題じゃないじゃないですか。
枝野 あの、直接的にいつ戻れるのかという話と、あの、直接的な相関関係があるわけではないから、ご指摘の通りかもしれません。ただ、たとえば、あの、かなりあの、記者の皆さんも細野大臣と同行してサイトへ行っていただきましたので、もう冷温停止ステップ2に近いということで、周辺地域の状況が悪化をするというリスクは相当下がってはいますが、あの、そのリスクが、まあほぼ無くなるというのがステップ2の達成でございますので、その段階で初めて、あの、周辺地域の、たとえば、中長期的なインフラの復旧に向けた具体的な段取りが、ま、スタートさせられるということで、あの、そこからのことが、ま、いわゆる具体的な動きのスタートになると思いますが、何もしてないわけではなくて、まさにそこに向けた、えー、より詳細なモニタリングや、あるいは先ほどの除染のモデル事業であるとか、あるいはまあ率直に申し上げて、色々なお帰りいただくプロセスについての様々な選択肢の頭の体操と言いますかですね、選択肢のピックアップのような作業は、もちろん既に進めておりまして、あのー、地元の皆さんとも順次ご相談を始めていかなければならないと、必ずしもステップ2の前は何もやらなくて、後から全部やるということではあのありません。ただ、ひとつの目途になって、あの、作業が進んでいるということです。
小野 掲げてますパネル、もう何回も同じもの使ってますけども、現実に起きた86年のチェルノブイリ事故、9年後のこの斑模様になってるのが、居住できない地域とされてるところの範囲ですからね。これだけのことが起きてるわけでありまして、で、住民の意識調査でも、7割の方が3年以内に不安が解消されなければ待てないという答えが出ている。もう帰らないという若い人も5割以上いる。そして今環境省の出した方針を見ても、20ミリシーベルト以下に下げるというだけのことで3年、特に高い地域については年限が決められないと言ってるんじゃないですか。
こんなまんまで、多くの被災地、特にその現地の方々の不安や思いには全くタイムスケジュールで時間の目盛りが合ってないと私は思います。
私の方で議員立法しようとして準備してる内容があります。要点だけ申し上げますと、期間の目途が立たない高度放射能汚染地域については、所有者からの同意や要請を基にして、あくまでも同意や要請をベースにして、土地・家屋・事業資産を一定期間国が借り上げる。そして、集中的な除染を行なうとともに、自治体と連携を図りながら移転先の確保、移転先における再建支援などを行なう。借り上げた用地や施設については、除染実験、自然エネルギーの事業、さらには植物工場など、新たな生産活動に利用する。そして、借り上げ期間満了までに、残存放射能汚染の状況を踏まえて、国、当事者、地方公共団体の間で、返せるのか、借り上げを更新してもういっぺん同じ事を試みるのか、あるいは買取をするのか、その三つの方向について、今後の処置を当事者間で決めていく。こうした生活再建と土地利用を支援する法的仕組みを早急に作る必要があると考えますけども、政府の認識をお伺いしたいと思います。まず原発担当大臣に伺って、もし総理にコメントがあれば、総理からも伺いたいと思います。
細野 あの、枝野大臣、そして平野大臣とともにですね、今こういった事についての具体的な検討を始めております。あの、ここに書かれてるものというのは、ま、それぞれあの、非常に大きな意味のある事でございますし、やるという事になるとですね、何らかの、あの、こうした、あのー、法的な検討というのも必要だというふうに思いますので、あの、我々も検討しておりますけれども、みんなの党のみなさんで検討されているものもしっかりと勉強させていただきたいというふうに思います。
小野 あの、まああの、今、担当大臣の方から、枝野大臣、えーと、三閣僚の間で検討していただいているという事ですから、今日は総理には答弁求めませんけれども、是非私どもとしても貢献したいと思いますので、何なりとご相談いただければ、知見を、あの、貢献、協力申し上げたいと思います。
最後に一問聞きますけども、朝霞の公務員宿舎住宅、まああの、前回私が指摘して4日後の月曜日に、5年凍結というのを現地見られて、まあすごい早い動きだなと思っておりますが、みんな心配してるのは、凍結って言ってすぐ氷が溶けてですね、まあ、大変失礼だけども、内閣が代わったら、政権が代わったら、もう全然、もう作ってますよっていうふうに、今まで繰り返し見てきてるからですよ、別に野田内閣の前からですね、そういうことを経験してるんで、国民は心配してるんですよ。本当なのかと。5年間は本当に凍結なんですか?
野田 先の臨時国会の予算委員会で、あの、小野さんからご指摘をいただきまして、まあ、その時、あの、なるほどというか、そうだなと思いましたので、現地に行きまして判断さしていただきました。あの、5年間凍結、これはもう本当というか、もうしっかりそうしていきたいと思いますし、今財務省の中で国家公務員宿舎削減のあり方についての検討会を設置をしていますが、ま、この中では、中止を含めて検討してもらってるという状況でございますので、速やかに結論を出していきたいというふうに思います。
小野 だから駄目なんですよ、総理。この、見抜けなきゃ。この、あり方についての研究会、名前がもう駄目ですよ。削減するって書いてないんだもん。削減のあり方って、しない方がいいって結論も出す研究会じゃないですか。まあ、ちょっと待って。ね。だから、名前自体を、役人の言う通り作っちゃ駄目ですよ。もうひとつは、この、凍結する時に、今契約してた企業とどういう関係になってますか? ちゃんとそれを解除してやらないと、凍結してるとまたその企業が待ってるわけですよ、その基本設計、自主設計持ってて。そういう状態じゃ駄目なんで、ゼロにちゃんと戻したかって事ですよ、問題は。もう答弁されるんならしてください。お願いします。
安住 あのー、ですからこれ、「あり方研究会」ってなってますけども、全体の宿舎と併せて朝霞の中止も含めて判断を多分あの、これは政治主導やってますから、それを見た上で判断していただきたいと思います。手続き等はそれを受けて、きちっとやって参ります。ただ宿舎全体はですね、先生も鹿児島県警や、あの、茨城県警や北海道警に確かおられて、秘書官時代も宿舎、官舎に住んでらっしゃったと私は思いますので、そういうことも全般的に考えながら私としては判断していきたいと思います。(会場ざわつく)
小野 私はねえ、緊急用務がある仕事しかやってなかったんですよ、申し訳ないけど。その話と混同されてませんか、大臣。
安住 いや全体のあり方について私はですから議論をして中止を含めて色々な対応、思い切ったことをやっていきたいと思っています。
小野 以上で終わります。ありがとうございました。