2014年 10月 24日
10月22日WBS 潮目変わる? 消費税増税議論 |
ワールドビジネスサテライト 10月22日
動画:https://www.youtube.com/watch?v=3-mdxDGk6Tk
出演:大江麻理子アナウンサー
進藤隆富NY支局記者
6分24秒ごろから
テロップ:「潮目変わる? 消費税増税議論」
大江 では次のニュースです。安倍総理は消費税率を来年の10月に引き上げるかどうかについて、経済情勢を踏まえ、年内に判断します。しかし、自民党内では慎重な声がじわじわと広がっているようです。
<ビデオ>
山本幸三議員 次の消費税増税については慎重にタイミングを図るべきだと……
ナレーション 今日、自民党本部に集まったのは、消費税の増税に慎重な国会議員です。10%への引き上げは先送りすべきとの声が相次ぎました。
穴見陽一議員 8%増税でかなり実質所得が落ち込んでいると、畳み掛けるように再増税をするということは、日本全体の景気を減速させていく……
ナレーション その数時間後、会合を開いたのは、消費税率引き上げに前向きな税制調査会です。
野田毅自民党税調会長 いろんな場所で勉強する人たちもあるんで、それはそれで結構ですけど、偏ったバイアスを持ってやるよりもですね、正面から堂々と議論をするというのが本来の自民党のご政道でありますので……
ナレーション 野田税調会長は慎重派の議員を強く牽制しました。しかし、慎重派の会合には42人が出席。相次ぐ閣僚の辞任に加え、景気まで後退させてしまっては来年の統一地方選へ影響が出るとして、慎重派が数を増やしています。慎重派のキーマン、山本元計算副大臣を、大江キャスターが直撃しました。実は、山本氏は、夏頃までは予定通りの引き上げを主張していたのです。
大江 元々は再増税すべきだという意見から、途中で?
山本 輸出が強力に回復してきて、それで増税のマイナス効果を相殺してくれるだろうという前提の議論をしてたんです。ところが、この一回目、消費増税をやったあと、輸出が一向に伸びません。これはもう180度方針転換するしかないと……
ナレーション 山本氏は、対前年比でマイナスが続く実質賃金の上昇も必要だと訴えます。
山本 2016年度いっぱいかかるんじゃないかと。1年半待てば、次の2%あげても大丈夫というふうに、賃金自体がですね、上がってくると。
大江 その再増税しなかった場合は手の打ちようがないのではないか。
山本 たとえば、じゃあ、国債の信任が失われたとして売りに出されたら、日本銀行は買いまくればいいんですよ。そうしたら金利が高騰することはありません。
ナレーション 安倍総理の決断を前に、自民党内での議論が熱を帯びています。
大江 経済界でも増税に慎重な見方が。
宮川大輔 あ、旨い! 旨い。
ナレーション 今日、冬に向けた新商品の発表会を開いた牛丼チェーン大手の吉野家。去年の冬に登場した牛すき鍋膳を、今月末からリニューアルします。これまでよりも熟成させた牛肉を使い、旨味も増したと言います。発表会に登場した河村社長に聞くと……
河村泰貴吉野家社長 どうなんでしょう。慎重に今社内でも議論しているところですね。
ナレーション 吉野家の3月から8月までの決算は純利益が前の年と比べておよそ4.4倍と、好調に見えますが、一昨年の業績が振るわなかった反動が大きいと言います。そのため、増税には慎重な姿勢です。新しい牛すき鍋膳は40円値上げして、630円で提供します。今後はこうした高付加価値商品を積極的に打ち出すことで、さらなる業績改善を図ります。
河村 我々としてはより価値の高い商品であれば、600円台という価格帯でもお客様に受け入れていただけるんではないかというふうに考えております。今までご提供できていない価値というものをやっぱりどんどん作っていきたいなというふうに思っておりますけれども。
ナレーション 消費の現場では、増税時期の先延ばしを望む声も。百貨店の松屋銀座。明日から、松屋銀座として初めて、秋のビアガーデンを開きます。十勝ハーブ牛のバーベキューを提供。そして、日本産ウィスキーを使ったホットウィスキーで、これまで夏のものと思われていたビアガーデンに新たな価値観を打ち出します。
松屋販売促進課 服部延弘さん 商品を見る目が非常に厳しくなっていると思います。やはりそういった中で、商品以上の、それ以上の価値を何か付け加えるということが必要だと思いますし、そのまま何もしなければ、おそらくお客様の足が遠のいてしまうのかなと思います。
ナレーション 実は、百貨店の売上高は増税後6ヶ月連続のマイナスと、客足が鈍いのが現状です。東京、大阪など、都市部の売上は好調ですが、地方の売上が大きく落ち込みました。
服部 まあ、ちょっと先のほうがいいのかなとは思いますけども、2016年の4月というタイミングが、個人的にはやりやすいと思うんですけども。
ナレーション 全国のスーパーが集まる日本チェーンストア協会も……
日本チェーンストア協会 井上淳専務理事 再増税ということがデフレ脱却への道を閉ざしてしまうんではないかと、延期した場合に、そういう決断をした場合に、国債の暴落、どちらの判断にもリスクが伴うと……
ナレーション 増税の時期を巡って揺れ動く消費の現場。新たな増税に耐えられるのでしょうか。
<スタジオに戻る>
大江 さあ、ここまでは国内の動きをご覧頂きましたが、消費税再増税について海外はどう見ているんでしょうか。ニューヨーク支局の進藤さん、日本の消費税増税について、そちらではどういうふうに報じられているんでしょうか?
