二重ローン救済法案 7月27日参議院復興特別委員会 藤井孝男氏(たちあがれ日本) |
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質問 藤井孝男氏(たちあがれ日本)
答弁 荒井広幸氏(たちあがれ日本・発議者)
藤井 たちあがれ日本の藤井でございます。時間が限られた時間でございますので、答弁者は簡潔に御答弁をいただければと思っております。
最初に、この趣旨説明、片山発議者から趣旨説明を聞きましたが、大変丁寧に、私、配付されたこの趣旨説明を見ていましたけど、途中からどこを読んでいるのか分からなくなるぐらい丁寧にやっていただいて、本当にありがとうございました。
法案と政府スキーム そもそも目標が違う
そこで、余り頭のいい私ではありませんので、発議者の一人である荒井発議者に、政府が、まあ政府は法案として出していませんけど、政府が考えているいわゆる二重ローンの対策、それでは不十分だということは趣旨説明でよく分かりましたが、もう一度それを、ここのところが本当にこう違うんだという明確なこの法案を出したその趣旨について簡潔に答弁いただければと思います。
荒井 先生にはいつも御指導ありがとうございます。
先ほど来からずっと議論がございましたけれども、非常に端的に申し上げますと、中小企業基盤整備機構、政府案ですが、8割が出資するファンドでございます、投資ファンド。ここが法改正もなく中期目標の変更もせずにこういう状況を乗り切れるか、こういう問題があります。
これはどういうことかと申しますと、先ほど来から、3万約3千社あるんですが、果たして投資ファンドをつくって買い取るときにほぼ確実に再生してもうかるだろうというような事業者がいるんだろうかという問題なんです。先ほど長官がいろんなこと言いましたけれども、そもそも入口のときにすごい高いハードルなんです。後で回収できるようにする。
こんな不条理な、ある日突然流された、原発で入れない、仕事はあったけれども仕事ができない。本当にマイナスからスタートする人たちを、何とかこの災害と立ち向かって勝っていただいて、やる気が萎えないうちにもう一回みんなで頑張りましょうという法律にそのメッセージをこれは書いている。その法律でメッセージを書いているというのは簡単でございます。法的に、先ほど日弁連さんからもありましたけれども、おおよその見通しを出してくださいと言っているわけです。二つ目は、できる限り多くの事業者に機会を与えなさい、これだけのことを法律でぴしっと書いております。
ですから、より多くの方に、政府案とは違いまして、政府案はほとんど使えないんじゃないかなという危惧をいたします。より多くの方に機会を与えて、そして地域が再生する、こういう雇用を生み出してもらう、そういうための法律であるというところが私としては最も違うというところで、今回は取り上げさせていただきたいと思います。
二種類の被害範囲 震災そのものと原発事故
藤井 大変明快に分かりやすく説明していただいて、ありがとうございます。
そこで、この法律案の中の目的をちょっと見てもらいますと、こういうふうに書いてあるんですね。東日本大震災によって被害を受けた事業者というふうに書いてありますね。被害を受けたという意味、この範囲ですね。
これ、私なりにちょっとこの、いわゆる被害を受けた範囲というのは二つあって、大きく分けて、一つは東日本大震災により事業用資産の全部又は一部が滅失したという直接的な損害を受けたということが第一点、もう一つは原子力損害の賠償に関する法律、いわゆる原賠法による賠償の対象となる損害を受けたこと、つまり紛争審査会の指針にある損害を受けたということが、この二つというふうに私は大きく分けて考えられるんですが、この解釈でいいかどうか、また付け加えることあれば、直すべきことあればお答えいただきたいと思います。
荒井 先生の御指摘のとおりでございまして、その二つというものが対象になることは間違いございません。
原発仮払いの基金の対応範囲を震災被災事情者とみなせる
藤井 それでは、それに関連して、第一はすぐ分かる話ですが、二番目のこの原子力損害の賠償に関する法律による賠償の対象となる被害ということで関連していきますと、私どもこの提出者の一員でありますけれども、昨日衆議院で修正可決、委員会で可決されましたいわゆる原子力被害者早期救済法、要するに簡単に言えば 仮払いと基金の法案ですね、これが昨日可決されたわけですけれども、この法案では国の紛争審査会指針になくても、例えば福島県が独自にこの基金をつくり被害者の実情に合わせた対応ができることになったと。ということになると、この福島県の基金の対応範囲でもって損害を受けたこととして、東日本大震災によって被害を受けた事業者と解釈していいんじゃないかというふうに思いますが、いかがですか。
