2014年 11月 22日
2014年11月20日 BSフジ プライムニュース 「解散前夜…年末総選挙 野党キーマンが生集結」 |
出演者(敬称略): 秋元優里(キャスター)
反町理(キャスター)
安住淳(民主党国対委員長代理)
浅尾慶一郎(みんなの党代表)
小沢鋭仁(維新の党国会議員団幹事長)
秋元・反町 こんばんは。
秋元 11月20日木曜日のプライムニュースです。安倍総理は一昨日、消費税率10%への引き上げを先送りし、明日衆議院を解散する意向を表明しました。第二次安倍政権が誕生してからおよそ二年、政権の折り返し地点に差し掛かったタイミングで行われる今回の解散総選挙。今夜は野党各党のキーマンをスタジオにお招きしまして、総選挙に向けた戦略と決意をお伺いします。
反町 一昨日の会見で安倍総理は、アベノミクスをこのまま進めていいのかどうか、それを国民の皆さんの審判を仰ぎたい、このような解散の理由を説明しました。それが総理の言う大義なのです。
じゃあ、この総理が立てる大義に対して、野党の皆さんはどういう気持で今回の選挙に臨まれるのか。そして、いわゆる俗にいう「一強多弱」ですか、「一強多弱」と言われれる中で、今、水面下で猛烈な勢いで進んでいる野党の選挙協力、候補者調整、これが果たしてどういう形で最後できあがった時に我々の目の前に浮上してくるのか。今日はそういった可能性を様々な角度から検証していきたいと思います。
秋元 それではゲストの皆さんをご紹介いたします。まずは民主党国会対策委員長代理、安住淳さんです。よろしくお願いいたします。続いて、維新の党国会議員団幹事長の小沢鋭仁さんです。よろしくお願い致します。そして昨日解党が決まったみんなの党代表の浅尾慶一郎さんです。よろしくお願い致します。政治アナリストの伊藤惇夫さんにもお越しいただいています。お願い致します。
さらに後半は、次世代の党幹事長の山田宏さん、日本共産党書記局長の山下芳生さん、社民党副党首の福島みずほさんにもお話をお伺いします。
番組では皆さんからのご意見ご質問を募集しています。今日のテーマは、前半は民主党、維新の党、みんなの党に聞きたいこと、言いたいこと。後半は、次世代の党、共産党、社民党に聞きたいこと、言いたいことです。
反町 前半のゲストの皆さんへのご質問をとにかく早めにいただければと思います。お待ちしております。
秋元 番組オフィシャルページの「私の声」までお寄せ下さい。携帯電話の方は、テレビのリモコンのDボタンを押しますと、データ放送にQRコードが表示されます。それをバーコードリーダーに読み込ませてアクセスして下さい。いただいたご意見はのちほど番組の中でご紹介させていただきます。お待ちしています。
(ニュース部分省略)
秋元 さあ、早速お話をお伺いしてまいりたいと思います。まずは野党連携に大きな影響があると思われます、維新の党橋下共同代表の出馬の動きなんですけれども、一昨日、記者団の質問に対して、このように発言されているんですね。「大阪市長としてすべてやれる範囲はやっている。積み残しているものはない」というふうにおっしゃっているわけなんですけれども、小沢さん、維新の党のこの選挙戦略に大きな影響があると思われるんですけれども、橋下さんの出馬の可能性というのはどうご覧になっていますか?
小沢 五分五分だと思っています。僕は積極推進派で、一番、だから出ろ出ろとこう言っている立場だと思いますが、ご本人はいわゆるそういう理性的な話というよりも、とにかく大阪を捨てるとか、あるいは大阪の仲間の皆さんたちの気持ちだとか、そういったものすごくそういうことに対するこだわりを持っているんですね。ですから、そこをどういうふうに大阪の皆さんたちが判断してくれるかということなんだろうと思いますけどね。
理論的に言うと、僕はもうずっと言っているのは、都構想を実現するためにも、ここは正面突破ばっかりやっているんじゃなくて、この選挙を勝って、統一地方選挙を勝って、そしてそのあと、現場は現場で、国は国から、そういった両面作戦でやったほうが、都構想実現のためにも、私はプラスなんじゃないですかと、こう言っているんですが、それはわかっていると。でも、やっぱり、大阪の皆さんの気持ちがね、というのが彼の本心のような気がします。これは僕の推測です。
反町 明日解散なんですけど、今日のぶら下がりでも橋下さんはその件についておっしゃらなかったと。明日なのか、それとも解散後の表明になるのか。いつまでにという表明のタイムリミットというのはどのへんに置いて見ているんですか?
