11月28日 参議院憲法審査会 4 各委員自由発言 みんな・共産・たち日 |
動画:http://www.youtube.com/watch?v=9J_ImvgQoag(2分22秒ごろから終わりまで)
http://www.youtube.com/watch?v=Jrb8FnDk51E(冒頭から2分59秒ごろまで)
みんなの党 江口克彦氏
会長 次に、江口克彦君。
江口 みんなの党の江口克彦でございます。
関谷先生、先生の憲法、憲法改正手続法の成立に向けて熱い思いを語っていただきまして大変感銘を受けました。ありがとうございました。
初めに、憲法審査会が平成十九年八月に設置されて四年以上にわたり活動することができないと、できずと。憲法という国の根本法の議論を行うことができなかったのは、私は政治の怠慢である、また、十分な反省が必要ではないかというふうなことをまず申し上げておきたいと思います。
もちろん、憲法改正には反対意見があることは承知しておりますけれども、憲法審査会の土俵の上でしっかりとした議論を行い、憲法についての結論を出していくことが肝要であり、これこそが政治の責任であるというふうに私は考えます。
参議院憲法審査会として、国民の負託にこたえ十分に責任を果たしていくことは当然ですが、そもそも我々憲法審査会の委員一人一人が憲法改正の議論に責任を有していることを自覚し、憲法審査会に臨まなければならないと思います。
日本国憲法がアメリカの占領軍による日本弱体化という恣意的意図で作成されたものであることは明らかであり、憲法の具体的な規定の是非以前の問題として、まずこの制定過程自体をもって改正の必要があるということを私は指摘したいと思います。
また、憲法の規定内容についても、憲法施行から六十年以上経過し、この間の国際社会の激変や我が国の政治、経済、社会情勢の変化を踏まえれば、道州制の導入、首相公選制の導入、あるいはまた環境、プライバシー等、新たな視点から憲法を考えていくことが必要ではないでしょうか。
そして、絶えざる自己改革のために憲法改正を行うという観点からは、まず憲法第九十六条を改正し、憲法改正の要件に柔軟性を持たせなければならないというふうに考えます。
憲法審査会においては、憲法調査会で行われてきた議論や憲法の運用状況も踏まえて国の在り方について真摯な議論を行い、幅広いコンセンサスを得るということが必要ではないか。同時に、国民とともに議論を進めることが極めて重要であります。
憲法改正には国民投票の過半数の賛成が必要であり、我々の議論は主権者たる国民に向けられたものでなければならない。憲法は全ての国民のためにあるものであり、国民とともに議論を行うことで国民が憲法そのもの、そして憲法と社会状況の現実等について認識を深め、永田町の議論を超えた全国民的な憲法改正の議論が展開すべきだというふうに思います。
また、スケジュールを明確にすることも必要ではないかというふうに指摘をしておきたいと思います。拙速は避けて十分な議論を行うべきであることは言うまでもありませんが、いつまでも議論ばかりでは政治の責任は果たせません。ある程度の期限をもって成果を上げるべく議論を進めていくことが必要であり、例えば憲法改正手続法の諸課題への対応を二年で成し遂げる必要があると考えます。その上で、憲法をテーマごとに見直し、追加検討を行うことが必要であり、憲法審査会においては、三年から五年に一度、定期的にその検討を行い、我が国のオペレーションシステムを時代に合ったものにしていく使命があるのではないか、その使命を果たすべきだというふうに考えております。
以上です。
日本共産党 井上哲士氏
会長 次に、井上哲士君。
井上 本共産党の井上哲士です。
我が党は、国民は憲法改正を求めておらず、憲法審査会を動かす必要は全くないことを幹事懇談会の場でも表明をしてきました。この審査会は憲法改正手続法に基づくものですが、この法律は憲法に改正規定がありながら手続法がないのは立法不作為だなどとして作られたものであります。しかし、手続法がないことで国民の権利が侵害された事実もなく、立法不作為論は全く成り立たないものでありました。そして、この手続法が強行されてからこの四年余りも憲法審査会を始動してこなかったことで国民が不利益を被った事実もありません。今この審査会を動かす理由はありません。
