2014年 11月 01日
2014年10月31日 黒田東彦日本銀行総裁記者会見 1 |
https://www.youtube.com/watch?v=xK-VxTdFGMY
読売 幹事社の読売新聞です。よろしくお願いします。まず冒頭、本日の政策決定の内容について、なぜこのタイミングだったのかも含めてお願いします。
黒田 日本銀行は本日、2%の物価安定の目標の早期実現を確かなものにするために、量的質的金融緩和を拡大することを決定しました。具体的には、マネタリーベースの増加ペースを年間60から70兆円から80兆円に拡大するとともに、国債の買い入れペースについて、日本銀行の保有残高の増加額を年間約50兆円から30兆円増やして80兆円にすると。それとともに、長期国債買い入れの平均残存期間を7年程度から最大3年延長して7年から10年。さらに、ETF、J-REITの買い入れペースを3倍増と、それぞれ約年間3兆円、約900億円としました。
日本銀行は昨年4月、15年にわたるデフレから脱却するため、量的質的金融緩和を導入しました。量的質的金融緩和は日本銀行が2%の物価安定の目標の実現に強く明確にコミットするとともに、こうしたコミットメントを裏打ちする、量的にも質的にも従来とは次元の異なる金融緩和を実施することを柱としています。このような政策によって、人々の間に定着してしまったデフレマインドを抜本的に転換することが目的です。
量的質的金融緩和の導入以降、1年半が経過しましたが、これまでのところ所期の効果を発揮しています。すなわち、我が国の景気は消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかな回復を続けています。物価面では量的質的金融緩和を導入する直前の昨年5月の時点でマイナス0.5%であった消費者物価の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースで見て、プラス1%台前半まで改善しました。
もっとも、消費税率引き上げ後の反動減は、自動車など耐久消費財を中心にやや長引いでいます。また、このところ原油価格が大幅に下落しています。こうした需要面の弱めの動きや原油価格の下落は物価の下押し要因として作用しています。
消費者物価の前年比は、9月にはプラス1.0%まで伸び率を縮小しました。もとより、消費税率引き上げに伴う需要面の弱さは既に和らぎ始めていますし、原油価格の下落は、やや長い目で見れば日本経済に好影響を与え、物価を押し上げる方向に作用すると考えられます。
ただ、短期的とはいえ、現在の物価下押し圧力が残存する場合、これまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクもあると考えられます。
日本銀行としては、こうしたリスクの顕現化を未然に防ぎ、好転している期待形成のモメンタムを維持するために、ここで量的質的金融緩和を拡大することが適当と判断しました。
量的質的金融緩和は人々のデフレマインドを払拭し、予想物価上昇率を引き上げることを狙った政策です。予想物価上昇率がどのようなメカニズムで形成されるかについては様々な議論がありますが、長年にわたってデフレが続いた我が国では、米国のように予想物価上昇率が2%程度にアンカーされている国とは異なり、実際の物価上昇率の変化が予想物価上昇率の形成に大きな影響を与えていると考えられます。
実際の物価上昇率の伸び悩みが続けば、それがどのような理由によるものであれ、予想物価上昇率の好転のモメンタムが弱まる可能性があります。そうなれば、せっかくここまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅れてしまうリスクがあります。その意味では我が国経済はデフレ脱却に向けたプロセスにおいて、今まさに正念場、クリティカル・モーメントにあると言えます。今回、追加緩和を決定したのは、こうした考え方に基づくものです。
今回の措置は、デフレ脱却に向けた日本銀行の揺るぎない決意を改めて表明するものです。デフレの下では、価格の下落、売上収益の減少、賃金の抑制、消費の低迷、価格の下落という悪循環が続きました。量的質的金融緩和によってデフレマインドの転換が実現すれば、価格の緩やかな上昇を起点として、売上収益の増加、賃金の上昇、消費の活性化、価格の緩やかな上昇という形で、経済の好循環が実現することになります。
この春の労使間の賃金交渉で物価上昇率の高まりが意識され、多くの企業でベースアップが実施されました。企業の価格設定行動も変化の途上です。今、この歩みを止めてはなりません。物価安定の目標が人々の気持ちの中にしっかりと根付き、これはらは2%の物価上昇を前提として行動しようと思うためには、日本銀行がその早期実現に強くコミットし、これを実現していくことがなによりも大切です。
