震災後検察・裁判所が逃げ出していた 平成23年10月27日 参議院法務委員会 森まさこ氏 1 |
動画:http://www.youtube.com/watch?v=qchKW1JZ19A
質問 森まさこ氏(自民党)
答弁 平岡秀夫法務大臣
森 委員長。
委員長 森まさこさん。(拍手)
森 自民党の森まさこでございます。よろしくお願いします。
平岡法務大臣、大臣は民主党政権になって何人目の法務大臣でいらっしゃいますか?
平岡 えー、確か5人目だったというふうに思います。
森 歴代の法務大臣のお名前を挙げていただけますか?
平岡 えー、最初が千葉景子大臣、えー、そのあとが柳田稔大臣、そして、仙石由人大臣、そして、江田五月大臣、そして私ということだと思います。
森 大臣が御就任になったのは、何月何日ですか?
平岡 9月2日でございます。
森 御就任から2ヶ月が過ぎようとしております。私今なぜ冒頭このようなことをお聞きしたかと申しますと、私、千葉景子大臣の頃からずっとこの法務委員会で自民党の筆頭理事をさせていただいておりますけれども、大臣所信のたびにですね、虚しい思いを感じているものですから、質問をさせていただいたということなんですね。
民主党政権になって、えー、2ヶ月ちょっとですか、平岡大臣を入れずにまあ計算しますと、おひとりあたり在任期間が5.8ヶ月、約5.8ヶ月と、まあ、半年にも満たないわけでございます。ですから、大臣所信のたびに、まあ、質問をさせていただいて、法務大臣の、まあ、それなりのお考えというものをいただいているわけでございますが、これがなかなか政策に反映されないうちに、また次の大臣になってしまう。
平岡法務大臣も約6ヶ月の在任期間だと仮定いたしますと、もう既に2ヶ月が過ぎてしまった。やはりもっと早くですね、就任直後に大臣の所信を伺いたかったわけなんです。
今日はですね、私、被災地の福島県でございますので、福島県の原発地域の空き巣被害が大変な問題になっております、このことをこのあと質問させていただくんですけれどもね、平岡大臣の前の江田五月大臣に何回も質問してるんですよ。それがもう被害が増大する一方なんです。しかも、看過できない事態もいわき市で起きております。
ですから私は早く大臣所信をいただきたかったなあと思うんですが、まあ野田総理がですね、任命してすぐに国会を閉じてしまった。それで私たち、平岡大臣に所信を伺って、そしてそこで色んな、大臣ってどういう人なんだ、何を考えて、法務行政をどう進めるんだろう、って質問をする機会もなかったし、前回からの引き継ぎ事項を注文する機会もないうちに2ヶ月が過ぎちゃったんです。
それは、補正予算を組むから忙しいからという理由だったから、震災のための補正予算を組んでいただけるんであれば、やむをえないかなあと思って待っておりましたが、この間出てきた三次補正の中身を見ましたらですね、まあ12兆のうち8兆が震災と言っておきながら、あの、被災地への予算ではない全国防災とか一杯入っておりますしね、この法務の、法務省の予算で言ってもですよ、今から言うこの被災地の治安の問題も入っていないし、福島県民の損害賠償の法テラスの法律事務所の予算も入っていないし、一体何のために2ヶ月間無駄にしたのかなあという、とても残念な気持ちでございます。
大臣、まずこのことについて、大臣のお考えをお聞かせ願えませんか?
平岡 今委員から色んなご指摘がありましたけれども、えー、まずは、えー、法務大臣、私が、ま、5人目ということで、平均すれば6ヶ月に満たないというご指摘、そのことによって、法務行政の、何て言いますか、連続性と言いますか、えー、え、日本全体あるいは被災地におけおる法務行政の展開に、いー、何らかの滞りというものが生じているんではないかという御懸念を持っていること、あるいは第三次補正について十分な法務行政における予算獲得ができていないんではないかという点、えー、しっかりと、そうした御批判も、えー、受け止めながら、えー、先生がご指摘になっているような、あー、様々な点について、精一杯、えー、より、向上された行政が実行できるように、いー、頑張っていかなければならないんだということを感じた次第でございます。
森 大臣が今御決意を述べていただきましたけれども、それではこの被災地のですね、財産的損害、特に犯罪によるですよ、空き巣、窃盗、そういったものについてですね、私、江田大臣に、震災直後の一番最初に開かれたこの法務委員会、3月24日にまず質問をいたしました。その後も何回か質問を致しておりますけれども、平岡大臣はその点について江田大臣からどのような引継ぎを受けていらっしゃいますか?
平岡 江田大臣からそのことについて直接具体的なお話は聞いておりませんけれども、ただ、被災地の問題、そして、原発事故による被害の問題、そうしたことの中に、法務行政としてしっかりと取り組んでいかなければならないということについては、お話は伺っております。
森 今引継ぎがされてないということで愕然といたしました。私が江田大臣に質問した議事録に目を通していただいたことはありますか?
