2月2日 衆議院予算委員会 石破茂氏 3 新防衛大臣の基本的知識と見解 |
動画:http://www.youtube.com/watch?v=Uceqfg-Cmgw
質問 石破茂氏(自由民主党)
答弁 田中直紀防衛大臣
野田佳彦内閣総理大臣
石破 (承前)これ、よくある論争なのですけれども、今大臣おっしゃいましたね、警察予備隊として発足した。自衛隊は元々警察予備隊として発足したものです。その後保安隊になり、自衛隊になっていきました。世に言う軍隊と警察、何が違います?
田中 えー、警察は、国民の財産・生命を、ひ、日ごろから保全をしておるというものでございます。身近な存在でございます。ま、自衛隊は、当然わが国においては、軍隊ではありませんけれども、憲法の範囲内で我が国の(ママ)、守るために専守防衛で対処をしてきておるというのが現状だと思います。
石破 国の独立を守るのが軍隊ですよね。国家の主権を守るのが軍隊ですよね。国民の生命財産、公の秩序を守るのは警察ですよね。そこが違うのではありませんか。
田中 ご指摘の通りだと思います。
石破 それでは法制面で、私はね、これずっと政府にいる時から法律の改正ができないか、できないかというのを一つ一つチャレンジをしてきて、力足らずにできなかったことがたくさんあります。たとえば、色んな法律の論争がありますが、「邦人輸送」という条文がありますね。「邦人救出」と「邦人輸送」は何が違いますか。これ、ずうっと委員会で議論されていることなので、是非お答えをいただきたい。
田中 えー、邦人救助は、私のことからあの、考えますと、ま、海外におりまして、そしてそこで紛争が起こる、あるいは危険な状態になる状況の中で、邦人を救助するということが、になるんではないかと思いますし、邦人輸送というのは通常の民間のですね、輸送等のことではないかと思います。
石破 それでは、自衛隊は邦人救助はできますか。
田中 外務大臣の要請があれば、あの、防衛省は考えまして、邦人救助をすることができると思います。
石破 どういう場合にできますか。制約はありますでしょ。つまり、何でこんなこと聞いてるのかって言うとね、朝鮮半島情勢がどうなるかというのが今の時代背景ですよ。何が起こっても不思議ではないという状況です。朝鮮半島に限りません。世界中あちらこちらで災害が有り、あるいはテロが有り、紛争が有り、そういう時に、日本人を助け出すというのは、それは、国家としての責務ですよね。主権ってのは領土と国民と統治機構ですからね。国民を救い出すのは国家の責務でしょう。大臣がおっしゃった意味での邦人救出、つまり単なる輸送ではなくて、危難に遭遇している邦人を助け出すということは、どういう条件の下に自衛隊はできるのですか。
田中 あの、先ほど申し上げましたけれども、外務大臣からの要請でですね、防衛省は検討し、そしてまた実行するわけでありますが、ま、防衛省と致しましては、これは我が国の自衛隊がですね、相手国に、あの、行くということが多くなるわけでございますから、やはりあの、相手国の了解がですね、あって、邦人救助ができるというのが条件ではないかと思っております。従いまして、一番大きいのは、やはり相手国の了解を得る。日ごろからそういう問題をですね、この法整備する場合には、相手国を想定しながら話を詰められれば、私は前進するんではないかと、そんな理解でございます。
石破 相手国の了解ってのは別に条文に書いてありませんよ。輸送の安全ということでしょ。輸送の安全が確保された場合に行くんでしょ。だから、救助ではなくて、輸送なんでしょ。ね。
つまり、何でそういうような条文になっているか。私が一生懸命改正しようとしてもできなかった。今度自衛隊として議員立法で出していますがね、いや、自民党として議員立法として出していますがね。そこに行った時に憲法9条が禁ずるがところの国際紛争解決の手段としての武力の行使ということになる虞無しとしないから、輸送の安全が確保されなきゃ行っちゃいかん、ということになっているんでしょ。そうじゃないんですか。
で、それを改正しなければいけないということを我々提起をしていますね。この事に対して、大臣の見解どうですか。
じゃあね、「武力の行使」と「武器の使用」って概念がありますね。これ、ものすごく大きな違いですよ。何が武器の使用で何が武力の行使なのか、そこんとこについての見解も交えて、法改正についての見解を述べてください。
田中 えー、武力の行使は憲法で禁じておるところでございます。その中で、武器の使用の問題が、この国際協力の中でPKOで出てきておるところでございます。PKOの中で、武器の使用というのは、あー、その条項を立てまして、そして、使用をしておるところでございますけれども、やはりPKOも武力、その相手、相手国が、停戦を合意をしたと、ま、こういうような条件下の中で行われますが、大変武力の行使をですね、伴うようなところは、PKOとしてはなかなか参加できないと、ま、こういう状況ではないかと思います。
石破 よく整理をしてくださいな。つまりですね、戦車が走ろうが、戦闘機が飛ぼうが、それが警察権の行使である場合には、武器の使用という判断をするのですよ。ね。警察権の行使ということの範疇であれば、警察比例の原則が働きますから、向こうが戦車であればこっちも戦車、向こうが戦闘機であれば戦闘機。これは警察比例の原則というものであってですね、それが武器の使用という概念なんですよ。
