三次補正予算 平成23年9月26日 衆議院予算委員会 石原伸晃氏 3 |
(40分13秒ごろから終わりまで約20分間)
石原 外交と個々の案件はこれぐらいにいたしまして、内政問題に移らせていただきたいと思います。(40:19)
野田内閣については、各紙が、危機感に不足している、スピード感がない、これは総理も先ほどの答弁等々でお認めになって、まだ被災地の方々で不十分だ、スピードがないという方がいらっしゃる、そういうことをおっしゃっておりました。そして、本当に具体的に何をやるのか、やります、やります、できるだけ早くにと、具体的なものがないから、やる気ってものが伝わってこないんだと思います。
菅総理の居座りで、実は3ヶ月、6月2日に辞めますよと言って辞めるまで時間がかかりましたので、浪費された時間があります。もう余裕はないんですね。で、第三次補正の話をさせていただきたいんですが、私たちが第三次補正に必要なものを取りまとめたのは7月です。この表のように、必要な補正予算のメニューを提示しました。財源もまとめました。もちろん、菅政権に持ってったんですね。
今、三次補正について色々やってる作業の最中だと言いますけれども、今日この段階で民主党としての財源問題についての結論が出てないということは私も残念でなりません。被災者の方々が待ち望む三次補正の編成作業は一体どの段階にあるのか、そして先ほど来、次期臨時国会について私言及しましたけれども、いつやるってことは明確に示されない。できるだけ早く、三次補正がまとまったら。その前にやることがあるのに、やろうという言葉がない。一体いつ三次補正を提出されるのか、財務大臣、お答え下さい。
安住 今あの、三党合意に本当に忠実に従って、復興の財源を含めて党内で協議をしております。報道で御承知だと思います。政府税調としては、次の世代に借金を残さないで、自分たちの世代でこれをしっかり返していこうということで、できるだけ税外収入を増やして、その上でも足りない時には、大変国民の皆様には心苦しいんでございますが、まあ直接この法人税や所得税でお願いをするという案を出させていただきました。今、目下、本当に政府として出した案について、党税調として今日、明日中には意見の取りまとめをさせていただくということで努力をさせていただいております。
なお、歳出の面につきましても、石原幹事長が一番御存知でございますけれども、この国庫負担分の二分の一の部分、さらにB型肝炎の対策を織り込んで、円高でございますから、先ほど冒頭に大変見識のあるお話をいただきましたが、私も全くガイトナー長官等々と話をして、石原幹事長と同じような話をガイトナー長官もなさっておりました。
そうした対策を含めて、おおむねのところはまとまっては来ましたが、最終的には政調会長のところで一本化をさせていただいて、是非自民党また公明党の皆さん含めて是非協議をさせていただいて、その上でこの印刷等の編成に入っていきたいというふうに私としては思っております。(石原「いつ? 党内をまとめて、いつ出すんですか」)
安住 いつというのは、国会にということでございますか? できるだけ早く出したいとは思っておりますが、あのー、幹事長一番御存知ですが、正式に決ってから印刷をかけて、3週間程度どうしてもかかります。ですから、自民党・公明党との話し合いというものができれば、これは私の立場で言うことではないかもしれませんが、歳出の面等については合意できるところは多々ございますから、そこに書いて御提案をいただいた地方に対するお金や、様々な点については合意できるところがありますので、できれば今週ぐらいから是非協議をいただければ、早ければ早いほど提出も早くなるのではないかなと私は思っております。
石原 あの、財務大臣ね、やはりあの、もう少し当事者意識、野党との協議が取りまとまれば早く国会に提出できるんじゃなくて、財務大臣がイニシアチブを取って、党内に、今日明日中にまとめるじゃなくて、今日中にまとめてもらわなければ困ると、そういうイニシアチブを取らないと、ずるずるずるずる、増税に反対してる方がいる限り、行きますよ。それを私はさっきから言っているんです。当事者意識とスピード感が足りない。それを認められてるじゃないですか、総理大臣も。今日この段階に至っても、補正予算の財源について民主党の合意が得られてないってのは、もう一週間遅れなんです、皆さん方が考えた当初のものより。
