1月31日 参議院予算委員会 紙智子氏(共産党)TPP 情報公開の限界・米国パブリックコメントの中身 |
動画:http://www.youtube.com/watch?v=lUN4eM5hO7s
紙 委員長。
石井一委員長 はい。紙智子さん。
紙 日本共産党の紙智子でございます。ええと、最初にお願いしておきますけれども、あの、時間が10分間ということですので、ご答弁簡潔にお願いをしておきたいと思います。
TPP参加に向けた事前協議を巡って、野田総理にお聞きします。総理はTPP交渉参加については国民にきちんと情報を提供し、十分な国民的議論を経て結論を得ると言われました。
しかし、ニュージーランド政府の公式発表によって、これ交渉内容については途中経過は限られた対象にしか明らかにせず、協定発効後4年間は秘匿されるという合意があると、このことが明らかになりました。先日の衆議院での我が党の委員長へのこの答弁で、このことはあなた自身も認められました。
で、その上で、相手国が非公開として提供する文書はその国の意向を尊重するのは通常の慣行に沿ってるんだと、で、協議で得られる情報については、出せるものは出していくというふうに述べられました。
しかしですね、これでは国民は納得できない訳ですよ。出せるものは出すっていうんですけども、相手の国が出せないものは国民に明らかにしないということになるんでしょうか。(着席する)総理に聞きました。(会場「総理」)
委員長 まあそれじゃ、ひと言で簡単に。時間が10分ですから。
紙 (着席で)時間がないので。
玄葉外務大臣 もう以前から申し上げておりますけど、条文案ってのは参加国間でそれぞれ出さないという申し合わせがあるということであります。テキスト、条文案です。
野田内閣総理大臣 これはあの、本会議でもご答弁させて頂いたんですけれども、ニュージーランドの外務貿易省のホームページに、御指摘の通り、TPP交渉中のテキストおよび交渉の過程で交換される他の文書を秘密扱いされる旨の記述が記載をされているということでございますが、一般に外交交渉においては交渉相手国が非公開として提供する文書については当該国の意向を尊重することは当然であると考えます。実際この記述においても、これは通常の交渉の慣行に沿った扱いであるとされております。
その一方で、TPP交渉参加国政府は一貫してTPP交渉に関する透明性の向上にともに尽力してきている旨記載をされているところでございます。
いずれにしましても、交渉参加に向けて協議を行っている段階であり、協議を通じて得られる情報について、さっき申し上げたように交渉相手国の、あの、色々の立場もありますけれども、得られるものについて、出せるものについては出していくという姿勢を国民的な議論に供じていきたいというふうに考えております。
紙 あの、昨日の本会議の答弁と同じものを読み上げてるだけだと思います。で、今の答弁ですと、APECの時にあなたが明言をされた、きちんと情報公開をするという約束、これは果たさないってことじゃありませんか。そしてですね、相手が出せない情報っていうのは、日本にとっては、これ、不利なことですよ。国民的な十分な議論を行うと、そのための前提となることが崩れるということですよ。
で、あなたはそれを分かっていたのに、結局これきちんと情報公開するってことをおっしゃってきたんですか。これは国民を騙すことになりませんか。
委員長 玄葉外務大臣。(「総理!」「総理に聞いてるんだよ!」)
玄葉 これ基本的にはですね、テキストについては以前からですね、出てきませんと。ただ、それぞれの国に情報収集に行ってます。で、それを整理してですね、情報というのをきちっと出して行きますので、そういう意味ではですね、国会であってもですね、あるいはそれぞれの党の部門会議、そういったことでもいいんですけれども、またこれから各地を古川大臣中心に歩かれるということも、おそらくあるのかも知れません。そういう意味でですね、それぞれにおいてしっかり情報を出していくと言うことでございます。
紙 外務省流のね、理屈だと思いますけども、これあの、大事な情報隠したまま交渉進めればですね、必ず矛盾をきたすことになるんですよ。
あの、韓国で米韓のFTAを締結をして、これ、批准に至る過程でもですね、議会にも、それから国民にも、明らかにならない部分があった訳ですよ。そういう中で今大統領選挙に関わるような、揺るがすようなですね、大変な問題になってることをご存知だと思うんですね。
あの、ラチェット規定、一度決めた自由化は、あとで気がついて駄目だと思って変えようと思ってもできないとかですね、それからさっきもお話ありましたけれども、ISD条項ですね。これはあの、米国の企業の投資を守るためにですね、相手の国の政府を訴えることができるという中身です。これがあとから分かって問題になってですね、それで今交渉をやり直せと国会決議が上がってることを、総理、ご存知ですよね。(「総理」「総理」)
委員長 野田内閣総理大臣。(玄葉外相が立ち上がる。「総理」「総理」)