小沢 とりあえずは、それは橋下代表自身が今週中ということをひとこと言ったんでしょう? ですから、今週中っていつなんだね、という話を、今日も維新の選対本部の会議の中であって、今週中というと普通土曜日だよねという話があったんだけど、そこはちょっとまだわかりませんね。
昨日、例の支部長の登録をしました。その支部長登録の前には私のところにも支部長登録やりますと、こういうメールが来てましたが、その後は何も連絡はありません。
反町 なるほど。維新の党側とすれば、橋下さんが出たほうが選挙戦は有利になるのか、それとも市長のままで、いわば自分の選挙区を抱えずにフリーハンドで全国を回ったほうが有利になるのか、その辺の見通しというか、皮算用、どっちのほうが党にとってはいいんですか。
小沢 これは色んな見方があるかもしれませんが、これは私の見方で言えば、橋下さんが出たら、維新は3倍増ですよ。
反町 (笑)伊藤さん、どうですか、これ? 橋下効果で三倍増って、いくらなんでも。
伊藤 僕も毎週仕事で大阪に行ってますけど、以前に比べるとやっぱり存在感が低下していることは間違いないんですね。
小沢 前は5倍増ぐらいだった。
伊藤 そうですか。それと、やっぱり大阪限定というイメージがあって、それが全国に広がるか、その出馬自体がね、どういう形で広がっていくかというのはちょっと僕は疑問点があるし、それから、もし市長を辞めて出馬した場合に、市長選挙が当然ありますよね。その時に、都構想に反対する人間が当選したら、もう即座にこれは終わりということになりますよね。そこまでのリスクを冒すのかどうかというのがひとつ。
それと、実はこの番組で前に橋下さんとやったときに非常に気になる発言をされていたんですが、というのは、「自民党のある首脳が橋下さんを軸にした野党再編なら大歓迎であると、総選挙ではガチンコの戦いになるだろうけど、終わった後、足並みを揃えて憲法改正に取り組めるというふうなことを言っていますけど橋下さんはどう思いますか」と聞いた時に、橋下さんは、「それはそのとおりだ」とお答えになっている。
で、そういうふうにお答えになるということは、じゃあ、政権交代って何のためにやるんですかという疑問が湧いてきちゃうわけですよね。憲法改正って究極の政治ですから、そこのところで自民党と方向が一致しているのであれば、政権交代いらないじゃないですかとなってしまう可能性もあるので、そのへんは橋下さんはどういうふうに考えているのか、維新自体がどう考えているのか、ちょっと気になる点なんですけどね。
反町 なるほどね。
小沢 いいですか。今の発言は、やっぱり維新は統治構造の改革というのが最大の課題でできた政党ですよね。で、その統治構造を改革するためには憲法改正が必要だと、こういう話なので、そういった意味では与党と組むとか組まないとかいう意味ではなくて、それは憲法改正は賛成すると。こういう話だと私は思ってます。
で、そういった意味では、少なくとも維新のまさに原点がまさに日本の機構そのものを変えたいと、こういう思いですから。
伊藤 ということは、同じ憲法改正をやっても、自民党、安倍政権が目指している方向とは違うという意味ですか?
小沢 安倍さんが、いわゆる安全保障論のところを中心的に言っているとすれば、それは我々とは違います。どちらかというと、次世代に出て行った皆さんたちはどちらかといえば安全保障論のほうに行きたがりましたが、我々は憲法改正でも平和主義は維持する。だけれども、国の統治機構がですよ、これもう、戦後60年基本法が何も変わらないなんていうのは日本だけですからね。あの今の都道府県単位が決まった時の交通機関は、徒歩、馬、船っていうんです。徒歩、馬、船の時に決まった行政単位が今もジェット機がどんどん飛び交っている時に同じというのはおかしいじゃないですかというのが我々の改革の原点ですから。だからそこはあってもいいんだろうと思いますね。
ただ、我々は野党ですから、野党は挑戦者だと、こういう思いではいます。
反町 安住さんね、維新とみんなの今、様々なチャンネルでこの選挙協力とか候補者調整とか政策のすり合わせが進んでいると思うんですけれども、橋下さんの今のスタンス、伊藤さんが言われたみたいな形で、橋下さんが出るか出ないかによって、今言われたような橋下さんの安倍政権に対する理解度も踏まえると、橋下さんが出る場合と出ない場合とで民主と維新の選挙協力とか連携の濃淡が出るんじゃないか。そんなふうな懸念はないですか?
安住 どうですかね。だから、大阪都構想の話が総選挙で全国で問題になるというのは、残念ながらそれは私はちょっと違うと思いますよ。私のような宮城県の被災地なんかを抱えている人から見れば、復興を放り投げた選挙で何をやっているんだ、米価も下がって何だと思っている方、私はたくさん有権者がおられて、そこにこう、大阪都構想は統治機構のひとつの大きな問題ではあるけども、それが何か国政全体に全国で選挙戦をたとえば野党で協力してやっていく時に、橋下さん自身の発信力はあると思うんだけれども、有権者の皆さんから見た時には確かに伊藤さんがおっしゃるように、大阪の非常に重要な問題として大阪では焦点になるんだと思いますけども、国政全体となればもっと様々な問題が議論されるんで、その点では維新の皆さんと我々は、改革のその考え方については似ているところもたくさんあるから、やれることはやっていきましょうということだと思いますね。
反町 なるほど。で、その意味で言うと、今橋下さんは、大阪都構想というものを議論の中心に置いて、これに反対する公明党に対しては、何らかのその、言葉、何って言ったかな、きちっとリベンジしないと気がすまないとか、そういうお話を都構想を軸にした政治的発言はよく出てくるんですけれども、これに対して、これをもって国政に出て来られることに対してはやっぱり違和感が感じる部分がありますか?
安住 今、大阪市長としてそういう話で、今大きな問題を抱えているから、そういう街頭演説とかをやるの、当然だと思いますよ。それは別に私はそのことで橋下さんが訴えていらっしゃることは、それはそれでご自身の考えを述べていらっしゃるんだろうとは思うんだけども、今度の選挙というのはそういう選挙だけではないからね。やっぱり国政の場に来れば、大変失礼な言い方ですけど、石原都知事だって、都知事としての存在感はあったけど、480人近い人間で多数を争う国政では、残念ながら都知事としての影響力が国政に来たって、それは野党の一議員で、大変申し訳ないんですけどね、言い方は、そうなっちゃうわけですよ。東国原さんもそうだし。
つまり、この国政というのは、そんなにひとりの人で大きく変わるというよりは、数でやっぱり戦わなきゃいけないところがあるから、私は大変ご苦労なさると思いますね。
反町 橋下発言に、しつこいんですけど、もうひとつだけちょっと伺いたいことがありましてね。先日番組に出ていただいた時に、橋下さん、こういうことを言われているんですよ。「前原さん、細野さん、安住さん、玄葉さん、野田さんとか、民主党の閣僚経験者で旗を振ってもらえれば、みんなの党も維新も、場合によっては次世代の党もみんな集まるんだ」と。バーンと飛び出してもらって、つまり安住さんに民主党を飛び出て何か動きをしてくれれば、その新しい政党に我々も行くんだよと、こういう発言をされているんですよ。
この発言については、今、維新と民主がやっているの、党と党で話をしていると思うんですけれども、やっぱりこの少なくとも4日におけるプライムにおける橋下さんの発言の限りにおいては、民主全部とやろうというのではなくて、はっきり言ってしまえば橋下さんの嫌いな官公労との縁の濃い方は排除して、こういう方々が党を割って出てきてくれれば、その方々とは我々はいつでもやるよという、民主党の分裂を前提としたような野党再編の絵図を、この時点ではまだ描かれているようなんですが、それについてはいかがですか?