荒井 全く共感いたします。
先生のたちあがれさんが発議者でもありましたから、昨日衆議院通過の仮払いと基金の法案お詳しいわけで、その中では福島県が今度基金を立てます。原賠審、紛争審査会の対象にならなくとも、福島県が、ああ、これは困っている、30キロ圏外、対象になっていないじゃないか、こういうところも救済していこうと。額は小さいじゃないか、もうちょっと上げよう。まあいろんなことができるわけですが、そういったところで、この福島県が基金として設置して対象にした、ここは当然、今度の東日本災害によって被害を受けたという中の事業者ということになるわけでございます。
藤井 これ意外とちょっと気が付かないところなんですけれども、大事なポイントだと思うんですよ。だから、そういうふうな解釈でいいということであれば、是非そういった解釈で進めていっていただきたいと思っています。
きめ細かい対応とバランスを取ることとの両立
そこで、私はこの法律にある、この今度皆さんが出した、私どもも提出者の一人ですが、この大変な特徴、ポイントというのは、いわゆる支援基準をしっかり設けたということですね、支援基準を。それから、その支援基準というのはこれも二つあって、再生の支援をどうするかということが一つ、それからもう一つは 債権買取り等をするかどうかという、この二つに分かれる。そこで、更にそれを踏み込んで、じゃ、この支援基準をどうするかという内容なんですが、それが事業再生計画というふうになるわけですね。
そこで、先ほど荒木委員も質問して、この法律案ではおおよその見通しというふうに抽象的に書かれているんですけれども、これは荒木委員からも質問があって、たしか西田発議者から答弁があったので、ここのところはもう再質問いたしませんけれども、要するに、広い範囲で被災して困っている農林漁業者、福祉・ 医療関係者、また私立学校、そして中小零細企業者等々、とにかく少しでも多くの人たちを救済するという、そういう工夫をこの中に記されているんだと思って私は評価している一人なんですね。
ところが、そういうことであるんですけれども、これまた先ほど松田委員から質問があって、なるほどなと私も非常にちょっと心配しているのは、この趣旨説明にもありましたように、靴に合わせるというのじゃなくて足に合わせて靴を作る、そういったことを政治主導していくというふうに言っておられましたね。これ大変大事なことなんですよ。
ところが、これは大企業は対象外ですから中小零細企業ですよね。非常にかゆいところに手が届く、靴に足を合わせるんじゃなくて足に合わせて靴を作るということは大事なことなんですけれども、ここでちょっと間違えますと、余りきめ細かいのをやると、相手は中小零細企業ですよね、そして広い範囲ですよ。地域によって、もうちょっと町を一つ越えただけで、あるいは通りを越えただけでも事業者によってこの損得の考えが全く違う。ここが非常にバランスというのは物すごく難しいと思うんですよ。
ですから、JALだとかダイエーだとかという例を出されていましたけれども、これはまあ大きな企業で大きな組織の中で、そして金融なり、あるいは貸付けなり不良債権の買取りなり、そういったことで大きく動いていきましたけれども、今度は本当に中小零細企業の方が対象ですから、そこのところを余りきめ細かくやり過ぎたことがかえって逆に、変な言い方ですけれども、提出者の私どもも一員ですけれども、自縄自縛になってしまうんじゃないかという、そこのところの心配があるんですけれども、この点について御意見があれば。
荒井 まさに事業再生計画の中身そのものの本当にきめ細かい御指摘をいただいているわけです。
先生と私は郵政で御一緒でございましたけれども、バングラデシュでノーベル平和賞をもらったユヌス博士の、ちょうどソーシャルファイナンスといいますか マイクロファイナンスといいますか、本当に困っている、地域全体で何とかしていかなくちゃならないという金融を今議論しているような感じで、あのころの先生と御一緒に議論していたことを思い出しているわけですけれども、そのように非常に不条理な形で困っている方々に対してきめ細かい対応をしなくちゃなりませんが、同時に、やはりパン屋さんのお母さんがどこまで、そしてまた、本当に仕事来るわけだったのに放射線があって入れなくて、いや、困って、そして何とか資金繰りもしなくちゃいけない一人事業者というのもたくさんいるわけなんです。そういう方のまずそばに寄り添うということが非常に重要で、それを法律の中できちんとそういう姿勢、対応を書いているということが非常に、先ほど御評価いただきましたけれども、重要なところのまず第一歩だと思っております。
