二重ローン救済法案 8月25日衆議院復興特別委員会 法案および修正案趣旨説明 |
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心配しておりました二重ローン救済法案が、やっと衆院で趣旨説明されました。
法案趣旨説明:
発議者 片山さつき氏(自民党)
動画:
http://www.shugiintv.go.jp/jp/wmpdyna.asx?deli_id=41223&media_type=wb&lang=j&spkid=21125&time=00:07:17.9
ただ今議案となりました株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法案、いわゆる二重ローン救済法案につきまして、提出者を代表いたしまして、提案の理由および概要をご説明申し上げます。
東日本大震災の発災から5ヵ月半が経過した今も、被災者の生活、仕事の再建の目途は立っておりません。多くの被災事業者が、地震や津波、原発被害などによって、担保の建物、設備、農地、漁船などを破壊されたり、立ち入りができなくなっているにも関わらず、債務やリースの支払いは残って、事業再開のための新規のお金を借りようとすると、二重債務状態となります。そもそもこの状況では、金融機関、農協、漁協なども融資が行えず、リースもつけることができない状況であります。
これまで二重ローン問題については、自民党、民主党、公明党の三党による実務者協議も6回に亘り実施し、共同提案いただいているたちあがれ日本・新党改革および修正を出されたみんなの党、そして参議院でご賛成いただいた社民党、共産党の皆様も、超党派で同じような勉強会を重ねてこられました。
しかしながら、平時の対応を超えたこの仕事専門の公的な機構を新たな法律の下に設立することについては、政府与党が反対し、参議院をこの法案は7月28日に全野党の賛成で通過しておりますにも関わらず、今日、きょうになってようやく趣旨説明ができるような状況でございます。
参議院の審議における政府与党の方針は、事業仕分けや類似の行革によって厳しい見直しを指摘され続けており、平時における中小企業活力再生が任務の独法、中小企業基盤整備機構が、あくまで収益分配を目的とする投資事業有限責任組合に、バブルの崩壊後、三つの過剰対応で作られ、M&Aやリストラが手段の主なものである産活法を根拠に8割出資し、残りの2割は金融機関が出資するというファンドで、1000年に一度というこの大災害や、人類史上最悪のレベルに達している原発事故への対応をやらせるというものでございます。
被災地に今あるのは、過剰ではなく欠乏であり、絶望であります。まさに木に魚を求むとはこのことでしょうか。ちょうどこの部屋で、金融不良債権、住専問題の審議をしておりました頃、金融機関が出資するファンドの不良債権を買い取る、そういうものについて、飛ばしと批判していた方が、現与党にたくさんおられたことを記憶しております。
自らの責任ではなく過大な債務を負うことになってしまった東日本大震災被災事業者に絶望の淵から立ち直ろうと思っていただくには、従来型の中小企業支援、就中、収益分配を前提とした投資組合では全く足りません。靴に足を合わせさせるのではなくて、足に合わせた靴を、現場の目線で、政治主導で作らねばならない。そのためには、リースも含む債権の買取などを通じて債務の負担を軽減しつつ、その再生を支援することによって、被災地域からの人口・産業の流出を防ぎ、復興を可能とすることを特別の目的とする、そのための株式会社東日本大震災事業者再生支援機構を設立し、法的安定性の下で国が最終リスクを取ることが不可欠であり、これが本法案を提出した理由であります。
法律で組織を規定することにより、役職員に罰則や守秘義務を課し、他の債権者の過酷な取立てに対し停止要請もでき、政府保証借り入れを行うことも可能になります。
以下、本法案の概要についてご説明申し上げます。
第一に、本機構は、預金保険機構および農水産業協同組合貯金保険機構などを通じて国が出資する株式会社であり、支店は地域別でも産業別でも柔軟にいくつでも作ることができます。
資金調達は、政府保証つきの民間借り入れあるいは財政当局がそちらを希望するのであれば交付国債も可能でございます。今、国債が格付けを下げられている現在、一般会計の負担を抑えられるというのは大きなメリットであり、事業者からの返済は全て民間借り入れ等の返済に充てられることにより、最終的な負担は20年後の機構解散時に債務超過であればその部分の一部または全部のみとなります。