安住 橋下さんと我々というのは年も近いし、小沢幹事長もいらっしゃいますけど、統治機構の見直しとかね、戦後の古い慣例を壊したいということでは共通の認識は持っているので、私もそれは橋下さんと、たとえば食事をさせてもらっても非常になるほどなと思うことがあります。
ただ、先程から申し上げているように、私どもの民主党というのは、色々批判はあるけども、実はもう15、6回国政選挙を戦って、なんだかんだと言ったって、やっぱりそれは全国で戦える組織とか、国政ってどういうものかというのは、伊藤さんも事務局長でおられたからね、国政というのは、それは自民党と公明党を相手に選挙する時に、どれぐらいの体力が必要かというのはもうわかりますよ。
だから、パーソン・トゥー・パーソンでやって、集まってうまくいくかというと、それだけでは限界があるので、私はある意味では志向していることは本当に私もよく分かるんだけれども、富士山の山に例えているんです、僕は。裾野が広くなければ政権は取れませんよ。際立った険しい山で裾野が狭かったら天下は取れない。やっぱり右から左までいるけども、真ん中でこう集まったところが穏健中道路線とかね、そういう意味ではどこまで許容するかということについては、ちょっと私なんかとは少し、もう少しコミュニケーションを図りたいなと私は思っているんですね。
反町 なるほどね。小沢さんは、この橋下さんの発言、これだけ見ると、今、東京で江田共同代表が進めている民主との話と、どうも橋下さんの考えている野党再編とか野党連携のビジョンが、橋下さんと江田さん間で違うんじゃないか。これは同じなんですか?
小沢 いや、そこは同じだと思いますよ。
反町 これ同じ?
小沢 ええ。そこは同じだと思います。今現実にやっているのは、これはもう目の前に急に選挙が出てきて、で、その時に前回のような野党が潰し合うような、そういう選挙をやったら、これはもう与党を利するだけですねと。それはやめましょうということを維新のほうは、これはこの前橋下さんも含めて確認をしている。だけれども、これもちょっとしつこいよいですけど、大阪においてはなかなか民主党とぶつかっているから、民主党と本当に選挙協力みたいなことというのはなかなかしてもらいたくないんだと。こういう話は率直にあった。
だけれども、現実に、要は、今言ったような与党を利するようなことはしないという合意はお互い取ってますから、そういう中で、今少なくとも選挙区の調整はやっている。だけれども、政党ですから、政党は政策が命ですから、そういった意味では、政策の違いというのは、お互い個性がある政策は言っていきましょうと。
比例は別々ですねと。政党を選んでもらうための比例は別々ですねと。だけれども選挙区の選挙はできるだけこれは野党共闘でやっていきましょうと。こういう、今、私は、住み分けでやっているんだと、こういうふうに思っています。
反町 そういう考え方に立っていたら、この発言は出ないでしょう。
小沢 いや、これはね、そのもう一歩先。
反町 えっ? これは先の話なんですか、そうなると。
小沢 本当はこれをやりたかった。今回。だけど時間がなかったし、なかなかそこまでは行けなかったということだと僕は思っています。これが一番ベストです、僕らにとっては。
安住さんはさっきちょっと違うというような話を…
安住 まあ、それを。
小沢 もう出てきてやりましょうよ。
安住 名前を出してもらったことは本当にありがたいんだけども、やっぱり日本の戦後の政治は自民対非自民なんですよ、残念ながら。その自民は完成度が高いんだけど、非自民が政権を担えるだけの実力をまだ兼ね備えてなくて、それで民主党も色々トライをして一回は政権交代した。しかし、これを交代が交互にできるような政党にしていくということは非常に大事なので、その時のキーマンのひとりに橋下さんは入ると私も思ってますよ。
それはだけど、大阪で戦っている橋下さんの姿はよくわかるんですけど、これがやっぱりこの国政で一緒に、たとえば国会議員としてやる時には、本当に北海道から沖縄まで全国津々浦々で自民党と戦うということがどれだけ大変かというのをまた実感なさると思うんですね。そういう中で、ある意味本当の政権交代をやっていくということが気持ちにストンと収まれば、橋下さんはまた色々なことで、何て言うか、行動を起こせる人だと思うんだけれども、今はやっぱりこの大阪都構想に全力を傾けていらっしゃるから、そのことについては、率直に言えばそれは地方のうちの組織とねじれている部分があるので、今、小沢幹事長がおっしゃるように、そこはそことしてやれる範囲でやろうと。
だから、たとえば東北なんかは比較的うまく行っていますね。特に青森は社民党から民主、維新、すべての野党が集まって、共産党以外ですね。それで四つの選挙区で共闘して、候補者を出さない社民党のみなさんも比例を起こすために協力しましょうと。これは非常によい例だと思いますね。
私の宮城でも、維新の皆さんに大変ある意味で曲げてもらって、住み分けをうまく行きました。私どももそういう意味では全力でこの維新の林さんを支えたいと思っていて、非常にうまく行った例なんです。
そういうのをひとつひとつ積み上げていかないと、もちろん野合批判とか出てくるしね、ですから政策でうまく一致して、浅尾さんのところも含めて、自民党と対峙する、やっぱり我々というのはひとつの大きな家を将来はちゃんと作って、アメリカのように交代交代で政権交代できるようにしないといけないと思います。
反町 なるほど。伊藤さん、今のお話を聞いててね、維新民主の連携、そこに浅尾さんのところからも何人か混ざる形、それを、今、安住さんが言われるような大きな家を見据えたものかどうか。それをたとえば、人によって最後はやっぱり民主は自党ひとつの自分の党で政権奪還を目指しているんじゃないかという話も当然ありますよね。大きな党というのは今のまぜまぜの意味なのか、それとも、民主は今回の選挙を過渡的なものとして見て、その次は単独で過半数を狙うような選挙だったらば、今回の選挙はまさに野合なわけですよ。どう見たらいいというふうにお感じになりますか?
