円高と日銀の対応3 8月9日参院財政金融委員会 金子洋一氏 2 |
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円高と日銀の対応3 8月9日参院財政金融委員会 金子洋一氏 2
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(18分23秒から)
質問 金子洋一氏(民主党)
答弁 白川方明日本銀行総裁
雨宮正佳日本銀行理事
金子 それでは日銀総裁にお尋ねを申し上げたいと思います。
外貨資産を処分して復興財源にすべき?
これは前回の付帯決議でもございましたけれども、外貨資産の問題でございます。日本銀行の外貨資産のあり方について検討していただくということで付帯決議がついたわけでございますが、約5兆円という外貨資産を持っておられます。これは日銀の埋蔵金とでも言うんでしょうか、そういったものであると私は考えておりますけれども、これがほとんど活用されていない。それにも関わらず、円高が原因で、22年度は4810億円もの為替差損を出しておるわけであります。これは全額処分をしていただいて、震災復興の財源とすべきであると私は考えておりますが、総裁のご所見を伺いたいと思います。簡潔にお願いいたします。
白川日本銀行総裁 お答えします。先進国の中央銀行は、どの中央銀行も外貨資産を保有しておりますけれども、日本銀行も日銀法第40条または42条に基づく国際金融協力の実施等を進めるために外貨資産を保有しております。日本銀行の外貨資産は、様々なケースを想定しまして、これを活用している、あるいは活用することが想定されております。これまでにも海外における通貨危機のようなケースにおきまして、国際金融支援その他の国際金融面での協力の観点から他の中央銀行と協調しながら信用供与などを行っております。
また、万が一日本の金融機関が外貨流動性不足に直面した場合には、緊急時の対応として、日本銀行が保有する外貨資産を活用しまして、外貨供給を行うケースもありうるというふうに考えております。
サブプライムローン問題以降の国際金融危機を振り返ってみてもそうでございますけれども、これはアメリカのみならず、どこの主要国、どの国もそうでしたけれども、金融機関が自国通貨もさることながら、ドル資金、外貨資金での流動性不足、資金繰り不足と、困難という事態に直面しました。その事態にそなえて色んな手当てを講じておりますけれども、その手段のひとつとして、各国の中央銀行がそれぞれ自国の金融機関の外貨の不足にも対応し得るという体制を整えておくということは、これは実際に活用がある、なしに関わらず、これは日本経済にとって大きな意味のあることだというふうに考えております。
いずれにしましても、日本銀行としましては、日本銀行が外貨資産を保有する必要性も念頭に置きつつ、先般の付帯決議を踏まえまして、外貨資産の保有およびリスク管理のあり方について真摯に検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
金子 物事にはメリット、デメリットを考えませんと実現ができないわけでありまして、昨年度22年度だけで4810億円の為替差損が生じている。そしてFRBとのドルと円のスワップ協定があることを前提とすれば、果たして1年間に4810億円もの為替差損を払いながら、それだけ膨大な外貨資産を日本銀行がお持ちになる必要があるのかということになりますと、これはどう考えてもないと思いますので、そこのところは、もう、厳密にお考えをいただいて、もし必要であれば与党内に日銀仕分けでも立ち上げてですね、取り組んでいかなければならないと私は考えます。
海外における銀行券ルール的なもの
続きまして、時間も残り少なくなってまいりました。総裁に引き続きお尋ねをいたしたいと思います。為替介入につきましてですが、決定会合で基金の増額をなさったということでありますけれども、まず、この件につきまして、米英EUなどで、日本銀行で言うところの銀行券ルールというものに相当するルールを持っている中央銀行はあるんでしょうか? そしてまた、あるんでしたら、その詳細を教えていただきたいと思います。
雨宮日本銀行理事 お答え申し上げます。今お尋ねのございました銀行券と長期国債の保有を対応させるという考え方の基本的な考え方を申し上げますと、銀行券は中央銀行にとりまして長期固定的な負債でございますので、その負債に見合うように長期固定的な資産を保有し対応させるという考え方自体は、世界の中央銀行共通の考え方でございます。
