2月2日 衆議院予算委員会 石破茂氏 4 若い自衛隊員と予備役を増やせ |
動画:http://www.youtube.com/watch?v=Ss70oYC2erA
質問 石破茂氏(自由民主党)
答弁 田中直紀防衛大臣
野田佳彦内閣総理大臣
石破 (承前)整備構想というのは、それがずうっと続いていて、その間日本は独立と平和を保ってきましたね。この基盤的防衛力整備構想を、どういう理由で転換するに至ったのか、それが今回の大綱にどう反映するか、されているか、大臣の見解を述べてください。
田中 基盤的防衛力から動的防衛力に変わりましたのは、22年の防衛大綱でございます。そしてまたこの動的防衛力というのは、今保持しているものの運用力をですね、高めるということがひとつございます。そのために新たなものをですね、購入をして、そして老朽化した戦闘機等はですね、新しいものにして行こうということもありますし、今問題になっております南西地域の防衛というものについても、これから具体的に進めて行こうということになってきておるところでございます。
石破 特定の脅威を想定するのではなくて、我が国が力の空白となることによってかえって周辺地域の不安定を招くことがないように、独立国として必要最小限な防衛力を整備する、これが基盤的防衛力整備構想でしょうが。それでずっと平和だったわけでしょうが。何でこれ変えなきゃいけなくなったんですか。
田中 えー、さらにですね、あの、運用で工夫を致しまして、ま、いわゆるシームレスというかたちの防衛体制をしていくということがあると思いますし、また、我が国のですね、日米の更なる深化・発展のために努力をしていくという中で具体化していくんだと思いますが、もうひとつはご存知の通り、財政難で、防衛予算のですね、増やすわけにはいきません。そういう中で、効率化、そしてまた合理化を図っていくと、ま、こういうことでありますが、ますます私はあの、防衛大臣に就任いたしまして、議論をしてる中ではですね、やはり定員を増やしていくことによって、これは何と言っても人がですね、この国を守っていくわけでありますし、この大震災の時にこれだけの大きな力を発揮していただいた自衛隊でございますので、ま、是非私は動的防衛力を大事、運用をですね、しながらも、その基礎になるこの自衛隊の定員はですね、逆に是非皆さんにご理解を頂いて、増やしていきたいと、そんな思いでございます。
石破 基盤的防衛力整備構想をなぜ転換しなければならなくなったのですか、と聞いてるんですよ。正面から問いに答えてください。
田中 えーあの、えーあの、民主党でですね、あの、防衛大綱を作ってきておるところでありますが、ま、その中でのですね、あの、ご提案があった有識者の皆さん方からですね、出てきましたのは、新たな安全保障環境に対して基盤的防衛力構想にとらわれず、運用を重視して、多機能で弾力的な実効性のある防衛力を発展させたものが、動的防衛力という説明がございまして、これを採用しようということで大綱に入れたところでありまして、当然基盤的防衛力に基づいてですね、今日があるわけでありますから、それが決して大事ではないということではないと私は理解を致しておりますし、今までの蓄積したものをですね、やはりあの、よく理解をしてですね、そして今後に活かしていくということが大事だと思っております。
石破 冷戦時代はそれでよかったのですよ、「我が国周辺の力の不安定を招くことがないように」ということでね。力の空白を作らないこと自体が自己目的でしたからね。
脅威を想定しない安全保障構想・防衛構想なんてありません。今現実に脅威があるとは言いませんが、それは、意図と能力の掛け算なのであってね、脅威ってのはね、能力がどんなにあっても意図がゼロなら掛け算はゼロなんですよ。どんなに意図があっても能力がゼロなら掛け算の積はゼロなのですよ。
中国のこれから先の防衛力の動向、国防力の動向、それがどうなるのか、それに対して、日米できちんとバランス・オブ・パワーを維持して、ここにおいてそれが確保できるように、どこに何をどれだけいつまでに置くのかっていうことについて、きちんと明確に納税者に説明する。それが動的防衛力でしょうが。