昨年4月に申し上げたとおり、日本銀行は2%の物価安定の目標の早期実現のためには、できることは何でもやるつもりです。今後も日本銀行は2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで量的質的金融緩和を継続します。
何らかのリスク要因によって見通しに変化が生じ、物価安定の目標を実現するために必要になれば、躊躇なく調整を行うという方針にも変わりはありません。
Q 幹事から2点目の質問ですが、今回の提案しているのは総裁の提案という理解でよろしいのかということと、先ほどクリティカル・モーメントであるというご指摘がありましたが、総裁がその辺のことを胸にいだいたタイミングが何時頃だったのかをお願いします。
黒田 政策委員会における議論につきましては、議事要旨という形で公開されることになっておりますので具体的に申し上げることは避けたいと思いますけれども、展望レポートが議論される中で金融政策についてやはりここで追加的な緩和、量的質的金融緩和の拡大を検討すべきだという意見が委員の方から出されて、それを踏まえて執行部に案を作ってもらい、それを巡って議論をし、こういった項目の量的質的金融緩和のかなり思い切った拡大というものを決めたわけであります。
その理由として、先ほど申し上げた通りでありまして、また、この点は量的質的金融緩和の拡大についての決定に沿った声明というか文書は回っていると思いますけれども、そこでも触れてあるとおりに、物価面ではこのところ、消費税率引き上げ後の需要面での弱めの動きや原油価格の大幅な下落が物価の下押し要因として働いている。このうち、需要の一時的な弱さは既に和らぎ始めているほか、原油価格の下落はやや長い目で見れば経済活動に好影響を与え、物価を押し上げる方向に作用する。しかし、短期的とはいえ、現在の物価下押し圧力が残存する場合、これまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクがある。こういったことから、日本銀行としては、ここに書いてあります通り、こうしたリスクの顕現化を未然に防ぎ、好転している期待形成のモメンタムを維持するため、ここでこのような量的質的金融緩和を思い切って拡大するべきであるという結論に至ったわけであります。
私自身、色々な指標を見て感ずるところもございましたし、政策委員の方々も色々なお考えだったと思いますが、より具体的にはそういった政策委員の経済見通しが出され、議論する中で、やはりこういった量的質的金融緩和の拡大が必要であるという意見が出され、今申し上げたような決定に至ったということであります。
Q 幹事社から最後に。昨年4月から1年半で今回二回目の緩和になったわけですが、前回も異次元の緩和で、今回異次元を維持できたと理解したいということと、あと、今回4人の委員が反対されました。かなり色々確執が目立ったと思うんですが、躊躇なくやるというほうでかなり限界も来ているのかなというのがあると思うんですが、追加の余地はまだあるんでしょうか。そのところをお願いします。
黒田 先ほど申し上げたように、政策委員会における議事の概要につきましては議事概要がいずれ公表されますのでそれをご覧になっていただきたいと思います。
基本的にこのようなリスクがあると、あるいはあり得るという認識は広く共有されていたのではないかと思いますけれども、それに対して今このようなことを行うのが適切かどうか、必要かどうかという点で意見が分かれたのではないかと思っております。
いずれにせよ、両手器質的金融緩和のこうした拡大によって、最初に申し上げた通り、デフレマインドの転換が遅延してしまうというリスクを未然に防ぐことができるのではないかというふうに思っております。
なお、これ自体相当思い切った拡大でありますので、それなりの効果があると思っております。そして、今のところ特に何かさらにしなければならないと思っておりませんが、この文書にもあるように、また先ほど冒頭に申し上げた通り、2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点までこれを続けるわけですが、その際、経済物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し必要な調整を行う。就中、さっき申し上げたように、必要があれば躊躇なく調整をするということでありまして、そうした政策の余地は依然としてあると思っております。