伊藤 大きな家を描くんだったら当然設計図がなきゃいけないわけで、その家の形がおぼろげにでも見えてきているということが大事なことだと思いますね。
で、今の橋下さんの発言を引き継いで言えば、要するに連合を割れというような話ですよ。
反町 仰るとおり。
伊藤 民間系の労組と官公労を割りなさいと。要するに、民主党だってやっぱり連合という組織と、まあ、ぴったりではないけど、非常に強力な支援組織であることは間違いない。それが、野党の中でやっぱり民主党が軸になりうる政党という可能性を一番秘めている最大の要因だと思うんですよね。だから、そこはなかなか民主党の場合、切れないでしょう。はっきり言ってね。
それ、切れない状況の中で、この人たち、安住さんを含めてですよ、が、出てきて、で、他の維新の皆さん、橋下さんや小沢さんたちと一緒にというのは、現実論として一回二回の選挙のあとで、可能性として僕は極めて低いと思っているんですよね、そういうことは。
だけど…
安住 僕は伊藤さんとは事務局長と選対の委員長でずっとやってきた仲だから言いにくいんだけど、僕はね、伊藤さんね、まったくそうだと思うんだけども、実は労組側も非常に世代替りしましたよ。昔の社会党のイメージを持っていると思うんだけど、今、30代40代の公務員の方中心なんですね、自治労も。ずいぶん考え方は、もちろん大阪では対立してるけど、それは手法で多分こう、いがみ合ったりしたと思うんだけど、僕はこう思っているんですよ。それはね、連合を切り離せとかっていう話に短絡的には行くんだけど、実は思想の問題で、改革を志向している浅尾さんや、小沢幹事長もそうですね、と、セーフティネットをちゃんと作っていくというこのふたつを両立して、穏健中道路線を確立できるかどうかだと思うんですよ。
そうであれば、私は大きな家を作れるから。
伊藤 まさにそこなんですよ。
安住 そこだと思いますよ。
伊藤 今の安倍政権というのはむしろタカ派保守路線ですよね。で、左側に社民党共産党等がある。今、真ん中の部分がすっぽり抜けているわけですよ、完全に。ここは何て名付けるかというとなかなか難しいんですけど、やっぱり一応穏健保守、穏健中道という言葉に多分なると思うんですね。
安住 僕は穏健中道だと思っているんですよ。
伊藤 だけど、その意味で言うと、橋下さんはどちらかというとタカに近いんじゃないですか、今までも言動を聞いていると。
安住 いや、でも、僕は彼は保守じゃないと思いますよ。
伊藤 (笑う)
安住 根本的にだって、現実を180度変えるっていうぐらいの強烈な改革者で、伊藤さん、自民党にもいらっしゃったけど、橋下さん、自民党にいられないと思いますよ。
伊藤 まあ、それは間違いないでしょうね。
安住 だって、業界団体の陳情を聞いて、「はい、わかりました」って机でおとなしく座ってるような人じゃないですね。
小沢 それはダメですね。
安住 そういう人もリベラルというのは受け入れるところがリベラルじゃないか。
反町 リベラル、めちゃくちゃ幅広いじゃないですか。
小沢 そうじゃなくて、橋下さんっていうのはリベラルなんだって言って、そうしたら何かメールがもうすごいね、「何言ってるんだ」って来たけど、橋下さんの性格は、本質は僕はリベラルだと思ってますよ。
反町 えーっ?
小沢 安全保障論や何かはもちろんそれは日米安保とかね、そういうのを大事にしますけれども、いわゆるこの間のまさにヘイトスピーチに対する対応だとかね、あのへんはね、彼の本質論はリベラルなんですよ。
反町 はあ。浅尾さん、せっかくですから、浅尾さんの橋下観だけ伺って、このコーナー終わりにしますけど、どう見てますか、橋下さんという人を?
