宮崎哲弥大論争 7 東電と政府の対応、原発再稼動と脱原発の未来 |
宮崎 まあ事故の検証については、さらに国会のね、事故調査委員会の報告を待つとして、まあそれまでにもっと本当はね、色んなこう、証拠保全とか何とかやらなきゃいけないこと多いと思うんだけれど、まあ、いずれにしても今私たちに期待できるのはそこしかないので、期待するとしてね、なし崩し再稼動っていうのは、おそらくは夏までに政府の意向としては再稼動したいと言うことが本音としてあるんでしょう。で、これについてどう思う? まあ、穀田さんは先ほど明快に反対だとおっしゃいました。三橋さん、どうですか?
三橋 そうですね、あの、私は基本的には安定的な電源の供給がちゃんと見つかるまでは、原発はまあ続けざるを得ないと考えてますけども、基本的に現状のままの再稼動は、さすがにちょっと難しいですね。難しいというか、反対です。たとえばですね、先ほど穀田先生がおっしゃったような、法律的なマニュアルとか訓練とか、今のうちにちゃんとやると、さらに海岸の原発については津波対策もきちんとやるということを同時に進めて、その上でいついつまでに再稼動するっていうような、そういうプロセスが分かりやすく国民に明示されればいいんですけれども、全く無いんですよね。現状のままっていうのは、これはですね、結構怖い。何て言うんでしょうね。本当に危機がもう起きたにも関わらず、もう危機はないんだみたいな変な前提に立ってるようにしか思えないんですね。
宮崎 ええ。またそうすると、シビアアクシデントは起こらないというような方向に行きかねないですよね、この国の…
穀田 ひとつだけね。私あの、ほかのこと、中身は別としてね、先ほど原口さんおっしゃってたように、メディアの役割っていうのもね、この機会にやはり、きちんと言っとかな困るんじゃないかと思うんですね。私ね、よく考えてみるとね、たとえば東電とか関電って、よう宣伝してたんだよね、テレビなんかにね。
宮崎 で、今でもコマーシャルやってますよ。
穀田 あれね、別に独占企業だから宣伝する必要ないんですよ。全くね。それは別に安全ですよっていう、その、まあ…
宮崎 今やってるのは大体節電の呼びかけですけどね。
穀田 節電の呼びかけぐらいはいいんだけどね。ただ、何であんなことやってんのかなあって思ったらね、独占企業でしょ、あれ。だから、金出してりゃね、メディアに対しても、まあ、買収費って言ったら悪いけどやね、そういうことやってるっていうことでしょ。だからね、この機会にね、そういうメディアがこの原発問題や電機メーカー、須らくまたこのステークホルダーとしての銀行業界だとかね、負担してもらおうとこの、除染費用とか何とかね、そういうキャンペーンを張るぐらいのね、思い切ったことやってくれなんだらね、何やってんのやと。
宮崎 穀田さん、東電はね、企業向けに電気料金を上げると言っている。で、将来的には、将来的というか、極めて近い将来に家庭向けの電気料金も上げたいと言ってるでしょう。これ、どう思う?
穀田 論外ですよ、これ。
宮崎 論外。
飯田 で、そもそもあの、東京電力を、ま、継続させると、この意思決定、これがもう全部の制約になってしまってると思うんですね。これを前提にする限り、たとえば抜本的な発送電分離も困難ですし、または今回の原発の再稼動についても東電にある程度意思決定を任せざるを得ないですし、さらには電気料金の値上げについても、東電がお金が足りないと言ったら、これは値上げせざるを得ない。で、僕は決してあの、東電をすぐ潰すべきであるかどうかはともかくとして、絶対にこの方針で行かなければならないというのをひとつ定めてしまうと、全部そこから、まあ前倒しと言うか、バックワードに考えた結論とか対策としか出来なくなる。そのひとつが早期再稼動なんじゃないかと思うんですけれどね。
宮崎 桜内さん、どう思う?
