再生エネルギー法案 7月14日衆院本会議 平智之氏への海江田経産大臣の答弁 |
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平智之議員にお答えをいたします。
A1-1 エネルギー政策全体の見直し、再生可能エネルギーの位置づけに対する見解
エネルギー政策の見直しに関する御質問をいただきました。
今後のエネルギー政策のあり方については、幅広く国民各層の御意見を伺いながら、予断なく議論を行ってまいります。
再生可能エネルギーについては、エネルギーの安定供給確保や地球温暖化対策、環境関連産業育成の観点から重要であり、その導入拡大が必要であると認識しておりますが、エネルギー政策全体の中における位置づけについては、こうした議論の中で検討してまいります。
A1-2 買取制度はエネルギー政策全体の見直しを行ってから議論すべきだという意見に対する見解
次に、エネルギー政策の見直しと固定価格買い取り制度の方向性に関する御質問をいただきました。
御指摘のとおり、エネルギー政策については、東日本大震災を踏まえ、今後、抜本的な検討を行うこととしております。
一方で、エネルギー政策全体を見直す中において、再生可能エネルギーが今後の我が国にとって非常に重要なエネルギー源であり、一層の導入拡大が必要となることは確実な方向であると考えております。
このため、まずは、再生可能エネルギーの導入拡大にとって大きな効果を持つ本法案を成立させていただき、再生可能エネルギーの導入拡大を図るための枠組みを早期に構築することが重要と考えております。
A2 当面の電力供給源としての原子力の位置づけと原発再稼動についての見解
次に、当面の電力供給源としての原子力の位置づけと原子力の再起動に関する御質問をいただきました。
御指摘のとおり、化石燃料や再生可能エネルギーには、さまざまな課題があり、当面の電力供給源としては限界がございます。原子力は、エネルギー安全保障及び地球温暖化対策の観点から、当面、国民生活の安定、企業の経済活動を支えるエネルギー源として重要であります。
また、原子力発電所の再起動については、安全性の確保を大前提とした上で、新たに導入した安全評価のうち、一次評価をクリアした原子力発電所については、立地地域及び国民の皆様に丁寧に御説明しつつ、再起動をお願いしてまいります。
A3 再生可能エネルギーの買取価格と期間の設定についての考え&将来的な電力量の見込み
次に、買い取り価格や買い取り期間の設定及び再生可能エネルギー電気の発電電力量の見込みに関する御質問をいただきました。
太陽光発電以外の電源の買い取り期間は、発電設備の更新期間等を参考に、15年を軸に検討してまいります。
買い取り価格については、標準的な再生可能エネルギーの発電設備の導入が、経済的に成り立ちつつ、国際的にも遜色のない水準として、キロワットアワー当たり15円から20円の幅の中で、20円に近い水準とする予定でおります。
太陽光発電の買い取り期間については、住宅等の設備は現行の余剰買い取り制度と同様に10年を、事業用の設備は太陽光発電以外の電源と同様に15年を軸に検討しております。
買い取り価格については、住宅用の設備は、来年度の場合、30円台後半になると想定しております。事業用の設備は、これを参考に、事業用設備としての特殊性等を勘案して定めることとしております。また、買い取り価格は、技術開発等による発電コストの低減により、毎年下がっていくと考えられます。
ただ、いずれの買い取り価格・期間についても、本法案の国会審議における御議論も踏まえ、パブリックコメント等を経た上で決定する予定でおります。
また、経済産業省の試算では、本制度により買い取られる電気の総量は、2020年時点で約400億キロワットアワーになると見込んでおります。
A4 再生可能エネルギー20%目標を具体的にどのように実現するのか
次に、菅総理の主要国首脳会議における再生可能エネルギーの割合の御発言をどのように実現するかについて御質問をいただきました。
菅総理が表明された目標の実現に向けては、本法案による固定価格買い取り制度の導入に加え、革新的技術の開発及び普及、規制緩和などの政策を総動員し、政府全体で連携し、全力を挙げて取り組んでまいります。
A5 我が国の再生可能エネルギー関連産業の競争力、現状と今後の見通しは?