浅尾 まあ、あれですね。発信力がすごく大きいというのはそのとおりだと思いますし、特に一点突破の発信力が強いと思います。大阪都イエスかノーか。リベラルか保守か何かということで言うと、これは多分非常に物事を論理的に考えることができる人なので、空想的なタカ派でもないし、優しいリベラルでもないんですよ。現実論で考えてどうかという人なんじゃないかと思いますから、さっきの自民党の業界団体で座っていられないというのはですね、多分、業界団体で座っていられる人というのは、相手の本音はそう言っても100切るのやめて20~30にしといてよっていうことが言えるかどうかだけど、そこの20~30にしておいてよというのがどういう理屈なんだって攻めていく人だから言えないんですよ。
反町 何かわかったような。(笑)
秋元 お知らせのあと、みんなの党の解党についてお伺いしていきます。
反町理(キャスター)
安住淳(民主党国対委員長代理)
浅尾慶一郎(みんなの党代表)
小沢鋭仁(維新の党国会議員団幹事長)
秋元・反町 こんばんは。
秋元 11月20日木曜日のプライムニュースです。安倍総理は一昨日、消費税率10%への引き上げを先送りし、明日衆議院を解散する意向を表明しました。第二次安倍政権が誕生してからおよそ二年、政権の折り返し地点に差し掛かったタイミングで行われる今回の解散総選挙。今夜は野党各党のキーマンをスタジオにお招きしまして、総選挙に向けた戦略と決意をお伺いします。
反町 一昨日の会見で安倍総理は、アベノミクスをこのまま進めていいのかどうか、それを国民の皆さんの審判を仰ぎたい、このような解散の理由を説明しました。それが総理の言う大義なのです。
じゃあ、この総理が立てる大義に対して、野党の皆さんはどういう気持で今回の選挙に臨まれるのか。そして、いわゆる俗にいう「一強多弱」ですか、「一強多弱」と言われれる中で、今、水面下で猛烈な勢いで進んでいる野党の選挙協力、候補者調整、これが果たしてどういう形で最後できあがった時に我々の目の前に浮上してくるのか。今日はそういった可能性を様々な角度から検証していきたいと思います。
秋元 それではゲストの皆さんをご紹介いたします。まずは民主党国会対策委員長代理、安住淳さんです。よろしくお願いいたします。続いて、維新の党国会議員団幹事長の小沢鋭仁さんです。よろしくお願い致します。そして昨日解党が決まったみんなの党代表の浅尾慶一郎さんです。よろしくお願い致します。政治アナリストの伊藤惇夫さんにもお越しいただいています。お願い致します。
さらに後半は、次世代の党幹事長の山田宏さん、日本共産党書記局長の山下芳生さん、社民党副党首の福島みずほさんにもお話をお伺いします。
番組では皆さんからのご意見ご質問を募集しています。今日のテーマは、前半は民主党、維新の党、みんなの党に聞きたいこと、言いたいこと。後半は、次世代の党、共産党、社民党に聞きたいこと、言いたいことです。
反町 前半のゲストの皆さんへのご質問をとにかく早めにいただければと思います。お待ちしております。
秋元 番組オフィシャルページの「私の声」までお寄せ下さい。携帯電話の方は、テレビのリモコンのDボタンを押しますと、データ放送にQRコードが表示されます。それをバーコードリーダーに読み込ませてアクセスして下さい。いただいたご意見はのちほど番組の中でご紹介させていただきます。お待ちしています。
(ニュース部分省略)
秋元 さあ、早速お話をお伺いしてまいりたいと思います。まずは野党連携に大きな影響があると思われます、維新の党橋下共同代表の出馬の動きなんですけれども、一昨日、記者団の質問に対して、このように発言されているんですね。「大阪市長としてすべてやれる範囲はやっている。積み残しているものはない」というふうにおっしゃっているわけなんですけれども、小沢さん、維新の党のこの選挙戦略に大きな影響があると思われるんですけれども、橋下さんの出馬の可能性というのはどうご覧になっていますか?
小沢 五分五分だと思っています。僕は積極推進派で、一番、だから出ろ出ろとこう言っている立場だと思いますが、ご本人はいわゆるそういう理性的な話というよりも、とにかく大阪を捨てるとか、あるいは大阪の仲間の皆さんたちの気持ちだとか、そういったものすごくそういうことに対するこだわりを持っているんですね。ですから、そこをどういうふうに大阪の皆さんたちが判断してくれるかということなんだろうと思いますけどね。
理論的に言うと、僕はもうずっと言っているのは、都構想を実現するためにも、ここは正面突破ばっかりやっているんじゃなくて、この選挙を勝って、統一地方選挙を勝って、そしてそのあと、現場は現場で、国は国から、そういった両面作戦でやったほうが、都構想実現のためにも、私はプラスなんじゃないですかと、こう言っているんですが、それはわかっていると。でも、やっぱり、大阪の皆さんの気持ちがね、というのが彼の本心のような気がします。これは僕の推測です。
反町 明日解散なんですけど、今日のぶら下がりでも橋下さんはその件についておっしゃらなかったと。明日なのか、それとも解散後の表明になるのか。いつまでにという表明のタイムリミットというのはどのへんに置いて見ているんですか?
