防潮堤の整備 復興・防災・一般予算の混在 11月8日 衆議院予算委員会 茂木敏充氏 4 |
動画:http://www.youtube.com/watch?v=KG7K2i92KYc
(承前)
会場 「役所」「何やってんだ」「ちゃんと答弁しろ」など
委員長 昨日答弁してたように思うんですが。はい、それじゃ、ちょっといいですか。次。茂木君。
茂木 それじゃあですね、質問の順番を変えてもう一点。当たり前のこと聞かさせてもらいます。これはお答えいただけると思うんですけれど、今回の三次補正で整備をされます防潮堤、当然今回の東日本大震災クラスの津波に耐えられる構造、高さになってますね。
前田国土交通大臣 これはですね、必ずしも今回の津波の高さ、それに耐えられるということにはなっておりません。考え方として、多重防御という考え方になっておりまして、これもまあ有識者委員会と検討していただいた結果ですね、ま、おおよそ100年に1回程度の津波に耐えられるような防潮堤を作ると同時に、まあ、要するにソフトと言いますかね、警戒、予知警戒、そういったシステムをしっかり作り上げて、そして地域の方々にも、その津波に対する防災意識というものを持っていただいて、そしてその二重防御、多重防御で防いでいくというのが考え方です。要するに、災害に上限はなし、命第一という、そういう基本的な考え方に沿って対応をしていくという考え方であります。
茂木 まず、先ほどの質問はお答えいただいてませんから、事務方のほうで準備を是非進めてください。その上で、今のお答え、結局今回の津波に耐えられない、そんな防潮堤を作る、こんなことでいいんでしょうか? 何のために作るんだ。それから多重防御。多重防御っていうお話をされました。本当にそれが被災地の御要望なんでしょうか? たとえば今回被害の激しかった陸前高田市、防潮堤の整備状況、どのようになってますか?
委員長 前田国交大臣。まず最初に先ほどの質問に答えてください。はい。まだですか、資料?
前田 今委員ご指摘のことについては、陸前高田市において不安があるということも承知はしております。そしてこの、比較的発生頻度の高い津波に対しては、農水省、そして国土交通省で設置した「海岸における津波対策検討委員会」というところで議論を重ねてきた結果、先ほど御説明したようなことになっておりまして、その頻度としてはですね、100年に一度前後の、そういった津波には耐えうるような高さということになっております。従って、今まであった津波というよりはかなり高くはなるわけなんですが、ただ、その全て今、今回生じたようなああいう巨大津波に対しても全て対応できるという考え方にはなっていないんですね。というのは、それを超えることもあり得るかもわからない。ということで、多重防御という考え方を有識者の方々が提示していただいて、その考え方の下に今やっているところでいるわけでございます。
茂木 大臣、別にですね、私、バベルの塔作れとか、そんな話をしてるんじゃないんですよ。被災地の要望をきちんと聞いた上で対応してますか。陸前高田のお話をしました。市役所に私、問い合わせをさせていただきました。どういうやりとりだったかと。陸前高田市の方からですね、今回の経験も踏まえて、15メートルの防潮堤、これが欲しいという話でありましたが、国からは、そこまでできない、12.5メートルと、こういうふうに言われたため、仕方なく12.5メートルに合わせた町作りを考える。それで、多重防御と言いますか、幹線道路を高くする、こういった方策も採っていて、国との間で協議を継続中、まあこういうことでありまして、調査費がつくにしても、いつできるか全くわからない、こういうことであります。
もっと被災地の生の声をよく聞いていただきたいと思います。まだまだ不安な毎日が続いているんですよ、国交大臣。大臣が今答弁をされました、「ソフト・ハードを組み合わせた」では、多重防御、機能し始めるのは何年目からですか?
前田 まずは2年間のうちに概ね第一次の対応をし、さらにその先、まあ5年ぐらいの間には防潮堤の整備と言うふうに、これは、陸前高田のことについて今具体的に処置しているわけではありませんが、そういうような方針を持っております。
茂木 今大臣が答弁された2年というのは、調査をして用地買収あたりの話で、実際に出来上がるのは最後に答弁のあった5年、5年かかっちゃうと。あまりにも遅いと思うんですよ。
総理、総理は安全運転でも、その間被災地が危険にさらされてるんですよ。もっとスピード上げたらいかがですか?
