2014年 10月 04日
平成26年10月1日 平沼赳夫議員代表質問(衆院本会議) |
はじめに、夏の豪雨にともなう土砂災害および、御嶽山噴火でお亡くなりになられた方々に心よりお悔やみを申し上げるとともに、被災された方々に御見舞を申し上げます。
私は次世代の党を代表して安倍総理の所信表明演について質問をいたします。次世代の党は、自立、新保守、次世代をキーワードに、日本の国のあり方を日本人自身の手で決定する自主憲法を制定することを通じて、日本の独立と繁栄を守るとともに、世界平和と人類社会の進歩に貢献することを目指し、8月1日に結党いたしました。
少子化対策・女性政策
言うまでもなく、保守とは改革を否定するものではありません。むしろ、祖先より受け継いだ民族性・文化を守り伝えていくために、いわば国柄を守るためには、疲弊した制度を徹底的に改革していくことが求められます。しかし、安倍総理の進める少子化対策、女性政策が、果たして我が国の国柄を守り抜いていくことにつながるか、大いに疑問を持っております。
と申しますのも、総理は、女性が輝く社会を目指すと表明されていますが、それは、子育ては社会でやるから女性も外に出て働くべきといったような、いささか乱暴な主張に聞こえてしまうのです。
確かに、能力と意思がありながら働きたいのに働けない、働ける環境にない、その思いを抱いている女性に働ける環境を提供することは重要であります。
しかし、その一方で国立社会保障人口問題研究所が2008年に実施した調査によれば、子供が3歳になるまでは家庭で子育てに専念したいと考える女性が8割を越えております。
人生には様々なステージがあり、そのステージごとに女性が望むライフスタイルも異なるのです。よって、共働きの女性も専業主婦も、その時時で、時どきにおいて、様々な選択が可能となるような社会を目指さなければならないと思っておりますが、総理のご見解をお伺いいたします。
次世代の党は、子育て支援、少子化対策として、三世代同居や近居への支援を強化すべきと考えています。祖父母から孫までがスープの冷めない距離に住むことにより、家庭の大切さを感じながら育つことは、子どもたちへの高い教育的効果が図れるものと考えます。
国立社会保障人口問題研究所の調査によれば、両親と同居または近くに住んでいる女性のほうが、出産後も働き続ける割合が高いという結果が報告されています。つまり、子供を産み育てやすい環境とは、両親が同居または近くに住んでいる状態であることが読み取れます。
このような子育て世代のニーズを踏まえ、三世代同居住宅建設または近居への支援や、世帯単位課税等大家族に有利な税制の導入など、家族でともに支えあい、助けあいながら生きていこうとする人たちに対しては国がもっと支援するべきだと思いますが、総理のご見解をお伺いをいたします。
非正規雇用
関連して、非正規雇用問題についてご質問を致します。正社員になりたいがなれない、不本意非正規雇用者は、25歳から34歳の若い世代に多く、非正規雇用者の賃金は正社員に比べて4割近くも低い現状が指摘されています。同一の労働には同一の賃金が支払われるべきです。また、正社員と比較した場合の非正規労働者の能力トレーニングの機会は不十分であり、その面でも格差があります。
若者の能力を最大限に活用するための能力開発とキャリアパスを作る仕組みが必要と考えますが、総理はどのようなお考えでしょうか。ご質問いたします。
食の安全確保・規制改革
農林水産業の発展は資本経済に直結するテーマであるだけでなく、食の安全という国民の健康を左右する極めて重要な問題です。農林水産業に対する新規参入をさらに進めると同時に、食の安全を向上させる仕組みを整えるべきだと思いますが、農林水産業の活性化と食の安全確保についての総理のご見解をお伺いをいたします。
農林水産業以外の分野でも、医療やエネルギーなどで大胆な規制改革を進めていけば、必ず新しいビジネスが生まれてくると思います。しかし現状では規制改革が不十分であるため、自由な経済活動が制限されたままである一方で、円安に伴うガソリン、輸入資材の高騰が、とりわけ地方の中小企業にダメージを与えています。よって、円安に伴う緊急の中小企業対策とさらなる規制改革を同時に進めるべきだと思いますが、総理のご見解をお伺いをいたします。
消費税
