平岡法務大臣は適材適所なんでしょうか 平成23年9月27日 衆議院予算委員会 河井克行氏 2 |
動画:http://www.youtube.com/watch?v=4jpUOb6TJ0s
(19分30秒ごろから終わりまで)
河井 ここで、公安調査庁長官にお尋ねします。東京小平市にある朝鮮大学校は、朝鮮総聯の支配下にある学校という認識で間違いないですね。
尾崎公安調査庁長官 お答え申し上げます。朝鮮総聯は、組織運営全般にわたって北朝鮮本国の強い影響下にあり、朝鮮大学校を含む朝鮮人学校での民族教育を通じて、北朝鮮・朝鮮総聯に貢献し得る人材の育成に取り組んでいると承知しております。
河井 おっしゃる通り、北朝鮮は独裁体制を思想面で支える主体(チュチェ)思想の教育が青年たちに施されていると言われております。その朝鮮大学校の創立50周年の記念祝賀宴が数年前東京都内で行われたと聞きましたが、いつどこで何人くらい集まったのか、お答えを下さい。
尾崎 北朝鮮および朝鮮総聯の動向につきましては関心を持って調査を進めておりますけれども、個別具体的な事柄に関しましては、今後の業務遂行を考慮いたしまして、答弁を差し控えたいと思います。
河井 その祝宴に招かれて祝辞を言った日本の国会議員がただひとりいたそうですが、その名前を明らかにしてください。
尾崎 先ほどから申し上げてます通り、具体的な調査につきましては答弁を差し控えたいと思います。
河井 長官、具体的な監視・調査のあり方を詳らかにすることの不利益、私も法務副大臣を務めた経験からもよくわかります。ただこれは、朝鮮総聯の中央機関紙『朝鮮新報』2006年11月15日付の新聞に載っている、ネットにも載っている情報でありますけれども、それでもお答えいただけないんですか。
尾崎 朝鮮新報に御指摘のような報道がなされていることは承知しております。
河井 それでは、その辺のことをもう少し詳しく御答弁いただけませんか。(会場与野党双方から発言多数。「過去のことでしょう」などとも。)
尾崎 これは朝鮮新報紙上に報道されていることでありまして、インターネット上にも公開されていることでございますけれども、国会議員としては平岡秀夫衆議院議員が(会場「えー?」)出席したということが報道されております。(会場「北朝鮮とつながってるのか、平岡は」など)
河井 2006年11月10日、東京新宿の京王プラザホテルで、創立50周年の記念の宴会が開かれ、「平岡秀夫衆院議員(民主党)があいさつした」ということで、今、公安調査庁長官も、引用という形ではありますけれども、確認をしていただきました。
学校所在地の選挙区選出でもない衆議院議員がわざわざお祝いに駆けつける。よほど親密な関係であることが伺えますが、長官、この平岡議員の当日の祝辞の内容については把握をしていらっしゃいますか。
尾崎 先ほどから申し上げております通り、個別具体的な調査の内容につきましては、答弁を差し控えたいと思います。
河井 では、大臣御本人から、当日の祝辞の内容について、お答えをしていただかなくちゃいけませんね。お答え下さい。お願いします。当日どんな御祝辞をおっしゃったんですか。
平岡 お答えいたします。先ほど委員の御指摘の中でですね、選挙区でもない国会議員が、ということでございましたので、私が出席した理由についても併せて御説明したいというふうに思います。朝鮮大学校についてはですね、私の母校、岩国高校でございますけれども、それの大先輩であります末川博先生が長年に亘って支援されてきた学校であると承知しております。
末川先生については皆様も御存知だと思いますけれども、民法の大家であられまして、京都大学法学部教授を滝川事件で辞職したのち、立命館大学総長も務められ、(会場の発言徐々に多くなる)立命館大学学舎には末川先生の「法の理念は正義であり、法の目的は平和である」という言葉が掲示してあります。末川先生が生きておられたならば御出席されたという思いで出席をしたところでございますが、(会場「質問に答えていない」など)その出席の際の挨拶については、当日来賓で出席された埼玉大学の鎌倉名誉教授、そして日本体育大学の正木名誉教授、東京国際大学の下羽教授、(河井「時間稼ぎですよ」)早稲田大学の木名瀬教授が祝辞を述べられたあとに、私がその会場で依頼されて(理事「時間稼ぎです。注意してください」)挨拶をしたわけでございますけども、その中味は、末川先生との思い出話を中心にしたような記憶がございます。
河井 公安調査庁の大きな役割は、言わずと知れた北朝鮮およびその関連団体の様々な動向を調査・監視することだと聞いております。その公安調査庁を所管する法務大臣が、わずか数年前に、監視調査対象の組織の宴会に出かけてお祝いの言葉を言った。
総理、組閣の際に、平岡大臣とこの北朝鮮関連団体との関係情報は、あなたのところに上がっていましたか。お答え下さい。