ただ、今の時点でこれで十分こういったリスクに対応できるというふうに思っております。
Q 毎日新聞のヤナギハラです。二点お尋ねします。まず、なんで(聞き取れず)なのかということです。もう一点は、日銀はこれまでも(聞き取れず)金融緩和を続けてきて所期の効果を発揮されているとおっしゃっておりましたが、10兆から20兆今回増やすことによって(聞き取れず)インフレ期待というのが急激に変わるのか、効果についてもう少し詳しく教えていただけないでしょうか。
黒田 こういったマネタリーベースについて60から70兆円というものから80兆円に拡大すると、その際この資産側の内容として長期国債の保有残高の増加幅をさらに30兆円拡大するとか、その他のこういった措置を講じたわけですけれども、これは先ほど申し上げたように、足元、消費の弱さとか、特に原油価格のかなり大幅な下落によって、物価上昇率がやや下がってきているわけですね。そうしたことが続くと物価上昇期待自身も下がってきてしまう。そうなると、将来の、たとえば賃金の設定とか価格の設定についても下がってくる恐れがある。
そういうことになりますと、せっかく実現しつつあるデフレマインドからの転換というものが大幅に遅れてしまうという懸念があるわけでして、そういったリスクを未然に防ぐという点から、まさに必要にして十分なだけの拡大をしたということであります。
それから、これによってどういった効果が期待されるかということですが、それぞれの委員の方はそれぞれのお考えで、これをベースに経済見通しを出されて、それが今回の展望レポートの後ろに添付されておりますけれども、これを見て頂いてもわかりますように、物価面を中心にそれなりの効果が出ているとういことではないかと思います。
Q 今回追加緩和を受けても、昨年4月の導入時におっしゃられたのは2年程度で物価2%を目指すという(聞き取れず)実現に(聞き取れず)ということでですね、今回の追加緩和を織り込んでも今回の展望レポートの(聞き取れず)物価見通しを見ると下振れていくわけですが、これは政策委員の中で緩和効果について疑問を持っている人がいるということなのか、そういった、追加緩和をしても物価安定が下振れている理由について総裁の考えを聞かせて下さい。
黒田 第一点は何ですか?
Q 2年で2%を目指すという考えに変わりはないか。
黒田 そこはまったく変わっておりません。2年程度を念頭において、できるだけ早期に物価安定の目標を実現するという、そもそもこの量的質的金融緩和の目的がそういったものでありまして、この考え方はまったく変わっておりません。
もちろん、2年程度というのはもともとある程度幅を持たせた表現でありまして、その上で、昨年の4月に量的質的金融緩和を導入した直後の展望レポートでは、2014年度、15年度の見通し期間の後半にかけて2%程度に達する可能性が高いとしていたわけですが、その後、本年4月の展望レポートでは、見通し期間が2016年まで伸びましたので、2014年度から2016年度までの見通し期間の中盤頃に2%程度に達する可能性が高いとしていたわけですが、今回の展望レポートもまったく同様に、見通し期間の中盤頃、すなわち2015年度を中心とする期間に2%程度に達する可能性が高いと見ておりまして、そういった見通しに変化はございません。
いずれにせよ、2年程度の期間を念頭に置いてできるだけ早期に2%の物価安定の目標を実現するという考えには変わりありません。
Q 朝日新聞の(聞き取れず)です。総裁のこれまでのご説明ですと、今日の(聞き取れず)の前の原油価格が下がり、(聞き取れず)が下がりという現状の中で、基本的に需給ギャップの(聞き取れず)と物価が上がる面とは関係ないというご説明をずっとされてきていたわけです。で、まあ、それがうまく行っていると言っていたのに、国会でもそういうご説明をされていたのに、それがこのちょっと2,3日で急に変わったのかということと、もうひとつ関連ですけれども、基本的なメカニズムというのは変わっていないのかどうなのかということをお伺いしたいと思います。
それと、既に円安が進んで、地方を中心として円安によるコスト・プッシュ・インフレみたいなものを非常に気にされている声も地方を中心にたくさんあって、かえってそれが消費の減退を招くんじゃないかというリスクを懸念をされてきていたんですけれども、ここで追加緩和ということで、さらにそういうリスクを高めるというもあり得ると思うんですけれども、そこについてはどのようなご見解でしょうか。