消費税増税についてご質問いたします。厳しさを増す財政状況を考えれば、中長期的には消費税増税の必要があることは私どもは認めます。しかし、4月から6月期のGDPの成長率が年率マイナス7.1%と大きく落ち込み、景気回復が遅れる現今の経済状況において、消費税率を上げる判断が正しいとは思いません。増税の前にやるべき改革があります。
次世代の党は、公会計を現金主義、単式簿記から、発生主義、複式簿記へと変える公会計改革を提案しています。具体的には、財政健全化責任法案や公的年金制度の世代間格差を是正する法案を推し進めています。来年秋にも予定されている消費税増税は、慎重に検討し、まずこうした私達の提案を真摯に受け止め、次世代のために財政規律を強化し、大胆な行財政改革、社会保障の抜本改革を断行すべきではないでしょうか。総理のご見解をお伺いを致します。
そもそもこの度の消費税増税は、税と社会保障の一体改革を断行し、歳出の穴を塞ぎ、持続的な社会保障制度を実現していくためのものでございました。
ところが、高齢者の医療費負担はわずか1割なのに対して、日本の将来を担う子どもたちや国民健康保険の現役世代の負担は3割です。次世代や現役世代に大きな負担を強いている社会保障制度の改革の先送りは絶対に許されないと思いますが、税と社会保障の一体改革が遅々として進んでいない現状について、総理のご見解をお伺いいたします。
外国人への生活保護・移民政策
去る7月18日、最高裁判所は、永住外国人は生活保護法の適用対象ではないと初めての判断を示しました。生活保護法は、対象を国民に限定しており、解釈を曖昧に運用してよい問題ではありません。現在、所帯主が日本国籍を有さない生活保護受給世帯に属する人員は7万4千名を越えます。金額は、厚生労働省は実態を把握しておらないようですが、受給人数から単純計算すると、おそらく、1200億円はくだらない額に上がっているものと思われます。これは決して少ない額ではありません。最高裁判決を踏まえ、生活保護制度は国民に限定すべきと考えますが、総理のご見解をお伺いいたします。
さて、6月に改正された日本再興戦略には、外国人材の活用として、技能実習制度の拡充や、建設および造船分野での外国人材の活用、国家戦略特区における家事支援人材の受け容れなどが謳われています。新しい在留資格の創設は移民政策につながるのではないかという疑問を持つ国民も少なくありません。我が次世代の党は、文化的・社会的影響を顧みない移民の大量受け入れには慎重であるべきと考えています。
そもそも、政府は外国人の生活保護の全体像すら正確に把握できておらず、日本在住の外国人に対する対策は不十分です。そこで、まず、外国人労働者に対する実態、特に外国人労働者が地域社会の与える影響などを徹底的に調査し、その結果を国民に公表すべきと考えますが、総理のお考えをお伺いをいたします。
エネルギー政策
エネルギー政策について質問いたします。所信表明演説では、規制緩和による水素の活用に言及がありました。次世代の党の結党大会では、海上メガフロートに1万基の風力発電機を設置し、そのエネルギーで海水から水素を作ることによって、全国で消費されるガソリンのすべてを水素に置き換えることを提案いたしました。水素ステーションの活用と合わせて、再生可能エネルギーを利用した水素の製造とガスライン構築によって、エネルギー自給率100%の国を目指すべきと考えますが、総理はどうお考えでしょうか。
関連して、今年の上半期の経常収支は赤字となりました。原発再稼働の遅れによる燃料輸入費用の増大が大きな原因であります。原発の再稼働は必要であると考えますが、原子炉が冷却できなくなれば危機的事態になることが知られるようになった今日、テロリストに狙われる危険があり、原発再稼働の条件として、自衛隊による原発の警備を変えることを検討すべきと考えておりますが、総理のご見解をお伺いいたします。
教育
教育について質問いたします。平成18年12月、第一次安倍内閣の元で教育基本法が改正されました。しかし、教育現場には、歴史と伝統を尊重し、公共の精神を重んずる日本国民の育成という改正教育基本法の目的が浸透しているとは思えません。今日本に必要な教育は、世界で活躍できる立派な日本人を育てる教育であります。そのためにも、日本という国家を担う自覚と、バランスのとれた視野の広い歴史観を持つ日本人を育て、教育するため、高校での日本史の必修化と小中学校での道徳の教科化を急ぐべきだと思いますが、総理のご見解をお伺いしたいと思います。
慰安婦問題