委員長 平野防災担当大臣。(茂木「総理に聞いてるんだから、スピード上げるかどうかだよ」)
平野防災担当大臣 今復興計画等々の担当をしておりますので、その観点からお話させていただきますけども、先ほど国交大臣が5年と申し上げたのは防潮堤全体の整備についての5年ということでありまして、特に整備を急ぐというふうについては、私どもは今のところ3年程度の観点で考えているということであります。ただ、その計画を作る段階で、先ほど委員から色々、様々なご指摘ございますけども、国側が考えるもの、県が考えるもの、地元が考えるもの、様々な、要するに見解の相違があります。そういったものについては、何回も何回も話をしながらひとつの計画を作っているというのが今の段階であります。
それから、堤防の高さにつきましては、高ければいいという意見と、高くしたからと言ってそれで安全ではないという意見、それから、堤防を高くしますと、海が見えなくなる、もっと低くしろという意見、様々な意見があります。そういう意見の中を、こう色々調整しながら今やっているという段階でありまして、この計画が決りましたら、予算は今回の三次予算でも相当予算をつけております。考えなど、設計の基本的な考え方も決っております。あとはこの実施体制を強化してやっていくという形になっていくのではないかというふうに思っております。(拍手)
茂木 今回の三次補正、今指摘しましたように、たとえばホームページの問題もそうです。携帯電話の問題もそうです。予算の過大計上の問題、それからまだお答えいただいておりませんけれど、津波防潮堤のように予算が全体のアレでも少なすぎると、こういう過少形状の問題に加えまして、もうひとつ、復興対策も含めて、復興事業とその他の事業、これが明確な区分なく混在をしている。こういったもうひとつの大きな問題点があると考えております。
そこで、全国防災に関して図の6をご覧いただきたいと思います。
この図は国土交通省の関連で三次補正と来年度の予算概算要求のうち、復旧・復興と全国防災関係の予算を抜き出したものであります。右側の来年度の予算に関しては、一般会計予算の震災関連以外のものと東日本大震災からの復興対策に係るものと、一番右側です、それに分かれております。
まず左側の三次補正、この中身を見てみると、全国防災のインフラ整備、ラインが引いてあるところであります、そして河川管理施設の機能確保、それから、海岸保全施設の整備というものが入っておりますが、来年度の震災関連以外の予算でも、真ん中の欄でありますけれど、災害に強い社会資本整備として、河川管理施設の更新・補修、海岸保全施設の整備、同じような項目が入っているわけであります。
また、補正の津波地震等の観測・監視体制の整備も、本予算で、災害への対応力強化、下の方でありますが、としてですね、観測衛星の整備予算が計上されています。さらに、官庁施設の防災対策、これも両方に入ってるんですね。
その上、一番右側の来年度予算の別枠のこの復旧・復興対策にも、全国防災、治水、海岸、官庁営繕、こういう項目が並んでいるわけであります。
図の両側、左側と右側の震災関連事業は復興債でおやりになるんだと思います。そして真ん中の一般会計は当然建設公債の対応事業と、こういうことになってくると思います。
一体、事業の内容にどんな違いがあるんですか? 明確にお答え下さい。
委員長 これは誰ですか。はい、安住財務大臣。
安住 三次補正でも台風被害等々あって、全国防災について必要なものがあれば計上しようということでやりました。ですから、政調会長お話のように、確かに建設国債の本来充当することを以ってやるというふうな、まあいわば区分ができるものとして、機械的に分けるとですね、今回の予算の中にも約4兆円程度入っているってことは私も答弁しておりますが、やはり緊急を要するものであれば、この津波災害、東日本災害、またそれに付随する復旧事業については三次補正に盛り込ませていただいたということでございます。
ですから、建設国債で一般会計予算でやるものと似たようなものがあるということは、これは多少否定できないものはあると思います。
茂木 正直にお答えになってるんですよ。同じなんですよ、基本的には。
ところが、今度は来年度予算の概算要求を見ていただきますと、震災以外の部分と、今度は全国防災、これが一番右側にも入ってくるんですよ。その区分はどうなってるんですか? 同じじゃないですか? どう区分してるんですか? お答え下さい。
安住 いや、建設国債でやるものと、一般会計の中で、その事業としてやるということについては、それぞれの各省から上がってきたものについてやるということになっています。確かにですね、ですから今回やる全国防災というのは、その中でもピックアップをして、まあ非常に緊急性を要するものというものを取り上げて今回この予算に盛り込んだという風に御理解いただければと思います。
茂木 緊急性を要すると、ま、言葉だけで、その点はまた改めてお聞きしますが、少なくとも、この一般会計の中での区分、これは極めていい加減なんです。このことは国民の皆さんも、項目が一緒なんですから、よくおわかりいただけたんじゃないかなと思います。
結局、一般会計の中できちんとした区分管理をするのが私は無理なんだと、こんなふうに思っております。
こうした復興事業等その他の事業の混在、さらに言いますと、復興便乗予算、こういったものを避けるためにも、図7をご覧下さい。図7にあるように、復興特別会計を創設して復興関連予算と一般会計を明確に私は区分管理すべきだと、こんなふうに思っております。
かつて、塩川正十郎財務大臣、母屋、つまり一般会計はおかゆをすすってるのに、離れ、特別会計の方ではすき焼きを食べてる、こういう言葉が有名になりました。今回状況が違うんだと思います。母屋、一般会計の方は、外交安保から社会保障、公共事業まで、色んな同居人がいると。それに対して、離れ、特別会計で復興対策に限って、つまり親族だけにきちんとした対応をしていく、こういう形が私は適切なんだと思っております。
この特別会計の創設につきましては、自民・公明そして民主の三党協議でも大枠合意している項目でありますが、総理、改めて伺います。復興特別会計を創設して、この三次補正で発行する復興債分、これ、債務行為として残ります。これも国債費として組み入れると、こういう方針でいかがですか?
野田 復興基本法、そして復興の基本方針において、所謂復興債と一般の公債については、これ、区分管理をしていくと、そしてその資金の透明化を図るということは、これは大事な基本方針として確認をされていると思います。その方法として、実現をする方法として、今茂木さんのおっしゃった特別会計を新たに設置するというのは有力な方法だというふうに思います。今与野党で政調会長レベルの協議もいただいていると思いますけれども、平成24年度からこうした形の特別会計を導入し、もちろん23年度分も後から対応するというようなやり方はひとつのアイデアだと思いますので、その協議を注視をしていきたいと思いますし、決ったらそういう対応をしていきたいというふうに思います。