でですね、総理ね、予算が執行ね、執行されなければ、被災された方々は、雪の中で執行される予算を待つことになるんですよ。待たせるつもりなんですか、そんなに。だって、私たちは7月にまとめてて、このまま使ってくださいって言ってて、協力するって言ってるんですよ。与野党協議じゃなくて、与党の皆さん方がまず民主党を固める。そしてその次には国民新党の方々と、連立組んでるんだから固める。そして協議しましょう。これがルールなんです、国会の。
国会は閉めちゃいます、早く協力してくれれば早く予算が出せますってのは、当事者意識がないってことだと思います。一日も早く予算編成を終えて、国会に提出するように、総理、指示してください。
野田 あの、ちょっと、若干事実誤認があると思うんですけれども、一週間ほど遅れているということではございません。政府税調の議論を踏まえて党税調の御議論をいただいて、ま、出来得れば先週末までに結論を出せればなと思っておりましたけれども、まあ今日まで来てるということは事実でありますが、ただこれ、大詰めの段階でございます。大詰めの段階できちっと結論が出るように、まあ私自身も、財務大臣だけではなくて、私自身がリーダーシップを振るっていきたいというふうに思っております。で、その上で、その上で、一日も早く国会に御提出できるように努力をしていきたいというふうに思います。
石原 雪の中で被災者の方々を待たせることのないように、総理の強いリーダーシップを期待いたします。
さて、お宅で揉めております復興財源。総理は、復興財源については、次の世代に負担を先送りすることなく、今生きる世代全体で連帯し、負担を分かち合う、と述べられておりますが、その考え方に変わりはございませんか?
野田 7月に復興の基本方針をまとめております。その際に、将来世代に先送りするんではなくて、今を生きる世代で連帯して負担を分かち合うということが、その方針に明記をされています。それを踏まえて対応していきたいというふうに思います。
石原 あのー、考え方としてそれはあるんですね。しかし、私は必ずしも総理の考え方に賛成はできない。それはその復興策の中には色んなものがあると思います。次の世代も使用するインフラ、特に、インフラが徹底的に壊されてしまった、道路、鉄道、港湾、防波堤、防潮堤等々であいます。インフラの建設費用全てを、本当に総理、現役世代だけで負担すべきなんですか? 受益と負担の関係を考えますとね、瓦礫の処理、こういうものは現役世代が利益を得るものですから、現役世代が負担をする。先ほど申しましたように、それに対して、これは我が党の鈴木俊一議員が鈴木善幸先生とふたりであの岩手県の防波堤をずっと作られてきた。安住大臣も御存知のことだと思いますけれども、60年間かかって1300億トータルでやったものが、一瞬にして全て壊れた。こういうものを、これから、現役としてですね、使用する、そういうものを全て、本当に、今生きる人たちでも負担させていいんでしょうか。
方法は色々あると思うんです。長期の債券、債券の償還期限を長くしたものを作って、受益も負担も世代間で分かち合う。私はそのほうがある意味では公平だと思います。そして、インフラ部分の費用、これはですね、地域の方々が一番心配しているのは、今はいいんだけど、政権がまた代わった、あるいは財政事情が悪くなった、経済危機が起こった、その分、財政事情に左右されるようなことがあったら困ります、こういう切実な声があるんです。これは、被災された方々のところを歩かれている方々、みんな聞いております。こういうものにもやっぱり工夫していかなければならない。
さらにその、政府与党の財源論を聞きますと、実はまあ昨年からほっぽらかしになっておりました、ほこりをかぶっちゃってる、平成23年度の税制改正大綱、もう皆さん忘れちゃったと思うんですけれども、これが全て盛り込まれてるんですね。昨年度の税制改正の中には、我が党が絶対賛成できないものがたくさん入ってます。給与所得控除の上限の設定、成年扶養控除の対象の見直し、相続税の増税、これら全て増税策を、復興を口実にね、現役世代に全て押し付けるってことは、私たちは断固反対させていただきます。また、法人税については減税分を増税するだけで実質的な負担増にならないのに対しまして、個人、これ、実質増税のオンパレードですよね。総理はその一方で、中間層を重視する政策をこれから取っていきたいと言うんであるならば、中間層に負担を押し付けているこの政策ってものは、言行不一致じゃないでしょうか。(会場「そうだ!」)