慰安婦問題についてご質問いたします。慰安婦強制連行説の元となった吉田清治氏の話はまったく根拠の無い虚偽であったことは、朝日新聞が認めました。また、政府の調査によると、強制性を客観的に裏付ける証拠のないまま、河野談話が公表されたことが、2月20日の石原信雄元官房副長官の参考人発言により明らかとなりました。ところが、河野談話はいまだに政府の正式見解として扱われ、慰安婦イコール性奴隷説は是正されず、在外邦人は今もいわれなき非難にさらされています。河野談話は歴史的真実に基づき直ちに否定されなければなりません。総理に質問します。河野談話に代わる新たな官房長官談話を発表しないのでしょうか。また、現在使われている学校教科書の慰安婦記述の見直しはどうなっているのか、お答えをいただきたいと思います。
戦死者ご遺骨帰還
来年は終戦70年です。ところがいまだに南の島々に、先の大戦で散華された多くのご遺骨が帰還されていません。アメリカには、すべての兵士は故郷に返すを合言葉に、海外の兵士のご遺骨の帰還と鑑定を行う専門の組織として、米軍統合戦時捕虜行方不明者調査司令部、通称JPACがあります。次世代の党は9月11日、ハワイの本部を訪問し、JPAC司令官の(マッキール?)空軍少将と意見交換を行ったところ、日米合同で遺骨帰還事業を行うことが重要であるとの認識で一致しました。硫黄島もそうですが、先の大戦で日米両国の将兵が激戦を繰り広げたこともあって、ご遺骨が同じ場所に眠っていることが多く、日米合同で事業を実施したほうが効果的だというのが理由の第一であります。
第二に、遺骨収集のためには、アジア太平洋のどこで戦闘が行われたのか、日米両国の持つ戦闘記録を共有していくことが必要であるからであります。そこで、終戦70年の記念事業として、日米合同でご遺骨の帰還事業を取り組むべきだと思いますが、総理のご意見をお願いを致したいと思います。
拉致問題
拉致問題についてお伺いをいたします。北朝鮮は、拉致された疑いのある方を含むすべての日本人拉致被害者に関して再調査を行い、夏の終わりから秋の始めにかけて初回報告を行うとしていましたが、調査は全体で1年程度を目標としており、現在はまだ初期段階にある、現時点でこの段階を超えた説明は行うことができないとの通報を行ってきました。前言を翻し、次回の報告時期も示さない不誠実な態度に、関係者は落胆させられました。特定失踪者を含めた拉致被害者全員の帰国が実現するまで日超国交正常化なしとの方針で粘り強く交渉を続けていくべきと考えます。拉致被害者の帰国なくして制裁制限なし、北朝鮮からの提案の平壌にやってこいなどというのは、拒否すべきだと思います。
この問題は外務省だけでなく、拉致対策本部、拉致議連、家族、民間の方々の知恵を合わせて、オールジャパンで取り組むべき問題であると考えます。特定失踪者を含めた拉致被害者の全員帰国についてオールジャパンで取り組むことについてどうお考えか、安倍総理の言葉でお答えいただきたいと思います。
中国の軍拡
さて、日本を取り巻く国際情勢は年々厳しくなる一方ですが、総理の所信表明演説には厳しい国際情勢についての言及がなく、安全保障を軽視しているかのような印象を、国民だけでなく、国際社会にも与えかねません。残念ながらこの度の所信表明演説は、国家の宰相として持つべき危機意識の欠如した、緊張感を欠いた作文と言わざるを得ません。あえて申し上げますが、隣国の中国の軍事費は、公表分だけでも、過去20年間で20倍となり、日本の数倍の軍事費を使って軍拡を進めています。その影響は極めて深刻です。
特に、中国のミサイルは日本全土をターゲットにしているにも関わらず、巡航ミサイルや弾道ミサイルを保有していない日本の防衛体制は極めて脆弱です。9月にホノルルでアメリカの太平洋海兵隊司令部でも意見交換をしましたが、抑止力強化のためにはアメリカ海兵隊との合同訓練を増やすとともに、潜水艦を増強し、巡航ミサイルを配備するため、日本の防衛費を思い切って増額する必要があると認識しますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
防衛関連法