武力の行使というのは大臣が何だか触れられたような触れられないような話だけども、自衛権の行使、それを集団的と言うか個別的と言うかは別にしてですね、それが武力の行使という概念になるのでしょう。そこはよく整理をしていただかないと、PKOの5原則の話もごちゃごちゃになりますよ。どういう場合に何をしていいかということですね。
で、ここのところは、武器使用3原…PKO5原則と武器輸出3原則のところはもう整理してご理解になったとは思いますが、今の政調会長の前原さんがね、今度この武器使用の要件を緩和してはどうかというお話をなさいました。それは我々のかねてからの主張でもあるのですけれどもね、たとえば、日本のNGOが行きましたと、それが撃たれておりますという状況があったとしましょう。それを自衛隊は助けに行くことはできますか。
田中 えー、現在の武器使用の条件では助けに行かれません。
石破 それではね、警護という任務を与えて、そのNGOを自衛隊が警護をしている、その警護という任務が妨害されたというような構成をした場合に、その場合に武器の使用はできるという構成について、私はこれは可能だと思うのですけれどもね、前から警護任務を付与すべきだと。そうでなければ、正当防衛でなければ、自分が撃たれなければ撃てない、そんな馬鹿なことがあっていいのかということをずうっと主張してまいりました。その点についてのご見解、どうぞ。
田中 先ほど、あの、先生がお話になりました、ま、警察比例の原則という中にありましてはですね、当然あの、向こうで攻撃をしてると、また、こちらの防御ということから考えまして、同じような比重であればですね、できないことはないというふうに思っております。
委員長 防衛大臣、防衛大臣、さっきの訂正はいいが、今の質問に答弁してない。
委員長 防衛大臣。
田中 警護する方でもですね、えー、これはあの、ひとつの部隊の中で、あの、部隊の中で、あの、活動しておるという状況であればですね、あの、出来ると思います。
石破 いいです、あの、民間人が部隊の中で活動するわけないでしょうが。民間人なんだから。ね。自己の管理の下に入った者ということをおっしゃっておられるんですか。
いいです、いいです、もういいです。分かりました、もういいです。それじゃもう結構です。もういいです。
それじゃあね、いいですよ、じゃ、この法律に関係して聞きましょう。海外で自衛隊が活動する場合に、PKO法を除けば、インド洋に出した時もイラクに出した時も特別措置法で出しましたね。これを一般法にすべきだということを私どもは申し上げております。
なぜならば、特別措置法で常に常に出しておりますと、その度に法律を作らなければなりません。その時の状況にしか対応ができません。時間も遅れる、対応の態様も限定されると。
だから一般法を作るべきだということを、ずっと私ども野党になってから申し上げてきた。法律も出している。しかし、検討中、検討中ばかりで、世の中の状況がどんなに変わっても、答えが出てこない。一般法に踏み切れない一番の理由は何ですか。
田中 えー、ま、私は民主党に入って2年になりますが、やはりあの、民主党の中でその問題についてですね、あの、検討はしてると思いますが、そのやはり、石破先生はじめ、多くの皆さん方のこの必要性と言いますか、そういう問題についての連携を持ちながらですね、この法案のこの価値というものを、一般法にしていく価値というものを更なるあの議論をしてですね、理解をし、そして進めることが必要ではないかと思います。
我が国は、私はあの、多くの国際貢献をしてきてるわけでありますので、一般法に、の、ものについてもですね、大いに私は議論をし、そして、前進させることが大事ではないかということを思っておるところでございます。
石破 ま、総理、どうです? 一般法、これぐらいはやってくださいよ。私ども議員立法として出してるんです。自衛隊が海外でどう活動するか。先ほどの海峡のお話もありましたよね。その時その時に応じて法律を作っていかねばならないということであれば、適時適切に対応できないでしょうが。きちんとした議会の関与というものを含めて、文民統制をきちんと効かせた上で、事前の承認も入れた上で、刻々と変化する状態に、情勢に、自衛隊が的確に対応するような一般法。
早急に制定すべきだと思いますが、総理、どうです?
野田 あの、何かの事態が発生するたびにあの、いわゆる特別措置法で対応すると言うやり方、これまでやってまいりました。その上で、きちっと自衛隊の出し方をきちっと議論した上で一般法にしろという議論があるということは、あの、承知をしています。あの、御党の中にも強いと思いますし、我が党の中でもそういう意見を言う人がおります。よくそうした党内の色々の議論も踏まえて、まずは仮に御党からご提出されればそれは議論したいと思いますが、我々としてもそういう議論があることを踏まえて対応して研究して行きたいというふうに考えております。
石破 あのですね、議論とか検討とかいう言葉がものすごく飛び交うんですけどね。私はね、防衛省にいた時も、農水省にいた時も、検討するマル、っていう文章は作らないでくれということを言ってきました。検討し、いついつまでに成案を得る、そういうふうにしないと、検討しますってのはやらないとほとんどニアリーイコールなんですよ。検討する、議論する、そうじゃないだろうと。どの方向を目指して議論するんだと、何が問題点なんだということを共有しながらやっていかないと、議論する検討するで時間が過ぎていくってことはイカンことだと私は思いますがね。
次に防衛力について承りましょう。動的防衛力という概念ですね。今までは基盤的防衛力という概念でしたね。基盤的防衛力整備構想というのは、それがずうっと続いていて…(続く)