2月17日 衆議院予算委員会 石破茂氏 3 法整備と防衛省改革が絶対に必要だ |
動画:http://www.youtube.com/watch?v=pnfFtONLnws#t=59m29s
質問 石破茂氏(自由民主党)
答弁 玄葉光一郎外務大臣
田中直紀防衛大臣
野田佳彦内閣総理大臣
(承前)
玄葉外務大臣 あの、まず、最初におっしゃったこと、施設区域の提供の話でございますけれども、私も、ま、個人的に申し上げて、ま、個人的にというのは大臣の立場でよくありませんので慎重に発言致しますけれども、まあ、様々なあの時代にですね、考え方がやはりあったんだろう、それはつまり、まずは地位協定の前に、その条約、日米安保条約のその対等性というものを考えた時に、たとえば、NATOの条約との比較をする、そう考えた時に、我々は米国に対する防衛義務を持ってない。しかし、一方で、施設区域を提供している、ま、そういうところで一定のバランスを取っているというふうに思われます。
それで、地位協定の話でありますが、私も地位協定の対等性ってものを考えた時に比較の対象は何だと、まあ、この間中谷委員からですね、議論があった時に、NATOの地位協定、そして米韓の地位協定の話を出しました。で、おっしゃる通り、実は日米地位協定はかなり進んでいるところがそれらに比べるとございます。で、今回さらに一歩進めたということでありますけれども、今おっしゃった通り、本当の意味で比較をするなら、今仮定の話をされたところだろうと。ただ、ま、残念というか、実態を言えば、専守防衛である自衛隊がですね、訓練はできても、現実に米国を守るためにですね、米国にいれるかという問題があると。訓練はもちろんできるわけでありますけれども、そういったことではないかと。
また、もうひとつあえて言えばですね、ジプチに自衛隊が行ってます。その時の取り決めがございます。あの時の確か取り決めはですね、裁判権、軍人、軍属、これは、つまり日本の自衛隊の裁判権ってのは日本側が持つと、公務以外もですね、そういうふうになっているということです。
石破 グアムをどう使うかって話ですがね、たとえば、海上自衛隊のP3Cをグアムに置いて、海上自衛隊グアム基地というものを持って、あの地域を哨戒監視することは、現在の法理体系の中で許されることだと外務大臣は思いますか。防衛大臣でもいいですよ。じゃ、防衛大臣答えてください。これは防衛省の話だからね。
委員長 田中防衛大臣。
石破 グアムに、いいですか、今米軍再編の話がされてますね。グアムをどう使うかって話ですね。お金を誰が持つかって話ですが、海兵隊の数が減るのにね、日本がそれだけ負担しなきゃいけないのかどうなのかって議論がありました。じゃあ聞きます。グアムに海上自衛隊の基地を作り、そこに哨戒機P3Cを置いて、あの海域を警戒監視することは、今の自衛隊法で可能ですか。
田中 えー、あの、私の知識から言うとですね、あの、グアムに自衛隊を、の、を、作って、そしてまた、それをやるということについては、あの、今の法体系では、(石破「は?」)いや、今の法体系ではですね、できないと思っております。
石破 副大臣。ん? 外務大臣、答えるの?
玄葉 記憶なので確認しなきゃいけませんけれども、確か防衛省設置法でですね、いわゆる哨戒監視というのはですね、えー、不可能ではないというふうに考えております。
石破 できるはずですよ、防衛省設置法で。防衛省設置法読んでませんか。防衛省設置法と自衛隊法は読んどいてくださいって、この間言いませんでしたか、私。このふたつ読まないと使えないですよ、自衛隊は。いざという時に何条を使ってやるかって、大臣の瞬時の判断ですよ。グアムをどう使うかって時に、アメリカの海兵隊が海兵隊がというお話ばっかりしていてもしょうがないでしょう。私はね、バードン・シェアリングからパワー・シェアリングって言葉をそのまま使うつもりはないけれど、日本が何ができるかということを考えていかないと、この地域における抑止力を維持することはできないですよ。
そして、沖縄に海兵隊がいますよね。中盤で言ったでしょうが。あそこでおいてアメリカの海兵隊が果たしていることは、本当にアメリカでなければできないことですか、と。
今の自衛隊の能力で、島嶼防衛、離島防衛、防衛大臣、できますか?