防衛面での法整備についてお伺いします。法整備で大事なのは、今の自衛隊法など、ネガリスト方式、つまり、できないことを列挙する方式に変えることであると認識します。ポジリストと呼ばれる現行の自衛隊法では、防衛出動、海上警備行動など、事態ごとに対応措置が規定され、想定外の行動ができません。そこで、次世代の党は現在、国家安全保障基本法案を準備し、ネガリスト方式への転換を目指そうと考えていますが、安倍総理の防衛関連法のネガリストへの転換について、賛成なのか、反対なのか、原則論で結構ですから、ご見解をお伺いいたしたいと思います。
海洋の安全保障
海洋の安全保障に関してお伺いいたします。次世代の党では、9月1日より、6人の国会議員がフィリピンを訪問し、沿岸警備隊や、下院国防安保委員長などと活発な意見交換を行いました。フィリピン側は、日本に、アジアの安全保障でイニシアチブをとってほしいとの要望が強く、海洋における法の支配を推進するための協力に関する共同文書に双方が署名、調印いたしました。今後、東南アジア各国や米国だけでなく、中国も引き入れる形で、海洋安全保証を推進する國際議連を創っていきたいと考えております。
次世代の党は9月8日からアメリカを訪問、米国上下両院議員らと活発に意見を交換してまいりました。集団的自衛権行使容認について高い評価を受けただけでなく、我が党がフィリピン側と設立した、アジアにおける海上安全保障のための議員連盟に対し、好意的な形で賛同をいただきました。こうした議員間の海洋安全保証メカニズム構築についてどのように認識されているか、総理のご見解をお聞かせ下さい。
長年、自民党本部に掲げられた自主憲法制定推進本部の看板は、いつのまにか憲法改正推進本部になっておりました。私自身、落選を二度経験しながらも、最初の選挙から、公約の第一に、自主憲法制定を掲げてまいりました。
以来38年、ようやく憲法改正のための国民投票も整備され、新たな憲法を制定できる機運が高まってまいりました。ところが、今回の所信表明演説には、憲法改正という文字はありませんでした。まことに残念でなりません。次世代の党は安倍総理に代わって、国会の同士に申し上げます。日本人の手による日本人のための憲法を制定することに是か非かという大局の視点に立ち、何としてでも衆参両院の3分の2の勢力を結集しようではありませんか。次世代に胸を張れる日本へ、次世代の党は終戦100年にあたる2045年の日本の姿を念頭に置きながら、自主憲法制定をはじめとする根本的な改革に勇気を持って取り組むことをお誓い申し上げ、私の代表質問を終わります。
私は次世代の党を代表して安倍総理の所信表明演について質問をいたします。次世代の党は、自立、新保守、次世代をキーワードに、日本の国のあり方を日本人自身の手で決定する自主憲法を制定することを通じて、日本の独立と繁栄を守るとともに、世界平和と人類社会の進歩に貢献することを目指し、8月1日に結党いたしました。
少子化対策・女性政策
言うまでもなく、保守とは改革を否定するものではありません。むしろ、祖先より受け継いだ民族性・文化を守り伝えていくために、いわば国柄を守るためには、疲弊した制度を徹底的に改革していくことが求められます。しかし、安倍総理の進める少子化対策、女性政策が、果たして我が国の国柄を守り抜いていくことにつながるか、大いに疑問を持っております。
と申しますのも、総理は、女性が輝く社会を目指すと表明されていますが、それは、子育ては社会でやるから女性も外に出て働くべきといったような、いささか乱暴な主張に聞こえてしまうのです。
確かに、能力と意思がありながら働きたいのに働けない、働ける環境にない、その思いを抱いている女性に働ける環境を提供することは重要であります。
しかし、その一方で国立社会保障人口問題研究所が2008年に実施した調査によれば、子供が3歳になるまでは家庭で子育てに専念したいと考える女性が8割を越えております。
人生には様々なステージがあり、そのステージごとに女性が望むライフスタイルも異なるのです。よって、共働きの女性も専業主婦も、その時時で、時どきにおいて、様々な選択が可能となるような社会を目指さなければならないと思っておりますが、総理のご見解をお伺いいたします。
次世代の党は、子育て支援、少子化対策として、三世代同居や近居への支援を強化すべきと考えています。祖父母から孫までがスープの冷めない距離に住むことにより、家庭の大切さを感じながら育つことは、子どもたちへの高い教育的効果が図れるものと考えます。
国立社会保障人口問題研究所の調査によれば、両親と同居または近くに住んでいる女性のほうが、出産後も働き続ける割合が高いという結果が報告されています。つまり、子供を産み育てやすい環境とは、両親が同居または近くに住んでいる状態であることが読み取れます。
