1月27日 参議院本会議 中曽根弘文氏(自民党)の代表質問 2 |
経済政策の続き
Q5 第4次補正予算 緊急性のないものが入っている
中曽根 今回の第4次補正予算には、我々も緊急に必要だと認める事業もある一方で、本当に緊急なのか疑問を感じるものも数多くあります。
例えば、エコカー補助金、高齢者医療費の負担軽減、強い農業づくり交付金、国際分担金などは、税制改正での対応や来年度予算で計上すべきものであります。補正予算への付け替えは、来年度予算の歳出を少なく見せかけるためであり、第4次補正を「隠れ蓑」にしようとしているとしか思えません。(会場の発言多数)
一方で、除染や汚染廃棄物の処理費など、緊急に必要な予算を来年度予算に盛り込んでいますが、こうした予算は3次補正に続いて4次補正にも盛り込むべきではないでしょうか。何故そうしないのか、総理、ご説明下さい。(会場「姑息なんだよ」)
野田 次に、除染や汚染廃棄物の予算に関するご質問をいただきました。3次補正予算においては、今年度の除染および汚染廃棄物処理事業に必要な事業費として2459億円を確保したところでございます。政府としては、復旧・復興予備費を合わせ、今年度の予算としては総額約4640億円を確保したところであります。これにより、今年度事業には十分な額を確保したところであり、4次補正には盛り込まなかったところであります。
なお、平成24年度予算については、除染等のために4513億円の事業を盛り込んだところでありますが、今後の事業の進捗に応じて必要な予算の措置をしっかりと講じてまいります。
Q6 見直しを3党合意したはずの高校授業料無償化と農家戸別所得補償が24年度予算に入っている
中曽根 次に平成24年度予算案について伺います。民主党のバラマキ4K政策は、既に破綻していることは国民の目にも明らかとなり、我々自民党は政策の撤回を強く求めてきました。その結果、昨年8月、バラマキ4Kの見直しについて自民・公明・民主の3党間で合意されました。
しかし、政府の平成24年度予算案を見ると、高速道路無料化の予算は合意通り計上されていませんが、高校授業料無償化と農業者戸別所得補償制度は、十分な検証も行われず、そのまま計上されています。
3党合意により、これらについては、当然、廃止の方向に向かうものと考えていましたが、何故そのままの形で残っているのか、総理に明確な説明を求めます。(会場の発言多数)
野田 平成24年度予算での高速道路無料化等の取り扱いおよび子どものための手当についてのご質問をいただきました。
高速道路の原則無料化については、歳出見直しに関する3党間の協議の結果、平成24年度政府予算案に計上しておりません。
高校無償化制度については、政府としては現時点において一定の効果が見られると考えており、現行制度を実施するための予算案を計上しているところでございます。
戸別所得補償制度については、3党実務者による協議の結果を24年度予算に反映させることが時期的に難しくなったことから、(会場の発言多数)昨年8月9日の3党合意に基づく協議としては一旦打ち切る事になったものと承知をしております。
このため、24年度の戸別所得補償制度については、基本的に23年度と同じ仕組みで行うこととしたものであります。
Q7 子ども手当廃止の合意が骨抜きになりつつある
中曽根 「子ども手当」については更に大きな問題です。
3党合意では、所得制限も無いバラまきの子ども手当を廃止して、元の児童手当を拡充した制度に戻すことが決まりました。
ところが、先日の報道によりますと、民主党は、「児童手当法」を「子どものための手当支給法」という名称に変え、(会場騒然)法律の骨格は実質的に従来の「子ども手当支給法」とほとんど変わらないものにしようとしているとのことであります。
公の政党間で協議をし、文書を取り交わした合意は重いものであります。約束を反故にするなら、民主党とは協議をして合意しても意味がないということであり、国民も民主党の言っていることを信用するはずがありません。
3党合意に従って、「子ども手当」は廃止し、児童手当を拡充する制度へ変更するということで間違いありませんね。総理に確認を致します。
野田 24年度以降の子どものための現金給付については、昨年8月に3党で合意して以降、与野党間での議論が進展しなかったと承知をしております。このため、予算編成や法案の提出までの時間が限られる中で、3党合意に即して児童手当法を改正する法案を本日閣議決定を致しました。今後与野党で速やかに協議を開始し、法案の成立に向け、ご協力をお願いを致します。(会場の発言多数)
Q8 年金交付国債のまやかしと消費税増税路線
