2月22日 藤井聡氏 2 国民総勘違いのデフレ不況から抜け出す大転換が必要だ |
動画:http://www.youtube.com/watch?v=o6YwdlrIMsw#t=19m40s
藤井 (承前)で、この大間抜けな経済政策のこの三連荘が、何をこの我が国にもたらしたかと言うと、2000兆円から4000兆円規模の大、大、大損害であります。
どういうことか。
これが名目GDPの推移なんですけども、ご覧のように日本以外は全部経済成長してます。中国だけでなくヨーロッパもアメリカも全部経済成長してるんですが、97年の構造改革、色んな規制改革等々をやった時からですね、日本は増税(聞き取れず)としてのデフレになりました。で、ご覧のように日本だけ経済成長できなくなって、で、この間もう公共事業は削るわ、構造改革はやるわ、コンクリから人へは言うわ、もうめちゃめちゃやってるわけであります。こんなめちゃめちゃやってもうたんやったら、そんなもん経済成長するはずあるかいな、ちゅう話であります。
で、そんなアホらしいことしんと、アホなことせんとですね、ちゃんと普通の大人の国家としての経済政策行なってたら、このぐらい行ってたはずなんです。これ、どういうことかと言うと、経済成長の世界平均、日本除く世界平均で推移したら、何と、日本は1200兆円ぐらいのGDPになってるんです。で、当然ながら多くの論者はですね、いやいや、日本は成熟社会だからそこまで行かないという人もいるでしょうから、まあまあ渋々ですね、3分の1しか成長率がなかった場合というのも計算しましたけど、700兆か800兆ぐらいのGDPにもなるんですよ。とすると、普通にやっとけば、もう400何十兆ちゅう話じゃなくて、もう普通でどんなにボチボチやっても700兆か800兆ぐらいのGDPがあったはずなんです。
で、問題はこの斜線部分であります。この斜線部分は一体何かと言うと、変てこりんな経済政策をやってしもうたことによって、我が日本国民がどんだけ損したかという話であります。これ全部計算すると、(2008年)?だけで2000兆円損してると。で、これも平均シナリオの場合は、4000兆円損してると、これ2011年です。これもう5000兆円行ってるぐらいの話であります。
で、こんなことをやってるとですね、5000兆円あれば借金は返すことができるは、リニアなんて2、3万作ることができるかもしれませんし、場合によっちゃ社会保障だってものすごいええ病院とか作ることができるかもしれませんし、で、しかもそんな1200兆円の国やったら、そんな、アメリカとかアジアとかソ連とかに、いやいやあの国ちょっとヤバいなと思われるでしょう。475兆ならちょっとショボなりよったと思われることがあって、要するに国際的な地位が凋落するわけであります。
それをひと言で言いますと、つまり、デフレは日本経済力の凋落とか失業、国民所得の減少の直接的原因であるのみならず、財政悪化がこれまた後ほど申し上げます円高の原因にもなってるし、外交力の低下にもなってるし、必要な公共政策の未実施、防災、国防、教育、社会保障等々の必要な公共政策の未実施につながっているわけであります。しかも、こんだけデフレやったら、子供作らなくなります、国民は。で、人口減少、元々人口減少傾向があったのがさらにドライブさせられてあって、しかも社会保障費も増加してるわけであります。この失業者が増えておりますから。
で、ということで、今国会の先生方が色々とご議論されてる全てと言ってもいいぐらいのほとんどの問題の背後にデフレというものがあるんです。だから、デフレの脱却こそが日本を救うための最大の政治課題であるということを先生方にご理解いただきたいと思います。
で、今までの話をちょっとまとめますとですね、
公共事業は無駄やとか、規制緩和で経済成長せいとか、そんなことばっかり言うとるわけで、で、しかもそれは大手新聞社の88%が毎日毎日それを言うてるわけであります。そしたら国民は、あ、そうなんかなと思うようになるわけであります。従って、今の日本のデフレというものは、国民総勘違いデフレ不況なんですね。全員が国民が勘違いして、何かもうやったらあかんことを、火事にも油は撒くは、もう、傷に塩塗るわ、そんなことやってですね、もう勘違いしてそれがやったらええとか思てこうなってしもてるわけです。もう是非この勘違いを是正いただきたいというのが私の強い願いでございます。