このような子育て世代のニーズを踏まえ、三世代同居住宅建設または近居への支援や、世帯単位課税等大家族に有利な税制の導入など、家族でともに支えあい、助けあいながら生きていこうとする人たちに対しては国がもっと支援するべきだと思いますが、総理のご見解をお伺いをいたします。
非正規雇用
関連して、非正規雇用問題についてご質問を致します。正社員になりたいがなれない、不本意非正規雇用者は、25歳から34歳の若い世代に多く、非正規雇用者の賃金は正社員に比べて4割近くも低い現状が指摘されています。同一の労働には同一の賃金が支払われるべきです。また、正社員と比較した場合の非正規労働者の能力トレーニングの機会は不十分であり、その面でも格差があります。
若者の能力を最大限に活用するための能力開発とキャリアパスを作る仕組みが必要と考えますが、総理はどのようなお考えでしょうか。ご質問いたします。
食の安全確保・規制改革
農林水産業の発展は資本経済に直結するテーマであるだけでなく、食の安全という国民の健康を左右する極めて重要な問題です。農林水産業に対する新規参入をさらに進めると同時に、食の安全を向上させる仕組みを整えるべきだと思いますが、農林水産業の活性化と食の安全確保についての総理のご見解をお伺いをいたします。
農林水産業以外の分野でも、医療やエネルギーなどで大胆な規制改革を進めていけば、必ず新しいビジネスが生まれてくると思います。しかし現状では規制改革が不十分であるため、自由な経済活動が制限されたままである一方で、円安に伴うガソリン、輸入資材の高騰が、とりわけ地方の中小企業にダメージを与えています。よって、円安に伴う緊急の中小企業対策とさらなる規制改革を同時に進めるべきだと思いますが、総理のご見解をお伺いをいたします。
消費税
消費税増税についてご質問いたします。厳しさを増す財政状況を考えれば、中長期的には消費税増税の必要があることは私どもは認めます。しかし、4月から6月期のGDPの成長率が年率マイナス7.1%と大きく落ち込み、景気回復が遅れる現今の経済状況において、消費税率を上げる判断が正しいとは思いません。増税の前にやるべき改革があります。
次世代の党は、公会計を現金主義、単式簿記から、発生主義、複式簿記へと変える公会計改革を提案しています。具体的には、財政健全化責任法案や公的年金制度の世代間格差を是正する法案を推し進めています。来年秋にも予定されている消費税増税は、慎重に検討し、まずこうした私達の提案を真摯に受け止め、次世代のために財政規律を強化し、大胆な行財政改革、社会保障の抜本改革を断行すべきではないでしょうか。総理のご見解をお伺いを致します。
そもそもこの度の消費税増税は、税と社会保障の一体改革を断行し、歳出の穴を塞ぎ、持続的な社会保障制度を実現していくためのものでございました。
ところが、高齢者の医療費負担はわずか1割なのに対して、日本の将来を担う子どもたちや国民健康保険の現役世代の負担は3割です。次世代や現役世代に大きな負担を強いている社会保障制度の改革の先送りは絶対に許されないと思いますが、税と社会保障の一体改革が遅々として進んでいない現状について、総理のご見解をお伺いいたします。
外国人への生活保護・移民政策
去る7月18日、最高裁判所は、永住外国人は生活保護法の適用対象ではないと初めての判断を示しました。生活保護法は、対象を国民に限定しており、解釈を曖昧に運用してよい問題ではありません。現在、所帯主が日本国籍を有さない生活保護受給世帯に属する人員は7万4千名を越えます。金額は、厚生労働省は実態を把握しておらないようですが、受給人数から単純計算すると、おそらく、1200億円はくだらない額に上がっているものと思われます。これは決して少ない額ではありません。最高裁判決を踏まえ、生活保護制度は国民に限定すべきと考えますが、総理のご見解をお伺いいたします。
さて、6月に改正された日本再興戦略には、外国人材の活用として、技能実習制度の拡充や、建設および造船分野での外国人材の活用、国家戦略特区における家事支援人材の受け容れなどが謳われています。新しい在留資格の創設は移民政策につながるのではないかという疑問を持つ国民も少なくありません。我が次世代の党は、文化的・社会的影響を顧みない移民の大量受け入れには慎重であるべきと考えています。