黒田 量的質的金融緩和の基本的なメカニズムというのはまったく変わっておりませんし、その好循環のメカニズムがなくなってしまったということはないと思います。基本的に非常に明確な形で強く2%の物価安定目標にコミットし、それを裏打ちするために、大規模な量的質的な金融緩和を行うと。そうした下で、イールドカーブ全体、名目金利全体を押し下げることを行い、さらにはこういうリスク資産も買い入れて、リスクプレミアムを圧縮すると。一方で物価上昇期待を引き上げて、実質的な金利、あるいは実質的なリスクプレミアムを圧縮することによって、投資とか消費を刺激し、経済全体を成長させることによって、いわゆるGDPギャップというかそういうものを縮小し、賃金・物価の上昇圧力を作っていくし、また、それを物価上昇期待でさらに押上げていくという、こういう基本的なメカニズムは変わっておりませんし、それはこれまで予期していた効果を発揮してきたというふうに思います。
ただ、先ほど申し上げたように、このところ消費税の駆け込みの反動減の影響が自動車等やや長引いでいると。そうした下で、ごく最近ですけれども、石油価格が大幅に下落し、そういったことから現に消費者物価の上昇率も少しずつ縮小してきているということが起こって、それが今後さらに続くとすれば、これはやはり物価上昇期待に対する影響も懸念されますし、そもそもさっき言ったような好循環にマイナスの影響を与えるリスクがあると。そういうったリスクに未然に対処するためにこういった内容の量的質的金融緩和の拡大を決定したということであります。
なお、この緩和措置というのはあくまでも、今申し上げたようなことを通じて物価安定目標の早期達成をより確実にするために行うわけでありまして、為替相場等に対する影響を目的としたものではありません。
Q リスクがなければ今後も躊躇なく行動するということをおっしゃいましたけれども、今回80兆円ということですが、今後たとえば100兆円ですとか、それ以上といった措置もありえるのか、今後の追加のオプションというのはまだ幅広くあるのか、併せて今後の方向づけを考えると、今後行動するときは現在追加緩和されたようなモデルがベースとなって行動されるという理解でよいのかということと、あと、改めてなんですけれども、総裁はかねがね強く(聞き取れず)とまでおっしゃっていましたけれども、あえてここで踏み込んだということは、予防的な措置だという理解であっているでしょうか。
黒田 そこはここで申し上げたように、あるいは決定会合後の公表文書でも述べてあります通り、短期的とはいえ現在の物価下押し圧力が残存する場合これまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクがあると。日本銀行としてはこうしたリスクの顕現化を未然に防ぎ、好転している期待形成のモメンタムを維持するため、ここでこういった量的質的金融緩和の拡大が適当であるという決定に至ったということであります。
それから、私どもとしては、これで十分こうしたリスクに対応できると思っておりますけれども、経済は経済ですから色々な上下双方向のリスクはあり得るわけですから、そうしたことがあれば、それは適切に調整して対応していくということに尽きますけれども、今の時点でどういうオプションがあるかとか、そういうことは申し上げる段階にないと思いますし、そういう必要もないと思いますが、オプションは色々あり得るというふうに思っています。
Q これは、戦力のいわゆる逐次投入という指摘にはあたらないんでしょうか。
黒田 これはまったく当たらないと思いますね。というのは、先ほど申し上げたように、基本的に量的質的金融緩和の効果というものは、予期した通りの成果を上げてきているわけです。ただ、様々な要因があって、原油価格の大幅下落というのもひとつですけれども、消費税の反動減がやや長引いているとか、あるいは世界経済の見通しが、最近のIMFの見通しでもさらに若干引き下げられたとか、様々な要因がある中で、こうしたリスクが出てきているので、そのリスク、これが実際に顕現化してしまうと、先ほど申し上げたようにせっかくデフレマインドを転換させてきている、いわば途中ですので、そこでまたデフレマインドのほうに戻ってしまっては、これまでの成果が減ってしまいますので、そういうことにならないようにこういう対応をしたと、様々な要因からそういうリスクが出てきたのでそれに対応したということで、戦力の逐次投入にもなりませんし、また逆に言えば、何かこれで不十分で、こういったリスクに対応できないというふうには全く思っておりません。これだけのことをやれば、こういったリスクに十分対応できるというふうに思っております。