桜内 私はあの、やはり、東電を国有化すべきかどうかっていうのは、これ、政治の意志でできる話なんですよ。それをやらなかった、賠償のためにお金がいるからっていうことで、潰しちゃいけないという話になったんですけれども、やっぱりそこはそもそもおかしかったんじゃないかと思ってます。で、あの、もうひとつ言えるのは、今東電のですね、福島第一原発の敷地内に対して、国は1円たりとも予算つけてないんですよ。で、本当はさっきおっしゃったように、そもそも燃料がどこにあるかとかですね、調べる、あるいは汚染水が漏れないようにダムを作る、あるいは本当に壊れかけたらですね、あの私今日、この間復興特で使った、こういった写真も持ってるんですけども、これ4号機、もう傾いてるわけですよ、誰が見ても。で、これについて、枝野さんはですね、枝野大臣は、専門的な見地から言うと大丈夫だと。で、本当に危ないって言うんであれば具体的に証拠示せっていうふうに言うわけですよ。それは逆で、本当はこれでも大丈夫だっていうのは政府が示さなくちゃいけないわけですよ。政府がその統合対策本部だか何かで情報持っているんであれば。で、もうひとつ出していただくと、今防潮堤がこんな状態なんです。で、東電にやらしてるとこうなるんですよ。本来であれば、少なくとも福島第一原発は、国が接収するなりして、あるいは強制収用するなりして、こんなボロいですね、防潮堤でもういっぺん津波来たらどうするんだと。それが、残念ながらですね、先ほど言いましたように、原発事故収束担当大臣が無任所大臣なんですよ。組織がないから、財政法23条の上で予算つけられないんです。
宮崎 だから東電に丸投げになってるという状態ですよね。
桜内 そもそもあの、例の工程表っていうものもですね、ステップ2が終わったって言ってますけれども、あれだって東電に作らして、政府はそれをフォローアップすると言うだけなんですよ。これが当時の枝野官房長官の国会での答弁ですよ。
宮崎 ねえ、これでいいのかな? 原口さん、これでいいの、このままで?
原口 根本から変えなきゃいけないっていうのをずうっと言い続けてきて、与党の政治家としての無力と責任を痛感してます。事故が今よりもっとクリティカルだった時に東電に行って弁当が出たんですね。で、この弁当どっちが出してんのと、いうような話からしてるわけです、細野さんと。東電が出してんのか、政府が出すのかって、それじゃあね、今メルトスルーをしてるとしたら、1年間に17メーター燃料が落ちて、そして、専門家によれば、水の水脈に落ちるかも分かんない。だから今やんなきゃいけないのは、政府が自らの責任において収束させるっていうことで…
大塚 宮崎さん、いいですか?