そもそも、政府は外国人の生活保護の全体像すら正確に把握できておらず、日本在住の外国人に対する対策は不十分です。そこで、まず、外国人労働者に対する実態、特に外国人労働者が地域社会の与える影響などを徹底的に調査し、その結果を国民に公表すべきと考えますが、総理のお考えをお伺いをいたします。
エネルギー政策
エネルギー政策について質問いたします。所信表明演説では、規制緩和による水素の活用に言及がありました。次世代の党の結党大会では、海上メガフロートに1万基の風力発電機を設置し、そのエネルギーで海水から水素を作ることによって、全国で消費されるガソリンのすべてを水素に置き換えることを提案いたしました。水素ステーションの活用と合わせて、再生可能エネルギーを利用した水素の製造とガスライン構築によって、エネルギー自給率100%の国を目指すべきと考えますが、総理はどうお考えでしょうか。
関連して、今年の上半期の経常収支は赤字となりました。原発再稼働の遅れによる燃料輸入費用の増大が大きな原因であります。原発の再稼働は必要であると考えますが、原子炉が冷却できなくなれば危機的事態になることが知られるようになった今日、テロリストに狙われる危険があり、原発再稼働の条件として、自衛隊による原発の警備を変えることを検討すべきと考えておりますが、総理のご見解をお伺いいたします。
教育
教育について質問いたします。平成18年12月、第一次安倍内閣の元で教育基本法が改正されました。しかし、教育現場には、歴史と伝統を尊重し、公共の精神を重んずる日本国民の育成という改正教育基本法の目的が浸透しているとは思えません。今日本に必要な教育は、世界で活躍できる立派な日本人を育てる教育であります。そのためにも、日本という国家を担う自覚と、バランスのとれた視野の広い歴史観を持つ日本人を育て、教育するため、高校での日本史の必修化と小中学校での道徳の教科化を急ぐべきだと思いますが、総理のご見解をお伺いしたいと思います。
慰安婦問題
慰安婦問題についてご質問いたします。慰安婦強制連行説の元となった吉田清治氏の話はまったく根拠の無い虚偽であったことは、朝日新聞が認めました。また、政府の調査によると、強制性を客観的に裏付ける証拠のないまま、河野談話が公表されたことが、2月20日の石原信雄元官房副長官の参考人発言により明らかとなりました。ところが、河野談話はいまだに政府の正式見解として扱われ、慰安婦イコール性奴隷説は是正されず、在外邦人は今もいわれなき非難にさらされています。河野談話は歴史的真実に基づき直ちに否定されなければなりません。総理に質問します。河野談話に代わる新たな官房長官談話を発表しないのでしょうか。また、現在使われている学校教科書の慰安婦記述の見直しはどうなっているのか、お答えをいただきたいと思います。
戦死者ご遺骨帰還
来年は終戦70年です。ところがいまだに南の島々に、先の大戦で散華された多くのご遺骨が帰還されていません。アメリカには、すべての兵士は故郷に返すを合言葉に、海外の兵士のご遺骨の帰還と鑑定を行う専門の組織として、米軍統合戦時捕虜行方不明者調査司令部、通称JPACがあります。次世代の党は9月11日、ハワイの本部を訪問し、JPAC司令官の(マッキール?)空軍少将と意見交換を行ったところ、日米合同で遺骨帰還事業を行うことが重要であるとの認識で一致しました。硫黄島もそうですが、先の大戦で日米両国の将兵が激戦を繰り広げたこともあって、ご遺骨が同じ場所に眠っていることが多く、日米合同で事業を実施したほうが効果的だというのが理由の第一であります。
第二に、遺骨収集のためには、アジア太平洋のどこで戦闘が行われたのか、日米両国の持つ戦闘記録を共有していくことが必要であるからであります。そこで、終戦70年の記念事業として、日米合同でご遺骨の帰還事業を取り組むべきだと思いますが、総理のご意見をお願いを致したいと思います。
拉致問題
拉致問題についてお伺いをいたします。北朝鮮は、拉致された疑いのある方を含むすべての日本人拉致被害者に関して再調査を行い、夏の終わりから秋の始めにかけて初回報告を行うとしていましたが、調査は全体で1年程度を目標としており、現在はまだ初期段階にある、現時点でこの段階を超えた説明は行うことができないとの通報を行ってきました。前言を翻し、次回の報告時期も示さない不誠実な態度に、関係者は落胆させられました。特定失踪者を含めた拉致被害者全員の帰国が実現するまで日超国交正常化なしとの方針で粘り強く交渉を続けていくべきと考えます。拉致被害者の帰国なくして制裁制限なし、北朝鮮からの提案の平壌にやってこいなどというのは、拒否すべきだと思います。
