2月28日 2月28日 福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)記者会見 5 |
動画:http://www.youtube.com/watch?v=-CMO2DNzzNc
北澤 (承前)と言いますか、そういう答えに私としてはなってしまうんですが。
遠藤 あの、私自身ですね、今あの、ご質問に対しては、あの、個人的には意見を持っております。それをもうひと言二言で申し上げますと、私はあの、今回の事故ってのは、あの、もちろんあの、引き金を引いたのは津波、地震、津波という天災であったわけですけども、これをこんなふうにしてしまったというのは、私はあの、人災という言葉は、あの、必ずしもよくないんですけれども、その面が非常に大きかったと。もうしそうであるとすればですね、これは人の力の知恵、あるいは今後の努力、反省によってこれを克服できるもんだと私は思ってるわけです。従いまして、そういう観点から、私はあの、最大の関心、あの、注意を払いながら、原子力は進めるべきなもんだと、私自身はそう思っているわけです。
川村 えー、山地先生、いかがですか?
山地 えー、私もあの、この場での質問としては、どうかなと思ってますけど、まあ、逃げるわけにも行かないと思いますので、私はですね、あの、日本にとって、まあ、人類にとってっていうまで言い切る気はないんですけど、日本にとって原子力は、エネルギーの選択肢として維持すべきだというふうに考えてます。まあ、もうちょっと一般的に言っても、原子力という存在を既に人間の知識の中にあるんですね。利用する技術もある。まあパンドラの箱にたとえるというのはたとえが悪いと私も思ってるんですけど、あけた箱を今更閉めるってことは多分できないというふうに思ってます。
川村 えー、それでは、お二人の後、但木委員、野中委員にも……(聞き取れず)
但木 あの、私は、えー、その、ほんと言えば、その、風力とか、あるいはあの、太陽光とか、そういう、その、再生可能エネルギーで全部をその補完できれば、それはそれでいいでしょうと。ただ、現在の技術水準では、コストと量がそれでは多分不足するんだろうなと。だから、選択肢はふたつあるわけで、我々の生活を縮小するのか、そうでなかったら、えー、原子力を使うのか。このふたつの選択肢で、私はどっちも選択肢としてはあると思っています。ただし、後者の選択をする時は、あの、きちっと改革をし、今度の原因をきちっと究明して、あの、ひとつひとつの原発に応じたきめ細かい対策を立てるっていうことをやっぱりやっていかなければいけないだろうと、つまり、人知の限りを尽くして、やっぱり防災を考え、そして、災害が起きた時にその被害を最小限に食い止めるための組織的な危機管理のプログラムっていうのを、具体的に作って、それが動くようにしとかなきゃいけないというふうに思っております。
川村 では、最後に野中先生からもひと言お願いします。
野中 はい。私は個人的にはあの、えー、白か黒かというような、ある意味で二極対立的に価値観を問うっていうのは、あまり好きではないんでありまして、私自身は、プラグマティズム、現実直視というのが、私の主張でありまして、しかし、理想を持ったプラグマティズム、そういう意味では、その、こういう機会に、エネルギーの多元化ということを議論するのは、大変いいことでありますけれども、同時に、やはり、原子力そのものの中にも、イノベーションの余地もあると。そういう意味で、その、バランスを取った判断力っていうことが技術開発においても重要ではないかというふうに考えております。
川村 はい、ありがとうございました。それでは次の質問に移りたいと思いますが、会場の中でどなたか。じゃ、今の後ろの方、はい、そこの若い方どうぞ。
石森 ええと、カメラがありますので座ったまま失礼します。文化放送の石森と申します。よろしくお願い致します。二点ほどお伺いしたいと思います。まずひとつで、報告書は菅総理が現場へ乗り込んだことなどを官邸の危機管理の迷走ぶりに問題があったとされているようですけれども、枝野大臣とか細野大臣などは、現在の関係閣僚に名を連ねてます。これについてはどうお考えなのか、これを委員長にお伺いしたいと思います。