言ってることとやってることが全く違う。ちょっとフリップ出してください。これ、私、びっくりしたんだけど、これ、私が作ったものじゃありません。これ、東日本の復興対策本部に9月20日に配られた資料ですけれども、これ何て書いてあるか。復興対策本部の資料に、政府自らが、税外収入について、先ほど安住大臣が、まあ、税外収入をやって、それでも足りない分は法人税あるいは所得税の増税っていう言い方をされましたけれども、この税外収入についてですね、「基本方針で仮置きした係数」って書いてあるんです。そして、下のほうに至っては、「この中からできるもので、2兆円程度」。
一体、歳入項目について、「できるもの」って何ですか? 私はとてもきっちりとした財源とは言えないって思います。全て要するに、何て言うんですかね、一時期、前にありましたよね、政権交代した時に。(武部「腰だめの数字」)「腰だめの数字」。武部さんに言われちゃった。これとおんなじことを言ってるんです。
だから、これは絵に描いた餅で、東京メトロの株式がすぐ売れるか。売れませんよ、この株式市況の話を最初言いましたけど。じゃあ3年後大丈夫か。わかりませんよ。私は国土交通大臣の時に、JRのですよ、JR東海の株の売却、残った部分を売る時、どれだけどきどき、びくびくしたか。市況に対する影響が大きすぎるんです、こういうものは。大型株ってものは。右肩上がりの時はできるけど。そんなことを「基本方針で仮置きした係数」。「この中からできるもの」。こんなことを言っているようでは、私は納得ができません。
もっとしっかり考えてください、財務大臣。
安住 あのー、仮置きであるということは事実でございます。東京メトロ株の売却等については、本当にいくらになるかは、幹事長の御尊父のお気持ちもあると思いますので、そういうことも含めて考えれば確かにそれぞれ交渉があります。ただ、財投特会の剰余金につきましては、これは確かに高い、自民党政権下の時に、金利で貸していた部分についての財源はこれは計算できますから、大きな0.8兆についてはこれは何とかなるだろうと。で、JT株の売却の部分についてもですね、おおむね、これは、あの、確定はできません、売買の問題ですから。ただ、しかし、これについても三分の一にすれば0.5になることも多分事実であると、こういうふうに思います。もっと高く売れる可能性もありますので、そういう点では、大筋こういうところを出させていただいたと。ただ、公務員の人件費の削減につきましては、これは法律が通らなければなかなかこの財源は捻出できませんので、是非与野党での協議というものをしていただいて、そして、自民党公明党の皆さんの案を是非取り入れた形で財源の税外収入の捻出をしたいというのが私どもの考えでございます。(拍手)
石原 財務大臣、私が言ったのは、まあ、素直にお答えになられてるんですけれども、真面目に、真剣に考えてくれってことをお願いしてるんです。たとえば、JTの株式の売却。さらに、皆さん方はB型肝炎の補償の財源にタバコを考えていらっしゃる。これも我々反対です。タバコの税金は上げる、JT株の株は売却する、そんな中でこれから日本の葉タバコ農家の全量買い付けってものが守られるのか。特に、東北地方には、タバコ農家が多いんですよ。そういう、できもしないことを載せてるっていうことが問題だっていうことを私は入れているわけであります。また、それをやろうとするとしたならば、そこに大きな問題があるということを私は申しております。
総理は、国会が始まります前の党首会談、これは極めて異例だったと思いますが、私も陪席させていただきました。与野党協議の申し入れ、特に円高とかですね、予想しなかったものについて協議をお願いしたい、税についてもお願いしたい。もちろん、野田政権が予測できなかった、こういう緊急事態、今日の議論の中で冒頭お話をさせていただいたものについての協議ってものには、私は参加をさせていただきたいと思ってます。しかし、その前に、何度も言いますように、野党に頼るんじゃなくて、与党の中で、こんな中でこんなものは駄目ですよね、駄目ですよね、絵に描いた餅ですね、これをはっきりして、全員、民主党の全員でですね、意識を共有してもらいたいんです。