小沢 とりあえずは、それは橋下代表自身が今週中ということをひとこと言ったんでしょう? ですから、今週中っていつなんだね、という話を、今日も維新の選対本部の会議の中であって、今週中というと普通土曜日だよねという話があったんだけど、そこはちょっとまだわかりませんね。
昨日、例の支部長の登録をしました。その支部長登録の前には私のところにも支部長登録やりますと、こういうメールが来てましたが、その後は何も連絡はありません。
反町 なるほど。維新の党側とすれば、橋下さんが出たほうが選挙戦は有利になるのか、それとも市長のままで、いわば自分の選挙区を抱えずにフリーハンドで全国を回ったほうが有利になるのか、その辺の見通しというか、皮算用、どっちのほうが党にとってはいいんですか。
小沢 これは色んな見方があるかもしれませんが、これは私の見方で言えば、橋下さんが出たら、維新は3倍増ですよ。
反町 (笑)伊藤さん、どうですか、これ? 橋下効果で三倍増って、いくらなんでも。
伊藤 僕も毎週仕事で大阪に行ってますけど、以前に比べるとやっぱり存在感が低下していることは間違いないんですね。
小沢 前は5倍増ぐらいだった。
伊藤 そうですか。それと、やっぱり大阪限定というイメージがあって、それが全国に広がるか、その出馬自体がね、どういう形で広がっていくかというのはちょっと僕は疑問点があるし、それから、もし市長を辞めて出馬した場合に、市長選挙が当然ありますよね。その時に、都構想に反対する人間が当選したら、もう即座にこれは終わりということになりますよね。そこまでのリスクを冒すのかどうかというのがひとつ。
それと、実はこの番組で前に橋下さんとやったときに非常に気になる発言をされていたんですが、というのは、「自民党のある首脳が橋下さんを軸にした野党再編なら大歓迎であると、総選挙ではガチンコの戦いになるだろうけど、終わった後、足並みを揃えて憲法改正に取り組めるというふうなことを言っていますけど橋下さんはどう思いますか」と聞いた時に、橋下さんは、「それはそのとおりだ」とお答えになっている。
で、そういうふうにお答えになるということは、じゃあ、政権交代って何のためにやるんですかという疑問が湧いてきちゃうわけですよね。憲法改正って究極の政治ですから、そこのところで自民党と方向が一致しているのであれば、政権交代いらないじゃないですかとなってしまう可能性もあるので、そのへんは橋下さんはどういうふうに考えているのか、維新自体がどう考えているのか、ちょっと気になる点なんですけどね。
反町 なるほどね。
小沢 いいですか。今の発言は、やっぱり維新は統治構造の改革というのが最大の課題でできた政党ですよね。で、その統治構造を改革するためには憲法改正が必要だと、こういう話なので、そういった意味では与党と組むとか組まないとかいう意味ではなくて、それは憲法改正は賛成すると。こういう話だと私は思ってます。
で、そういった意味では、少なくとも維新のまさに原点がまさに日本の機構そのものを変えたいと、こういう思いですから。
伊藤 ということは、同じ憲法改正をやっても、自民党、安倍政権が目指している方向とは違うという意味ですか?
小沢 安倍さんが、いわゆる安全保障論のところを中心的に言っているとすれば、それは我々とは違います。どちらかというと、次世代に出て行った皆さんたちはどちらかといえば安全保障論のほうに行きたがりましたが、我々は憲法改正でも平和主義は維持する。だけれども、国の統治機構がですよ、これもう、戦後60年基本法が何も変わらないなんていうのは日本だけですからね。あの今の都道府県単位が決まった時の交通機関は、徒歩、馬、船っていうんです。徒歩、馬、船の時に決まった行政単位が今もジェット機がどんどん飛び交っている時に同じというのはおかしいじゃないですかというのが我々の改革の原点ですから。だからそこはあってもいいんだろうと思いますね。
ただ、我々は野党ですから、野党は挑戦者だと、こういう思いではいます。
反町 安住さんね、維新とみんなの今、様々なチャンネルでこの選挙協力とか候補者調整とか政策のすり合わせが進んでいると思うんですけれども、橋下さんの今のスタンス、伊藤さんが言われたみたいな形で、橋下さんが出るか出ないかによって、今言われたような橋下さんの安倍政権に対する理解度も踏まえると、橋下さんが出る場合と出ない場合とで民主と維新の選挙協力とか連携の濃淡が出るんじゃないか。そんなふうな懸念はないですか?
安住 どうですかね。だから、大阪都構想の話が総選挙で全国で問題になるというのは、残念ながらそれは私はちょっと違うと思いますよ。私のような宮城県の被災地なんかを抱えている人から見れば、復興を放り投げた選挙で何をやっているんだ、米価も下がって何だと思っている方、私はたくさん有権者がおられて、そこにこう、大阪都構想は統治機構のひとつの大きな問題ではあるけども、それが何か国政全体に全国で選挙戦をたとえば野党で協力してやっていく時に、橋下さん自身の発信力はあると思うんだけれども、有権者の皆さんから見た時には確かに伊藤さんがおっしゃるように、大阪の非常に重要な問題として大阪では焦点になるんだと思いますけども、国政全体となればもっと様々な問題が議論されるんで、その点では維新の皆さんと我々は、改革のその考え方については似ているところもたくさんあるから、やれることはやっていきましょうということだと思いますね。
反町 なるほど。で、その意味で言うと、今橋下さんは、大阪都構想というものを議論の中心に置いて、これに反対する公明党に対しては、何らかのその、言葉、何って言ったかな、きちっとリベンジしないと気がすまないとか、そういうお話を都構想を軸にした政治的発言はよく出てくるんですけれども、これに対して、これをもって国政に出て来られることに対してはやっぱり違和感が感じる部分がありますか?
安住 今、大阪市長としてそういう話で、今大きな問題を抱えているから、そういう街頭演説とかをやるの、当然だと思いますよ。それは別に私はそのことで橋下さんが訴えていらっしゃることは、それはそれでご自身の考えを述べていらっしゃるんだろうとは思うんだけども、今度の選挙というのはそういう選挙だけではないからね。やっぱり国政の場に来れば、大変失礼な言い方ですけど、石原都知事だって、都知事としての存在感はあったけど、480人近い人間で多数を争う国政では、残念ながら都知事としての影響力が国政に来たって、それは野党の一議員で、大変申し訳ないんですけどね、言い方は、そうなっちゃうわけですよ。東国原さんもそうだし。
つまり、この国政というのは、そんなにひとりの人で大きく変わるというよりは、数でやっぱり戦わなきゃいけないところがあるから、私は大変ご苦労なさると思いますね。
反町 橋下発言に、しつこいんですけど、もうひとつだけちょっと伺いたいことがありましてね。先日番組に出ていただいた時に、橋下さん、こういうことを言われているんですよ。「前原さん、細野さん、安住さん、玄葉さん、野田さんとか、民主党の閣僚経験者で旗を振ってもらえれば、みんなの党も維新も、場合によっては次世代の党もみんな集まるんだ」と。バーンと飛び出してもらって、つまり安住さんに民主党を飛び出て何か動きをしてくれれば、その新しい政党に我々も行くんだよと、こういう発言をされているんですよ。
この発言については、今、維新と民主がやっているの、党と党で話をしていると思うんですけれども、やっぱりこの少なくとも4日におけるプライムにおける橋下さんの発言の限りにおいては、民主全部とやろうというのではなくて、はっきり言ってしまえば橋下さんの嫌いな官公労との縁の濃い方は排除して、こういう方々が党を割って出てきてくれれば、その方々とは我々はいつでもやるよという、民主党の分裂を前提としたような野党再編の絵図を、この時点ではまだ描かれているようなんですが、それについてはいかがですか?