中曽根 平成24年度予算でさらに問題なのは、基礎年金の国庫負担の財源として、「年金交付国債」を発行していることであります。これは国債発行額を44兆円以内に抑えたように見せかけるための、完全なまやかしです。これは、借金の「飛ばし行為」のようなものであります。
また、この年金交付国債は、将来の消費税増税で返すことを前提としています。つまり、消費税増税を既成事実化するという意図も隠されているのであります。この点も、大いに問題です。
こうした点について、国民に納得のいく説明ができるのでしょうか。総理の見解を伺います。
野田 24年度予算における年金交付国債による対応に関するご質問をいただきました。今回の年金交付国債による対応は、年金財政の安定の観点から24年度基礎年金給付費の2分の1と36.5%の差額を国庫の負担としつつ、年金財政への国庫金の繰り入れは消費税引き上げ後に消費税収を充てて行うことを明確にするためのものであり、「借金の飛ばし行為」とのご批判はあたらないものと考えております。
消費増税を既成事実化する意図が隠されているとのご指摘については、基礎年金国庫負担2分の1の財源を、消費税を含む税制抜本改革に求めることは自公政権から引き継いだ年金法本来の考え方に適うものであり、年金財政の安定確保のためにも御党のご協力をお願いをしたいと考えております。(会場の発言多数)
<社会保障・税一体改革>
Q9 マニフェストにない増税を行うなら信を問え
中曽根 次に、社会保障と税の一体改革について伺います。政府・与党は、今月6日に「社会保障・税一体改革素案」を決定しました。
そもそも総理は、消費税増税について、昨年11月のG20の場で突然、国際公約してしまいました。国民生活にも企業活動にも大きな影響を与える問題について、国内で議論もしないうちに、国際公約してしまうというやり方は大きな問題であります。(発言多数)これは、鳩山総理のCO2の25%削減や、菅総理の太陽光パネル 1000万戸発言と同じであり、民主党の常套手段ですが、決して認められるものではありません。(発言多数)
さらに今回、野田総理は、国会での議論を始める前に、与野党協議で消費税増税を決めようと野党各党に持ちかけてきましたが、これは、国会や国民に議論が見えない形で増税を決めてしまおうということであり、談合で決着をつけようという誘いに他なりません。(発言多数)増税というような国民の直接的な負担増につながる法律について、国会を軽視するようなやり方に、我々は決して乗るわけにはいきません。それが、我々が与野党協議に参加しない理由の一つであります。
改めて言うまでもありませんが、平成21年8月の選挙によって民主党が政権を取った時のマニフェストには、消費税を上げるとは一言も書いてありません。むしろ、様々な改革の財源は、16.8兆円の無駄削減で賄うと書いてあります。
その選挙で、野田総理は、当時は幹事長代理として街頭に立ち、「マニフェスト。ルールがあるんです。書いてあることは命懸けで実行する。書いてないことはやらないんです。それがルールです。」と演説されていました。(騒然)
それが今は、消費税を上げると発言されています。明らかに矛盾をしています。(野次高まる)総理、消費税増税は、マニフェストに書いていませんでしたね。総理の演説の論理に従えば、書いてないことをやるのはルールに反していませんか。国民に対する説明責任も果たさずに消費税の話を持ち出すことは許されないのではありませんか。総理、お答え下さい。
マニフェストに書いてない消費税増税を行うなら、まず民主党内の意見をまとめ、(会場「そうだよ!」)その上で改めて消費税増税をマニフェストに明記して、解散・総選挙で国民に信を問うべきであります。
また総理は、「民意の裏付けのない政権が国の舵取りをし続けると言うことでいいはずがありません」とご自身の著書の中で、当時の自民党政権を批判されました。民主党政権も鳩山内閣以後、菅・野田内閣と民意の裏付けとなる選挙を経ずに内閣が代わりました。ご自分の発言に責任を持つなら、やはり解散・総選挙で信を問うべきです。総理のお考えを伺います。
野田 国民への説明責任についてのご質問をいただきました。
まず、現在の政権期間中において消費税率の引き上げは行いません。従って公約違反ではありません。(会場の発言多数)
また、行政改革・政治改革など、身を切る改革も併せて包括的に実施をしてまいります。(野次が高まる。以後、この質問への答弁中ずっと野次が続く)
昨年の夏、民主党においてマニフェストの中間検証を実施を致しました。実現したものもある一方で、実現に至っていないものがあることを率直に認め、国民の皆様に反省とお詫びを申し上げたと承知をしています。
