2014年 10月 22日
平成26年10月22日 ザ・ボイスそこまで言うか 長谷川幸洋氏 |
飯田 今週は激動の一週間でして、週明けから閣僚二人ダブル辞任、小渕優子さん、松島みどりさんと。これね、政局に与える影響というのは大きいようですが…
長谷川 もちろん安倍政権、第二次安倍政権が始まって、最初の正念場であることはもう間違いないと思います。今週末、多分、各社みんな世論調査して、おそらく内閣支持率、5%から10%ぐらい下がってもまったくおかしくはないなと、こういう展開ですね。
飯田 5割前後、あるいは割るかもしれないと。
長谷川 割るかもしれない。
飯田 で、これ、夕刊フジあたりはですね、こういうことがあって、これで消費増税への影響というところで、厳しいんじゃないかというような見方も。
長谷川 もちろんです。ここに、まあ、僕、かねてこの番組でもお話してきたと思いますけど、消費増税はやるべきでない。で、景気は下がっています。色んな各種指標を見ても、IMFも下方修正しましたし、内閣府もそう。日銀だけがちょっと強気なんですけども、実は日銀の内部も私、取材してみましたが、はっきり言って意見は割れています。強気なのは黒田総裁くらいで、あとそれに連なる人たちぐらいで、私と同様に、景気は非常によくないと、消費税も、こういうタイミングで上げるのはいかがなものかというふうに思っている幹部もいらっしゃいます。ですから、日銀も相当弱気になっていると。
こういう状況で消費増税、元々やるような地合いじゃなかったんだけど、ここに加えて今回のこのダブル辞任で政権の求心力がやっぱり落ちてますから、そこで増税をやると、これははっきり言ってまたもう一段の支持率低下になって、これは危険水域に入ってきてもまったくおかしくないなと思いますね。
飯田 で、そこで消費増税をどう、政権としては判断するのかというあたりなんですが、今日、午前の菅官房長官の会見で、こんな発言がありました。
菅 まあ、よく申し上げますように、自民党には様々な考えの方がいるということは事実であります。そして、それぞれの考え方の方が様々意見交換をし、最終的にはこれは党で、党には税調というものがありますんで、そこで方向性等、様々な議論をしていくんだろうというふうに思いますし、政府については総理がですね、7-9の速報値、を見た上で、最終的に判断するという立場にはまったく変わりはないということです。
飯田 この発言が……
長谷川 この一番最後の部分なんですよ。「7-9の速報値」とおっしゃいましたよね。
飯田 7-9の速報値。
長谷川 速報値。これはね、「まったく変わりはない」と言ってましたけども、非常に変わりました。まったく変わったんです。
つまり、これまで政府は何て言ってきたかといいますと、7月から9月のGDPの改定値、改定値と言ってきたんで、速報値とは言ってないんです。
飯田 手元に9月22日の時事通信がありまして、「GDP改定値で判断は常識」と菅官房長官は会見で言っていた。
長谷川 そのとおりです。で、私も実は8月の22日に長官にインタビューしてますけども、そこでも12月8日という日にちまでおっしゃってました。その日に改定値が出るんですね。ところが、今日のこの午前の会見でお話しになったのは、速報値ということでありまして、速報値だと一ヶ月早まって、11月の17日です。国会会期中ということになります。この時に判断するというのは、これは今までの説明がまったく変わったんですね。
飯田 会期中にやるということになると、当然それで国会をやっていたら、消費税国会になっちゃいますよね。
長谷川 それもあるし、それで、今回のこのダブル辞任ではっきり言って内閣の支持率が落ちるでしょう。で、求心力が低下して逆風の中で、会期中に一ヶ月近く早めて判断するということは、これはズバリ言うと、私はこれ、消費税延期、凍結の流れを考えているんじゃないのかなというふうに見ますね。
飯田 この一ヶ月前倒しは非常にメッセージとして大きい。
長谷川 大きい。はい。で、かつ、さてそれで消費税凍結ということになると、この話には続きがあって、私はズバリ言うと、衆院解散、総選挙も視野に入れたんじゃないのかというふうに思います。
飯田 ほおおお。これ、菅さんが「速報値」って言ったのは、その裏のメッセージが込められている?