Q 日本経済新聞の滝沢です。ちょっと下品な質問をさせていただきたいと思うんですけれども、なぜこのタイミングだったのかということに関してお伺いしたいと思います。11月の17日にはGDPの発表がありまして、その間政府が消費税の追加引き上げをめぐる有識者会議を開いたりする(聞き取れず)と思います。安倍総理は12月に消費税の追加引き上げのことを言っておられます。その前のタイミングであえて追加緩和をされたということは、総裁がかねがねおっしゃっておられる財政の再建、消費税の(聞き取れず)の重要性ということを主張しておられながら、このタイミングで緩和してしまうと、ある意味では食い逃げされてしまう、つまり、消費税の引き上げの担保保証金を取れない中での追加緩和ということがあり得るのかどうかということが一点目。
で、もう一点だけ恐縮なんですけれどもお伺いしたいと思うんですけれども、政府の公的な(聞き取れず)運用しているGPIFが、今、資産運用の変更等の過程にあると思います。報道によりますと、政府がGPIFに対して議論しているのは、債権の保有比率を減らす一方で内外の株式の比率を増やせということだと思いますが、ということはGPIFが債権のポートフォリオを減らすぶん、日本銀行が債権の運用を増やせば、まさに国民経済的に見たポートフォリオリバランスになるのかどうかという、(黒田氏が笑う)その辺の認識もぜひお伺いしたいと思います。どうも下品な質問で恐縮でございます。よろしくお願い致します。
黒田 第一のご質問につきましては、私どもの金融政策というのは常に既存の制度、あるいは既存の法律を前提にして政策を行い、あるいは見通しを立てておりますので、消費税の二段階での引き上げというのは法律で決まっていることですので、それを前提にして見通しを立て、あるいは金融政策を運営しているわけであります。
ただ、消費税の再引き上げの件につきましては、政府で経済動向を見極めて決定するということになっておりますので、それはまさに政府で決定されることであり、私どもの関与するところではまったくありません。従いまして、そういったことに影響を与えようとか、どうこうしようというようなつもりもありませんし、そういうことにもなりません。
あくまでも私どもの金融政策は経済情勢を見極め、適切な金融政策を運営していくということに尽きると思います。
なお、中央銀行として財政の持続可能性が担保されるということは当然重要だというのはどの中央銀行でも述べていることでありまして、政府が中期財政計画を決定してそれを着実に実行していかれるということは期待しておりますけれども、消費税云々について私どもが何か影響を与えようとか関与するということはまったくありません。したがって、そういうことを考慮して金融政策を決めるということもありません。
読売 幹事社の読売新聞です。よろしくお願いします。まず冒頭、本日の政策決定の内容について、なぜこのタイミングだったのかも含めてお願いします。
黒田 日本銀行は本日、2%の物価安定の目標の早期実現を確かなものにするために、量的質的金融緩和を拡大することを決定しました。具体的には、マネタリーベースの増加ペースを年間60から70兆円から80兆円に拡大するとともに、国債の買い入れペースについて、日本銀行の保有残高の増加額を年間約50兆円から30兆円増やして80兆円にすると。それとともに、長期国債買い入れの平均残存期間を7年程度から最大3年延長して7年から10年。さらに、ETF、J-REITの買い入れペースを3倍増と、それぞれ約年間3兆円、約900億円としました。
日本銀行は昨年4月、15年にわたるデフレから脱却するため、量的質的金融緩和を導入しました。量的質的金融緩和は日本銀行が2%の物価安定の目標の実現に強く明確にコミットするとともに、こうしたコミットメントを裏打ちする、量的にも質的にも従来とは次元の異なる金融緩和を実施することを柱としています。このような政策によって、人々の間に定着してしまったデフレマインドを抜本的に転換することが目的です。
量的質的金融緩和の導入以降、1年半が経過しましたが、これまでのところ所期の効果を発揮しています。すなわち、我が国の景気は消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかな回復を続けています。物価面では量的質的金融緩和を導入する直前の昨年5月の時点でマイナス0.5%であった消費者物価の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースで見て、プラス1%台前半まで改善しました。
もっとも、消費税率引き上げ後の反動減は、自動車など耐久消費財を中心にやや長引いでいます。また、このところ原油価格が大幅に下落しています。こうした需要面の弱めの動きや原油価格の下落は物価の下押し要因として作用しています。