次に、再生可能エネルギーの分野における日本メーカーの国際競争力の現状と見通し及び政府の競争力強化に向けた支援策に関する御質問をいただきました。
再生可能エネルギーの分野では、日本企業の国際競争力は高いものと承知しています。例えば、日本製の太陽電池は、製品の効率や品質の高さを競争力として、過去長期間にわたり、生産量におけるシェアは世界第一位でありました。また、水力発電設備や地熱タービンでも、日本製品は高い技術力を有しております。
しかしながら、この分野での国際競争は激化しております。太陽電池については、2009年には日本製品のシェアは中国製品に抜かれ世界第二位となり、また、風力発電機についても、中国メーカーが急速にシェアを伸ばしております。
本制度は、効率的な設備による再生可能エネルギーの導入を図るものであります。我が国産業がその設備の供給を担えるよう、経済産業省としては、発電設備の高性能化や部材の技術開発などを支援することにより、国際競争力の維持強化に最大限努力してまいります。
A6-1 産業界に対するプラスとマイナスの影響についての見解費用負担調整機関の必要性
次に、本制度導入による経済効果及び電気料金の負担増に伴う産業界への影響に関する御質問をいただきました。
本制度導入による経済効果については、例えば太陽光発電に関しては、原材料の調達、加工から製造、販売に至るまでの幅広い産業分野にわたって、需要が拡大し、設備投資が増大することが期待されます。また、太陽電池パネルの導入量が増加することにより、地域の施工会社の事業拡大が期待されるなど、広範な雇用創出効果が見込まれます。
さらに、本制度の導入により、太陽光発電システム及び施工等の国内売り上げが、2020年に、現在の約6倍程度に増加、風力発電が約2倍以上に増加すること等の効果を見込んでおります。また、海外市場に目を向けると、2020年に、再生可能エネルギー関連市場が10兆円規模に拡大することと見込まれております。
一方で、本法案で導入する固定価格買い取り制度は、再生可能エネルギー由来の電気の買い取りに要した費用を電気料金に上乗せして回収するものであります。このため、産業界の中には、特に電気を大量に使用する産業を中心に、電力コストが上昇し事業活動に影響が及ぶことを懸念する声があることは私も承知をしております。
このため、再生可能エネルギーの導入拡大を図りつつも、固定価格買い取り制度による負担が重くなり過ぎないように、本制度による負担総額を軽減、限定するような工夫を講じてまいります。
具体的には、本制度による賦課金がキロワットアワー当たり0.5円を超えないよう制度を運用してまいります。また、電力を大量に使用する産業に対しては、省エネルギーの促進や研究開発などの面で支援を行ってまいります。
A6-2 費用負担調整機関の必要性
次に、費用負担調整機関の設置による地域間調整の必要性に関する御質問をいただきました。
本制度では、電気料金に上乗せする形で電気の需要家が買い取り費用を負担することとしています。しかしながら、地域ごとで再生可能エネルギーの導入量や電力需要の規模等が異なるため、例えば再生可能エネルギーの導入が進んだ地域ほど負担がふえるなど、地域間で負担に大きなばらつきが生じるおそれがありま す。
しかし、再生可能エネルギーの導入拡大は、我が国全体としてのエネルギー自給率の向上に貢献すること、また、温室効果ガスの削減にも寄与することにかんがみれば、電気の需要家全体に裨益することから、全国規模で広く薄く御負担をいただく性質のものであると考えております。
このため、地域間での負担の不均衡については調整を行う必要があると考え、費用負担調整機関を設置し、地域間の調整を行う予定でございます。
A7 法案の規定で風力等の発電者を十分応援できるか
次に、電力ネットワークへのアクセスに関する御質問をいただきました。
本法案においては、電力ネットワークへの接続に当たっては、周波数や電圧の維持が可能な場合、電力会社は発電事業者の接続を原則拒むことができないとしています。また、周波数や電圧の維持に支障が生ずるおそれがある場合であっても、発電事業者がその支障を回避するために必要となる費用等を負担すれば、同様に、接続を拒むことはできないとしております。
その際、発電事業者と電力会社との間で費用負担等について紛争が生じることが予想されるため、中立的な立場から電力系統利用協議会が紛争解決を行うことができるよう、その機能を強化する改正も盛り込んでございます。
これらにより、発電事業者の電力ネットワークへのアクセスが十分に達成され得るものと考えております。
A8 国民の理解を得るためにどのような取り組みをするのか
次に、本制度の導入に伴う周知、広報に関する御質問をいただきました。
御指摘のとおり、全量固定価格買い取り制度の趣旨や導入に伴う負担について国民の皆様の御理解を得ることが非常に重要でございます。このため、これまでも、制度の立案過程におけるパブリックコメントの実施や全国各地方での説明会、シンポジウムの実施など、各種メディアを活用した広報活動を展開してまいりました。
今国会で本法案を成立させていただいた場合には、制度の施行に向けて速やかに準備を進めるとともに、引き続き、制度の内容や負担について国民各層への周知を図り、御理解と御協力を得られるよう努めてまいります。
以上でございます。