宮崎 どうぞ。
大塚 あのー、政府が関与して収束させなきゃいけないってのは全く同感なんですが、やっぱりね、ちょっと、我々忘れちゃいけないのは、今こうして話をしてるこの時間帯も、あの原発で、入れ代わり立ち代わり1万人の人が働いていて、その人たちがいて今後も事態の収束に向けて作業が出来るんですよ。そうすると、その、いわばこの東電がこれまでのあり方を改めなきゃいけないのはその通りなんだけど、ここで東電バッシングばっかりやって…
宮崎 いえいえ、バッシングなんかしてない。特に現場で働いてる人たちに対しては感謝こそすれ、バッシングなんか全然してない。
大塚 ありがとうございます。
穀田 東電は作業員さえ減らそうとしてるじゃない。
大塚 その、そのね、今の宮崎さんのご発言を聞いて安心しましたけども、何を申し上げたいかって言うと、東電をどういう形で今後対応させていくのかということは、アイデアはいくつかありますけれども、何かあの、いきなりあの、東電で今関わってる人たちが全く関わらない形に…
宮崎 いや、そんなことない。
大塚 それは無理なんで、いや、いや、聞いてる方々に誤解を与えないようにそれはやんないとまずいです。
原口 12月25日で僕らの九州の原発も全部止まったんですよ。で、玄海原発を抱えてますけども、1号機はもうどう考えたって廃炉でしょと。それから、何でプルサーマルをやるんですかと。で、今の問題は要するに福島第一原発だからこの事故が起きたんですか、それとも原発そのものに由来するものですか。
宮崎 そこがはっきりしないんだよ。
原口 東電なんですか、
宮崎 そこがはっきりしない以上、そこがはっきりしても問題だけど、そこがはっきりしない以上、少なくとも再稼動の最低限の条件を満たす事にならないでしょう。
原口 (聞き取り不能)ってないんです。
林 だからね、菅さんがね、かなり感情的だと私は見てましたけども、最初からね、脱とか反とか原発を決め付けてたでしょ。あの時に我々は政府に申し入れをして、早くね、新しい事態に対応した安全基準をね、責任持って作りなさい、全部の原発にそれを当てはめて、早く国民にそれを出しなさい、で、それをやらないと、さっき三橋さんおっしゃったけれど、無理ですよ、今の状態でね。で、再稼動ができなくなると、どうなるのかって、電力の需給を考えればね、みんな分かってるわけです。それを甘受しますかと。これだけお金が無い時にね、火力のエネルギーを買いますかと、そういう話になっちゃうわけですよ。だからその状態で早く再稼動できるように持ってくためのね、条件整備をやるってのが全く出来てない。
宮崎 林さんは、日本の原発、これからどうすればいいと思ってる?
林 私も三橋さんと近くてね、現実的には他にないわけですから、色んな再生可能エネルギーが出てくるまでの間ね、一番コストの安いっていう意味では、原発を出来るだけ動かしていくっていうのは自然ですよ。
宮崎 それはどのくらいの期間を見積もってる?
林 これはやっぱり新しいエネルギー、2015年がメタンハイドレート最初の実用化実験ですよね。で、シェルガスも今から長期契約が安くなってくると考えると、まあ5年10年はね、見とかなきゃいけない。で、来年の4月に全部止まっちゃうって話ですから、原発は。
宮崎 穀田さんはどうお考えですか?
穀田 あの、原発はね、ゼロにするということについて政治的決断すべきだと考えてます。これがひとつです。ただ問題はね、今すぐやれるかどうかっちゅう問題についてはあると。で、それを私どもは5年から10年かけてと。
宮崎 林さんとそんな変わらない。
穀田 林さんとこは本気でそう言ってるかどうかわからんから。(笑)
宮崎 でも共産党さんは本気で言ってると。
穀田 うちは政策で出してるから。というのは、少なくともね、西ドイツだって、いわば自然エネルギーが原発エネルギーを逆転してるわけでしょ、この間ね。
宮崎 しましたね、ええ。
穀田 しましたね。で、あすこは2022年にゼロにするって言ってるわけじゃないスか。私どもは、今からちょうど10年つったら、2021年じゃないですか。だから、原発起きた日本ぐらいではね、1年ぐらい早くたっていいじゃないかという程度の話をして、少なくともこの間原発の推進に金かけてきた何兆円っていう金をね、ちゃんと振り向ければ十分できると。
宮崎 完全に振り替えるべきですよね。