消費者物価の前年比は、9月にはプラス1.0%まで伸び率を縮小しました。もとより、消費税率引き上げに伴う需要面の弱さは既に和らぎ始めていますし、原油価格の下落は、やや長い目で見れば日本経済に好影響を与え、物価を押し上げる方向に作用すると考えられます。
ただ、短期的とはいえ、現在の物価下押し圧力が残存する場合、これまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクもあると考えられます。
日本銀行としては、こうしたリスクの顕現化を未然に防ぎ、好転している期待形成のモメンタムを維持するために、ここで量的質的金融緩和を拡大することが適当と判断しました。
量的質的金融緩和は人々のデフレマインドを払拭し、予想物価上昇率を引き上げることを狙った政策です。予想物価上昇率がどのようなメカニズムで形成されるかについては様々な議論がありますが、長年にわたってデフレが続いた我が国では、米国のように予想物価上昇率が2%程度にアンカーされている国とは異なり、実際の物価上昇率の変化が予想物価上昇率の形成に大きな影響を与えていると考えられます。
実際の物価上昇率の伸び悩みが続けば、それがどのような理由によるものであれ、予想物価上昇率の好転のモメンタムが弱まる可能性があります。そうなれば、せっかくここまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅れてしまうリスクがあります。その意味では我が国経済はデフレ脱却に向けたプロセスにおいて、今まさに正念場、クリティカル・モーメントにあると言えます。今回、追加緩和を決定したのは、こうした考え方に基づくものです。
今回の措置は、デフレ脱却に向けた日本銀行の揺るぎない決意を改めて表明するものです。デフレの下では、価格の下落、売上収益の減少、賃金の抑制、消費の低迷、価格の下落という悪循環が続きました。量的質的金融緩和によってデフレマインドの転換が実現すれば、価格の緩やかな上昇を起点として、売上収益の増加、賃金の上昇、消費の活性化、価格の緩やかな上昇という形で、経済の好循環が実現することになります。
この春の労使間の賃金交渉で物価上昇率の高まりが意識され、多くの企業でベースアップが実施されました。企業の価格設定行動も変化の途上です。今、この歩みを止めてはなりません。物価安定の目標が人々の気持ちの中にしっかりと根付き、これはらは2%の物価上昇を前提として行動しようと思うためには、日本銀行がその早期実現に強くコミットし、これを実現していくことがなによりも大切です。
昨年4月に申し上げたとおり、日本銀行は2%の物価安定の目標の早期実現のためには、できることは何でもやるつもりです。今後も日本銀行は2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで量的質的金融緩和を継続します。
何らかのリスク要因によって見通しに変化が生じ、物価安定の目標を実現するために必要になれば、躊躇なく調整を行うという方針にも変わりはありません。
Q 幹事から2点目の質問ですが、今回の提案しているのは総裁の提案という理解でよろしいのかということと、先ほどクリティカル・モーメントであるというご指摘がありましたが、総裁がその辺のことを胸にいだいたタイミングが何時頃だったのかをお願いします。
黒田 政策委員会における議論につきましては、議事要旨という形で公開されることになっておりますので具体的に申し上げることは避けたいと思いますけれども、展望レポートが議論される中で金融政策についてやはりここで追加的な緩和、量的質的金融緩和の拡大を検討すべきだという意見が委員の方から出されて、それを踏まえて執行部に案を作ってもらい、それを巡って議論をし、こういった項目の量的質的金融緩和のかなり思い切った拡大というものを決めたわけであります。
その理由として、先ほど申し上げた通りでありまして、また、この点は量的質的金融緩和の拡大についての決定に沿った声明というか文書は回っていると思いますけれども、そこでも触れてあるとおりに、物価面ではこのところ、消費税率引き上げ後の需要面での弱めの動きや原油価格の大幅な下落が物価の下押し要因として働いている。このうち、需要の一時的な弱さは既に和らぎ始めているほか、原油価格の下落はやや長い目で見れば経済活動に好影響を与え、物価を押し上げる方向に作用する。しかし、短期的とはいえ、現在の物価下押し圧力が残存する場合、これまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクがある。こういったことから、日本銀行としては、ここに書いてあります通り、こうしたリスクの顕現化を未然に防ぎ、好転している期待形成のモメンタムを維持するため、ここでこのような量的質的金融緩和を思い切って拡大するべきであるという結論に至ったわけであります。