マニフェストに記載をしてない政策については、政府としてリーマンショック後の緊急景気経済対策の実施と新成長戦略の展開、地方交付税の増額、35人学級や学校耐震化の推進など、政権交代後の状況の変化に基づき、様々な事業を行ってまいりました。
大震災からの復旧・復興、原発事故との戦い、さらに日本経済の再生にも取り組んでまいりました。
私の選挙中の発言において行き過ぎや言葉足らずの点があったとするならば素直に反省し、国民の皆様にお詫びも致しますが、政府の政策は状況の変化の中で国民の皆様の声をお伺いをしながら優先順位を適切に判断していくことも必要と考えております。
とりわけ、社会保障・税一体改革を前政権から引継ぎ、避けては通れない、先送りすることはできない与野党共通の課題として実現を目指しております。そして、消費税率引き上げの最終判断は、具体的に税率引き上げを実施する半年前に行うことを想定をしており、現在の衆議院議員の任期中に民意を問い、新しい政権が引き上げの最終判断を行う事になります。
いずれにしましても、国民の皆様のご理解とご協力をいただけるよう、私をはじめ内閣が一丸となって、今回の一体改革の意義や具体的な内容を分かりやすくお伝えをしていく努力を尽くしてまいります。
次に、国民に信を問うべきとのご質問をいただきました。まず、現在の政権任期中において消費税率の引き上げは行いません。これは先ほど言った通りであって、従ってマニフェストには違反をしていません。
また、行政改革・政治改革など、身を切る改革をも併せて包括的に実施していくことは政府与党一致した合意でございます。
私の内閣においては、大震災からの復興、原発事故への対応、日本経済の再生、そして行政改革と政治改革の断行、この一体改革をやり抜いてまいります。
ご指摘のあった社会保障・税一体改革は前政権から引継ぎ、避けては通れない、先送りすることは出来ない与野党共通の課題として実現を目指しております。
民意の裏づけと言うお話でございますが、民主党は先の総選挙で現在の衆議院の任期において政権の付託を受けていると認識をしております。政策判断の是非については次の選挙において国民にご判断いただくべきものであり、やり抜くべきことをやり抜いた上でご判断を仰ぎたいと考えております。
Q10 社会保障改革の内容を明確に示せ
中曽根 この一体改革の素案のもう一つの問題は、社会保障改革の内容です。
素案では、「速やかな」、「早期に」、「できる限り」、「引き続き検討する」など、歯切れの悪い役人言葉ばかり並べ立てられ、どんな改革を行うのかもハッキリ示されていません。
逆に、消費税の増税については、平成26年4月に8%、27年10月に10%というスケジュールをハッキリ決めています。
レストランで料理のメニューも見せてもらえずに料金だけ払わされるようなものであると批判する人もありました。このような改革では国民の将来への不安を払拭することはできず、かえって社会保障への不信が募る結果になることは目に見えています。
また、岡田副総理は「抜本改革には更なる増税が必要」と発言されていますが、消費税を10%に引き上げるかどうかという議論がまだ国会で行われてもいない段階で、しかも政府・民主党の歳出削減策も不十分な状態で、追加の増税に言及するなど、国民も困惑していると思います。
政府はまず年金改革を含む社会保障の全体像を明確に示すことが必要であり、将来的にどの位の国民負担を求めることになるのかを明らかにすべきであると考えます。
総理から明確な説明を求めます。
野田 社会保障改革の全体像、将来的な国民負担についてのご質問をいただきました。社会保障・税一体改革素案では、子供・子育て・医療・介護・年金など、社会保障制度全般にわたる改革の全体像を示しております。この中では、新しい年金制度についても基本的な考え方を示し、国民的合意に向けた議論や環境整備を進めた上で平成25年に法案を提出することとしています。
また、社会保障に要する費用については、昨年6月に一体改革素案の改革についても一定のものを盛り込んだ費用の推計を参考にお示しをしております。(発言多数)
まずは社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成への第一歩である一体改革の実現に向けて、国民のご理解を得られるよう、分かりやすく丁寧に情報発信をしてまいります。
<震災・原発対応>
Q11 復興予算はこれまでにいくら執行されているか
中曽根 次に、東日本大震災と、原発事故への対応について伺います。昨年、自民党を始めとする野党も全面的に協力して、震災復興のための第一次から第三次までの補正予算が成立致しました。あわせて15兆円が、本格的な復興のために使われることになっています。