進藤 そうですね。大江さんがニューヨークで取材していたときほどの熱心さはないんですが、アベノミクスについての関心は依然として高く、週に2,3回は記事になっているんですね。で、最近多く目にするのは、消費税増税を延期すべきだという論調です。欧米の有力紙の最近の記事をちょっとまとめてみました。こちらです。
ニューヨーク・タイムズは「増税を延期し、構造改革をすべき」、ワシントン・ポストは専門家の言葉を引きまして「増税は馬鹿げた決断だ」、そして、フィナンシャル・タイムズは、安倍総理のインタビューを使いまして、「増税の延期を示唆した」というふうに伝えています。
各紙は増税の先送りの理由として、8%に引き上げたあとに日本の景気が悪化しているという点を指摘しています。増税後の反動減が大きく、アベノミクスは力不足でさらなる増税はむずかしいという論調が増えているんです。
専門家に聞きました。
ユーラシア・グループ スコット・シーマン シニアアナリスト Abe instead postpone the hike maybe for 18 months, rather than go ahead with his plan next year. (字幕:安倍総理は消費税の再増税を来年10月からさらに1年半延期すべき)
So, given those two headwinds on the performance of economy and the other, just kind of growing political opposition, (字幕 景気の悪化や政治的な逆風が強まっていることから)
we decided to reduce that probability from 70% to 60%. (字幕 予定通り増税に踏み切る確率を70%から60%に引き下げた)
進藤 この専門家は、日本がさらに消費税率を引き上げる確率は依然高いとしながらも、安倍政権の支持率の動向などに応じて見直すと強調していました。
大江 そうなんですね。ということは、そちらでは増税には反対という見方が多いということでしょうか?
進藤 そうでもありません。日本の財政再建という観点で言うと変わってきます。IMF国際通貨基金は、財政健全化のために予定通りの引き上げが不可欠というふうに指摘するなど、景気の刺激策と併せて増税に踏み切るべきという声もあります。安倍総理はどちらを決断するのか、海外の注目も高まっています。(15分17秒頃まで)
動画:https://www.youtube.com/watch?v=3-mdxDGk6Tk
出演:大江麻理子アナウンサー
進藤隆富NY支局記者
6分24秒ごろから
テロップ:「潮目変わる? 消費税増税議論」
大江 では次のニュースです。安倍総理は消費税率を来年の10月に引き上げるかどうかについて、経済情勢を踏まえ、年内に判断します。しかし、自民党内では慎重な声がじわじわと広がっているようです。
<ビデオ>
山本幸三議員 次の消費税増税については慎重にタイミングを図るべきだと……
ナレーション 今日、自民党本部に集まったのは、消費税の増税に慎重な国会議員です。10%への引き上げは先送りすべきとの声が相次ぎました。
穴見陽一議員 8%増税でかなり実質所得が落ち込んでいると、畳み掛けるように再増税をするということは、日本全体の景気を減速させていく……
ナレーション その数時間後、会合を開いたのは、消費税率引き上げに前向きな税制調査会です。
野田毅自民党税調会長 いろんな場所で勉強する人たちもあるんで、それはそれで結構ですけど、偏ったバイアスを持ってやるよりもですね、正面から堂々と議論をするというのが本来の自民党のご政道でありますので……
ナレーション 野田税調会長は慎重派の議員を強く牽制しました。しかし、慎重派の会合には42人が出席。相次ぐ閣僚の辞任に加え、景気まで後退させてしまっては来年の統一地方選へ影響が出るとして、慎重派が数を増やしています。慎重派のキーマン、山本元計算副大臣を、大江キャスターが直撃しました。実は、山本氏は、夏頃までは予定通りの引き上げを主張していたのです。
大江 元々は再増税すべきだという意見から、途中で?
