谷垣禎一氏による代表質問への答弁 2 平成23年9月14日 野田内閣総理大臣 |
動画:http://www.youtube.com/watch?v=2luVE0_z2tY
野田 (承前)検討を進めております。現在、復旧・復興のための具体的な税制措置については、税制調査会において検討しており、今後具体的な税目、年度ごとの規模等を組み合わせた複数の選択肢を、東日本大震災復興対策本部に報告した上で、与野党間での協議を経て党本部において決定することとなっています。一日も早い本格復興に向けて、現下の経済情勢も勘案しつつ、まずは複数の選択肢を早急にまとめたいと考えており、与野党協議においては各党各派への皆様の積極的なご参加をお願いをいたします。(野次)
「事業仕分けの実態をいかに認識しているか」
行政刷新の取り組みについてのお尋ねをいただきました。これまで三回にわたって実施してきた事業仕分けにより、行政の透明性を飛躍的に高めるとともに、大幅な無駄の削減を実現するなどの成果をあげて来たと認識をしております。また、事業仕分けは、独立行政法人改革や特別会計改革といった大きな改革への動きへとつながり、行政刷新の取り組み全体を進める原動力となっているところでございます。行政刷新の取り組みは道半ばです。仕分けの手法を進化させ、行政に含まれる無駄や非効率を根絶し、真に必要な行政機能の強化に取り組んでまいりたいと考えております。
「法にのっとり今年度中に税制改革法案を提出するか」
続いて、税制抜本改革のスケジュールについてのご質問をいただきました。若い世代を含め、国民が将来に不安を持たないようにするため、社会保障のための安定財源を確保し、あわせて財政健全化を同時に達成するための社会保障と税の一体改革は、どの内閣であっても先送りをすることのできない課題であります。消費税を含む税制の抜本改革の内容を定める具体的な法案については、社会保障・税一体改革成案に基づき、平成21年度税制改正法附則第104条に示された道筋に従って、本年度中の法案提出に向けて準備を進めてまいります。各党・各会派の皆様におかれましては、法案成立に向けて、与野党で合意形成できるよう、社会保障・税一体改革に関する政策協議にご参加をお願いをいたします。(野次)
消費税率引き上げと解散
消費税率の引き上げ時期についてのお尋ねがございました。社会保障・税一体改革成案においては、社会保障給付の規模に見合った安定財源の確保に向け、まずは2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げ、当面の社会保障改革にかかる安定財源を確保するとされております。また、経済との関係においては、成案において、税制抜本改革の実施は経済状態の好転が条件であることを明文化し、その実施過程においても予期せざる経済変動が生じた際には柔軟に対応する仕組みとすることとしています。いずれにせよ、具体的な税率の引き上げ時期については、今後政府与党内の議論および与野党協議等を踏まえ、改革の具体化を図る中で決定したいと考えており、実施をする前には総選挙で民意を問うべきものと考えております。(野次)
「普天間問題解決への具体的方針」
普天間飛行場の移設を含む日米同盟関係についてのご質問をいただきました。同盟を基礎とした日米の信頼関係は長い歴史を持つものであって、軽々に揺らぐものではありません。普天間飛行場移設をはじめとする日米間の諸課題を着実に実施していくことは、その信頼を維持・強化し、日米同盟をさらに進化・発展させるために極めて重要です。普天間飛行場の移設問題については、同飛行場の固定化を回避し、沖縄の負担軽減を図るべく、全力で取り組みます。沖縄において県外施設を求める声があることは承知しておりますが、現在の日米合意は全体として、少なくとも現状に比べると沖縄の大きな負担軽減につながると考えており、引き続き沖縄の皆様のご理解を得るべく、誠心誠意努力してまいります。(野次)
「外交・安保の基本方針は?」
東アジア共同体構想についてお尋ねがございました。私の政権では、大きな構想を打ち出すというよりも、当面の諸課題に着実に取り組んでいくことがむしろ重要であるとの認識を述べたものであり、東アジア共同体構想を否定しているわけでは全くありません。豊かで安定したアジア太平洋地域の実現は日本の平和・安定・繁栄にとって不可欠であるとの考えの下、ASEAN、東アジア首脳会議、ASEAN地域フォーラム、APECなどの枠組みを活用し、開かれた形で重層的な地域協力のネットワークを強化していく方針でございます。このような地域協力に関する基本的な考え方に変わりはございません。
外交・安全保障政策についてお尋ねがございました。我が国を囲む安全保障環境が不透明性を増す中、地域の平和や安定を図り、国民の安全を確保するため、外交的な努力とともに、昨年末に策定した防衛計画の大綱に従って動的防衛力を構築しつつ、日米同盟を一層進化をさせていく考えでございます。同時に、利害を共有するパートナー国との関係を強化すること等を通じて、新たな安全保障環境に対応していく所存でございます。
「前政権の原発事故対応とエネルギー政策を引き継ぐのか、変えるのか」
脱原発に関するご質問をいただきました。国民の不安を和らげ、安心できるエネルギーのベストミックスを目指していくという方向性については菅前内閣と同じ考えであります。具体的には、原子力発電について、脱原発と推進という二項対立で捕らえるのではなく、中長期的には原発への依存を可能な限り引き下げていくという方向性を目指すべきと考えます。同時に、安全性を徹底的に検証、確認された原発については、地元自治体との信頼関係を構築することを大前提として、定期検査後の再稼動を進めます。国民が安心できる中長期的なエネルギー構成のあり方について、幅広く国民各層のご意見を伺いながら、エネルギー環境会議を中心に今後冷静に検討してまいります。
以上で御答弁とさせていただきます。(拍手)
(野次が続く)
議長 内閣総理大臣から答弁を補足したいとのことであります。これを許します。内閣総理大臣、野田佳彦君。(拍手)
野田 えー、谷垣総裁、ご無礼しました。ええ、二問答弁漏れがございました。大変失礼いたしました。
「朝鮮学校授業料無償化を撤回するか」
ひとつは、高校無償化に関する朝鮮学校の審査再開についてのご質問でございました。朝鮮学校の審査手続きについては、菅前総理が関係閣僚と相談し、事態が昨年の砲撃以前の状況に戻ったと総合的に判断し、審査手続きの再開を指示されたところでございます。朝鮮学校を指定するかどうかについては、今後文部科学省において厳正に審査を行うべきものと考えております。また、高校無償化の平成24年度以降の制度のあり方については、三党合意を踏まえ、政策効果の検証を基に、必要な見直しを検討してまいります。
「なぜ4日で国会を閉じるのか」
もうひとつ、臨時国会の会期についてのご質問がございました。政府としては、大震災からの復旧・復興、原発事故の収束、円高対策を含めた経済対策に取り組むため、三次補正の編成に全力を尽くすことを最優先に考えております。また、国会の会期については、国会において各党各会派でのご議論の上、ルールに従って決められたものと理解をしています。(野次と拍手)