私自身、色々な指標を見て感ずるところもございましたし、政策委員の方々も色々なお考えだったと思いますが、より具体的にはそういった政策委員の経済見通しが出され、議論する中で、やはりこういった量的質的金融緩和の拡大が必要であるという意見が出され、今申し上げたような決定に至ったということであります。
Q 幹事社から最後に。昨年4月から1年半で今回二回目の緩和になったわけですが、前回も異次元の緩和で、今回異次元を維持できたと理解したいということと、あと、今回4人の委員が反対されました。かなり色々確執が目立ったと思うんですが、躊躇なくやるというほうでかなり限界も来ているのかなというのがあると思うんですが、追加の余地はまだあるんでしょうか。そのところをお願いします。
黒田 先ほど申し上げたように、政策委員会における議事の概要につきましては議事概要がいずれ公表されますのでそれをご覧になっていただきたいと思います。
基本的にこのようなリスクがあると、あるいはあり得るという認識は広く共有されていたのではないかと思いますけれども、それに対して今このようなことを行うのが適切かどうか、必要かどうかという点で意見が分かれたのではないかと思っております。
いずれにせよ、両手器質的金融緩和のこうした拡大によって、最初に申し上げた通り、デフレマインドの転換が遅延してしまうというリスクを未然に防ぐことができるのではないかというふうに思っております。
なお、これ自体相当思い切った拡大でありますので、それなりの効果があると思っております。そして、今のところ特に何かさらにしなければならないと思っておりませんが、この文書にもあるように、また先ほど冒頭に申し上げた通り、2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点までこれを続けるわけですが、その際、経済物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し必要な調整を行う。就中、さっき申し上げたように、必要があれば躊躇なく調整をするということでありまして、そうした政策の余地は依然としてあると思っております。
ただ、今の時点でこれで十分こういったリスクに対応できるというふうに思っております。
Q 毎日新聞のヤナギハラです。二点お尋ねします。まず、なんで(聞き取れず)なのかということです。もう一点は、日銀はこれまでも(聞き取れず)金融緩和を続けてきて所期の効果を発揮されているとおっしゃっておりましたが、10兆から20兆今回増やすことによって(聞き取れず)インフレ期待というのが急激に変わるのか、効果についてもう少し詳しく教えていただけないでしょうか。
黒田 こういったマネタリーベースについて60から70兆円というものから80兆円に拡大すると、その際この資産側の内容として長期国債の保有残高の増加幅をさらに30兆円拡大するとか、その他のこういった措置を講じたわけですけれども、これは先ほど申し上げたように、足元、消費の弱さとか、特に原油価格のかなり大幅な下落によって、物価上昇率がやや下がってきているわけですね。そうしたことが続くと物価上昇期待自身も下がってきてしまう。そうなると、将来の、たとえば賃金の設定とか価格の設定についても下がってくる恐れがある。
そういうことになりますと、せっかく実現しつつあるデフレマインドからの転換というものが大幅に遅れてしまうという懸念があるわけでして、そういったリスクを未然に防ぐという点から、まさに必要にして十分なだけの拡大をしたということであります。
それから、これによってどういった効果が期待されるかということですが、それぞれの委員の方はそれぞれのお考えで、これをベースに経済見通しを出されて、それが今回の展望レポートの後ろに添付されておりますけれども、これを見て頂いてもわかりますように、物価面を中心にそれなりの効果が出ているとういことではないかと思います。
Q 今回追加緩和を受けても、昨年4月の導入時におっしゃられたのは2年程度で物価2%を目指すという(聞き取れず)実現に(聞き取れず)ということでですね、今回の追加緩和を織り込んでも今回の展望レポートの(聞き取れず)物価見通しを見ると下振れていくわけですが、これは政策委員の中で緩和効果について疑問を持っている人がいるということなのか、そういった、追加緩和をしても物価安定が下振れている理由について総裁の考えを聞かせて下さい。
黒田 第一点は何ですか?
