議題は二重ローン法案なるも原子力賠償支援機構法案の話 7月27日大久保勉氏の質問 2 |
平成23年7月27日 参院復興特別委 大久保勉議員(民主)の質問
質問 大久保勉議員(民主)
答弁 和田内閣府政務官
松下経産副大臣
議題は二重ローン救済法案なるも、原子力賠償支援機構法の話
大久保 わかりました。ま、先ほど原発の被害もあるから金額が増える可能性があるというご指摘もありました。私もその通りだと思ってますが、今回の二重ローンの問題は、金融だけでは解決すべきじゃないと思ってます。たとえば土地を国が買い上げてあげる、場合によっては原子力、原発の事故で汚染が進んだ農地に関しては、場合によっては、機構が、原子力賠償機構が買い上げる、こういった支援もあり得るんじゃないかと思ってます。
そこで関連しまして、今週ですね、審議、参議院で審議予定の原子力賠償支援機構法のことに関して若干質問しようと思います。と言いますのは、同じ機構という形で、どういう形でガバナンスを効かせていくのか、この点が重要だと思います。作ることよりも、実際に運営させることが重要でありますし、その中でいわゆる二重ローンの被害者、場合によっては原子力の被害者をどういう形で支えていくか、このあたりから質問して参りたいと思います。
東電の試算査定結果を特別事業計画に反映させるべき
まず質問としましては、第二次補正予算で10億2000億円の東京電力に関する経営財務調査委員会経費が計上されてます。賠償支援機構および東京電力は多額の予算を使った資産査定の結果を十分に反映させて、特別事業計画を作成すべきと考えてます。その担保する条項は、原発支援機構法にあるのか、でもし、おそらくないと思います。ないんでしたら、松下副大臣がいらしてますが、ここはしっかりと10億円の予算を作って第三者委員会で資産査定をしてますから、その結果を東京電力と支援機構に認識させて、しっかりとこの筋を使う、このことを表明してほしいと思います。
和田 原発被害対応へのお尋ねでございますが、私のほうからご答弁申し上げたいと思います。今大久保委員ご指摘の通り、10億円この経営財務調査委員会の経費として計上いたしておりますのは、むしろまさに委員の問題意識の通り、できるだけ早く政府側として東電の資産内容の査定にかかり、これから先是非ご成立をお願いしたいと思いますが、支援機構法案が成立しました後に、支援機構と東電とが協力しながら特別事業計画を策定することになります。
その特別事業計画の中にその資産査定の部分をしっかりと反映させることができるよう、今から作業をするということのために、この補正計上を図ったものでございまして、今委員のご指摘のような内容を務めて努力して参ります。
大久保 ですから運用できるということじゃなくて、運用をさせるということで、いいですね? もう一度お願いします。しっかりと、あの、第三者委員会の決定したことに関して全て適用させるということで。
和田 委員のご趣旨は、全部丸ごとそっくりそのまま適用ということでは、ちょっとそこまでお約束できるものではございませんが、しっかりとその結果を受け取った上で、特別事業計画がそれに基づいてのものかどうかをしっかり見さしていただきたいと思います。
賠償支援機構法はどれだけガバナンスが効くのか
大久保 実はここは問題なんです。今回の賠償支援機構に関しては、東京電力の経営にとって強制力があるかどうか、このあたりをしっかりと担保して行かないと、機構というのが素晴らしい機構ができたんですが、実際の運用は、ま、あの、国会の趣旨とは全く違う惧れがあります。もう少し、じゃ、具体的な部分で申し上げますが、たとえば東京電力の株式を機構に買わせる場合に、これは東京電力経営陣が買い取り依頼をしないといけません。ですから買取依頼をしない可能性があります。じゃあどうしてやるかと言いましたら、色んな廃炉、汚染水の処理にはコストがかかりますが、そういったコストを計上せず、なんとか債務超過にならないと、だから資本はいらないと、こういう状況で経営すること、これも可能かと思います。その場合何が問題かと言いましたら、廃炉が進まず、放射能の処理が進まないと、こういった問題が出てきます。ですからこのあたりをどうやって政府がコントロールするか、非常に重要なポイントであります。
そこで、これを担保するものとしましては、特別事業計画なんですが、この特別事業計画に関して毎年もしくは半期ごとに国会に機構および経産大臣が議会に報告すること、また国会でそのことを質問する、こういった制度が必要だと思いますが、この点に関して、おそらくこれはもう松下副大臣、是非あの答えてほしいんですが、ちゃんと国会に報告するか、このことを表明してほしいと思います。
松下 東京電力が特別資金援助を受けるためには特別事業計画の提出が必要でございます。その前提として機構は厳格な資産査定を行う必要があると、こうなっております。また特別事業計画を通じて、汚染水処理等の収束とか廃炉費用についてもその詳細について確認されることとなると考えております。機構による支援に先立ちまして、すでに現在東京電力に関する経営財務調査委員会による徹底した資産査定が行われているところでございまして、機構においてもこの査定結果は活用されるものと、こう認識しております。