どこに、どの様なものを、何のために、どれだけ、いつまでに、ということを陸海空きちんと説明ができるように持っておく。それが動的防衛力なんじゃないんですか。違いますか。
田中 え、先生のご指摘の通りだと思います。ま、南西地域のですね、防衛力を整備して行こうと、まあ、こういうのも一つございますけれども、我が国の周辺の地域におきましては、当然核保有国もございます。また、不安定の中での安定という、これからの近隣の諸国の状況もございますので、やはりおっしゃるように、これからのこの防衛に対しましては、どこに、いつ、どういう形でという運用面を含めてですね、更なる、この、研究、そしてまた実施をしていかなければいけないということだと思っております。
石破 よほど運用という言葉が叩き込まれているようですね。運用、運用、運用とおっしゃいますがね、防衛力整備構想ってのは、運用の前に、どのような潜水艦を持ち、どのような戦闘機を持ち、どのような陸上車両を持つかということですよ。そして、人員をどうするかということですよ。
さっき大臣は定数を増やすために協力せよと、理解をせよと言いましたね。私たちはそれをずうっとやってきてますよ。だけども問題はですよ、幹部があって、そして、下士官といわれる曹・士長がいてですね、一士、二士と言われるのがいてですね、ここ十数年の間に、どこの人数が減りました? どこの人数が増えました? 単に自衛官の人数だけ言っても駄目でしょうが。幹部の人数、あるいは、曹・士の人数、その部分を見た時に、どの部分が増えて、どの部分が減りました?
田中 私はあの、陸上自衛隊の郡山駐屯地に参りまして、それから横須賀の海上自衛隊、那覇基地の航空自衛隊と、ま、三箇所回りました。ま、その中で、やはりあの、陸上自衛隊の数が減らされておるんではないかという認識を持ちましたが、ま、そのほかの海と空につきましては、やはりこれからですね、この防衛力、アメリカもですね、そういうこの、強化をしていこうと、こういうことでありますから、ま、我が国もですね、あの、空とそして海の関係というものもですね、しっかり把握をし、しかし今減ってきてるのは陸上自衛隊だと認識をしております。
石破 私がお尋ねをしたのは、幹部と曹・士とどこが減りましたかと聞いているのですよ。
よくですね、今回の震災もありました、数を増やすべきだ。みんな自衛官の献身的な働きについては感動もしてます。共感もしてます。自衛隊員の服務の宣誓をご存知でしょうか。
「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって職務の完遂に、身を挺して職務の完遂に務め、もって国民の負託に答える」
我々の自衛隊が、なんで軍法もないのに、こんなに精強なのか、規律正しいかと言えば、その服務の宣誓をみんながきちんと守っているからですよ。だから自衛隊を増やせということについてはみんなそうだそうだと思うんですよ。
この数年ずうっと人件費は変わりません。数は減ったけれども人件費は変わらないというのはどういうことです? つまり、二士、一士、そのような、いわゆる兵隊さんの数はどんどん減っていったと。だけれども、幹部や陸曹、そういう人たちは減らなかった。お給料の多い人たちは減らなかった。お給料の少ない人はどんどん減っていった。これが現状でしょうよ。
増やすとしたらば、一士、二士という人たちを増やしていかなければ、これから先の対応なんかできやしません。その時に問題となるのは、何でそういうことになるかというとですね、一士、二士の人たちは、いわゆる任期制の隊員ですから、分かります、任期制の隊員って? 任期制の隊員ですからね、辞めた後どこに就職にするんだっていうことが一番の問題なんですよ。辞めた後就職するところがないから、辞めないでずうっといるわけですよ。
そういう人たちに対する就職の斡旋というのをきちんとやっていかなければ、今でも自衛隊ってのは、世界で最も高齢化が進んだ組織なんですね。若い人たちを増やしていくためにはどうすればいいんだと。単に定数を増やせ増やせだけ言っても駄目であって、どうやって一士、二士の定数を増やすか、そのための施策は何なのかということを考えなければどうにもならないでしょ。