復興事業は、菅前総理の復興を人質にした政権居座りや、その後の野田政権の動きの鈍さによって大幅に遅れ、未だガレキが山と積み上げられています。補正予算は速やかに執行されてこそ効果が上がるものです。被災地では、3度の補正予算で計上された約15兆円のうち、現在までに執行された予算額はどれ位なのでしょうか。責任ある予算執行が出来ずに遅れている部分があるのは何故なのか、総理から被災地の皆さんが理解できるご説明を頂きたいと思います。
野田 補正予算の執行状況についてご質問をいただきました。日々執行される補正予算の執行額の総額の集計には一定の時間を要することや、補正予算で措置した事業は基金事業のように国庫からすぐに支出が為されるもの、実際に基金から必要な資金が支出されて始めて事業の効果が発現するものなど様々であり、国庫から支出済みの金額では復興事業の実態を必ずしも把握したとは言えないことから、むしろ主要な事業ごとに事業の実質的な進捗状況の把握に努めているところであり、具体的に申し上げれば、たとえば被災者生活再建支援金補助金については、1月10日現在で約21万1千件の申請のうち約20万件の1902億円について振り込み手続きを終了を致しました。応急仮設住宅の建設については、同じく1月10日現在で約5万2千戸完成し、このうち約4万8千戸に被災者の方が入居をされております。瓦礫処理については、1月11日現在で、54市町村に対し、3222億円を執行済みでございます。などの進捗状況になっているものと承知をしております。
いずれにせよ、被災地の一日も早い復興を目指し、復興予算を円滑・迅速に執行をしてまいります。
Q12 議事録を作成しなかった問題について官房長官の責任をどう考えるか
中曽根 次に、原発事故対応について伺います。
政府が原子力災害対策本部や緊急災害対策本部などの震災関連の組織の会議の議事録を作成していなかったことが明らかになりましたが、(発言多数)これは、政府の杜撰な事故対応を象徴しています。議事録がなければ、当時の政府の事故対応が適切であったかどうかの検証が出来なくなり、政府の責任は極めて重いものであります。(発言多数)当時の官房長官等の責任について総理はどの様に考えるのか見解を伺います。(発言多数)
野田 震災関連の組織の会議の議事録についてのご質問をいただきました。政府としては、原子力災害対策本部や緊急災害対策本部などの議事内容や決定事項は、基本的には記者会見や報道発表を通じて情報を発信してきたところでありますが、(発言多数)今般の緊急事態に各本部の議事内容の一部または全部が文書で随時記録されていなかったことは事実であり、まことに遺憾であります。(激しい野次多数)
公文書管理法では事後も含めて行政組織の意思決定の課程や実績について文書作成が求められているところであります。加えて、東日本大震災に対応するため、設置された会議における意思決定の課程や実績が把握できる文書の作成は、国民に説明する責任を果たすためにも極めて重要であります。
このため、本日朝の閣僚懇において、岡田副総理から関係閣僚に対して、議事内容の記録の一部または全部が作成されていない会議については議事内容の記録作成を可能な限り迅速に行うよう指示を行うとともに、各府省において公文書管理法に基づく公文書管理の徹底を図るよう指示をしたところでございます。(野次多数)
Q13 原発事故の収束宣言への撤回要求や懸念にどう答えるか
中曽根 さて、総理は昨年12月、事故の収束宣言を行いました。しかしながら、まだ問題が種々残っているということで、福島県議会は、全会一致で、収束宣言の撤回を求める意見書を採択しています。また、海外からも、宣言は時期尚早ではないかという懸念が寄せられました。総理は、これらの意見書や懸念に対して、どのようにお答えになるのか、伺います。
野田 続いて、原発事故収束のステップ2完了宣言に関するご質問をいただきました。東京電力福島第一原発それ自体については、専門家による緻密な検証作業を経て、原子炉が冷温停止状態に達したことを確認したことから、発電所の事故そのものは収束に至ったと判断し、ステップ2が完了したことを宣言を致しました。
このステップ2の完了宣言については、IAEAなど海外の原子力機関から歓迎する旨の声明が為されているものと承知をしています。
このように、発電所の中の事故そのものについては一つの区切りがつき、周辺住民の方々に再び避難をお願いをせざるを得なくなることは無くなったという意味において、発電所の事故そのものは収束に至った旨を申し上げましたが、このような区切りがついたことを踏まえ、警戒区域の解除や避難指示区域の見直しを検討する段階に移って来ているところであり、出来るだけ早期に避難者が帰郷できる環境を整えてまいりたいと思います。