安住 橋下さんと我々というのは年も近いし、小沢幹事長もいらっしゃいますけど、統治機構の見直しとかね、戦後の古い慣例を壊したいということでは共通の認識は持っているので、私もそれは橋下さんと、たとえば食事をさせてもらっても非常になるほどなと思うことがあります。
ただ、先程から申し上げているように、私どもの民主党というのは、色々批判はあるけども、実はもう15、6回国政選挙を戦って、なんだかんだと言ったって、やっぱりそれは全国で戦える組織とか、国政ってどういうものかというのは、伊藤さんも事務局長でおられたからね、国政というのは、それは自民党と公明党を相手に選挙する時に、どれぐらいの体力が必要かというのはもうわかりますよ。
だから、パーソン・トゥー・パーソンでやって、集まってうまくいくかというと、それだけでは限界があるので、私はある意味では志向していることは本当に私もよく分かるんだけれども、富士山の山に例えているんです、僕は。裾野が広くなければ政権は取れませんよ。際立った険しい山で裾野が狭かったら天下は取れない。やっぱり右から左までいるけども、真ん中でこう集まったところが穏健中道路線とかね、そういう意味ではどこまで許容するかということについては、ちょっと私なんかとは少し、もう少しコミュニケーションを図りたいなと私は思っているんですね。
反町 なるほどね。小沢さんは、この橋下さんの発言、これだけ見ると、今、東京で江田共同代表が進めている民主との話と、どうも橋下さんの考えている野党再編とか野党連携のビジョンが、橋下さんと江田さん間で違うんじゃないか。これは同じなんですか?
小沢 いや、そこは同じだと思いますよ。
反町 これ同じ?
小沢 ええ。そこは同じだと思います。今現実にやっているのは、これはもう目の前に急に選挙が出てきて、で、その時に前回のような野党が潰し合うような、そういう選挙をやったら、これはもう与党を利するだけですねと。それはやめましょうということを維新のほうは、これはこの前橋下さんも含めて確認をしている。だけれども、これもちょっとしつこいよいですけど、大阪においてはなかなか民主党とぶつかっているから、民主党と本当に選挙協力みたいなことというのはなかなかしてもらいたくないんだと。こういう話は率直にあった。
だけれども、現実に、要は、今言ったような与党を利するようなことはしないという合意はお互い取ってますから、そういう中で、今少なくとも選挙区の調整はやっている。だけれども、政党ですから、政党は政策が命ですから、そういった意味では、政策の違いというのは、お互い個性がある政策は言っていきましょうと。
比例は別々ですねと。政党を選んでもらうための比例は別々ですねと。だけれども選挙区の選挙はできるだけこれは野党共闘でやっていきましょうと。こういう、今、私は、住み分けでやっているんだと、こういうふうに思っています。
反町 そういう考え方に立っていたら、この発言は出ないでしょう。
小沢 いや、これはね、そのもう一歩先。
反町 えっ? これは先の話なんですか、そうなると。
小沢 本当はこれをやりたかった。今回。だけど時間がなかったし、なかなかそこまでは行けなかったということだと僕は思っています。これが一番ベストです、僕らにとっては。
安住さんはさっきちょっと違うというような話を…
安住 まあ、それを。
小沢 もう出てきてやりましょうよ。
安住 名前を出してもらったことは本当にありがたいんだけども、やっぱり日本の戦後の政治は自民対非自民なんですよ、残念ながら。その自民は完成度が高いんだけど、非自民が政権を担えるだけの実力をまだ兼ね備えてなくて、それで民主党も色々トライをして一回は政権交代した。しかし、これを交代が交互にできるような政党にしていくということは非常に大事なので、その時のキーマンのひとりに橋下さんは入ると私も思ってますよ。
それはだけど、大阪で戦っている橋下さんの姿はよくわかるんですけど、これがやっぱりこの国政で一緒に、たとえば国会議員としてやる時には、本当に北海道から沖縄まで全国津々浦々で自民党と戦うということがどれだけ大変かというのをまた実感なさると思うんですね。そういう中で、ある意味本当の政権交代をやっていくということが気持ちにストンと収まれば、橋下さんはまた色々なことで、何て言うか、行動を起こせる人だと思うんだけれども、今はやっぱりこの大阪都構想に全力を傾けていらっしゃるから、そのことについては、率直に言えばそれは地方のうちの組織とねじれている部分があるので、今、小沢幹事長がおっしゃるように、そこはそことしてやれる範囲でやろうと。
だから、たとえば東北なんかは比較的うまく行っていますね。特に青森は社民党から民主、維新、すべての野党が集まって、共産党以外ですね。それで四つの選挙区で共闘して、候補者を出さない社民党のみなさんも比例を起こすために協力しましょうと。これは非常によい例だと思いますね。
私の宮城でも、維新の皆さんに大変ある意味で曲げてもらって、住み分けをうまく行きました。私どももそういう意味では全力でこの維新の林さんを支えたいと思っていて、非常にうまく行った例なんです。
そういうのをひとつひとつ積み上げていかないと、もちろん野合批判とか出てくるしね、ですから政策でうまく一致して、浅尾さんのところも含めて、自民党と対峙する、やっぱり我々というのはひとつの大きな家を将来はちゃんと作って、アメリカのように交代交代で政権交代できるようにしないといけないと思います。
反町 なるほど。伊藤さん、今のお話を聞いててね、維新民主の連携、そこに浅尾さんのところからも何人か混ざる形、それを、今、安住さんが言われるような大きな家を見据えたものかどうか。それをたとえば、人によって最後はやっぱり民主は自党ひとつの自分の党で政権奪還を目指しているんじゃないかという話も当然ありますよね。大きな党というのは今のまぜまぜの意味なのか、それとも、民主は今回の選挙を過渡的なものとして見て、その次は単独で過半数を狙うような選挙だったらば、今回の選挙はまさに野合なわけですよ。どう見たらいいというふうにお感じになりますか?