ただし、最後の、前のスライドでございますが、
私が今申し上げたように、構造改革が駄目だとか公共事業が必要だとか言ってますけども、私が申し上げてるのは、構造改革が常にバツで公共事業が常にマルだということではありません。絶対そういうことはありません。それは、構造改革が常にマルやとか公共事業が常にバツやとか、今の日本がやってることとほとんどというか、全く同じほどに愚かしいことであります。
重要なのは、どのタイミングで何をやるかということであります。で、重要なポイントは、インフレ期とデフレ期でやるべき対策というものは分けるべきだということです。
インフレというのはそもそも需要が多くて、経済がアチ、アチ、熱ゥみたいな感じになってる時であります。で、そういう時は熱うてなってるので、冷ましたらいいんです。逆にあの、デフレの時というのは需要が少なくてもう、何かもう、ぬるう、何かもう冷たなってるので、温めるような、経済を温める対策が必要です。だからインフレの時には冷ます必要ですから緊縮財政が必要なんです。一方でデフレの時には積極財政が必要なんです。
もうちょっと細かく言うと、インフレの時には政府出動削ったり公務員を削ったりするのがいいんですけど、デフレの時には政府出動拡大したり公共の公的な雇用拡大する必要があります。で、更にインフレの時は増税が必要ですけど、デフレの時にはもう投資減税なんかが必要になるんです。で、更にインフレの時には規制緩和というものが必要になりますけど、デフレの時はそれは絶対やっちゃ駄目で、実は逆に雇用の保護なんかが必要なんです。
さらに貿易で言うと、インフレの時には、自由貿易をさらにあの、推進してですね、それで舶来のもんを一杯輸入することが必要になってくるんですけど、デフレの時にそれをやってしもうたら、デフレがさらに悪化してしまうので、保護貿易こそが求められてるんです。
従って、インフレの時に必要なことと、デフレの時に必要なことときれいに分けていただきたい。これはもう日本中の全員の経済学者に私は理解いただきたいと思います。で、これ、ひとつの例でありますけども、
私がいつも敬愛してるところの宍戸駿太郎先生という元経済企画庁の先生が、元経済企画庁にあったちゃんとしたモデルを使って計算したところを私が申し上げてるようなことを250兆円規模でやると、10年後に874兆円程度のGDPになるんじゃないかということも計算されてます。そのあたりのことは昨日発売になりました『救国のレジリエンス』という本の中で紹介してございますので、まずはそれをご覧いただければと思いますけれども、詳しくは、いずれにしても、きちんとした、きちんとした経済対策を打てば、我が国はいくらでも経済成長できるということをご理解いただきたいと思います。
最後に外需の獲得でありますけれども、
要するに内需を拡大するとですね、ようさん僕ら物買うようになります。ようさん物買う。物買うということは、ドルがもう、買う、ちゅうことは円を売ってドルを買うことになります。で、円売りドル買いがようさん進むので、円安になります。で、円安になると、なんと内需拡大すると輸出産業も拡大することになるんです。ええことばっかりちゅうことであります。ですから、内需を拡大することこそが、輸出産業のためにも必要だと言うこともおまけでひとつ申し上げておきたいと思います。
最後でございます。
学界・マスコミ・世論の全てを巻き込んだ日本全体の思い違いによってデフレ不況になってる状況から抜け出すためには、レジームの大きなチェンジ、レジームチェンジ、大きな大転換が必要であると。AからBへの転換、貿易とか改革成長論から、財出とか緩和成長論に対しての、大きな、それに向けて大きな大転換が必要であるということを申し上げたいと思います。
デフレ脱却、本格的な国土強靭化、世界恐慌対策、それらが全て求められているこの2012年にですね、ぜひとも、この大きなレジームチェンジを、先生方のお力で何とかしていただいて、日本国民を救っていただきたいと思います。以上でございます。
会長 ありがとうございました。(拍手)
参考資料:藤井聡研究室HPより。他にも興味深いチャートがたくさんありますのでリンク先で是非ご覧下さい。