もう一点。えー、東電側はですね、今回の聴取に応じなかった理由について、基本的に民間の任意団体であると。事故収束に取り組むことを優先順位の第一としたということを今日述べております。これについてのご見解をお願いしたいと思います。以上です。
川村 えー、ではまず第一点について、委員長の方からよろしくお願い致します。
北澤 第一点についてですけれども、これはあの、但木委員がまさに言われたことなわけですけれども、やはり日本国憲法というのは、国民の安全を守るというのが政府の最も重要な役割のひとつであるということを規定しているわけでありまして、これはあの、政府はどんなことがあっても安全を守らなければいけないわけですけれども、その安全を守る体制というのをきちんと見張るというのも、政府の役割なんですが、それが、やはりできていなかったということを、我々としては結論せざるを得ないような状況でありました。その意味で、政府の各一員の人たちというのは、共同にその責任を負っていかなければ、いただかなければならないというのがまず第一点。
それから、第二点に、では具体的にその時官邸で何が起こって、なぜ官邸はあのような形でマイクロマネジメントにまで乗り出していったのかというのは、ま、色んな誤解もあったということは先ほどの話でもあったのでございますけれども、そのような状況にしてしまったという、周囲の状況があるわけですね。
これはやっぱり、あの、原子力安全・保安院が機能してなかったとか、あの、色々な官僚機構がまあ、機能して、それで本来でしたら各立場のところでの情報をまとめ、それを決定をして、それを、その、まあ、首相および官邸は見守ればいいという形にするのが本来の、まあ、危機管理であるのが、その、首相自らが、あの、電池の大きさはどういう大きさがいいのかとかですね、そういったことまで問い合わせるような、そんなことが起こっていたっていうことは、いかにその途中の人たちが信頼できないっていうような状況を、その、作り出していたのか。
これは片方だけを責めるということもまたできないということでありまして、今回は、それができないような状況になっていたということを、私たちとしては一番のその問題点として指摘してるわけであります。
川村 はい、倉重さん、どうぞ。
石森 あの、すみません、もう一点質問があったんですが。東電についての…(聞き取れず)
川村 ああ、東電についての。いいですか、委員長のが。
北澤 はい、じゃあ私答えさせていただきます。ええと、東電は、あの、質問に、あの、私たちの、あの、インタビューをしてほしいということと、それから問いに答えなかったわけでありますけれども、東電からすれば、答えたというふうに言うかと思います。それはどういうことかと言いますと、東電の報告書に既に書いてあります。だからそれを見てくださいというのが東電の回答であるということでは、東電は、回答したということをきっと主張されると思います。
それで、私たちとしては、ええと、東電がでは答えてくれなくて非常に困ったのかどうかっていうことなんですけれども、これはあの、逆に言えば、そのほかの人たちが非常に協力してくれることによって、真実の程というのはですね、最終的に東電が答えなければならないことというのは、後は実際には裁判沙汰になるようなことしかないんじゃないかなというふうに感じてるところがあります。
そのほかのことはまあ大体分かったと。たとえば、東電が本当に、その、退避する、全員が退避するってことを決めてたかどうかというようなことは、誰がどういうふうに聞いても、最後の正しい答えってのは本当に出てくるかどうかというのは非常に難しい問題でありまして、私たちとしてはもちろんヒアリングして、それを聞きたいところではありますけれども、あの、答えてくれなかったからと言って、それに、それによって報告書の内容が違ってしまうものではないというふうに考えております。
倉重 はい、毎日新聞の倉重です。ええと、ま、但木さんにお聞きします。まさに国の責任だと思うんですが、国と言ってもですね、その原子力安全委員会から、保安院から、通産省から、時の政権のですね、えー、大臣まで、色々あります。どの時代のですね、どの組織のね、どの人物に対してですね、最もその責任があるとお感じになったのか、もし但木さんが起訴状を書くとされたら、誰を被告にされたいか(会場笑)、それを是非お聞きしたい。