この問題は外務省だけでなく、拉致対策本部、拉致議連、家族、民間の方々の知恵を合わせて、オールジャパンで取り組むべき問題であると考えます。特定失踪者を含めた拉致被害者の全員帰国についてオールジャパンで取り組むことについてどうお考えか、安倍総理の言葉でお答えいただきたいと思います。
中国の軍拡
さて、日本を取り巻く国際情勢は年々厳しくなる一方ですが、総理の所信表明演説には厳しい国際情勢についての言及がなく、安全保障を軽視しているかのような印象を、国民だけでなく、国際社会にも与えかねません。残念ながらこの度の所信表明演説は、国家の宰相として持つべき危機意識の欠如した、緊張感を欠いた作文と言わざるを得ません。あえて申し上げますが、隣国の中国の軍事費は、公表分だけでも、過去20年間で20倍となり、日本の数倍の軍事費を使って軍拡を進めています。その影響は極めて深刻です。
特に、中国のミサイルは日本全土をターゲットにしているにも関わらず、巡航ミサイルや弾道ミサイルを保有していない日本の防衛体制は極めて脆弱です。9月にホノルルでアメリカの太平洋海兵隊司令部でも意見交換をしましたが、抑止力強化のためにはアメリカ海兵隊との合同訓練を増やすとともに、潜水艦を増強し、巡航ミサイルを配備するため、日本の防衛費を思い切って増額する必要があると認識しますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
防衛関連法
防衛面での法整備についてお伺いします。法整備で大事なのは、今の自衛隊法など、ネガリスト方式、つまり、できないことを列挙する方式に変えることであると認識します。ポジリストと呼ばれる現行の自衛隊法では、防衛出動、海上警備行動など、事態ごとに対応措置が規定され、想定外の行動ができません。そこで、次世代の党は現在、国家安全保障基本法案を準備し、ネガリスト方式への転換を目指そうと考えていますが、安倍総理の防衛関連法のネガリストへの転換について、賛成なのか、反対なのか、原則論で結構ですから、ご見解をお伺いいたしたいと思います。
海洋の安全保障
海洋の安全保障に関してお伺いいたします。次世代の党では、9月1日より、6人の国会議員がフィリピンを訪問し、沿岸警備隊や、下院国防安保委員長などと活発な意見交換を行いました。フィリピン側は、日本に、アジアの安全保障でイニシアチブをとってほしいとの要望が強く、海洋における法の支配を推進するための協力に関する共同文書に双方が署名、調印いたしました。今後、東南アジア各国や米国だけでなく、中国も引き入れる形で、海洋安全保証を推進する國際議連を創っていきたいと考えております。
次世代の党は9月8日からアメリカを訪問、米国上下両院議員らと活発に意見を交換してまいりました。集団的自衛権行使容認について高い評価を受けただけでなく、我が党がフィリピン側と設立した、アジアにおける海上安全保障のための議員連盟に対し、好意的な形で賛同をいただきました。こうした議員間の海洋安全保証メカニズム構築についてどのように認識されているか、総理のご見解をお聞かせ下さい。
長年、自民党本部に掲げられた自主憲法制定推進本部の看板は、いつのまにか憲法改正推進本部になっておりました。私自身、落選を二度経験しながらも、最初の選挙から、公約の第一に、自主憲法制定を掲げてまいりました。
以来38年、ようやく憲法改正のための国民投票も整備され、新たな憲法を制定できる機運が高まってまいりました。ところが、今回の所信表明演説には、憲法改正という文字はありませんでした。まことに残念でなりません。次世代の党は安倍総理に代わって、国会の同士に申し上げます。日本人の手による日本人のための憲法を制定することに是か非かという大局の視点に立ち、何としてでも衆参両院の3分の2の勢力を結集しようではありませんか。次世代に胸を張れる日本へ、次世代の党は終戦100年にあたる2045年の日本の姿を念頭に置きながら、自主憲法制定をはじめとする根本的な改革に勇気を持って取り組むことをお誓い申し上げ、私の代表質問を終わります。
by kokkai-sokuhou
| 2014-10-04 23:47