今日の午前中の質疑で、私びっくりしたんですけれども、今までの子ども手当てではありませんが、児童手当でもない、まだこんなことを言ってるんですよね。マニフェストの破綻を認め、その見直しを行い、その結果を今後の予算に反映していくってのが、実は、三党合意のポイントなんですね。この点については政調会長がお話をさせていただきますけれども、総理が、「私が約束したんだから信頼してください」総理のことは信用したいけれども、民主党の皆さん方全員、政党として信用できるかと言うと、クエスチョンマークがこの、歳出削減、税外収入ひとつ見ても(会場「詐欺だよ、詐欺」)、クエスチョンマークがつくわけであります。
ま、誰かがおっしゃった「トラスト・ミー」と言うと語弊がありますけれども、それだけでは物事の話ってものは進んでいかない。やはり、国会はしっかりと開いて、大臣の所信を聞いて、本当に適材適所であるのかということを国民の方に示して、そして、予算を指示してくださいましたから早くまとめて、議論をする、国会の中で野党とも協議をする、そういうことを、総理、改めて国民の皆様方に約束してください。
野田 三党合意については、それは、あの、先ほど御指摘いただいた通り、首班指名選挙終わった後、組閣の前に、御党の谷垣総裁と石原幹事長とお目にかかった時に、自分は守っていきます、信じてくださいと申し上げました。公明党との会談でも同じ事を申し上げました。基本的にはその姿勢は堅持をしていきたいというふうに思います。で、その上で、与野党の協議を真摯に行うとともに、とともにですね、国民の皆様にきちっとわかりやすく色んな説明をしていくことは、あらゆる機会を捉えてやっていきたいというふうに思います。
石原 あの、総理の、その時々の言葉だけを聞きますとね、ああこの人は信じるに値するのかなと思うんですけれども、色々な話が色々なところから出てくると、トータルとしては本当にガバナンスが行き届いているのか、今日の答弁を聞いていた印象を申し述べさせていただくと、これも今日の三大紙の中に書いてありましたけれども、野田内閣の三原則、余計なことは言わない、工程表も示さないですよね、「やります、早急にやります」ばっかり。派手なことはしない。何かこういう目玉みたいなこともない。突出しない。皆さん方も非常にジェントルマンである。今日の三原則っていうのが事実だったような気がします。総理はまた所信表明の中でも、年内に日本再生の戦略をまとめる、こんなことも述べられております。増税が中心になる。税と社会保障の部分については、私たちも賛成するところはあります。しかし、成長戦略、成長戦略ってものはどうしても示さなければいけない。日本は外需にどうしても依存する国家なんですね。加工組み立てで、この1円の円高が1企業の収益を10億円も20億円も、10円円高になったら、大きい企業だったら1000億円も。これは企業の努力を超えてるんですよ。こういうものに対してこういう政策を立てる、今日は時間がなくて議論できませんでしたけれども、財務大臣としての野田さんの経歴、あるいは総理大臣に就任されてからの野田さんの経歴の中で、円高は進んでるんです。介入もされてますけれども、今ヨーロッパがこういう状態になったら、なかなか協調介入してくれと言っても、イエスとは言いませんよ。それに対してどういう手を打っていくかっていうことを示すってことが、私は非常に重要なんだと思っております。
再生戦略、もしですね、三次補正がまとまったら、一番効果的な日本経済戦略はですね、民主党政権下野されたらどうですか、そろそろ。この国難を乗り切るためにどの政党が本当にふさわしいのか。三次補正は早く仕上げてですね、信を問う。もちろん、約束されてますよね。税と社会保障の改革をまとめたら、その前に解散するって言ってるんだから、その時期は我々と対して違わない。そういう強い勇気、そして断行するリーダーシップ、こういうものを総理に求め、時間がまいりましたので次の答弁者に質問を替わりたいと思います。ありがとうございました。