藤村 組閣の際、私も様々調査を依頼したケースがございますが、今の平岡大臣については、なんら上がっておりませんでした。(会場「嘘つけ」「上がってないわけないだろう」など)
河井 情報が上がっていなかったということですね、官房長官。これはですね、総理、あの、この内閣はね、適材適所だということをあちこちでおっしゃっている。閣僚に疚しい点があるかないか、各方面の情報を集めて調べる、いわゆる身体検査は、その適材適所を選ぶ大前提ではないんでしょうか。閣僚候補の情報を集めないで、一体どうやって、その人がその大臣に向いているか向いていないかを判断できるんですか、総理。
それを怠ったという今の官房長官の答弁は、この内閣は適材適所ではないということを自白したと私たちは考えざるを得ない。総理大臣、もう一度この点に……いや、総理です、総理、総理。総理大臣、この点についての御認識をお聞かせをいただきたい。任命権者としてのお考えをいただきたい。(会場「ネットに載ってる情報だぞ、これは」)
野田 いわゆるですね、組閣をする時に閣僚を判断する時に様々な情報を集めました。俗な言葉で言うと身体検査というのもやっています。ただ、今官房長官がお話になった通り、今の件については詳細な情報が上がってきてそれに基づいて判断したということはございません。ただ、平岡法務大臣については、いわゆる法務行政に精通をしていて、経験も豊富であるということで選んだということが、バックグラウンドとしては一番にあるんです。
河井 もうひとつですね、まあたくさんあるんですよ、平岡さんについては。法務大臣としての質を疑わせる発言が大臣就任会見でありました。死刑の執行について法務省内の勉強会で考えている間は当然判断できない、とあなたは言い切った。当然判断できないとは、一体何事ですか。当然と言うのならば、法律に書いてある通り執行、死刑を執行するのが当然なんですよ、これは。それとも、国民や国会議員が知らないうちに、当該法律の条文が書き換えられていたんでしょうか。法務省刑事局長、刑事訴訟法第475条に、法務大臣は勉強している間は死刑の執行をしなくてもいいとか何とか、書いてあるんですか。(会場笑)答弁してください。
稲田法務省刑事局長 お答え申し上げます。今御指摘の刑事訴訟法第475条第1項は、死刑の執行は法務大臣の命令による、このように定めております。
河井 刑事局長、そもそも死刑を執行するかしないかは、法務大臣の裁量の範囲内なんでしょうか、お答え下さい。
稲田 お答え申し上げます。ただ今申し上げましたように、死刑の執行につきましては、刑事訴訟法の条文上、死刑の執行は法務大臣の命令によると定められているところでございまして、このように死刑の執行命令を発することにつきましては、この刑事訴訟法の定められた法務大臣の権限であり職責であるものと承知しております。
河井 大臣の権限であり職責、つまり義務、責務であると、そういう答弁でありました。ちなみに、平岡大臣は、民主党次の内閣の法務大臣時代、2007年8月23日の朝日新聞夕刊で、死刑など刑罰のあり方についてインタビューを受けて、このようにお答えになっている。「今までは議論を起こそうにも少数派だったが、本格的にこれから問題を提起していきたいと述べた。」
これは、国民の大多数、調査によると81%が死刑制度の存続に賛成をする中で、自らを反対する少数派だと認めたことを意味する。よって、勉強中だとか、江田前大臣のようにずっと悩んでいるとか何とか口実を作っては、確信を持って死刑の執行命令書に署名をしない可能性が高いと私は危惧をいたしております。
法の番人としての責務を就任早々から放棄するような人を、なぜ法務大臣に充てたんですか。再び総理にお尋ねをしたい。平岡さんの死刑に対する持論は、組閣の際に情報として上がっていなかったんでしょうか。イエスならば、総理も同じ死刑廃止の考えの持ち主ということになりますが、お答えを下さい。
野田 就任直後の平岡大臣のご発言を率直に受け止めたいと思います。勉強をしてるところということであると思います。(会場騒然)
河井 総理、その認識はね、その認識は私は間違ってると思いますよ。法律の定めるところにより、粛々と、もちろん慎重にしなきゃいけません、再審請求とか様々な事柄がありますから、それはしなきゃいけない。でも、もうこれは法律で決っていることでありますから、これは勉強して結論が出る話ではないんです。色んな資料はもちろん全部読み込まなきゃいけない。それじゃあ、法務大臣に質問します。今120人の死刑執行待ち、未決の方がいらっしゃる。この120人全ての資料をあなたは丹念に読んだ上で勉強してるんですか。お答え下さい。
平岡 お答えいたします。私がですね、就任当初のインタビューで申し上げたことは、法務省の中に死刑のあり方についての勉強会というのがあって、今勉強をしているということで、それは引き継いでいきたいということで、その勉強会のこれまでの経緯というものを自分なりにおさらいをしてみたいと。で、自分で考えている間は執行ということには考えていないということであって、一律に執行停止するとかですね、いつになったらどうするかということについて申し上げたことではございません。
