仮払い法案3 7月11日小西洋之議員の質問 |
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平成23年7月11日 参議院 震災復興特別委員会
小西洋之参議院議員の質問
小西 民主党・新緑風会の小西洋之でございます。私の方からは今谷岡委員から質問がありましたこの仮払い法案の必要性というものをもう少し制度を実際動かしていたときの実務レベルに掘り下げてうかがわせていただきたいと思います。
まずはじめに8条の関係で、仮払いの事務処理を都道府県にさせることができるということで規定がございますけれども、その中には当然この度の一番の被害者である福島県も入ってくると解釈上当然なるわけですけれども、提案者の皆様はこれは福島県にこうした仮払いの事務をさせることを想定しているんでしょうか。
佐藤 小西議員に答弁いたします。都道府県知事、とりわけ福島県に対する負担でございますけれども、確かに福島県の職員の方が多忙を極めていることは私も承知しております。
それ以上に非常に、被災者の方々が非常に大変な状況で、なかなかお金が来ない、あるいは足らない、実際に自殺者も出ております。93歳のおばあちゃんがお墓に避難しますとか、あるいは原発さえなければという形でチョークで壁に書いて亡くなった方もいます。
そういう状況を踏まえますと、やはり被災者の立場に立って早くお金を渡す、と同時に、やっぱりその事務手続きの負担を少しでも減らすというふうなことも考えないといけない。ということで事務手手続きについては今浜田議員のほうからご説明がありましたように、今まで使っている仮払いのやりかた、東京電力のやったやり方を最大限使う、ただ一部的に個人に対する場合の窓口業務的なものは一部都道府県にお願いすることもあるかもしれません。
だからといって今回被災者のための都道府県のほうが汗をかかないということまでは私は聞いておりませんし、できるだけ事務の負担を減らしていただいて、この法案についても意義があると私のほうも承知をしております。ただこの際、都道府県の事務についても国のほうが文科省だけではなく関係省庁が支援できるという枠組みを作っております。
また、他の県もあります。千葉県や群馬県のほうが事務をやって、福島県がやらないということも、これは非現実的だと思います。当然その際必要な人とか予算というものを手当てもできるようにこの法案に書かせていただいておりますので、必要性ということをよくご理解のうえ、如何にその事務の負担を減らすかということで知恵を使っていきたいなというふうに思っております。
小西 ありがとうございました。被害者の救済のために自治体が東電やあるいは場合によっては国とみんなが連携してやっていることはまさにその通りだと思います。ただ現実的に実務を考えてみますと、今東電は千人態勢で仮払いをやっております。これから本払いに向けて3千人態勢に拡充していくというふうにしております。福島県の県の職員の人数は何人でしょうか。一体どれほど事務が福島県に生ずるのか、私はこの事務を福島県に委託できるというこの今の法律の枠組みは、実効性という観点で見たときに、かえって被害者のためにならない、そうした恐れが非常に高いと思います。福島県にもやらせるということでよろしいんでしょうか。
佐藤 お答えいたします。この法案は、一応できる規定になっておりますので、これから本当に政府と福島県のほうのやり取りの中で、ある程度人を追加で採用してもできないということになれば、それは国のほうでやることもできます。実態的に本当にできないものかというと、それは私はできる可能性が十分あると思っております。
まさにその辺については、委託することができるという規定で置かせていただいておりますので、どうしても、色んな手を尽くしても、それが福島県のほうでできないと、福島県の佐藤知事ができないと本当にいうんであれば、それは国のほうがひきとって、国のほうでそういう部分を代行するということもありうるかというふうに思いますけれども、今の規定で言うと、それほど福島のほうに大きな負担が行くわけではなく、今の使っている事務の手続き、これは最大限利用しようというものでございまして、この法案読んでいただけますと、だいぶ事務手続きを簡潔するという形で配慮して規定を作っておかしてもらっているという状況でございます。
