総理、石破氏に自党の基本理念を教わる 平成23年9月27日 衆議院予算委員会 石破茂氏 2 |
動画:http://www.youtube.com/watch?v=3vxZzSZXh2Q
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(冒頭から4分22秒ぐらいまで)
石破 (承前)総理は、保守の政治家とおっしゃいましたね。保守って何です。総理がお考えになる保守とは何ですか。
野田 日本の歴史、伝統、文化、そういうものをしっかり踏まえた政治をしていくということであります。(会場「それだけか」)
石破 保守というのはそうでしょう。エドモンド・バークの『フランス革命の省察』というのがある。総理はあるいはお読みになったかもしれない。そこにあるのは、従来の秩序を全て否定する革命というものに対する厳しい物の見方であります。保守というのは、国家を大事にすることだ。祖国を大事にする、皇室を尊び、先祖を敬い、過去の歴史に敬意を表し、そして国家の独立ということに思いを致す。私は、国を愛する、それが保守の本質だというふうに思っております。
それでは、総理が代表を務められる民主党は、保守政党ですか。
野田 私の価値観は今申し上げた通りでありますが、あの、石破委員の御指摘の、そうした思いの下で政治活動をしています。党としては、今、保守か革新かというふたつの二項対立で捉えているという状況ではないというふうに思います。多様な方が集まって、この国を前進させていく、「国民の生活が第一」の理念の下で結集をしている政党だと思います。
石破 民主党に綱領がないというのは、ずっと指摘をされていることであります。綱領のない政党が政権を取ったのは、我が国においては、大政翼賛会と今の民主党だけだと言われております。
そうではないのだと、政党助成を受けるにあたって、政党助成を受けるにあたって、党の基本理念というものを届けている。確かに政党助成法にはそう書いてある。綱領その他党の方針を定めたものと言って、民主党の基本理念が政党助成を受ける際に、政党の届け出の時に出されていますね。
それでは、どなたでも結構です。民主党の基本理念の中で、三つ、主なものを挙げてください。
石破 委員長。
委員長 石破君。
石破 どなたでも結構です。綱領はないわけではない、基本理念は届けてある、政党というのは、それを実現する志のある者が集まって構成されるものでしょうが。だからこそ、国民から政党助成を受けるのでしょうが。政党というのは、綱領と呼ぼうが、基本理念と呼ぼうが、そんなことはかまわん。「我々は綱領の代わりに基本理念を持っている。」じゃあ、基本理念は何なんだ。民主党の基本理念、主なものを三つ、誰でもいい、挙げてください。(会場「総理答えて」など)
野田 ええ、政治を、市民中心のものにしていくということ、それから、分権型の社会を築いていこうということ、ええそれから、確か、官僚主導を廃止する政治主導というようなものが入っていたというふうに理解をしています。
石破 ひとつ正しい。ふたつは書いてない。ひとつは正しいが、ふたつは書いてない。いいですか。民主党の基本理念とは何かと言えばですね、「市場万能主義と福祉至上主義の対立を乗り越え、自立した個人が共生する社会を目指し、政府の役割はそのシステム作りに限定する民主中道の道を目指す」、これが基本理念の第一です。何で私が解説しなきゃいかんの。(会場笑)「市場原理を徹底する一方」いいですか、「市場原理を徹底する一方、あらゆる人に安心・安全を保証し、公平な機会の均等を保証する。」何を言ってんですかね。「分権社会を構築し、共同参画社会を目指す。国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の憲法の基本精神を具現化する。自立と共生の友愛精神に基づいた国際関係を確立し、信頼される国を目指す。」これが御党の基本理念。綱領でもいいんでしょうよ。一緒でしょうからね。
我が党は、30年の結党以来、自主独立ということを掲げ、関連文書には憲法の改正ということを30年以来きちんと謳っている。そして、平成17年の新綱領において、そのことをさらに明確に示している。さらに、平成22年、平成21年か…22年ですね。我が党は選挙に惨敗をした。そのことを踏まえて、綱領というものを、本当に徹底した議論ののち見直した。そしてそれを、北海道から九州・沖縄に至るまで、何度も何度も各支部で会議を開き、この綱領の持つ意味ということを徹底せしめた。
私たちは、その中には色んな政策を謳っています。その中には、税制改正により財政再建を目指すということも、きちんと綱領の中に目指すべき政策として謳っております。