そういう意味で私の真意と言うものが少し委員のほうに正しく伝わっていないのかも知れないというふうには思います。
委員長 平岡君、平岡君。
平岡 はい。
委員長 あの、質問者は、120人の経歴、事件、読んだのかと聞かれてます。それについて答えてください。
平岡 120人いるということは報告を受けていますけれども、(河井「資料、資料、資料です」)その資料はまだ(河井「裁判資料とか、全て」)その資料はまだ見ておりません。
河井 それを見るのが勉強なんですよ。法務大臣。じゃあ一体何の勉強をしてるんですか。しかもですね、総理ね、この死刑というのは、さっきも言いましたけれども、世論調査を行う度に、制度の賛成する割合が増えてきている。今81.4%と言いました。しかも、今国民が参加する裁判員裁判の制度が始まって、国民に、国民の代表の裁判員さんたちに、死刑の判決を書く可能性を与えてるわけですよ。国民には死刑をするかどうか決めさせて、最高刑で、一方で法務大臣が、最近の民主党政権、みんな逃げまくってる。私はこれはね、国民に対してどう考えても説明することができない。
さっき総理大臣は、勉強するとかね、色んなことをおっしゃったけれども、私はもう一度答弁を言いなおしていただきたい。死刑は法の定めるところにより慎重かつ粛々と執行していきます、それだけ言っていただければいいんですよ。お願いします。
野田 あの、民主党政権になってから死刑執行がないというその指摘は間違っているというふうに思います。ありました。その上で、今平岡さんが待っているその勉強会というのは、いわゆる一般的な勉強じゃなくて、法務省の中において検討会、勉強会、その推移を見守っているということでございますので、そこは是非御理解をいただきたいというふうに思います。
河井 政権交代から2年間で、ふたりに留まっていると、正確にはそのように申し上げます。ただ、それまでの自民党政権時代と比べると、格段に死刑の執行の数が減ってきている。国民は今、むしろ、国内治安の悪化、犯罪の悪化によって、厳罰化を望んできている。犯罪被害者の会の皆さん方も同じような気持ちであります。
ですから、この点については、今総理の答弁で法務省内の勉強会をずっと見守るとおっしゃったけれども、これは千葉景子さんが法務大臣の時に、ですから、前の前の前の前の前の大臣の時に設置された勉強会ですよ。いつまで勉強していたら気が済むんですかっていうことなんですよ。法の定めるところによって、しっかりとやっていただく。
先ほどから総理大臣は保守政治家だ、ちょうど自民党の二日間の質問がちょうど私でおしまいでありますけれども、そのことを一貫して自負の気持ちも込めておっしゃってきたと思いますけれども、国内の治安の秩序、法の番人をしっかりする、これは私はもう当然の責務だと思います。もう一度御答弁下さい。
野田 法の番人としての責務、これをしっかり遂行するということは全く同感であります。
河井 他にも、今日は質問することができませんでしたが、平岡法務大臣にはまだまだお尋ねしたいことがありますし、山岡大臣におかれましても、様々な案件、消費者担当大臣でありながら、消費者の敵マルチ商法との癒着、それから色々と選挙買収の疑惑の案件もございます。質問時間が足りないために、聞きたいことが山ほど残っております。二日間に亘る自民党の質疑を終えるにあたって、もっと議論を深めるために、今国会の会期の大幅な再延長を是非ともこの際求めていきたい。なぜならば、こんな小幅延長ではですね、一般委員会での大臣所信等それへの質疑などが全く行われてないじゃないですか。これでは、開会したという形だけを作った、予算委員会の閉会中審査だ。(会場騒然)さっき民主党議員から「そんなことは一般委員会でやれ」みたいな野次があった。何を言うんですか。一般委員会開かせないのは一体どこの誰ですか。(会場「そうだ」「そうだ」)大幅な会期の再延長を求めると同時に、委員長、昨日判決が出ました小沢一郎元民主党代表の三人の元秘書さんの事件など、政治と金の問題を含む政治倫理全般についての予算委員会での集中審議をこの際是非とも要求したい。
委員長 午前中の理事会でも既に自民党の理事さんから、あるいは公明党の理事さんからも、集中審議については御提議がございます。これからの理事会で協議をいたします。
河井 最後にもう一度お尋ねをします、総理大臣。平岡法務大臣は、適材適所なんでしょうか。今日の質疑・答弁をお聞きになって、率直な感想をお聞かせいただきたい。
野田 適材適所でございます。(拍手)
河井 どこの点をもって適材適所なのか、もう一度お答えをちょうだいしたい。
野田 これからの仕事を通じてそれを証明していただきたいと思います。(拍手)
河井 では、以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。