穀田 私どもは今すぐ明日からやれなんて言ってるんじゃないんですよ。
宮崎 ただ、ただね、ちょっといい? ちょっと、ちょっと穀田さん、ずっと前から共産党さん、穀田さんね、皆さんも考えて欲しいんだけど、でもね、私は基本的に日本は脱原発の方向に行くべきだと思う。で、ここに二つ問題があって、一つは使用済み核燃料どうするか。どうするべきだと思う、穀田さん? つまり、脱原発を遂げたとしても、使用済み核燃料の処理に関してはどうするべきかと。で、最終処理に関しては問題として残るわけですよね。
穀田 これはね、残るんですよ。で、これはね、だからそういう意味で言うとね、原発に絡んだ学究、学問研究ってのはね、しなくちゃならないんですよ。で、そういうことで人類がこれどうするかっていう結論、まだ出来てないわけですよ。ましてや青森の処理だとか含めてですね、きちんと出来てないと。で、先ほどプルサーマルという話、原口さんからありまして、これもね、核燃料サイクルの…
宮崎 プルサーマルなんかあり得ないと私は思います。
穀田 あり得ないと言うけど、やってんだからさ。
宮崎 いや、これはもうだから早急に止めるべきだと思うんだけど、でも、それでも核使用済み燃料は残るわけ、の問題は。これはやっぱりちゃんとね、議論を始めないといけないんじゃないかな。
穀田 そうですよ。だから我々はね、あの、ほら、あの、トイレのないマンションという話をしたじゃないですか。これはうちの不破さんがね、一番最初にこの問題について、この核問題についてね、一番最初にやった時に始めた議論なんですよ。ですからね、これは人類としてまだ未解明の(聞き取り不能)だと。
宮崎 しかも今度の福島第一原発で崩壊熱というのはいかに恐ろしいかっていうのは、はっきり分かったわけだよね。そうするとやっぱり、これをどうするかっていうのを、早急にね、国民的な議論を起こしていかないといけないと思うんだけど、どうですか、原口さん?
原口 答えは僕は東海村にあると思ってます。東海村の東海第二原発も、たまたまその、3月9日に出来た防潮堤のおかげで免れたんだけど、300回近いオペレーションをしてやっとこさ止めたってやつなんですよ。で、東海村の第二原発って、この東京から100キロですよ。この間に1200万人の方がいらっしゃる。で、避難させようと思ったって出来なかったぐらいのところなんです。そこに僕らは64基の、カリフォルニアよりもちょっと狭いところに64基の原発を持っていて、東海村の処分も、もうかなり限界まで来てるってのが行けば分かる。だから、僕は核燃に逃げては駄目だと思ってるんです、さっき宮崎さんが言ったみたく。核燃に逃げないとすると、最終処分場を、もう直接処分しかないから、それの場所を本気で探さないといけないんです。
宮崎 核燃に逃げないってのはプルサーマルはもう駄目だっていうことですな。
原口 プルサーマルに逃げちゃ僕は駄目だと思ってるんです。あれは欺瞞だと思います。
宮崎 そうすると、最終処分をどうするかって、イギリスは最終処分に向けて、やっとこう動き始めたらしいけど、日本もやらなきゃいけないよね。
原口 それをね、ロンゲラップ島とか、マーシャルの国々にお願いしようとか、他所にお願いしようっていう議論があって、それもまたおかしいでしょ。
宮崎 まあま、それもおかしいと思う。で、それともうひとつはね、これは田村さんに伺いたいんですけど、私は日本の国内が脱原発というのを、遠からぬうちに原発をゼロにする、近未来だったとしてもミニマルにするということは必要だと思います。で、最終的にはゼロにするということは必要で、でもこれはもう、林さんも穀田さんも、少なくともこの場では同意できてるわけで、で、私はおおむね国民的な同意というのは可能だと思うんだけれど、アジア、他の国に目を向けて見ると、たとえばね、韓国っていうのは、新たな原発計画を発表してますよね。中国も原子力政策を止めようとしない。北朝鮮も気になる。ここの部分、日本はね、風下の国だから、ここで事故が起こった時には、日本も影響を受けるわけですよ。少なからず影響を受ける。これはね、日本は今政府は原発の輸出と勝ってことをどう考えてるのか分からないけど、逆で、脱原発の輸出をしなければいけないんじゃないかとすら思ってるけど、どう思う?
林 これはだからあれじゃないですか。やっぱりね、そういう技術を…
大塚 田村さん…
林 あ、失礼しました。