平岡 えー、全てかどうかって言うのはちょっと自信がありませんけれども、森委員と江田大臣の委員会におけるやり取りについてはある程度は見させていただいております。
森 その点が大臣所信表明の中に入っておりませんでしたけれども、議事録を見たということであればこの場で御説明いただきたいと思いますが、震災直後に、この法務省管轄のですね、検察がどのような行動を取ったか述べてください。
平岡 多分森委員ご指摘の点はですね、えー、検察庁のいわき支部が震災直後に、これはまあ色んな事情があったと思いますけども、ま、裁判所が移動するに伴って、活動拠点を移動、郡山のほうに移動させたと。その後また、えー、2週間弱ぐらい経ってでしょうか、戻ってきて活動したというようなことがあったと。えー、その中にはですね、えー、拘留されていた被疑者について、これを釈放したというような、あー、事実も伴っていたというようなことについて、委員のほうから色々なご指摘があり、それに対して、江田大臣のほうからも、おー、ある意味では、あー、行き届かなかったところについての、おー、まあ、反省すべき、検察としても反省すべき点についても言及をされているというふうに承知をしております。
森 今のことをまあ私から詳しく説明申し上げますと、震災後ですね、いわき市の、えー、いわき、福島地検いわき支部、それから、地裁もですね、いわき支部もですね、えー、ちょっと時を異にしておりますが、15日、16日にですね、次々と庁舎を閉めて、16日には郡山のほうに移動してしまったということがあったんです。
そして、それに先立ち、地検ではですね、拘留をしてた被疑者を全員釈放する、処分しないで釈放すると言うことがあり、その中には、女性の家に押し入って手錠をはめて性的犯罪を犯すという、そういう容疑者もおりましたし、釈放されたうちの被疑者がまた再犯を起こしたということも起こりました。
あの当時、いわき市は避難地域でありませんでした。30キロまでが屋内退避です。一部30キロに入っておりますが、警戒区域ではありませんから、いわき市の北部の少しだけが屋内退避、それ以外全ていわき市はですね、何の避難区域にも、政府の言う避難区域に入ってないんですよ。そこにいなさいという指示です。
ガソリンも何もなくて、自分で避難したいと思う人さえ避難できなかった。今、お昼休みにですね、福島県の方々、双葉郡、いわき市の方に会って来ましたけれど、その当時の状況を話すと今でももう泣いてしまって、地獄のようだった。その中にですね、大変な犯罪が多数起きているんですよ。
私が3月24日に質問した時には、警察庁は、特にそんな犯罪は増加しておりませんし、ちゃんと警戒してますというような答弁でしたけれども、今になって、10月16日の朝日新聞に書いてありますけれども、9月末までの住宅の被害は前年同期の30倍近くに達していて、50件に1件が被害に遭った。被害者からは、これは、避難せよということが原因なんだからということで東電に賠償を求めておりますが、東電は悪いのは泥棒だとして一切の賠償に応じてないんですよ。
これは財産犯罪だけの話ですけどね、先ほどのような性犯罪も起きて、避難所に婦人警官が私服で泊り込むということもありました。
その中でですよ、国民に対して避難指示が出ていないのに、国の機関がですね、先に避難したっていうのは、どういうことなんですか? 大臣、お答え下さい。
平岡 今委員がですね、縷々お話になったのは、特にあの、原発事故の関連でお話になったというふうに存じ上げますけれども、先ほど、福島地検いわき支部の、その移転の状況というのはですね、えー、この支部管内において、死者・行方不明者が多数に上り、建物等にも甚大な被害が及ぶとともに、水道などのライフラインも途絶えた状況にあって、さらに余震も相次ぐという状況の中にあってですね、えー、このいわき市内の支部庁舎に関係者を呼び出して取調べを行うことが事実上困難になるというようなことで、いわき市内の庁舎での執務遂行が大きな支障が生じるようになったということが、まあ大きな避難の原因であったというふうに思います。
そのような状況の中で、ま、福島地裁のほうから地裁のいわき支部の執務場所を変更したい旨の申し出を受け、ま、許容したようなわけでございますけども、地裁いわき支部の執務場所の変更に併せて、地検のいわき支部の執務場所を一時的に変更したというふうに報告を受けているところでございます。
なお、後段のほうで、色々な盗難の被害、あるいは性犯罪を警戒するための趣旨の活動という問題についても、お触れになりましたけれども、まあこうした、ええ、問題、我々としてもですね、あってはならないことだと、ま、いうふうに思います。
これは法務省の行政だけでできる話ではございませんで、関係当局ともですね、協力をしながら、こうした問題についても適切に対応してまいるように努力してまいりたいというふうに思います。
森 あのですね、大臣が述べた理由は、江田大臣が述べた理由と全く同じです。ま、官僚が書いた紙だと思いますけどね、余震が多くて断水だったのは住民も同じなんですよ。住民はみんなそこにいるんですよ。そして警察は働いてたんですよ。警察はもう、次々に来る犯罪に対応してたんですよ。私もこの委員会で言ったけど、またこうやって何回も言うのは大臣が代わるから何回も言わなきゃなんないのが悔しいですけどもね。
私が被災地を回っている時にも、その辺で一杯泥棒がうろうろしてるんですよ、人がいないところに空き家に入って。何か色々持って出てくるとか、私はすぐ通報したけれども、もう警察もいっぱいで、検察も裁判所もいない。これはですね、逮捕状を取ろうと思っても、裁判…(続く)