二重ローン救済法案 7月28日参議院復興特別委員会 亀井亜紀子氏(国民新党) |
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質問 亀井亜紀子氏(国民新党)
答弁 山田俊男氏(自民党・発議者)
高原一郎中小企業庁長官
片山さつき氏(自民党・発議者)
政府案 中小機構の問題点は何か
亀井 昨日に続いて質問したいと思います。独立行政法人中小企業基盤整備機構についてですけれども、今回皆様が法案提出されるに当たって、結局、この独法では駄目なんだと、この独法では十分な仕事ができないから新機構が必要なのだということでこの法案を提出されたんだと思います。
それで、事業仕分のことですとかいろいろと昨日から皆様の御答弁や質問などに上がっていて、今日私、事業仕分のときの資料ですとか中小企業基盤整備機構のヒアリングしたときのパンフレットですとかいろんなものを持ってまいりまして、もう一度この機構のことなどもちょっと見てきたんですけれども、皆様、結局どちらの仕組みであればより被災者を助けられるかという、もうその一点だと思うんですね。
200人の人材をどのように集めるか
なぜこの独法ではいけないのか、そして、御答弁の中に最初200人体制でスタートするというようなお話ありましたけれども、これどのようにして人材を集めるのか、そして本社、支社、その支社はたくさんつくられるようなイメージがあるんですけれども、それは大体幾つぐらい、どのぐらいの期間でつくられるのか、ちょっと私は余り質問に書き込みませんでしたけれども、御説明いただきたいと思います。
山田 亀井先生にはこの問題につきまして深い理解をいただいておりまして、大変感謝申し上げます。
今先生がおっしゃいました、独法ではなくて新機構がなぜ必要かという点については、三点あります。
問題点1 運営や財務状況の問題点を事業仕分けで指摘された
第一点は、これは今もお話がありましたが、中小企業基盤整備機構は、亀井先生も評価委員として参加されました事業仕分の中でその対象であったわけでありますが、その業務の運営や多額の繰越欠損金を抱えた財務状況について多くの指摘がなされていたわけでありまして、資金の国庫返納も求められているという組織だったわけであります。このため、この独法の仕組みでは思い切った業務運営ができないということが第一点であります。
問題点2 農林漁業や医療に対応できるか疑問
第二点は、既存の中小企業を対象にした仕事の展開ということであればそれはそれでお仕事をきちっとされているということでありますが、農林漁業や医療関係の仕事については何とこの独法のその他の業務の中で仕事を展開するということになっておりまして、これでは本当にそれぞれ農林漁業や医療関係が求めておりますその専門性や、さらには農地、宅地等の買取りやその他につきましてもノウハウを本当に業務として持っているのかどうかということについて疑問があります。
問題点3 損失処理資金の裏づけ
三点目は、最終的にはいかに、場合によりましたら出てくる多くの損失をどんな形で処理するかということが大きな課題になるわけであります。この新しくつくりました機構では、法律で必要な資金についての政府保証を裏付ける、法律があるから裏付けられるという仕組みを持っているわけでありまして、そういう中で必要なしっかりした業務が展開できると、こんなふうに確信をしております。
人材は地元で協力の申し出が大いにある
なお、先生おっしゃっていただきました200人どう集めるかということにつきましては、例えば農林漁業団体につきましても早くやってくれという切なる希望が被災地からいっぱい出ておるわけでありまして、大いに協力するという声が上がっておりますから、確実に確保できるというふうに考えております。以上です。
ファンドは被災者の要望だった
亀井 じゃ、この後から政府に対して質問をしたいと思います。
この中小企業対策について、ずっと政府、また高原長官にも直接要望しながら、政府案の方は対応していただいてまいりました。
それで、今までの質問の中で、ファンドはけしからぬと、被災地の企業を相手にもうけようと考えるのはけしからぬというような御指摘もあったんですけれども、実はこれ、国民新党の提案でもありまして、ちょっと御説明をしたいと思います。