振り返りますと、今日の憲法をめぐる動きは、九条の改憲を目指す勢力が二〇〇〇年に国会に憲法調査会を設置したことに始まりました。改憲を目指す勢力は調査会を足掛かりとして国民の中に改憲の機運を盛り上げようとしました。しかし、国民世論は九条改悪反対が多数であり、九条を変えるべきであるとする意見は一貫して少数でありました。
続いて、二〇〇五年に憲法調査特別委員会が設置され、自民、公明、民主の各党で憲法改正手続法作りが進められました。元々、立法不作為などは成り立たないものだった上、慎重審議を求める国民多数の声を無視して衆議院では自公両党による強行採決が行われ、参議院では最低投票率の問題を始め十八項目もの附帯決議が付けられました。このことは、いかにこの手続法が多くの問題点を残したまま強行されたかを示しております。そして、手続法を強行し改憲を選挙の公約に掲げた安倍政権は、その夏の参議院選挙で国民からノーの審判を突き付けられて、退陣を余儀なくされました。
選挙後に憲法審査会の設置を規定した改正国会法が施行されましたが、審査会規程を制定できず、審査会は始動することができませんでした。すると、麻生政権末期の二〇〇九年六月に、自公両党が再び強行採決によって衆議院で憲法審査会規程を制定をいたしました。このように、審査会は強行に強行を重ねてつくり上げられたものであります。
民主党は公正中立な改憲手続法の制定を掲げていましたが、自公両党のこうしたやり方に強く抗議して手続法に反対し、衆議院での憲法審査会の規程にも反対し、安倍元首相らに自己批判と謝罪まで求めてきました。その後、二〇〇九年九月の総選挙で国民の生活が第一を公約に掲げて政権交代を果たした民主党政権の下で、憲法審査会は始動させてきませんでした。ところが、民主党政権が普天間問題や消費税など公約違反への批判の中で昨年の参議院選挙で過半数を割り、いわゆるねじれ国会となりました。その下で、国会対策上の理由から、衆議院では反対した憲法審査会規程と同じ内容の規程を参議院では与党だからといって民主党が提案をし、さらに野田政権になって憲法審査会委員の選任を強行した、これが経過であります。
民主党が改憲手続や衆議院での憲法審査会規程の制定に際しての主張を顧みることなく、憲法の問題を国会対策の手段として軽々しく扱うことは、国民の厳しい批判を免れないでしょう。また、自民党からは、非常事態条項が憲法に必要だとして、その必要性を国民に理解してもらうにはまず国会の中で十分な議論をしていく必要があるという主張があります。
国民が具体的に改憲を必要とした場合の手続の場として設けられた審査会を改憲機運を盛り上げる場に利用するということは、制定当時の提案者の発言にも反するものであり、認めることはできません。
震災からの復興の課題と本審査会の審議についての言及もありました。
今、被災地から聞こえてくるのは、憲法に定められた生存権を始めとして、憲法が震災復興に生かされていないという悲鳴の声であります。逆に、憲法に規定がないにもかかわらず、日本では個人の財産形成に税金をつぎ込むことができないと、こういう主張が復興の妨げになっております。
今、国会がなすべきことは、総力を挙げて憲法を生かした被災地の復興に全力を挙げることでありまして、本審査会を今後も動かすべきではないと、そのことを強く主張して意見表明を終わります。
たちあがれ日本 藤井孝男氏
会長 次に、藤井孝男君。
藤井 たちあがれ日本の藤井孝男でございます。
関谷勝嗣先生、本当に今日はありがとうございました。貴重な御意見を賜りまして、本当に参考にさせていただきたいと思います。
関谷先生とは、もう長い間国政でお互いに、御指導をいただいたり、また論議を交わした間柄でありますけれども、私自身、恥ずかしながら憲法調査会には在籍しておりませんでしたので、今般、憲法審査会で初めてたちあがれ日本という新しい政党から参画をさせていただいておりますので、今後ともよろしくお願いをいたしたいと存じます。
そこで、我が党は、昨年四月結党した新しい党でありますけれども、綱領、七項目あるわけですが、その第一番目に、自主憲法制定をまず第一番目に掲げております。「わが党は、誇りある日本の文化と伝統、豊かな自然に育まれた国土と環境、国民の生命・財産を守り、国際社会の一員としての責任を果たすため、自主憲法制定を目指す。」と、こういう綱領でございます。