伊藤 大きな家を描くんだったら当然設計図がなきゃいけないわけで、その家の形がおぼろげにでも見えてきているということが大事なことだと思いますね。
で、今の橋下さんの発言を引き継いで言えば、要するに連合を割れというような話ですよ。
反町 仰るとおり。
伊藤 民間系の労組と官公労を割りなさいと。要するに、民主党だってやっぱり連合という組織と、まあ、ぴったりではないけど、非常に強力な支援組織であることは間違いない。それが、野党の中でやっぱり民主党が軸になりうる政党という可能性を一番秘めている最大の要因だと思うんですよね。だから、そこはなかなか民主党の場合、切れないでしょう。はっきり言ってね。
それ、切れない状況の中で、この人たち、安住さんを含めてですよ、が、出てきて、で、他の維新の皆さん、橋下さんや小沢さんたちと一緒にというのは、現実論として一回二回の選挙のあとで、可能性として僕は極めて低いと思っているんですよね、そういうことは。
だけど…
安住 僕は伊藤さんとは事務局長と選対の委員長でずっとやってきた仲だから言いにくいんだけど、僕はね、伊藤さんね、まったくそうだと思うんだけども、実は労組側も非常に世代替りしましたよ。昔の社会党のイメージを持っていると思うんだけど、今、30代40代の公務員の方中心なんですね、自治労も。ずいぶん考え方は、もちろん大阪では対立してるけど、それは手法で多分こう、いがみ合ったりしたと思うんだけど、僕はこう思っているんですよ。それはね、連合を切り離せとかっていう話に短絡的には行くんだけど、実は思想の問題で、改革を志向している浅尾さんや、小沢幹事長もそうですね、と、セーフティネットをちゃんと作っていくというこのふたつを両立して、穏健中道路線を確立できるかどうかだと思うんですよ。
そうであれば、私は大きな家を作れるから。
伊藤 まさにそこなんですよ。
安住 そこだと思いますよ。
伊藤 今の安倍政権というのはむしろタカ派保守路線ですよね。で、左側に社民党共産党等がある。今、真ん中の部分がすっぽり抜けているわけですよ、完全に。ここは何て名付けるかというとなかなか難しいんですけど、やっぱり一応穏健保守、穏健中道という言葉に多分なると思うんですね。
安住 僕は穏健中道だと思っているんですよ。
伊藤 だけど、その意味で言うと、橋下さんはどちらかというとタカに近いんじゃないですか、今までも言動を聞いていると。
安住 いや、でも、僕は彼は保守じゃないと思いますよ。
伊藤 (笑う)
安住 根本的にだって、現実を180度変えるっていうぐらいの強烈な改革者で、伊藤さん、自民党にもいらっしゃったけど、橋下さん、自民党にいられないと思いますよ。
伊藤 まあ、それは間違いないでしょうね。
安住 だって、業界団体の陳情を聞いて、「はい、わかりました」って机でおとなしく座ってるような人じゃないですね。
小沢 それはダメですね。
安住 そういう人もリベラルというのは受け入れるところがリベラルじゃないか。
反町 リベラル、めちゃくちゃ幅広いじゃないですか。
小沢 そうじゃなくて、橋下さんっていうのはリベラルなんだって言って、そうしたら何かメールがもうすごいね、「何言ってるんだ」って来たけど、橋下さんの性格は、本質は僕はリベラルだと思ってますよ。
反町 えーっ?
小沢 安全保障論や何かはもちろんそれは日米安保とかね、そういうのを大事にしますけれども、いわゆるこの間のまさにヘイトスピーチに対する対応だとかね、あのへんはね、彼の本質論はリベラルなんですよ。
反町 はあ。浅尾さん、せっかくですから、浅尾さんの橋下観だけ伺って、このコーナー終わりにしますけど、どう見てますか、橋下さんという人を?
浅尾 まあ、あれですね。発信力がすごく大きいというのはそのとおりだと思いますし、特に一点突破の発信力が強いと思います。大阪都イエスかノーか。リベラルか保守か何かということで言うと、これは多分非常に物事を論理的に考えることができる人なので、空想的なタカ派でもないし、優しいリベラルでもないんですよ。現実論で考えてどうかという人なんじゃないかと思いますから、さっきの自民党の業界団体で座っていられないというのはですね、多分、業界団体で座っていられる人というのは、相手の本音はそう言っても100切るのやめて20~30にしといてよっていうことが言えるかどうかだけど、そこの20~30にしておいてよというのがどういう理屈なんだって攻めていく人だから言えないんですよ。
反町 何かわかったような。(笑)
秋元 お知らせのあと、みんなの党の解党についてお伺いしていきます。
by kokkai-sokuhou
| 2014-11-22 19:07