長谷川 つまり、これまで衆院解散というのは、一応慣例として国会会期中ということになっているんですよ。で、12月8日改定値を見てということになると、ここから30日までということですから、国会は閉じちゃっているんですね。だから、ということは、まず事実上もう解散はないと。来年の1月の通常国会までないということになりますけども、今日の会見であえて速報値と長官がおっしゃって、そのあと私もビデオ、官邸のサイトでホームページで確認しましたけども、はっきり「速報値」と言ってますし、そのあと、長官、ちょっと一瞬、顔をしかめる、ニカッとっていうか、ニヤッとするっていうかですね。
飯田 ちょっとこう、口が歪んでる感じ。
長谷川 口が歪んでる感じがやっぱりあって。うーん、これはと私は思ったんですけど。この速報値というのが言い間違いでないとすればですよ、言い間違いだったら、それ自体またニュースだと思うけど、言い間違いでないとすれば、会期中に判断するということになりますから、これは今までの慣例上、国会解散できるということですよ。衆院解散できるということですね。
で、この先の展開を見ると、やっぱり重たい懸案事項ばっかり、この内閣は抱えているんですね。つまり、原発再稼働、これ、国民の間で意見が分かれてますね。それから、来年1月以降通常国会が始まれば、例の集団的自衛権の法制化の問題、それから、11月、ちょっと手前に戻って11月で言うと沖縄知事選がある、などなど、要するに政権にとっては逆風になりかねないような重たい問題を抱えていて、今、追い風になるような材料がないんですね。
拉致問題が、もしかしたら拉致被害者たちが帰ってくるかもしれないという期待がものすごく高まりましたけど、これも実は先送りにどうもされて、北朝鮮に調査団を派遣するということが決まったということですよね。ですから、ちょっとそこも明るいニュースが消えかかっている。
飯田 そうか。11月17日って、前日の16日日曜日に、沖縄県知事選の投開票があった翌日なんですね。
長谷川 なるほど。そうですね。
飯田 全部が吹き飛ばされると。
長谷川 そうですね、そうですね。つまり、そうすると、今申し上げたような明るい材料がない中で、消費増税を先送りというのは、ある種サプライズの前向きなメッセージになるんですよ。
僕は、今、景気対策という話もあるけども、最大の景気対策は消費増税を延期することだと実は思っていて、サプライズすればそれだけで、「ああ、よかった」というふうに皆さん思うと思いますよ。だって、今、国民の色んな世論調査でも7割ぐらいが反対なんですから。で、重たい気分で財布の紐を締めているというのが現状ですから、そこで、「いやいや、これはもう当分延期です」という話になれば、それだけで明るいんですから、サプライズの前向きメッセージですよね。
そこで解散というのは十分にあり得るなと思いますね。
飯田 これはしかし、野党はたまったもんじゃないっていう。
長谷川 でしょう。実は、この番組が始まる前に、ある野党の党首の方にも電話して、ちょっと感触を聞いたんですけど、「それだけはやってほしくないシナリオだよな」と、今、おっしゃってましたよ。
飯田 そうですか。
長谷川 ええ、ええ。
飯田 これはでも、菅さんは当然オープンの場での発言ですから、政界の玄人から見たらピンと来るわけですか。
長谷川 来なきゃおかしいですよ。ピンと来なきゃ。だから、この記者会見、総理官邸でやっているわけですから、「速報値」と言ったあとに、本当だったら記者が追求して、「今、速報値と言いましたよね」と、「それは11月で、今までは12月8日の改定値だと言っていたものを、何で前倒しするんですか」という質問が出なきゃいけないんですよ。これは出なかった。
で、長官は、僕は最後、絶対待ってたんじゃないかと思いますね。
飯田 ああ、これ、質問出るまで待って出ないなっていって、これ、会見のほんと、シメのシメですもんね。
長谷川 そう。あのね、似たようなことがありましてね。前の北朝鮮の拉致問題の特別調査委員会設置の時ですよ。この時も、実は発表する前に四大臣会合というのを開くということを、この官房長官会見で言ったんですね、実は。で、四大臣会合を開くってどういうことかって、これはもしかしたら大ニュースになるんじゃないかと、そこで本当はピンと来なきゃいけないんですよ。長官はそれは実はわかって言っているんですよ。
飯田 ああ。
長谷川 わかって言っているんですよ。これ、誰から聞いたとは言わないけど。長官は、この四大臣会合というふうにしゃべったのは、実はこれ、サインを送っているんですよっていうことなんですよ。これは本当に誰から聞いたとは言わないけど、これ、500%確実な話ですけども、そういうふうに言っているんです。
それで、そういう時に、言う時に、長官は、これ、癖で、ニカッと笑うんですよ。私、もう長官と付き合い長いので、まあ、よくわかってるんですけど。
で、今、ビデオで見ても、一瞬ちょっと口元がね、しかめたような感じがあるんですよね。
飯田 カメラ正面から撮ってるんだけど、ちょっと横向いて、ん、口元動いたんですよね。
長谷川 僕はあれはね、記者の質問を、二の矢、三の矢が来るんじゃないかと思って待ってたんじゃないかなと思うんですね。そしたら当然それについての答えも全部用意していると思う。もちろん、用意してます。決まってます、そんなことは。
で、言い間違いだったら、もちろん、「あ、今のは間違い」と言うと思うけれども、こんな大事な問題で僕は長官が間違えるようなことはあり得ないと思いますから。
飯田 うーん、なるほど。
長谷川 で、これ、たまたま今、手元にあるの、これ、NHKですけどね、NHKでは、「速報値を見て判断する考えに変わりはない」というふうに長官がしゃべっているから、そのまま「変わりはない」というふうに記事で打ってるんだけど、これはものすごく変わったんですということを本当は書かなきゃいけないんですよ、報道機関が、メディアの側が。
ものすごく変わったんだから。実際に変わったんだから。
飯田 うん。ネットに、ねえ、いっぱい残っている過去の会見の様子を見ると変わってますからね。
長谷川 変わってますから。だから、そこは本当に突っ込まなきゃいけないんだけど、突っ込んでないんですよ。だからね、本当に甘いなと私は思いますね。
by kokkai-sokuhou
| 2014-10-22 21:47