特別事業計画について必ずしも決算期ごとに更新させる旨の規定はありませんけれども、計画の履行状況につき主務大臣が報告を求めて必要な措置を命ずることができることとしております。政府としてもこの特別事業計画が着実に履行されていくようにしっかりと注視していきたいと思っております。
公的資金を投入する以上、国会への定期的報告を求めるべき
大久保 私の質問に答えてもらってませんが、それは大臣が東京電力にお願いする、要請することでありますが、政府が国会に対してちゃんと報告するのか、これがポイントなんです。たとえば同じような機構として預金保険機構があります。で、過去には破綻金融機関に対して公的資金を投入してます。ま、これに関しては金融大臣が破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容に関して、国会に対して報告を求めています。これはFRC報告と言ってます。で、年一回少なくとも一回は財政金融委員会で議論をして、運用状況をチェックしてます。ま、こういったガバナンスを効かせる必要がありますから、是非検討してもらいたいと思います。これに関して何かございましたら答弁お願いします。
和田 今委員のほうからFRC報告同様のしくみをしっかり設けるべきではないかというご指摘がございました。私どもとしまして、特別事業計画がしっかり履行されているかどうかを政府としてチェックすることはもちろんのことでございますが、それを、今回このような法案をお願いしているわけでございますので、国会のほうにご報告する機会があるべきというご意見については、私ども非常に傾聴に値するものだと思っています。特別事業計画そのものがどんな内容になっていて、それがどのぐらいのタイムスパンで実行されるものかということが、今ちょっと見えてないものですから、たとえば毎決算期ごとにというところには、なかなか今すぐそうだというふうには理解できませんが、どこかの時点できっちりと国会にご報告申し上げるような制度を設けることそのものはしっかりと考えていきたいと思っています。
機構による電力債の買い支えは可能か
大久保 支援機構がしっかりと原子力事業者の経営状況もしくは東京電力の株もしくは東京電力の株式をチェックするもしくは安定化のために何らかの行動を起こすことが私は必要だと思ってます。さらには、電力債、東京電力だけでの4兆円の電力債がありますし、それが暴落した場合に日本の社債市場が大きな打撃を受けます。まあこういった観点から質問したいんですが、政府および機構は東京電力の経営状況、もしくは他電力の経営状況に甚大な被害が想定される場合には、電力債を買い支えることができるのか、いわゆるセカンダリーで電力債を買い支えると、また金融システムに問題が生じる場合には、しっかりと、問題が生じないように、何らかの処置をすると、こういったことに関して、これは和田政務官に質問したいと思います。
和田 今大久保委員のご指摘の政府および機構が東京電力の電力の安定供給、そして確実な賠償責任を果たすこと、こういったことのために資金が必要で、電力債が発行するときには、それに対して引き受け役となることはできることになっております。しかし今ご指摘の流通に付された国債、ええ、電力債、そうしたものについて、これを買い支えながら株価の維持を図ったりすることは、今与えられている法案の文章上は東京電力の電力の安定に資するということが読めるような説明が合理的にある場合には考えうるものだと思いますが、一般的な理解からすると、市場の安定を目指して行われるものでございますので、それには別途手当てが必要なのではないかと考えます。
大久保 じゃあ別の質問で、電力会社の電力の安定供給のためにする、いわゆる電力債の暴落に対する措置、つまりあの、流通市場で電力債を買い取ることはできるという解釈ですか?
和田 現時点の判断としては、そういったことが起こらないように、東電に対して資金調達をしっかりしてもらうよう、機構と政府で手当てを打っていくということだろうと思っています。
大久保 そろそろ時間が参りましたので、締めの質問に入りたいんですが、ここであの、原子力賠償支援機構のケースで色んな質問させてもらいましたが、法律で決めることで、それをどういう形で運用していくか、これが非常に重要だと思ってます。ま、引き続き国会でチェックする必要があると思います。
であの、片山先生以下、山田先生、西田先生等で発議されました東日本事業者支援機構に関しましても、この設立の目的は私も非常に正しいと思いますし、しっかりと応援したいと思いますが、まあ実質的にこれがちゃんと運営するのか、すぐに債権を買い取ることができるのか、さらには税金の投入、将来の税金の投入で多大な国民の負担が発生しないか、こういったガバナンスを強化する必要があります。いつか機会がありましたら引き続き国会の場、場合によっては3党協議の場で議論させてもらいたいと思います。素晴らしい法案になることを期待しますが、残念ながら内容的にあの政府としまして、もしくは与党としましては、足りない部分もあるということで、私は反対すべきかなと思ってます。以上で終わります。