小西 ありがとうございます。福島の…答弁はぜひ簡潔に。この度の今東電がやっている仮払いの仕組みの中で、必ずしも今回の被災に関係のない自治体までが皆で住民票の確保ですとか、みんなで協力し合ってる、まあそうしたこともやっております。ですんで、私もせめて自治体ができる限りのことをするべきだということはわかります。現実問題に考えて、千人以上の態勢、これから3千以上になります。そうしたものを、今被災者の復旧復興あるいは保護のために血眼になって頑張っておられる福島県にそれを課すことができるのか。もっと政府の根本的な哲学を申し上げれば、この仮払い法案によってできる新しい仮払いの仕組みというのは、少なくとも現在東電がやっているものよりも、被災者そして福島県に、余計な負担を課すものであってはいけないと思います。余計な負担を課すのであれば、今東電がやっている仕組みを、東電が一所懸命、千人これが3千人態勢にしようとしてるんですから、それをより機能化させるようなやり方を考えるのが本来の提案のあり方だと思います。
すみません、ちょっと時間がありますので次に行かせていただきますけれども、はい、失礼しました。私の持ち時間で、ちょっと今提案者の佐藤提案者がおっしゃっていただいたできる規定なんですけれども、できる規定とはいえ、書いてしまった以上はですね、福島県は被害者の方々から、福島県はやるはず、できることになっているのに何故やらないんだという、そうした余計な批判を受けることになります。だから福島県が本当にできるものなのかどうか、また制度そのもののあり方として、福島県に今の制度では課していない新たな負担を課すことが正しいのかどうか、そうしたことを考えて今後検討いただきたいと思います。
では次の質問に移らせていただきます。先ほど谷岡委員の質問の中に答弁がございました。この度の8条に書いてある事務処理を東京電力に委託させるということをおっしゃっているんです。で、簡潔にお願いいたします。東京電力に委託させることについて、東京電力の経営者に内々の応諾を得ておりますか。
浜田 お答えいたします。佐藤議員の答弁の少し補足でございますが、3千人の態勢が福島県で要ると思っておりません。というますのは今言いましたように、農協とか漁協とか東京電力、また話はしますけど、そういう方々の力を得ますので、決して福島県の方々に3千人用意しろとそういう法案ではございませんということは一言申し上げたいと思っております。
その上で、今たとえば農業とか漁業とかそういうものは団体を通じて、個人補償関係についてはすでに東京電力から仮払い補償金の100万75万払っておりますので、そういうインフラを使うことが早期救済につながるだろうということがございまして、それで東京電力の事務委託も考えております。
これについては、実は、支援機構法の関係で説明に来られた役員がおられます。その方が言うには、ああ、そういう考えもありますねということで、それは法案完全に固まっておりませんので、これについては法案が決ってない段階で東京電力に具体的な話はできませんけれども、こういうことを考えていること自体については先方にお伝えをして、それについては、ああそれは確かに、たとえば過払いの規定とか不正請求の場合とか、そういうものについては東京電力が民民間でやるよりはいいかもしれませんねと、県のもうもできますと、そういうお話もいただいております。
小西 今その東京電力がやっている千人という数は、東京電力の純然たる社員あるいは東京電力自ら雇った人数なんですね。3千人もそうです。農協とかそういうものは入っておりません。で、しかもそれは私自身、今の仮払いが順調にあるいは被害者の方から見て十分進んでいるとは全く思っておりません。私自身今の現状は課題がある、これを何とかしなければいけない、そのために政権与党の我々が出したのが支援機構法案であるんですけれども、つまりですね、東電の今3千人あるいは千人3千人ていうものを、ものすごい規模なわけですね。で、これから今私が申し上げたように非常に不十分な額をもっと上げていくと、海江田大臣が言っているように数兆円にいたる場合があると。
すると数兆円に伴う事務というのは、仮払いに対応する人員というのはものすごい数になります。そうしたものを東電にきちんと確認もせずに、政令による委託者だというふうに割り切れて答弁されるというのは、本当にこういう言い方したくはないんですけれども制度の実効性、すなわち本当に被災者の救済ということを考えられているんでしょうか。
浜田 お答えさせていただきます。確かに事務委託者として法文上はきょうぎょ(?)共同限定委託者でございますけれども、実際今言ったところは想定しておりまして、ただ、まだやっと実質審議が今日始まりまして、法案としてまだ固まっていないといますか、○○(聞き取り不能)として固まっておりますけれども性質がまた○○(聞き取り不能)まれておりませんので、その段階で東京電力、また具体的な農協と事務委託の話をすることも立法府の軽視になりますから、ただ考え方は伝えていると、その段階で、そういうことを、その手続きで不十分だというふうには我々は認識しておりません。我々としてはこの法案を早く皆様のお力をいただいて審議し、また精査していただきながら、平行して、皆様の合意が得られそうであれば、すぐに東京電力とも他の農協とも話を進めて、早期救済できるように努力する決意でございます。