で、具体的に申し上げますと、短く申し上げますと、ヨーロッパの中央銀行ECBはもともと固定的な資産として金や外貨資産を多く保有してございますので、そもそもあまり国債を買ってございません。最近になりまして、ソブリンリスク問題がある下で金融政策の波及経路を修復するために買い始めたという段階でございます。一方、米国のFRリザーブ、フェデラル・リザーブでございますけれども、以前から国債の買い入れは人々の銀行券需要の増加に対応するものと位置づけまして、銀行券発行高の増加におおむね見合うように国債の保有残高を調整してございますし、イングランド銀行、英国のBOEにつきましても、この債権買い入れの導入は2006年でございますけれども、やはり銀行券発行高に応じて調整していくという考え方は基本的な考え方としてございます。
こういうふうに、英国、米国ともに日本銀行の銀行券ルールとも同様の考え方をとっていたということでございます。
ただし、すみませんひとつ、リーマンショック以降ですね、アメリカFRBも臨時異例の措置として長期(3文字分聞き取り不能)証券の保有残高を増やしておりまして銀行券残高を上回る処置を講じておりますし、英国も同様でございます。この点は日本銀行も同様でございまして、昨年導入いたしました包括的な金融緩和の一環としての資産買い入れ等の基金を通じまして、新たに長期国債の買い入れを実行してございますけれども、この長期国債の買い入れにつきましては、銀行券ルールの適用対象外としているということでございますので、繰り返しになりますが、この銀行券と国債を見合わせるという考え方は海外も共通であるということと、金融危機後対応しないような長期資産保有も行っているという二点において考え方は共通しているというふうに考えてございます。
以上です。
日本はリーマンショック以降バランスシート拡大が足りない
金子 まず一点、銀行券ルールを、今最後のお答えにありました銀行券ルール以外の分も長期国債を購入しておられるということなんですが、じゃあその残高がどのくらいかと申しますと、1.3兆円に過ぎないんですね。で、銀行券ルールというのは、80兆円を上限にということでありますので、1.3兆円分出しましたと、しかも合計をしても61兆円、62兆円に過ぎません。あと18兆円銀行券ルールの天井まであるわけです。そうなりますと、銀行券ルールを見直したとおっしゃるその表現は、いささか羊頭狗肉の類ではないかと私は思います。
さらにもう一点ですが、まさにそのリーマンショックのあとの対応を我々は日本銀行にも求めているわけです。米国も、そしてイギリスも、リーマンショック後にドーンとバランスシートを拡大をした。それを我が国はやっていないから、先ほどお話を申し上げましたけれども、円高が大変急速に進む。だから、それを我が国でもやりましょうと、これは、この財金委員会の中でも同僚の議員が何回も何回も日本銀行に対してお尋ねをしているところです。どうしてそれをやっていただけないのか。バランスシートを拡大をして、それでもし弊害があったとすれば、それは我々がやってくださいとお願いをしたんですから、政治の責任になるわけです。
今のままですと、バランスシート拡大しません、しませんということになりますと、この13年、日銀法改正以降ずっと続いているデフレ、これは日本銀行の、完全に、責任ですよと言われても、これは答えられないんじゃないかと思います。バランスシートを是非拡大すべきだと思いますが、この点について簡潔にご所見お願いします。
白川日銀総裁 簡潔にということで申し上げますと、日本銀行は極めて潤沢に資金を供給しております。で、その上で、少し簡潔でない分になってまいりますけれども、日本銀行は、今議員ご指摘のリーマンショックが起こる以前から、リーマンショック後に他の中央銀行が展開したのと同じような規模の金融緩和を既に実行しておりました。つまり、リーマンショックの前からそれだけの潤沢な資金供給を行い、さらにこの数年間の変化という面でも日本銀行は潤沢な資金供給を務めております。
先般、包括的な金融緩和の下で、さらに基金の総額を40兆円から50兆円に増額していまして、これは着実に潤沢な資金供給にも務めておるところでございます。
金子 そろそろ時間がなくなって参りましたので、ひと言申し上げますけれども、総裁の今のお話、GDP比で大きいんだというようなお話をいただいておりますけれども、それは貨幣の流通速度を無視すればそういうことになる。つまり、日本というのはデフレで、資金の巡りが悪いわけです。資金の巡りがもともと悪いところに、いやそれは他の国よりは資金たくさん出してますと言っても、それは全然説明にも何もなってません。変化率で見なきゃだめです。2008年の9月以前と比較をして、どれだけバランスシートを拡大させたのかと、その変化率が我が国は全く劣っているし、ですから、緊急時に有事の対応ができていないということになるわけです。どうかその点をお考えをいただきたいということを強調させていただきまして、私からの質疑は終了させていただきます。