グァム協定 平成22年2月5日 衆議院予算委員会 石破茂氏の質問 |
(長さ12分48秒)
質問 石破茂氏(自民党)
答弁 鳩山由紀夫内閣総理大臣
岡田克也外務大臣
石破 次に行きます。安全保障についてお尋ねをしましょう。今の憲法九条ともかかわることでございます。いいですか。
総理、五月までに決めるとおっしゃいましたね。それは、五月三十一日までに何を決めるのですか。
鳩山内閣総理大臣 先ほどの石破委員のお話で、私は、陳情といわゆる利益誘導型の陳情行政というものが余りにもひど過ぎたということで、それを解決するために新たな方法を見出してきた……(会場より発言色々)いや、そうです。私どもはそのように思っておりまして、請願というものを否定するつもりもありませんし、まさにそれはこれからも大いにやっていただきたい。
それで、今お話がありました安全保障、普天間の話でございます。
普天間の移設先を私どもとしては五月末までに決めるということにいたしております。そのために、平野官房長官を長とする沖縄基地問題検討委員会というものをつくらせていただいて今精力的に議論しているところでありますが、私どもとしては、普天間の移設先をどこにするかという議論を、最終的にアメリカにも 理解を求め、沖縄の県民の方々、地元の方々の理解を求めて、政府として最終的に結論を出す、そのように考えています。
石破 あの、理解するとかしないとかいうことではなくて、地元が、はい、これでいいです、どこだか知りませんよ、これでいいですというふうな意思表示をきちんと行い、合衆国政府がこれでいいという意思表示を行い、三者の意思が合致するのが五月の末まで、こういう理解でいいですね。
鳩山 今、石破議員からお話がありましたように、合衆国の政府もこれでよい、わかったと理解をいただいて、地元の方々も納得をしていただくという形で最終的な案を政府として決めるということでございます。
石破 グアム協定は条約ですね。法的な拘束力を有しますね。現行のグアム協定のことを言っているんですよ。二〇一四年までという期限も明示をしてあるのですよ。移設先も明示をしてあるのですよ。
当然、グアム協定の改定も含め合衆国政府が了解するのが五月の末だ、こういうことですね。
鳩山 当然に、私どもとしては、新しい移設先を決めるということでございますから、そのときまでにあらゆることをこなしていく必要があると思います。
岡田外務大臣 若干補足させていただきます。
グアム協定をそのものを改定するというのは、これは一連の手続でありますので、今総理が言われたのは、そういう手続まで含めて言われたものではなく、合衆国との関係で合意に事実上至るということを申し上げたものでございます。
石破 いいです、外務大臣が何を答えられても、後で総理がひっくり返されたら聞く意味ないんで。
総理に聞きます。私が決めるとおっしゃっておられる総理に聞きます。(野次)グアム協定の改定に合衆国が同意をするというのも五月の末まで、よろしいね。
鳩山 私は、先ほどから申し上げているように、アメリカの理解も求め、そして沖縄を初めとする地元の皆さんもわかったと理解を求めて、政府案として最終的なものをつくり出していくと。それが五月の末まででございます。
石破 あのね、答弁をすりかえないでください。そこはもう何度も聞いて、わかりました。
ですから、協定の改定までを五月にやってくれということを私は言っているのではありません。協定の改定をすることに合衆国政府が合意をするということも含めて五月の末でなければ、いいですか、条約の遵守義務が憲法にはあるんですよ。御存じですね。条約遵守義務がある。確立した国際法規並びに締結した条約は、それを誠実に遵守することを必要とする、これが憲法にあることは御存じですね。
じゃあ、あなたは、昨年の選挙のときに、国外、最低でも県外とおっしゃいましたね。そのときに、どこか当てがあっておっしゃったんですか。(「あるわけないじゃないか」など)
鳩山 今までのさまざまな経緯というものを私としてもすべて理解しているというわけではありませんでしたが、しかし、さまざまな選択肢の中で辺野古ということに決まってきたという思いは理解をしておりました。その中で、海外あるいは県外というもの、特に県外にもさまざまな議論があったと承知をしておりますので、一切県外あるいは国外ということに対して全く理解もなく申し上げていたというわけではありません。
ただ、沖縄の県民の皆様方の感情などを考えたときに、私としてはそれが望ましいという思いで申し上げたことは事実です。
石破 条約遵守義務って、物すごく重いことなんですよ。そして、我が国は、国際連盟脱退以来、条約をたがえたことは一度もないのですよ。
そして、合衆国が同意しない限りは、今の協定の内容がそのまま残るのですよ。わかってますね。そして、合衆国の同意がないということであれば、今のがこのまま残るか、もしくは日本政府として一方的に協定を破棄するか。そうすると、条約法条約の世界に移るんですよ、これは。本当にそういうようなものが……(与党席から「単純な条約だろ!」)単純な条約じゃないに決まっている。単純な条約ではない。