小西 立法府の軽視とおっしゃいましたけれども、本当に実現できるのかどうか、今私が申し上げたように、数千人規模にわたるような事務処理員数が見込まれる事業にあって、その当事者であると考えてある方から、内諾あるいは確約というものを得ないままにですね、法案審議に付すと、そのこと自体が私は立法府の軽視ではないかというふうに申し上げさせていただきます。
またですね、これもう少し実態的に見ると、この制度というのはですね、この法律が仮に通れば、今東京電力が自分で行っている仮払い、それと並んで国が責任を持って行う仮払い、このふたつの仮払いというものがですね、存在することになるんですけれども、こういう制度を作ると、私この制度の効率を考えるときに一番大事な理念は、さっきも申し上げましたように、今東電がやっている仮払いのスピードを決して落とすことなく、また我々政権与党が出す支援機構法、そうした法律も含めて、東電のスピードを決して落とすことはなく、かつ、新たな支援の枠組みによって被害者の救済を加速していくと、スピードを落とさずかつ加速すると、それが実現できなければ、私は政府としておかしいと思うんですね。
ところが、東電も払い国が払うという2つの制度を作ってしまうと、東電はこれ人間だからそうなると思うんですけれども、国が払ってくれるんだったら自分の事務を落とそうとか、悩んだりするんじゃないんですか。そこら辺いかがですか。
浜田 お答えさせていただきます。我々が、東京電力さんがこの法案でさぼるかさぼらないかなかなか判断しづらい問題でございますけれども、法案としては、国が仮払いをしたとしても、東京電力の仮払い補償金を制約するものでは全くないと考えております。
それについては、この法案としてはあくまで紛争審査会の実行例に基づき仮払いをしますが、それ以外の概念で仮払いされると、これは慣例でございます。たとえば今回被害者におかれましては、世帯あたり100万円75万円というのはあの発想は紛争審査会の考えじゃございません。ああいう形で、違う形でどんどん東京電力さんが農業者漁業者商工業者にも仮払いをされる、一方我々としてはあくまで紛争審査会の中で実行例に基づき仮払いをする、両方あいまってですね、仮払いの○○(聞き取り不能)が増すということは被害者のプラスでありますし、あと実務の面で、ふたつがあるから困難、そうはならないと思っております。
実際の窓口は地域の農協、漁協、商工会、商工会議所、ひとつでありますので、決してそういう混乱はないと思っております。
小西 東電が事務処理を行うことによって混乱がないって言うのは、先ほど谷岡議員からもご質問がございましたように、過払い金の決定に至るまでですね、様々な判断事項に関するプロセスがあるはずなんですね。
つまり、被害者から見ると国と東電両方に請求書を出せるわけですから、両方受け取ったもの同士が、これうちのほうが払っていいんだろうか、あるいはお宅が先に払っているのかどうか、こうしたことを確認すると、で東電は本払いに向けて構築に数ヶ月かかるようなシステムを構築しておりますけれども、そうしたものも国として過払いや重複払いを避けるためには、システムを構築しなければいけないと。
私は被災者の方被害者の方に、決して仮払いの新たな支援のスキームを作るなと言っているのではなくて、これを作ることによって本当に被害者の救済になるのかどうか、本当にワークするのかどうか、そこをきちんと詰める必要があろうかと思います。
で、私なりの見解ですけれども、この制度をちゃんとワークさせるにはですね、今のように東電と国がそれぞれ被害者に対して全く同等の責任、全く同等の手続きを設けるのではなくて、国と東電で一定の役割分担、それを果たす必要があろうかと思います。
たとえば簡単に申し上げれば、東電でもすぐに仮払いに応じられる、そうした案件については、それはもう東電がすぐ払えばいいわけです。ところが今の制度、新しい制度ですと、東電が払えるものでも国に出すこともできる、東電に出すこともできる、ごっちゃになるわけですね。
ですので、やはり制度の原則、具体的には3条の部分ですけれども、国と東電の役割分担、国というのは東電がただちに支払うことができないものについて国がしっかりと手当てをしていく、そうした手続きに、制度に変える必要があるように思います。