藤井 新里参考人が今日いらっしゃっていますけれども、いわゆる弁護士会の、もう退席されて結構なんですけれども。
第三者のアドバイスの重要性
結局、この今の話、答弁からいきますと、私なりに解釈しますと、きめ細かなことが非常に大事なんですよ。ところが、やっぱり第三者のそういった意見をよく聞いていかないと、はい、与えましたよ、はい、どうぞどうぞとやっているうちに、結果的に、善かれと思ったことがかえって逆になってしまって、何だと。 本当にそれが、もう被災者からしてみれば、何やっているんだと、私たちはこれを要求しているんだ、あなた方、こうやってただ与えればいいのかと。確かに細かくやってもらったけれども、結果的にそれは、かえって何かもううまくいかないじゃないかというようなことになりかねないぐらい、この広い範囲と、対象者が物すごく、中小企業、零細企業者ですから、その点のバランスといいますか、その点を本当によく考えて第三者の意見、アドバイスと。
松田委員もおっしゃっておりましたけれども、私もやっぱり同じなんですけれども、企業は起こす方が簡単だと思うんですよ。再生する方が難しいと思うんです。ここを間違えちゃいますと、本当にこれは、私は結果的にこの法律が生かされないふうになってしまうんじゃないかなというそんな思いがありますので、私の気持ちを申し上げておきたいと思います。
最終的に再生できなかった企業の債務処理をどうするか
そこで、再生ということになったと。しかし、それについてはある程度の再生計画があればいいという話になっていますが、それでもなお、努力したが結果的にこれはもう再生できなかったということもあり得ると思うんですね。そうしたときに、これ一体どうするんだねと。
まあ私なりに解釈して、ちょっと趣旨説明を解釈しますと、これ塩漬けにするのかなという、乱暴な言い方をすると、債務というのは不良債務になりますけれどもね。そういったものについてはどういうふうに、最終的にこの負債が生じたときに、処理ができなくなったときにどういうふうに考えているか、ちょっとその点についてお答えいただければと思います。
荒井 お答え申し上げます。
いろいろなケースがあろうと思います。しかし、一生懸命努力しました、おおよその見通しに基づいて一生懸命頑張りました、しかし原発地域、あるいはこれだけの地域ごと流されたような状況の中で、頑張ってはみたけれども本当にどうしようもなくなったというケースもあるだろうと思います。その場合は、先生が今端的に言葉を、愛情ある言葉をいただきましたけれども、塩漬けということは当然場合によっては出てくると、そのように思います。
しかし、日本人の皆さんが本当にどんな中でも頑張って返済していく、そういう真面目で勤勉な方々でありますから、災害と闘っていく、そしてもう一回地域を再生して働いている人に戻ってもらって、それでふるさとを再生したいという気持ちですから、その気持ちに私たちはこたえるように、まずは既存債務というものをこの重荷から取ってさしあげて、せめてマイナスじゃなくてゼロからスタートしていただく、国民みんなで応援していく、そういうものを法律に書いたということでございます。
二重ローン救済はインフラ再建など総合戦略の中でこそ活かされる
藤井 是非そういう気持ちをしっかりと持ち続けて、この法案が生かされていくように努力していただきたいと思います。
私がもう一つ申し上げたいのは、これはもういろんな、国土交通委員会であるとか復興特別で別件でも申し上げているんですけれども、結局、総合戦略が、国家戦略というものが政府になさ過ぎるものですから、こういう場当たり的な個別的な形でやってくるから、今度のこのローンのことについても、二重ローンについても政府の対策が非常にこれはもう不十分であるということでこういう議員提案になってきたわけですね。それは非常に大事なことです。
だけれども、ただこれをきめ細かくやれば全てが解決するんじゃなくて、やっぱりそのためには社会資本の整備、港湾であるとか道路であるとか鉄道であるとか通信であるとか、そういったことも含めた形の中でこれが生かされてくると思いますので、そういう意味においては、ただこれだけを通せばいいということじゃなくて、本当にこれも一つの核となってこの法案が生かされるように、是非、私どもも努力したいと思いますので、発議者の皆様方もまた努力していただきたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。