簡単な書類2枚で大臣秘書官になれる 平成23年10月27日 参議院法務委員会 森まさこ氏 3 |
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森 (承前)不可解なのは、初めて採用した秘書さんを次の日に大臣秘書官にしているということなんですね。そしてその方がですね、過去に詐欺をした方だということなんです。この方がMさんというんですけれどね。でも、Mさんっていう名前も、名前変えてるんですよね。前はKさんです。MさんはKさんという苗字の時に、2005年長崎市島原市で児童養護施設太陽寮を巡る補助金の不正受給事件で、42歳で逮捕・起訴され、懲役1年6月、執行猶予3年の判決を受けてるんですね。
そしてこの事件の内容は、太陽寮の施設長だったMさんが、知人の元高校教諭を家庭支援専門相談員として勤務しているように装い、県に虚偽の申請をして、2004年度分の補助金約582万円を受け取ったというもの。判決の中で、裁判官は、児童養護施設に対する社会の信頼が低下した、書類上の体裁を整え、元教諭らと口裏合わせをして発覚を防ごうとしており、悪質、というふうに指摘をしております。
そのようなですね、公金を詐取するということをした人物なんです。その人物が大臣のところに採用されて、その次の日に大臣秘書官になってしまい、法務大臣大臣室という政権の重要な場所に易々と入ってしまったということですね。
これは大変な問題だと思うんですよ。私も調べてみましたらですね、大臣の秘書官になるのにですね、必要な手続きって言うのがものすごく簡単なんですよ。これ、公設秘書になる時より簡単なんです。だけど、その重要性といったら、やはり、秘書官のほうがずっと責任が重いですよね。秘書官というのは特別職の国家公務員、年収はざっともう1千万以上で、大臣室に行く手前に秘書官室があって、そこを通らなければ大臣室に入れない。大臣に集まる情報もここにはいる。そして、秘書官はいつも大臣と行動を共にしてますから、官邸に入ったり、海外の要人と会ったり、陳情のアポを取ったり、本当にいつも国家機密に触れている、そういう職業です。
他の秘書官と違って、大臣が連れてくるときにはですね、本当に2枚ぐらい書類出すだけ。なぜこんなに簡単になっているかといったら、それは、大臣が任命するからなんです。大臣がきちんと身体検査をして、大事な役目の秘書官ですからね、何年も一緒に自分と一緒に仕事をした秘書官を、あ、秘書をね、公設秘書をね、何年も一緒に国会議員として秘書として使った方が、秘書官になることあります。だけど、前の日に雇って、次の日に秘書官になるっていうこと、これは危機管理としてね、どうだったのかと、私はね、大変な疑問を持っているんですよ。
大臣、大臣はこのMさんにね、過去に犯歴があるかどうかということをお尋ねになったんですか、採用の際に。
平岡 えー、犯歴があったかを尋ねたかと言われれば、尋ねておりません。
森 ま、この永田町からも情報がね、あの、いろんな面で流れたという事件がありましたけど、やはり、情報を取りに来る悪い人たちがたくさんいるわけですよね。やはりこの安全保障、それから先ほど言ったような治安維持、それを束ねる法務省なんですから、大臣、やはりこれは、大臣の採用の仕方もですね、甘かったと言われても仕方ないことなんじゃないでしょうか。どうですか、大臣?
平岡 えー、確かに私との付き合いは極めて短い状況の中で、えー、大臣秘書官に任命をしたということについて、えー、私もまあ反省しなければならないと思いますけれども、まあ、そこに至るまでの経緯というのが色々ありましてですね、公設秘書を探している中で彼と面談をさせてもらいました。えー、その中で、彼の人となり、あるいはこれまでの仕事の実績、そういうものも聞いてまいりました。
えー、その中にはですね、自民党の参議院議員の方の公設秘書も勤めておられ、そして政策秘書資格を取得する試験の推薦委員に、やはり自民党の参議院の、これは私も大変尊敬しておられる(ママ)自民党の大政治家の方が推薦をされておられるというような事実を私も聞きまして、ま、あー、あえて私が、えー、犯歴を聞くようなそういうような人物であるとは、全く認識をしなかったということでございます。
えー、短期間の間に決めざるを得なかったのは、やはりこの東京というところで、えー、私の政策秘書が、まあ、これまで勤めてくれた政策秘書が、えー、独立をしたいということで、辞める2ヶ月ぐらい前から次の公設秘書、特に政策秘書を、えー、探すようにしてほしいという話があってから、ずっと色んな方と会いながら、えー、探してきた結果として、この方を私は採用させていただいたということでございます。
森 唖然と致しました。大臣、今長々お述べになったことは、何の言い訳にもなりませんよ。公設秘書を雇うのとは訳が違うということは、今私が申し上げたばかりじゃないですか。自民党の議員の政策秘書であった。これ、辞めるのに、辞めたんです、問題があるから辞めたんじゃないんですか? 自民党の議員の秘書だったらいいんですか? そういう安易な考えで大臣秘書官にしちゃったんですか? 私はその理由をですね、それが納得できるものだと思って、この国民がみんな注目している国会の中でお述べになるその態度にびっくり致しましたよ。
それはやはりですね、あの、申し訳なかった、本当に監督不行き届きでしたって言うならともかく、何か自分のほうに理があってですね、自民党の秘書だったってことが理であるとかね、何か前の人が辞めるから急いで探したって言うのが理があるみたいなことを言ってね、その前に、国家の、国民の、先ほどのような、命と安全を預かっている、そういう国家機密の中枢にいるんだって言う、そういう仕事を受け取って持っているんだって言う自覚が、まるで感じられないですよ。
私はまさか今日こんな答弁をされると思ってませんでしたからね、私はその秘書さんのことをね、あの、どうしたんですか、処分したんですかと、そういう質問しようと思ってたんですけど、今、あまりにもね、そんな理由をお述べになるから、ちょっとまあ私怒ってしまいましたけれども、ここにね、その秘書さんのね、給与明細がありますよ。これ、給与、いくらいただいたんですか? その方は、お辞めになるまでの間に?