山本 輸出が強力に回復してきて、それで増税のマイナス効果を相殺してくれるだろうという前提の議論をしてたんです。ところが、この一回目、消費増税をやったあと、輸出が一向に伸びません。これはもう180度方針転換するしかないと……
ナレーション 山本氏は、対前年比でマイナスが続く実質賃金の上昇も必要だと訴えます。
山本 2016年度いっぱいかかるんじゃないかと。1年半待てば、次の2%あげても大丈夫というふうに、賃金自体がですね、上がってくると。
大江 その再増税しなかった場合は手の打ちようがないのではないか。
山本 たとえば、じゃあ、国債の信任が失われたとして売りに出されたら、日本銀行は買いまくればいいんですよ。そうしたら金利が高騰することはありません。
ナレーション 安倍総理の決断を前に、自民党内での議論が熱を帯びています。
大江 経済界でも増税に慎重な見方が。
宮川大輔 あ、旨い! 旨い。
ナレーション 今日、冬に向けた新商品の発表会を開いた牛丼チェーン大手の吉野家。去年の冬に登場した牛すき鍋膳を、今月末からリニューアルします。これまでよりも熟成させた牛肉を使い、旨味も増したと言います。発表会に登場した河村社長に聞くと……
河村泰貴吉野家社長 どうなんでしょう。慎重に今社内でも議論しているところですね。
ナレーション 吉野家の3月から8月までの決算は純利益が前の年と比べておよそ4.4倍と、好調に見えますが、一昨年の業績が振るわなかった反動が大きいと言います。そのため、増税には慎重な姿勢です。新しい牛すき鍋膳は40円値上げして、630円で提供します。今後はこうした高付加価値商品を積極的に打ち出すことで、さらなる業績改善を図ります。
河村 我々としてはより価値の高い商品であれば、600円台という価格帯でもお客様に受け入れていただけるんではないかというふうに考えております。今までご提供できていない価値というものをやっぱりどんどん作っていきたいなというふうに思っておりますけれども。
ナレーション 消費の現場では、増税時期の先延ばしを望む声も。百貨店の松屋銀座。明日から、松屋銀座として初めて、秋のビアガーデンを開きます。十勝ハーブ牛のバーベキューを提供。そして、日本産ウィスキーを使ったホットウィスキーで、これまで夏のものと思われていたビアガーデンに新たな価値観を打ち出します。
松屋販売促進課 服部延弘さん 商品を見る目が非常に厳しくなっていると思います。やはりそういった中で、商品以上の、それ以上の価値を何か付け加えるということが必要だと思いますし、そのまま何もしなければ、おそらくお客様の足が遠のいてしまうのかなと思います。
ナレーション 実は、百貨店の売上高は増税後6ヶ月連続のマイナスと、客足が鈍いのが現状です。東京、大阪など、都市部の売上は好調ですが、地方の売上が大きく落ち込みました。
服部 まあ、ちょっと先のほうがいいのかなとは思いますけども、2016年の4月というタイミングが、個人的にはやりやすいと思うんですけども。
ナレーション 全国のスーパーが集まる日本チェーンストア協会も……
日本チェーンストア協会 井上淳専務理事 再増税ということがデフレ脱却への道を閉ざしてしまうんではないかと、延期した場合に、そういう決断をした場合に、国債の暴落、どちらの判断にもリスクが伴うと……
ナレーション 増税の時期を巡って揺れ動く消費の現場。新たな増税に耐えられるのでしょうか。
<スタジオに戻る>
大江 さあ、ここまでは国内の動きをご覧頂きましたが、消費税再増税について海外はどう見ているんでしょうか。ニューヨーク支局の進藤さん、日本の消費税増税について、そちらではどういうふうに報じられているんでしょうか?
進藤 そうですね。大江さんがニューヨークで取材していたときほどの熱心さはないんですが、アベノミクスについての関心は依然として高く、週に2,3回は記事になっているんですね。で、最近多く目にするのは、消費税増税を延期すべきだという論調です。欧米の有力紙の最近の記事をちょっとまとめてみました。こちらです。
ニューヨーク・タイムズは「増税を延期し、構造改革をすべき」、ワシントン・ポストは専門家の言葉を引きまして「増税は馬鹿げた決断だ」、そして、フィナンシャル・タイムズは、安倍総理のインタビューを使いまして、「増税の延期を示唆した」というふうに伝えています。
各紙は増税の先送りの理由として、8%に引き上げたあとに日本の景気が悪化しているという点を指摘しています。増税後の反動減が大きく、アベノミクスは力不足でさらなる増税はむずかしいという論調が増えているんです。
専門家に聞きました。
ユーラシア・グループ スコット・シーマン シニアアナリスト Abe instead postpone the hike maybe for 18 months, rather than go ahead with his plan next year. (字幕:安倍総理は消費税の再増税を来年10月からさらに1年半延期すべき)
So, given those two headwinds on the performance of economy and the other, just kind of growing political opposition, (字幕 景気の悪化や政治的な逆風が強まっていることから)
we decided to reduce that probability from 70% to 60%. (字幕 予定通り増税に踏み切る確率を70%から60%に引き下げた)
進藤 この専門家は、日本がさらに消費税率を引き上げる確率は依然高いとしながらも、安倍政権の支持率の動向などに応じて見直すと強調していました。
大江 そうなんですね。ということは、そちらでは増税には反対という見方が多いということでしょうか?
進藤 そうでもありません。日本の財政再建という観点で言うと変わってきます。IMF国際通貨基金は、財政健全化のために予定通りの引き上げが不可欠というふうに指摘するなど、景気の刺激策と併せて増税に踏み切るべきという声もあります。安倍総理はどちらを決断するのか、海外の注目も高まっています。(15分17秒頃まで)
by kokkai-sokuhou
| 2014-10-24 22:59