だから、日程も、そしてまた移設先も、日本国政府の義務もきちんと定めたのがグアム協定であり、それは法的拘束力を有するいわゆる狭義の条約である。その条約を誠実に遵守する義務を日本政府は負っている。そういうことなんですよ。だとするならば、政権がかわったからそれでいい、そのようないいかげんなものであっていいはずがない。もしそれを守らなければ、今のが残るんです。
一つだけ聞きます。アメリカ合衆国政府が協定の改定に同意をするまで含めて、そうでなければ移転できないんだからね。ほかのところへ行かないんだからね。そこまで含めて五月末。いいですか、協定の改定までは求めません、協定の改定に対して合衆国が同意する、そこまで含めて五月の末、間違いないですね。
岡田 委員の議論は、ちょっと私は納得できません。
例えばですね、もちろん、条約、これは守る義務がある、当然であります。法律も同じです。しかし、例えば法律について、我々が選挙のときに、既に成立している法律についてこれをこういうふうに改正するんだということを言うことは、別にそれは法律を守らなければいけないという義務に反することではありません。条約についても、今ある条約について、我々はこれを変えたいと、こう主張することは、それはそのこと自身が問題であるわけではありません。
ですから、今、グアム協定は生きています。生きていますから、先ほどの防衛大臣、午前中の答弁にもありましたように、例えば環境影響調査などは、これは我々否定しているものではありません。しかし、今我々は、そのグアム協定の内容についてこのままでいいのかということについて議論をしているわけですから、で、最終的に相手のアメリカ政府もそのことについて納得をするということであれば、それは変えることは可能なんです。変えるまではそれに拘束されますけれども、それまで、変わるまでの間はもちろん拘束されますが、変えるってことを否定するものではない、これは当たり前のことだと私は思います。
したがって、五月末までということは内閣として決めるということであって、しかし、それを改定するということは、これは国会にもかかわる話であります。ですから、日本でもそれは、五月末までにできるかどうか、そんなことを我々が勝手に言うわけにいかない問題だと私は思います。(会場「おー!」という驚きの声多数)
石破 つまり、ここにしたいということを決めるんだということを今外務大臣はおっしゃったんですね。ここにしたいということを決めるんだと。アメリカがそれに合意をするということは、当然、協定改定をしなければ移設はできない、名護以外にね。だって、今のがそのまま残っているんだから。
協定の改定ということも含めて合衆国政府が同意の意思を示さなければ、これ何もないのと一緒じゃないですか。何も決めないのと一緒じゃないですか。ここにしたいという意思が表示をされただけじゃないですか。総理、どうですか。総理。
岡田 (会場「総理だろ!」「総理、総理、総理!」)私は、今の議論というのはよくわからないんですね。
ですから、政府間で約束をする、しかし、その後、手続が議会などで要る、議会できちんと調ったことを条件に政府間で合意するということは、何ら不思議ではないと私は思います。(与党席から拍手)
石破 何ら不思議ではありません、そのとおりです。だから、ここへ移転するということについて合衆国政府が同意をすれば、当然協定の改定ということになるのでしょう。同意はしたけど協定の改定に同意をしないなぞということは常識から考えてあり得ないことだ、そうですよね。そうですよね。あり得ないですよね。
ですから、同意をした、そのことは、この同意に基づいて協定の改定もしようね、そうでなければ普天間以外に移らないもんね。ごめんなさい、名護以外に移らないもんね、そういう理解でしょう。
岡田国務大臣 ちょっと、言っておられる意味がよくわからないんですが、政府間で合意をする、もちろん、合意するまでは今の協定が、合意して、その上で国会にお諮りする、きちんと手続を経たら新しい協定が発効する、それまでの間は今の協定が生きていると、こういうことだと思います。
石破 あの、当たり前のこと。この間から申し上げているんだけれども、余りに当たり前の答弁をなさらないでくださいね。当たり前のことだから。(会場騒然)
私が言っているのは、協定の改定をしますということまで含めて合意なんですよね、当たり前のことですよねということなんです。
そうじゃないか、そうなのか、それだけお答えください。(会場「総理大臣!」)
鳩山 当然、アメリカの政府が合意をするということで、合意をしたけれども、グアム協定はこれは変えられないみたいな話をしたら合意にはならないはずでありますから、当然のことだと私は思います。
石破 わかりました。それを最初に言っていただければよかったんです。(会場騒然)協定の合意も含めてそうですかということを聞いているわけですからね。合衆国として協定の改定もいずれこの内容でいたしますという意思が表示をされて、それが五月の末までだということをおっしゃいました。ありがとうございました。