平岡 今の御質問は公設秘書とそれから大臣秘書官を併せてということでしょうか?
森 そうです。
平岡 公設秘書としての給与支払いは、えー、9月分が約52万円、えー、大臣秘書官としての給与の支払いは、えー、現金支給額で言いますと、約91万円というふうになっております。
森 私の手元にあるこの給与明細ですとね、えー、9月が重なってまして、約100万円。だけど、このことが発覚してからですね、えー、すぐ辞めてないんです。10月分の給与がもらえる日付までずううっといるんですね、約1ヶ月。で、10月分ももらって全部で150万近く給与もらってるんですけど、なぜこれすぐ辞めなかったんですか?
平岡 え、失礼致しました。先ほどの支払額はそうでありますけれども、大臣秘書官についてはですね、えー、これは先ほど申し上げましたように、ま、日割りになっておりますので、10月の20日から10月の31日分については戻入手続きがされるというふうに聞いております。
えー、辞める時期の問題でございますけれども、えー、この問題が、えー、発覚したと言いますか、雑誌社の取材でこういう事実関係があるということがわかったのが、確か9月の中旬から下旬ごろにかけてであったと思いますけれども、私としても、事実関係を、えー、はっきりとさせなければならないということで、調査をする必要があったということでございますが、私自身はですね、それまでの間彼がよく仕事をしてくれていましたので、個人的な信頼関係はあったというふうに思います。
しかしながら、大臣秘書官という立場の仕事の問題については、将来のこと、というか、これからどういうふうな彼に対する処分をするか、あるいはどういうようなけじめをつけるかという問題の中でですね、えー、節度を持ってやってきたつもりでございます。
森 その方がね、あの、大臣秘書官になって、えー、問題があったかどうか、それは私もわかりませんし、今の時点でわからないと思いますけれども、少なくともこれが雑誌にね、掲載されたことで発覚をしてから、通常であればすぐ辞めていただくと言うと思いますが、1ヶ月もね、調査に必要って、本人に聞けば、その過去やったこともわかるし、2ヶ月給与をもらったこともわかるし、これはやはり普通は辞めていただくというのが一般常識だと思うんですけれどね。
しかもですね、雑誌の書きぶりによれば、雑誌記者が本人に突撃インタビューしたら、本人はもう、大臣から辞めてくれと言われたことは全くないということで、話し合いの末、自分から辞めましたというようなことを言ってるんですね。
大臣は、この方に、この事実が発覚した時にね、何で君これこういうこと言ってくれなかったんだ、大問題だよこれ、大臣秘書官って言うのは特別なんだから、ということで、辞めていただけないかということはおっしゃらなかったんですか?
平岡 私としてはですね、やはり既に執行猶予の期間が終わってですね、まあ、刑の言い渡しの効力が失われているという状況の中で、本人が更生を果たしていきたいという、そういう思いも考えながらですね、えー、どういう事実関係でこういう問題が起こったのかということについて私なりに把握をしたかったという関係がございます。それから、もうひとつは、先ほど、秘書の採用にあたって、公設秘書資格を取るための、えー、試験を受けているということであるということを申し上げました状況があるということを申し上げましたけれども、その発表日というのが10月の24日という状況の中で、ま、そちらのほうの手続きも進んでおりましたのでですね、そちらのほうの関係というものも、えー、私なりに彼の社会復帰というようなものも考えながら、これまでの彼との関係で、色々とどうするかということについて、えー、彼と話し合いながら来てたということでございます。
森 全く納得ができない答弁ですけど、大臣、あの、答弁は簡潔にお願いいたします。
次にですね、この秘書さん、名前をね、変えていたということですけれども、これは、あの、おそらく婚姻によって妻のほうの名前に変ったんではないかと、あの、思いますけれどね、そうでなくてね、婚姻外、婚姻でない理由によって戸籍を変更する場合についてお伺いしますけれども、法務省、この婚姻外の戸籍名の変更について、戸籍法上の規定を教えてください。
原民事局長 お答えいたします。戸籍法上、氏を変更することができる場合の規定がございまして、具体的には戸籍法の第107条でございますが、やむをえない事由があるということで家庭裁判所が許可をした場合には戸籍上の氏を変更することができるということになっております。
森 やむをえない事由っていうのは、具体的にどういう場合ですか?
原 これは個々の具体的事案ごとに家庭裁判所が判断されることですので、私のほうからあまり具体的なことは申し上げられませんが、過去の審判例などを御紹介いたしますと、たとえばその氏が難読であるために実生活において必要がある場合、このような場合にはやむをえない事由にあたるという審判例がございます。それから、もうひとつ例を挙げますと、戸籍上の氏と異なる通称を長年にわたって使用してきたと、そういう場合にもやはりやむをえない事由に当たるという審判例がございます。
森 えー、義理の父親のペンネームに変えるという例がありますか?
原 えー、具……(続く)