他方、言うまでもなく、周辺地域の除染をはじめ、原発事故との戦いは決して終わってはいません。発電所の安全維持に万全を期しながら、廃炉に至る最後の最後まで全力を挙げて取り組んでまいります。
Q14 除染の範囲・方法・スケジュール・費用の見通し
中曽根 除染作業についても伺います。今後、どのような範囲・方法・スケジュールで除染作業を行うのか、その費用はどの程度になるのか、現段階の見通しをお教え下さい。
野田 次に除染と瓦礫処理についてのご質問をいただきました。
除染については、本年1月1日に全面施行となった放射性物質汚染対処特措法に基づき、国が責任を持って迅速かつ着実に除染を進めてまいります。
具体的には、現在の警戒区域および計画的避難区域に相当する地域は国が、その他の地域のうち放射線量が年間1ミリシーベルト以上の地域は市町村が中心に除染を行います。
そのうち、国が直轄で除染を実施する地域については、年度末を目途として除染の実施計画を策定して本格的な除染を実施してまいります。また、市町村を中心に除染をしていただく地域についても、迅速に進められるよう、国として必要な財政的技術的措置に万全を期します。
除染費用に関しては、復旧・復興予備費、第3次補正予算により、既に4660億円を確保しています。これらに平成24年度予算要求等をあわせ、当面の費用として総額1兆1千億円超の財政措置を計上しています。
Q15 中間貯蔵施設の場所選定の現状はどうなっているか
中曽根 また、除染に伴う廃棄物の処理も大きな問題です。現在、仮置き場や中間貯蔵施設の場所選定が難航しています。一刻も早く中間貯蔵施設などの場所を選定すべきですが、この遅れが復興の妨げになっています。ガレキ処理には政府の一層の努力を求め、現状について総理からご説明願います。
野田 除染に伴って生じる土壌等の処分のための施設は、円滑かつ迅速な除染の実施に不可欠でございます。国としては市町村とともに仮置き場等の確保に取り組みます。また、中間貯蔵施設については、平成27年度より供用を開始できるよう、関係市町村および地域住民の理解と協力を求めつつ、しっかりと取り組んでまいります。
また、災害廃棄物の処理については、現在までに約7割の災害廃棄物の仮置き場への移動を完了しています。今後は平成26年3月までを目途に処分を完了するよう、広域処理の推進など、国としても積極的に役割を果たしてまいります。
Q16 現在の指針を上回る損害に対する賠償をどうするか
中曽根 住民への賠償も急ぐ必要があります。政府は、避難指示区域外の23市町村の住民に、一人当たり8万円、子どもと妊婦には40万円という賠償指針を示しました。しかし、実際の損害額は、とてもこれで納まるものではなく、また県内全域を対象とすべきとの声もあります。この指針を上回る損害に対し、迅速に、適切な額の賠償を行う方法について、政府の方針を伺います。
野田 自主的避難に対する原子力損害賠償に関するご質問を頂きました。原子力損害賠償紛争審査会においては、法律家などの有識者が集まり、様々な要素を勘案・議論して、原子力事故との相当因果関係が住民に一律に認められる対象区域と損害額を指針で定めたものであります。また、指針は迅速な賠償のための目安を示すものであり、指針で示された金額を超えて支出された実費や、指針に明示されていない区域の住民についても、個別具体的な事情に応じて、事故との相当因果関係が認められれば賠償の対象となり得ることが指針にも明記をされています。
政府としては、原子力損害賠償紛争解決センターによる和解の仲介などの枠組みを活用しながら、被害者の方々に対し、迅速・公正・適正な賠償が実現するための取り組みを全力で進めてまいります。
Q17 住民の健康管理に関する政府の対応方針は?
中曽根 住民の方々の健康管理も重要です。今回のような低線量被ばくの健康への影響は、わかっていない部分もあります。中長期的に検査をして、健康管理を行う必要があると考えますが、政府の対応方針をご説明下さい。
野田 福島県民の健康管理に関するご質問もございました。福島県では県民の皆様の謙光を中長期的に管理するため、県が主体となって全県民を対象とした健康診査や、18歳以下の子供を対象とした甲状腺超音波検査を継続して行うことなどを内容とする県民健康管理調査を実施をしています。政府としては、平成23年度2次補正予算において、住民の皆様の健康を確保するために必要な事業を中長期的に実施できるように、福島県の基金造成に対して722億円の予算を措置することで、こうした福島県の取り組みを全面的に支援をしています。
今後とも、福島県の住民の方々の健康管理に万全を期してまいります。