被災地の方から中小零細企業向けのファンドをつくってほしいという要望が党の方にありました。それはなぜかというと、もう融資である限り返さなければいけないと。けれども、二重目のローンを、一重目をなしにして二重目を借りてももう返す自信がないんですということだったんです。
国8割出資のファンドから融資ではなく資本注入で
それで、金融機関というのはやはりその預金者の保護という目的を持っているので、やはりそういう意味でファンドの主体にはなり得ないのだと。だから、国主導でファンドをやって、借入れではなくて中小企業に資本注入という発想で支援をしてほしいのだと。そうすれば、返済を気にせずに経営に専念できるからという要望が上がってきていたんです。それで、国主導のファンドをつくってほしいということを経産省の方に、中小企業庁の方に申し入れて、出てきたものが国8、金融機関2という8対2の出資比率のファンドなんです。そういう発想で政府案はでき上がっています。ですから、皆さんもそれは御存じなかったんだと思います。
政府案ではどういう人材を確保するか
それで、今被災地の企業ですとか金融機関の関係者から聞こえてくることは、やはり、昨日も質問したように、買取り価格を誰が評価するのか。果たして企業のために、零細企業まで救うような形になるのかどうかという、もう全て人材の話なんですけれども、この政府の機構の場合は例えばどういうところから人材を確保してくるんでしょうか。地場の信用組合の既存人材ですとか企業の目利きですとか、こういう外部の力を入れて対応していただきたいと思うんですけれど、その構想についてお教えください。
再生支援協議会の常駐専門家を拡充
高原 お答えを申し上げます。今回のいろいろな仕組みは、まず、その地域にそれぞれございます、各県に、全県にございますけれども、再生支援協議会の中に今所要のワンストップとなる相談組織をまず設けるところから始めるわけでございますけれども、ここには、これは先ほど申し上げましたけれども、商工会議所ですとか、あるいは名前は違いますけど県の産業振興センターの中に今ございまして、こういった組織の中には実はもういろいろな専門家の方が言わば出入りをしておられるわけでございます。
したがいまして、今回の二次補正予算で30億円の予算をいただいておりますので、そこの中でこの再生支援協議会の常駐の専門家の方々の数を、今は確かに 先ほど申し上げたとおり非常に少ない方で、かつ地域の中核的な企業の再生のところをやっておりますものですから、これを抜本的に拡充した上でこの再生支援センターでございますとかあるいは商工会議所のネットワークを十分に活用して、そういう方々の中からまず多くの専門家の方々なりあるいは地域の経済に精通した方々、こういう方にこの今回の新しい組織に加わっていただこうというふうに思っております。以上でございます。
亀井 人材が全てだと思います。そして、やはりどうしても大きな企業しか助けないのではないかと。被災地にそれほど大きな企業はないわけですけれども、中小企業でも比較的大きめのところしか助けないのではないかという懸念は実際にありますので、そこのところは本当に零細企業まで救うというお気持ちでやっていただきたいと思います。
中小機構の1500億
事業仕分で指摘した2000億についてですが、2000億返してくださいと言った中で返ってきたのは500億と。たまたま1500億残っているわけです。あのとき返せない理由として、確かに小規模企業共済事業に多額の繰越欠損金が存在していますということも言われていましたし、また不測の事態に対応したいと。例えば、阪神・淡路のときの685億円、新潟県中越沖地震で320億ですとか、宮崎県の口蹄疫で200億円、こういうふうに使っているので、この2000億円は必要なのですというのが基盤機構側の言い分でして、その中で、財源がなかなか厳しい中で、取りあえず返してくださいといって初年度は500億円で、まだ1500億円残っているということなんです。
ですので、機構としては元々これはそういう災害のために使うお金ではあったわけなので、それであれば、今状況変わったわけですから、私仕分人として、もうそれは使っていただいて結構だと、どんどん使って中小企業を助けてほしいと思っているんです。ですので、足りなければ予備費で対応という御答弁もほかの方からありましたので、これは積極的に対応していただきたいと思います。
一次補正で好評だった仮設店舗助成 配分と利用件数は?