私、人員面で、自衛隊の持ってる課題は何ですかって、通告をしましたね。通告をしてるはずですよ。人員面で自衛隊の抱えてる課題は何ですか。通告を間違いなく昨日のうちにしていますからね。
もうひとつは、予備自衛官がこんなに少なくていいですかってことでしょうよ。どの国でも、常備軍と同じぐらいの数の予備役は持っていますよ。多い国は2倍3倍持っていますよ。
お金がない、お金がないっておっしゃいましたけど、大事なのはどれだけ予備役を確保するかということなんでしょう。その人たちが有給休暇を取らなければ、訓練にいけない。そんな馬鹿なことあっていいはずがないでしょう。どうやって予備自衛官の処遇を改善するか。そしてまた、それを雇用する企業にどのような待遇をしていくかっていうことを考えなきゃいかんのでしょうが。
戦はあるんですよ。戦があれば人は傷つくんですよ。そしたらば、予備を出していかなければ、続けることはできないに決まってるじゃないですか。継戦能力ってそういうことじゃないですか。政治主導ってのはそういうことじゃないですか。
人員面について、先ほどの一士、二士を増やすということ、予備役を拡充するということ、そのことについて、自衛官のご子息でもある総理大臣、どのように考えます?
野田 あの、ご指摘の通りですね、人員の面で最大の問題は、自衛隊の組織の高年齢化だということであります。で、先ほど来出ている、その動的防衛力の話も、運用のダイナミズムなんですが、そのいわゆる組織自体のダイナミズムが今無くなっているということが最大の問題であります。
あの、もし不測の事態があった時に、まさに活きのいい一士、二士がどれだけいるかということが、ひとつの私は精強性の、あの、ひとつのポイントだというふうに思います。その意味では、精強性という点からも、この問題は解決しなければならないと思います。
あの、私も、この防衛計画大綱に関わりました、財務大臣として。財務省としては削れという立場なんですが、しかし議論としては、今の人員の問題で、最大の問題は、この組織の新陳代謝を図るためには、じゃあ、若い人たちが途中辞めた後、どこが引き受けるか、公的セクターでもっと引き受けようであるとか、ということを具体的にやっていかないとその問題解決できないということを、あの、まあ、自衛官のせがれの一人として、私は下士官の息子でありますけれども、特にそのことを喚起させていただきましたし、そのことは防衛省もよくご理解をいただいているというふうに思います。
それと併せて予備自衛官、それから即応予備自衛官、この体制がしっかりあって、初めて機能するというふうに思います。
石破 これはもう総理と話したほうが早いでしょう。最高指揮官ですからね。最高指揮官たる総理大臣、本当に一士・二士を増やしていかなければなりませんよ。それは、その人たちが辞めた後に、きちんとした就職のお世話っていうものができなければ、服務の宣誓通りにやる彼らは一体どうなるんだと。今回の震災でも本当にしんどい目をしている人たち。もしここは若い人たちがたくさんいれば、もっと大勢の人たちが助かったんじゃありませんか。
財務大臣、これはね、財務省の立場もあるでしょうさ。ですけどね、単に定数を減らせ減らせっていう話じゃなくてね、どこを増やしてどこを減らすのかということについて、財務大臣、どうです?
安住 あの、全く私は先生と同じ認識を持っておりまして、昨年防衛大綱作った時の責任者でございました。つまり、あの、精強性とは何かって言った時に、世界の軍を見ますと、ま、典型的なのはアメリカ軍でございますが、やはり少を中心とした、いわばいい意味でのピラミッド体制になってると。しかし、先生おっしゃるように、我が国の自衛隊は、どうしても壮の部分が今厚くなってきて菱形になっていると。ですからこの菱形の部分を、まあ、再就職というお話もありましたけども、人的改革をやることによって後方任用したりですね、そういうことによって、まあ手当もあの非常に高いですから…(続く)