二重債務が救済できないと、東北被災4県の被害甚大地域だけで、約3万社、36万人の働く人々のうち、相当数がふるさとで暮らそうにも仕事がなく生活保護に陥ることになり、膨大な財政負担とすさんだ社会がもたらされます。働きたい地域で、残って働きたい人々の自立のために使う予算は、資本主義国家としても筋の通った支出であります。
第二に、再生支援を受けることができる対象は、農林水産業者、医療法人など、あらゆる産業が含まれ、事業をする人の再生に主眼を置いているため、転業も可能でございます。この会社の主務大臣は金融庁所管関係省庁調整の内閣総理大臣と、財政上の所管をする財務大臣のみならず、総務大臣、経済産業大臣、農林水産大臣、厚生労働大臣を含めております。
第三に、農林水産業の多いこの地域は、土地利用に配慮しないと事業再生は絵に描いた餅となってしまいます。担保財産の取得や貸付ができることを法律に明記してあります。そして支援については、復興には長期間がかかりますから、最長15年掛けてじっくり行うことも法律上明記してあります。加えて、支援基準を定めるにあたっては、出来る限り多くの事業者に再生の機会を与え、復興の基本方針などとの整合性にも配慮することも法律上明記しております。なお、この法案につきましては、参議院において、買取価格などについて修正が行われております。後刻修正提案者からその部分のご説明をいただきます。
参議院における法案審議で、金融庁は、返済停止や条件変更した民間金融債権額のみの合計5500億円、沿岸部の農漁協分3800億円、独法の医療、住宅向け貸付1490億円を合計して、対象債権を1兆790億円と回答しております。これに、青森、茨城、千葉を含めた3県以外の被災地域と、広がるお茶や稲藁等への放射能被害、リースの債権分、ノンバンク分、さらに、現在まではかろうじて返済できているが、このままの状況では事業再開・貸出が困難な債務者の債務を考えれば、これを大幅に上回るのは必至であります。ちなみに、被災5件の預金受け入れ金融機関の貸出合計は、約22兆円です。
被災事業者に事業再開への希望、安心感、公平感を持っていただくためには、相当な額の政府保証借り入れ枠あるいは交付国債をアナウンスして、被災地の皆さんにやる気を出していただくことが必要と考えております。
多くの被災者が、このような法的安定性を持った、大きな買取資金枠が設定でき、対象に制限のない二重債務買取機構の設立を求めており、日弁連により短期間に10万7千人の署名が集まり、日弁連や商工会、JAなどを参考人として、参議院質疑において必要性をご主張され、福島、宮城、東京などにおける各種商会、総会、商工会、商工会議所、トラック・バス業界、リース業界、JA、JFグループ、建設業界から、この法案の早期成立を求める声明が寄せられております。
以上が本法律案の提案理由およびその概要であり、阪神大震災に比べても何倍ものペースで倒産が現実に生じていることに鑑み、何卒ご審議の上、速やかにご賛同いただけますようお願い申し上げます。
参議院での修正部分趣旨説明:
修正案提出者 桜内文城氏(みんなの党)
動画
http://www.shugiintv.go.jp/jp/wmpdyna.asx?deli_id=41223&media_type=wb&lang=j&spkid=21126&time=00:15:26.9
ただ今議題になりました株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法案の参議院における修正部分につきまして、その趣旨をご説明申し上げます。
参議院東日本大震災復興特別委員会では、被災地域における事業の再生が地域の復興のための喫緊の重要課題であることに鑑み、機構の債権買取等の実効性を高めるための措置等について議論を行ってまいりました。本修正はその議論を踏まえ、金融機関が機構に対し客観的な基準をもってスピードがある債権の譲渡をしやすくするとともに、機構に積極的に債務免除を行わせるための義務等を課すことにより、政府、金融機関、事業者という三者間での負担公平を図るものであります。
第一に、機構が債権の買取を行なう場合の価格は適正な時価によるものとし、東日本大震災の発生直前の当該債権の価格に、対象事業者の事業の再生を図る観点からその被害状況等に応じて主務大臣が定める割合を乗じて得た額を基本とすること。
第二に、機構は、買取を行った債権の管理および処分にあたっては、当該買取の価格がその債権額を下回る場合においては、特別の事情がない限り、その差額に相当する額の債務を免除しなければならないこと。
第三に、機構は、買取を行った債権については、特別の事情がない限り、一定期間その弁済を猶予しなければならないこととするとともに、一定期間の経過後、特別の事情がない限り、当該債務を免除するように務めなければならないことなどであります。
以上であります。何卒委員各位のご賛同をお願い申し上げます。