それとですね、遠藤さんに聞きます。遠藤さん、あの、結局外国からの助言がですね、うまく入ってこなかった。誰がインターセプトしてたのかですね、外務省なのか、誰がインターセプトしてたのかですね、その情報をですね、それをまずお聞かせ下さい。
北澤さんにお聞きします。要はですね、菅直人首相に対してですね、我々が感謝すべきなのかどうかなんですね。(会場ざわざわ)彼が大決断をしたおかげで、最悪の事態が免れたけれども、ちっちゃな介入したおかげで問題をこじらしたのか、しかし、トータルとして政治家としてどう評価すべきなのかってことをお聞きします。
船橋さんに聞きます。結局まあ、新聞社がやるべきことをよく300人こうやって取材してよくやっていただいたと感謝しておりますが、実際メディアの問題はあったのか、なかったのか、責任ですね、それを船橋さん外からご覧になってどう見られてるのかを聞きます。
以上です。
川村 はい、それでは、それぞれの質問に対してお答えいただきたいと思います。
但木 順番で私が一番最初に聞かれましたので、私が答えます。起訴状を誰に宛てるかって話。ええと、あの、正しく聞いていただきましたけど、私は国という言葉を使いました。国というのは、あの、非常に抽象概念、実は総体を指しているんであって、自民党とか民主党とかそういう話では全くありません。で、国総体として、あの、経済力を発展させるためにエネルギーが、安価なエネルギーが安定的に供給してもらわなきゃならないという、そういうその、要請があって、そして、その原子力というものを発電装置として取り入れた。えー、それは誤りかって言われると、それが即誤りということはできないだろうと。つまり、日本のその後の経済発展を支えたひとつの大きなエネルギーであるから。ね。
ただ、途中で、そのおかしくなってくるのは何かっていうと、原発反対運動っていうものとの対抗をし始める頃から、その、異様にイデオロギーになってくる。本来冷静に防災とか、あの、そういうものを考えるべきだったのに、この原発反対運動にイデオロギーとして対抗しようとするために、絶対その、安全神話っていうのを作らざるを得なかった。それから、あの、原子炉を作るために、その住民の人たちに受け入れてもらわなきゃいけない。必ずそこでは原発反対運動が起きる。それをなだめるためにも、絶対安全神話っていうのは、道具として必要になった。その道具として必要になった安全神話が、実はその後の、その、えー、最新の知見に基づく防災、本来ならそうですね、ジョウカンとか、あるいは推進本部とか、色んな情報があって、最新の知見を取り入れれば、おそらく、ちゃんと措置をしてるんですよね。たとえば、女川原発とか、東海第二とか、ちゃんと備えをやってるとこはあって、今度のでも被害が非常に少なくて済んでるとか、ね、そういうところもちゃんとあるんで、最新の知見を取り入れた防災をやれば、今度だって防げたかもしれない。ところが、それをやらないひとつの大きな理由は、やっぱり、安全神話に自縄自縛されていた。で、その安全神話ってのは、実はイデオロギー闘争の手段として使ってしまったためにですね、その後の目を曇らせていってしまった。
で、誰かって言ったら、ずうっとですと。(会場笑)あの、えー、それで、その時その時の担当の人が、過ちをしていた、たとえば、東電の先延ばしの結論を了とした人も、それは、誤りですけども、しかし、それは体質なんですよね。体質。原子力村の中の体質なんです。その体質は長い間形成されていて、もう時効になった人がたくさんいる。(会場笑)
遠藤 じゃあ私から二番目の質問に対して。あの、私がご説明申し上げましたのは、あの、アメリカのNRCが9.11の結果出した、こういうふうに改善しろと、気をつけろという指令、これはあの、B5bと言われている指令なんです。これはあの、この本の中にございますけども、これは日本の保安院のポケットに入ったままになってしまったわけです。
北澤 よろしいでしょうか。それではあの、私への質問なんですけれども、結局菅さんを評価するのかどうかという…(続く)