田中 えー、今の自衛隊の状況から言うと、あの、あの、在日米軍の海兵隊の機能をですね、あの、代替することは、あの、なかなか難しいというふうに認識を致しております。やはり在日米軍がいることによって、抑止力が発揮できる。しかし、我が国もですね、動的防衛力ということで南西地域のですね、あの、警戒をすると、充実をしていくという状況にございますけれども、更なるですね、努力をしていかなければいけないという認識でございます。
石破 これはね、私、今から10年前に初めて防衛庁長官になった時に、何で日本に海兵隊はいらないのかという議論をさんざんしたんですよ。日本に海兵隊的な部隊はあるべきではないか。そして、相浦の西方普通科連隊ってのはそれでスタートしてるわけですよね。だけども、ひとつしか部隊がなくて、ああいうものを増やして行かねばならんのではないか。訓練の場所ももっと色んな状況に適合したような訓練の場所が必要ではないか。
海兵隊と言おうが陸戦隊と言おうがいいですがね、これ、憲法に触れるものでも何でもないんですよ。防衛大臣が答弁されたように、島嶼防衛をする能力、離島防衛をする能力、それもアメリカに委ねておいて本当にいいのか。その海兵隊が沖縄にいるということ、これをもし日本が代替することができるとするならば、そこで相当に沖縄の負担は減ってくるのではないのかということですよ。
邦人を救出するために自衛隊法を改正する、それも日本はきちんとやる、当たり前のことですね。それをやることによって、少しずつ、少しずつ、負担を減らしていくことを我々は考えるべきではないのかということを申し上げているんです。
総理大臣に承りますがね、国防の基本方針ってご存知ですよね、この間議論になりました。で、あれは我々が生まれた昭和32年に、5月20日だったと思います、閣議決定したものです。私も総理も今年で55だ。55年間、国防の基本方針が変わらないということは、本当にあるのか、ということなんです。これは法律でも何でもありません。閣議決定です。
私はこれをね、何度も何度も読み直してみるんだけども、この三番には極めて大事なことが書いてあってね、「国力・国情に応じ、自衛のため必要な限度において効率的な防衛力を漸進的に整備する」。ここには最小限という余計な言葉がないんですよ。必要最小限という余計な言葉がない。だから、集団的自衛権のお話は、ここから行使不可というのは出てこないんです。
外務大臣、また議論したいんだけどね、憲法上、集団的自衛権を日本は保有しているかって、実はものすごく大事な議論でね、「今、独立主権国家である以上、集団的自衛権を保有していることは当然であるが、その行使は憲法で禁じられた必要最小限の範囲を超えるので、これを行使することはできない」、こういうふうに言ってますね。
じゃあ、その前に、先ほどどなたか答弁でおっしゃった、日本国憲法上保有しているって言葉入れるとしましょうか。「日本国憲法上集団的自衛権を保有しているが、日本国憲法上行使できない」この日本語をどう理解したらいいんですかということなんです。これは日本語ではありません。だから、突き詰めて考えよと申し上げているのはそういうことです。
本題に戻りますが、必要な限度においてってのは国防の基本方針です。ここに戻るべきです。そして、最後にこう書いてある。「外部からの侵略に対しては、将来国連が有効にこれを阻止する機能を果たし得るに至るまでは、米国との安全保障体制を基調としてこれに対処する」だから今みたいな話になるんですよ。私は独力防衛とか、核を持てとか、そんなこと言ってるんじゃありません。どっちが主で、どっちが従かということです。
昭和32年の当時に、自衛隊というのはそんなに力を持ちませんでした。しかし、いまや相当の力を持つように至り、法整備も相当に進んできました。だとするならば、たとえば、島嶼防衛、たとえば邦人救出、邦人救出は外部からの侵略のカテゴリーではないかもしれないけど、じゃあ、島嶼防衛としましょうか。そういうものに対して、やはり我が国の自衛隊が主でなければならない。外務大臣よくご存知の、アメリカのバンデンバーグ決議ってありますよね。自分の国のことは自分でやる。そういう国でなければ合衆国は同盟を組まない。これがバンデンバーグ決議でしょうが。私はね、この国防の基本方針が、55年間全く改定されなかったということ自体が異様なことだと思いますよ。
自由民主党は、これを改定する。是非政府に置かれても、ご検討いただきたい。
野田 この国防の基本方針がですね、閣議決定された昭和32年5月20日って、私の誕生日です。(石破「そうだったんだ」)どんぴしゃで。あの、まさに、時代を感じますね。で、今読み上げたような内容でありますけれども、そのここに書いてある「必要な限度」「必要な限度」私これ、必要最小限の話と同じで、これ、国際環境とか科学技術の進展とかで、これも相対的なもんだと思うんです。相対的。でも、このことも含めて、改めて基本方針、まあ、御党がまた白紙から考えるということでございますんで、私は我が国の防衛のあり方の基本に立ち返って、時代によってですね、やっぱり色々状況変わってきてます。お互いにもう54歳ですけど、それぐらい、半世紀経ってもその見直しがなかったということは、多分、あの、うかつだったんだろうと思います。私は大いに議論すべきだと思います。