したがいまして、これからの審査会でも、我が党もいろいろ意見を述べていきたいと思いますが、今日は限られた時間でありますので、五項目について、項目だけになると思いますけれども、意見を申し述べたいと存じます。
先ほど経過報告が事務局長からなされましたけれども、特に、合意したもの、あるいは大筋合意したもの、あるいは意見が分かれたものという中で、これから言う私の五つのうち四つは意見が合わなかったものでございますので、なかなか難しい点があると思いますが、その点について申し上げたいと思います。
まず初めに、第一項目は、国家の緊急事態について。これは関谷先生からも、是非必要である、真剣に考えてくれ、早急に対応してくれという趣旨のお話がありました。
皆さん方御承知のとおり、東日本大震災などに代表されるように、我が国は大規模自然災害が多発する国であることはもう御承知のとおりであります。そして、大規模の自然災害だけではありませんけれども、例えば外国からいろいろテロの攻撃等々、国家の緊急事態に際しては救援活動などのために国民の基本的な人権を、これは守らなければいけないということは当然でありますけれども、こういう緊急事態の場合は制限することも必要になってくる。ところが、こうしたときに、憲法には国家緊急事態についての規定が存在していないという現実があります。
よって、基本的人権をある程度制限せざるを得ない、そういう必要となってくることも想定しながら、国家緊急事態については憲法にきちんと規定を設けていくことが必要だと考えております。
二点目につきましては、これも昨年、たしか九月、中国の漁船によって領海侵犯がもちろん行われ、我が国の海上保安庁の船艇に対して体当たりするという事件があり、船長を逮捕いたしました。そのときの民主党政権の、菅政権のときでありましたけれども、対応が非常に不十分であり、またビデオ公開もちゅうちょされ、そして、当時の現職の海上保安庁の職員である一色海上保安官がそのビデオをユーチューブで流して、そして国民にこの事態を、深刻さを知るに至ったことは、これまた御案内のとおりであります。
そういう中で、やはり海上保安庁の海上警察法と申しましょうか、警備法というのも強化しなきゃいけませんけれども、この点については民主党も前向きにとらえていただきまして、来年の通常国会には海上保安庁の海上警備の強化法については提出するという答弁もいただいているところであります。
しかし一方、自衛隊の方は全く整備が未整備でありまして、日本の海上自衛隊は、憲法九条の影響はもちろんありますけれども、国内法上は軍でないことになっております。したがって、あのような尖閣諸島問題に関していえば、他国の海軍は、いわゆるほかの、外国の海軍は、国際法に基づいて、領海侵犯をした外国の民間船舶を対象といたしましたけれども、臨検をしたり排除をしたりすることはできますけれども、我が国の自衛隊は、総理大臣の命令がない限り何もできないまま領海を守ることはできないと、こういう法律上の未整備が、これからの緊急事態が起きたとき、領海を侵犯したときの対応のしようがないということで、自衛隊に、国際法上の軍隊であることを憲法においてはっきりと明記すべきであると、私どもは、党はそのように考えているところであります。
もう時間がなくなりましたので、あとは項目だけ申し上げますけれども、三番目につきましては、やはり天皇の、いわゆる国家元首であるという、そういったことをはっきりと明記すべきである。
四番目には、政教分離。我が国の政教分離というのは非常に曖昧になっておりまして、国家と教会との分離である政教分離が、国家と宗教の分離ではないという意味において、私は日本のやはり政教分離ということの中で、国や地方自治体が、戦没者追悼行事などが神道や仏教に基づいて実施することは許されるべきではないか、このように考えている次第であります。
あと、まだもう一項目ございますが、時間が参りましたので、この四項目にとどめさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。