野田 あの、米韓のですね、両国間の関係について私がどうのということは差し控えたいと思いますが、そのような国会での決議が出ているということは承知をしております。
紙 あのね、日本と無関係じゃないんですよ。だってですね、先日総理ね、バーシェフスキー元米国の通商代表は、これ日本経済新聞のインタビューで何て言ってるかっていうと、日本との関係では韓国から引き出した以上の譲歩を求めたいと、こう言ってコメントしてるんですよ。
にも関わらずその中身が国民に明らかにならないっていうのはね、これ、本当に許されることなんでしょうか。私はね、おかしいと思いますよ。そして実際に米国は何を日本に対して求めてるのかということでですね、総理、事前協議に対して、米国の通商部で日本との物品とサービス貿易に関する関税の撤廃および非関税障壁の撤廃などについて、これ国内の、米国の国内の業界などからの意見公募をやってますよね。あの、パブリックコメントですね。これ13日までに113件出されたことが公開をされました。これは総理、お読みになりましたか。
野田 あの、ざっと資料というか結果は目を通させていただいております。で、御指摘の通りですね、1月の13日に米国政府官報告示による意見募集、いわゆるパブリックコメントが締め切られまして、期日までに113件の意見が提出をされたと承知をしています。
で、これらの意見は米国政府に対して提出されたものであり、米国の方針は今日意見募集の結果も踏まえて検討されるものと承知をしています。あの、中には色んな意見がありますが、あの、全体として肯定的な意見が、あの、大勢であったというふうに思いますし、ただしこの肯定的な意見であっても、コメであるとか食品添加物を含め、関税・非関税障壁等への対応を求める意見が付されていると、そういう傾向もございましたし、あの、パブリックコメントの中からは、日本の団体が出してるものも散見をされました。
紙 あの、私も読みましたけれども、驚くべき中身ですよね。で、今一部触れましたけども、日本への要求っていうのはあらゆる分野に関わっていますよ。そしてですね、その中でも、たとえば今紹介ありましたけど、全米精米連盟は全てのコメの関税を無くして残留農薬検査についても緩和すべきだっていうことを言ってます。(西田「言いたい放題だ」)
それからですね、全米の酪農連盟は、乳製品の関税を撤廃するとともに、食品の添加物認証システムを緩和すべきだっていうことを要求してますよ。
それからですね、ウォールマートストア、ここもですね、コメや乳製品その他の食料品など、関税を撤廃すれば、自分たちの売り上げの利益が上がるんだというふうに言っていますよ。
全米商工会議所、ここもですね、政府調達から農業や医薬、医療器具に至るまで、市場開放を要求すると。
ま、みんなですから言ってることはですね、自分たちの利益を上げるために、もう言いたい放題なんですよね。で、これはですね、日本にとってはどれも到底受け入れることはできない、できないものですよ。で、総理、これに対してね、どう対応するのかと。で、ちょっと具体的に言います。抽象的な答弁困りますから言いますけども、コメは、これ、重要品目としてしっかり守るっていうことをやれるのか、あるいはその乳製品について守るのかどうか、それから食品の添加物のこの認証、承認システムですね、これについて緩和するという要求を拒否するのか、これらについてどういう立場で対応されるのか。総理にお聞きします。(玄葉外相が手を挙げる。「総理!」「時間が無いんだ」枝野経産大臣が手を挙げる)
委員長 いやいや、あと1分ですから、総理にお答え頂きますか。はい、総理大臣。
野田 あの、パブリックコメントですから、色々なその業界のお立場から色んなご意見出されるのは承知していますが、たとえばあの食品添加物の話がございましたが、それが今の交渉参加してる国の間で議論になってるという話はありませんし、あの、パブリックコメントは色々出ますけれども、それが全てTPPの議論になっているということではないし、そこはあの、整理をしてお考え頂きたいと思います。
で、コメなどについてのいわゆるセンシティブ品目については配慮しつつ高いレベルの経済連携に臨むというのが、これ一昨年の11月の閣議決定でございます。
紙 断固として守るというふうに言って頂きたかったんですよね。なぜそこを言えないのかと。私は抽象的なことではね、これ、終わらない話な訳です。で、結局米国の多国籍企業がですね、日本の農産物の関税の撤廃だけじゃなくて、非関税障壁も含めてですね、これ撤廃を要求してると。さらに政府調達や保険や郵政などへの参入も強く求めてるんですよ、その中身を見ますと。そして自社の利益になることを語っていると。
どれを取っても、これ、米国の利益にはなるけれども、日本の利益を損なうことは明らかだと。そうである以上ですね、TPP参加ははっきりとこれ、止めるということを決断されるように強く求めて、質問を終わります。(拍手)
委員長 以上で紙智子さんの共産党の質疑は終了いたしました。