石破 最後にね、北朝鮮の問題についてひとつだけ言っておきますよ。今年は北朝鮮にとって相当のイベントの年でしてね、金正日生誕70年、金日成生誕100年、そして、朝鮮人民軍創建100年です。色んなイベントが重なる。それはね、色んなプレゼントをするわけですよ。そのお金を絶っていかなければ、これはあの国の体制は揺らぎませんよ。
他にも色々ありますがね、その時に色々な方々が色んなルートで接触をするということは控えるべきであって、私はここは外交の一元化というのは厳にやっていかねばならないことだと思っています。それは、政府との意志を疎通してやっていくということならばともかくも、向こうも一枚も二枚も上手だとは言わないが、非常に狡猾な、あえて狡猾と言います、外交を展開する国です。この点は最後に総理に確認したい。最後に申し上げておく。
じゃあ、自民党ならどうするかということを最初に申し上げました。私たちはこういうことをやっていかねばならないと思っています。ひとつは一般法です。今、ホルムズ海峡に出すとか出さないとか、色んな議論があります。イラクはイラク、インド洋はインド洋、その都度その都度法律を作り、今度はどうしようかなんて議論している間に事は過ぎ去る危険性がある。一般法の制定は必要です。
集団的自衛権の行使、あるいは非核三原則、そういうものをきちんと法に定め、安全保障基本法、集団的自衛権何でもいいから使っていいって話になりませんからね、どうやって文民統制を確保するか、この基本法は必要です。
有事において、大災害において、総理大臣は、自衛隊の最高指揮官だと言いますけれども、それは個人ではありません。合議体たる内閣の長です。ひとりが反対、反対と言ったら、総理は命令が下せません。そういうことを回避するための緊急事態基本法。
周辺事態法は、アメリカしか対象ではありません。周辺事態においては、韓国の船も、オーストラリアの船も出ていることがあるでしょう。こういうものも対象にしなければなりません。周辺事態法を改正する。
邦人救出のための法律を作る。
領海保全だって、今法律が不十分です。法律が不十分では領海を守る事はできません。
こういう法整備をやるということを私たちはきちんと国民に問うて、政権を担当したらばこれをきちんとやるべく、今法律を整備をしておるところであります。
もうひとつは今総理との間で確認した国防の基本方針、これは改定をします。
民主党政権になって頓挫をした防衛省改革、なんで頓挫したか知らないが、これは絶対にやっていかねばなりません。統合運用、統合運用と言いますが、防衛力の整備が統合的に為されていなくて、どうして統合運用ができるんですか。陸上自衛隊の最高最適、個別最適ですね、陸上自衛隊、これが一番いい。航空自衛隊の個別最適、海上自衛隊の個別最適、個別最適の総和は、全体最適ではありません。大臣がよくおっしゃる運用というもの、おオペレーションというもの考えた上で、こういう運用をやる時に陸海空は何の装備を持つべきかというような防衛力整備を統合的にやらなくてどうするか。
そういう防衛省改革を、私の時に、林大臣の時に、浜田大臣の時に、実現一歩手前まで行きながら、これをなぜ葬ったか。私には全く理解ができません。防衛省の予算が足りない、足りないと言いながら、運用が大事だと言いながら、防衛力整備を統合的にやらないでどうします? 防衛省改革をなぜ途中でやめましたか? 大臣、知っている限りでおっしゃってください。
田中 あの、防衛大綱そしてまた中期防という作業に入っていた中にありまして、あの、防衛省改革の問題が、少しあの、検討がですね、進まなくなってしまったというのが、私の認識でございます。私もあの、色々意見を伺いながら、やはりあの、最大限のですね、防衛省のこの人材で、そしてまた、今の安全保障環境でですね、本当にあの、対応ができるような組織に研究をしていかなければいけないと思っておりますので、ご理解をいただきたいと思います。
石破 総理に制服補佐官というのはいると思います。そして、この国会の場において、制服組が答弁をし、議論をするということは必要なことだと思っています。今日は時間がなくてF35の議論ができませんでした。またの機会にやらせていただきますが、総理、今日した議論、決して忘れないで下さい。沖縄に行った時に、きちんとした謝罪、そしてきちんとした正面からの向き合い、是非なさっていただきたい。以上を申し上げて終わります。(拍手)
委員長 これにて今津君、額賀君、石破君の質疑は終了致しました。