一次補正のときに中小企業対策として付けた中で好評だったのは仮設店舗等への助成事業でして、これを二次補正でさらに215億円程度付けました。一次補正のときにこれ使い切ったわけですけれど、各県でどのような配分をされたんでしょうか。また、何件くらいの利用があったのか、教えてください。
高原 まず、御要望いただいた件数でございますと、これは6県にまたがっておりますけれども、御要望は297件、43市町村にまたがっております。そのう ち、7月の27日時点でございますけれども、52件、これは基本契約という形で市町村の方々と契約を結ばせていただくんですけれども、52件の基本契約を締結しておりまして、例えば青森2件、岩手は21件、宮城が19件、福島が9件、茨城が1件となっております。
具体的な事例は、一番目立つのは、例えば漁協の方々の事務所でございますとか水産加工の方々の工場とか、もちろん製造業とか小売業ございますけれども、現地の産業の状況を踏まえて反映する形で、今申し上げたようなものが状況としては多くなっております。以上でございます。
亀井 大体私といたしましては質問は終わっておりまして、簡潔な御答弁ありがとうございました。
もう少し話し合えるとよかった
今回のことにしても、やはりもう少し与野党が話し合えればよかったんじゃないかなというのはつくづく思います。結局、どちらの機構がより迅速に対応ができるのかということで、私も法案提出者の気持ちは受け止めておりますけれども、まだちょっと、かといって、政府案も一緒に作ってまいりましたので、やはり そちらの方ももう少し私ども説明できることもありますし、やはり中小企業を救おうという姿勢でやってきたことは確かです。
中小機構を信じられない理由?
時間が余っているのでもう一度伺いますけれども、発議者の方々に、やっぱり何が一番政府案で問題なのか。この独法を何か基本的にやはり余り信用しておられないというイメージがあるんですけれども、どうしてそう思われるのか、御答弁いただけますか。
片山 ありがとうございます。
独法制度自体を信用していないということも全くございませんし、独立行政法人のこの中小基盤機構法がその根拠法となっているもの、その根拠法で認められている限りにおいて何ができるかということも、我々はこの震災が起きた後相当前向きに真剣に検討し、私自身経産省で一年弱政務官をしておりましたときに、これから地方の不良債権問題も大変だから、再生協議会を地方につくって、受皿としてこの独法のところから産活法を使って、限定列挙の四つの事情に縛られる けれども、そういう形で何とか進められないかというのをつくって説明できるときに説明して回ったことがある側なんですよ。
それで、その後の結果も聞いてきたんですけれども、やはり真剣に、損切りも含めて、債権放棄も含めて、金融機関が出資するということがあればあるほど進んでいないんですよ。それは、今回二日間の議論でずっと申し上げてきましたように、我が国の金融の今までの流れなんですね、銀行融資の制度も含めて。
それをただ、何十年やってきたものを一遍に全部ここで変えることができないので、緊急避難として何ができるかというと、やはり新しくこの目的を特定した法律を書いて、一切縦割りのものに縛られることなく全てのものを最初から、全ての分野の官庁も最初から入ってもらって、時限ではあるけれども、特定目的で債権の負担を軽くするんだと、債務負担を軽くするんだと。そして、地域を再生し、人口、産業を流出させないんだということを書いてやるのが王道で正当だと思ったんでそれをやってまいりまして、その間もずっと三党協議で乗ってくださいと、我々も全面的に協力しますからと、一緒に助けましょうと言ってきたんですが、初めにこの1500億円ありきの議論になってきた、非常に早い時点からなってきたというやり取りを私自身担当者として感じておりますので、それは非常に残念です。
でも、それがあっても、これからもずっと話合いはやってまいりたいと思いますので、これからは是非亀井議員も御一緒に入っていただいて、前向きな展開をやってまいりたいと思います。以上です。
亀井 じゃ、時間ですので、これで終わりたいと思います。中小企業庁の方には、とにかく債権放棄も含めたこれまでにない対応をお願いいたします。以上です。