今お尋ねして、代表たる総理すら、そのことについて明確に、これとこれとこれだ、ということをお答えにならなかった。(会場「それが民主党だ!」)それが民主党でしょうさ。そして、もうひとつ申し上げておきたい。ここには国家という文字がどこにも出てこない。国をどう守るかということが出てこない。「自立と共生の友愛精神に基づいて国際関係を確立し、信頼される国を目指す。」これは一体、何のことですか。そして、憲法には、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義、この基本理念を具現化する、当然のことでしょう。
私は、保守とは何だと申し上げました。そこになければならないのは、国家という認識です。基本的人権も、あるいは福祉も、経済的な繁栄も、国の独立があって、初めて実現できるものだ。保守というのは、もしそれを破壊しようとする者がいるとするならば、敢然と立ち向かう、それも保守の本質であるはずです。
国家を守るということはどういうことなのか。私たちは、なぜ結党50年にあたって、大変な議論ののちに、憲法改正草案というものを作り、世に問うたか。それは、はっきり申し上げます。今の憲法は占領時に作られたものです。もちろん日本人の意思表示によってなされたものであり、総選挙においても、この憲法の是非が問われた。そのことは、百も万も承知している。押し付けだとか、だからこそ変えねばならないとか、そんなことを言うつもりは私は全くないが、占領下において作られた憲法である。国民主権はあったけれど、そこにおいて国家主権はなかった。国家主権が初めて確立をしたのは、サンフランシスコ平和条約が発効した、その時から国家主権という概念を発効したはずだ。
まえ文、前文に、何て書いてあります? 「我々は平和を愛好する諸国民の公正と信義に信頼して我らの生存を保持しようと決意した。」そのようなことがあると思いますか? 「諸国民の公正と信義に信頼して」我らの生存は保持できますか? 私たちは、そうは思わない。そうでなかったらどうするかという備えがなくて、もしそういうことがあったら、憲法制定者を恨め。そのようなことは、責任ある政党のすることではない。
それと憲法9条。これはそのままつながっているんでしょう。芦田修正、すなわち、「前項の目的を達するため」という文言が入ったから、何とか説明はついているが、しかし、本当の考え方は、まえ文にあるそのようなことを信頼してはならないということです。(会場「静かに勉強しなさい」)
あの震災が我々に何を教えたか。それは、この世の中に、絶対というものはないということです。絶対に我が国は侵略されないとか、このような地震は起こらないとか、原子力発電所は事故を起こさないとか、我々はそういうものをいつのまにか信じてきたのではないかと思います。論理を徹底をさせなければなりません。さればこそ我々は、遊びや冗談で憲法改正と言っているのではない。国家というものを守るために、この憲法は改正しなければならない。そう信じるからこそ、綱領にそれを謳っている。
民主党にはそれがない。国家という概念も、憲法に対する考え方も、どこにもない。総理、保守の政治家であると言うならば、この改正、憲法の改正、このことについて、民主党として取り組む、そうでなくてはならないのではないですか。
私は、「我が政治哲学」と銘打たれた『VOICE』の論文、何度も拝読をした。財政再建の必要性、これは、本当に謳ってある。その通りだと私も思う。しかし、そのあと安全保障の話しになったのだが、そこに憲法のけの字も出てこなかった。保守というのは何なのだ。国家を守る責任を、国民に対して果たすことだ。私はそう思っている。総理の、総理になられてから、書かれたのは総理になられる前でしょう、しかし発行されたのは総理になられてからであり、肩書きには内閣総理大臣と書いてある。
私は、保守の本質は国家を守ることである、そのためには国民主権、国家主権、そのことを確立をする、そのための不備を是正すべきだと思っています。総理のお考えを承ります。
野田 あの、我が党の基本理念から始まって、綱領の話まで、憲法の話まで出ましたけれども、あの、我が党が、国を守らないという政党ではありません。(会場騒然)で、これは、基本的な綱領、考え方からスタートして、あのー、たとえば、法律でもそうですが、成文法の国もあるし、そうじゃないものを積み上げながら理念をまとめてきたという国もあります。で、私は、民主党は、累次のマニフェストも含めて、様々な議論を積み上げてきた中で、「国民の生活が第一」と、国民を守るという、そういう政党であって、で当然のことながら、国を守るために、新防衛改革大綱を作って、そして動的防衛力を含めた概念を作り、国を守るための知恵を出し、政策を作ってきたということは、これは是非御理解をいただきたいというふうに思っています。(会場ざわざわ。拍手はなし)
石破 民主党には軸がないとかぶれるとか言われる。私はね、思うんですよ。あえてそれを詰めれば、党が割れるからではないですか。それは、民主党の団結が第一なのであって、国家が第一でもなければ何でもない。どうやって国を守るかということは、私は原点だと思っている。国会議員になることも…(与党席を見て)委員長、不規則発言は慎むように御指示ください。
(会場「態度悪い」騒然。委員長が手振りで制止。)