Q 2年で2%を目指すという考えに変わりはないか。
黒田 そこはまったく変わっておりません。2年程度を念頭において、できるだけ早期に物価安定の目標を実現するという、そもそもこの量的質的金融緩和の目的がそういったものでありまして、この考え方はまったく変わっておりません。
もちろん、2年程度というのはもともとある程度幅を持たせた表現でありまして、その上で、昨年の4月に量的質的金融緩和を導入した直後の展望レポートでは、2014年度、15年度の見通し期間の後半にかけて2%程度に達する可能性が高いとしていたわけですが、その後、本年4月の展望レポートでは、見通し期間が2016年まで伸びましたので、2014年度から2016年度までの見通し期間の中盤頃に2%程度に達する可能性が高いとしていたわけですが、今回の展望レポートもまったく同様に、見通し期間の中盤頃、すなわち2015年度を中心とする期間に2%程度に達する可能性が高いと見ておりまして、そういった見通しに変化はございません。
いずれにせよ、2年程度の期間を念頭に置いてできるだけ早期に2%の物価安定の目標を実現するという考えには変わりありません。
Q 朝日新聞の(聞き取れず)です。総裁のこれまでのご説明ですと、今日の(聞き取れず)の前の原油価格が下がり、(聞き取れず)が下がりという現状の中で、基本的に需給ギャップの(聞き取れず)と物価が上がる面とは関係ないというご説明をずっとされてきていたわけです。で、まあ、それがうまく行っていると言っていたのに、国会でもそういうご説明をされていたのに、それがこのちょっと2,3日で急に変わったのかということと、もうひとつ関連ですけれども、基本的なメカニズムというのは変わっていないのかどうなのかということをお伺いしたいと思います。
それと、既に円安が進んで、地方を中心として円安によるコスト・プッシュ・インフレみたいなものを非常に気にされている声も地方を中心にたくさんあって、かえってそれが消費の減退を招くんじゃないかというリスクを懸念をされてきていたんですけれども、ここで追加緩和ということで、さらにそういうリスクを高めるというもあり得ると思うんですけれども、そこについてはどのようなご見解でしょうか。
黒田 量的質的金融緩和の基本的なメカニズムというのはまったく変わっておりませんし、その好循環のメカニズムがなくなってしまったということはないと思います。基本的に非常に明確な形で強く2%の物価安定目標にコミットし、それを裏打ちするために、大規模な量的質的な金融緩和を行うと。そうした下で、イールドカーブ全体、名目金利全体を押し下げることを行い、さらにはこういうリスク資産も買い入れて、リスクプレミアムを圧縮すると。一方で物価上昇期待を引き上げて、実質的な金利、あるいは実質的なリスクプレミアムを圧縮することによって、投資とか消費を刺激し、経済全体を成長させることによって、いわゆるGDPギャップというかそういうものを縮小し、賃金・物価の上昇圧力を作っていくし、また、それを物価上昇期待でさらに押上げていくという、こういう基本的なメカニズムは変わっておりませんし、それはこれまで予期していた効果を発揮してきたというふうに思います。
ただ、先ほど申し上げたように、このところ消費税の駆け込みの反動減の影響が自動車等やや長引いでいると。そうした下で、ごく最近ですけれども、石油価格が大幅に下落し、そういったことから現に消費者物価の上昇率も少しずつ縮小してきているということが起こって、それが今後さらに続くとすれば、これはやはり物価上昇期待に対する影響も懸念されますし、そもそもさっき言ったような好循環にマイナスの影響を与えるリスクがあると。そういうったリスクに未然に対処するためにこういった内容の量的質的金融緩和の拡大を決定したということであります。
なお、この緩和措置というのはあくまでも、今申し上げたようなことを通じて物価安定目標の早期達成をより確実にするために行うわけでありまして、為替相場等に対する影響を目的としたものではありません。
Q リスクがなければ今後も躊躇なく行動するということをおっしゃいましたけれども、今回80兆円ということですが、今後たとえば100兆円ですとか、それ以上といった措置もありえるのか、今後の追加のオプションというのはまだ幅広くあるのか、併せて今後の方向づけを考えると、今後行動するときは現在追加緩和されたようなモデルがベースとなって行動されるという理解でよいのかということと、あと、改めてなんですけれども、総裁はかねがね強く(聞き取れず)とまでおっしゃっていましたけれども、あえてここで踏み込んだということは、予防的な措置だという理解であっているでしょうか。
黒田 そこはここで申し上げたように、あるいは決定会合後の公表文書でも述べてあります通り、短期的とはいえ現在の物価下押し圧力が残存する場合これまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクがあると。日本銀行としてはこうしたリスクの顕現化を未然に防ぎ、好転している期待形成のモメンタムを維持するため、ここでこういった量的質的金融緩和の拡大が適当であるという決定に至ったということであります。
それから、私どもとしては、これで十分こうしたリスクに対応できると思っておりますけれども、経済は経済ですから色々な上下双方向のリスクはあり得るわけですから、そうしたことがあれば、それは適切に調整して対応していくということに尽きますけれども、今の時点でどういうオプションがあるかとか、そういうことは申し上げる段階にないと思いますし、そういう必要もないと思いますが、オプションは色々あり得るというふうに思っています。
Q これは、戦力のいわゆる逐次投入という指摘にはあたらないんでしょうか。
黒田 これはまったく当たらないと思いますね。というのは、先ほど申し上げたように、基本的に量的質的金融緩和の効果というものは、予期した通りの成果を上げてきているわけです。ただ、様々な要因があって、原油価格の大幅下落というのもひとつですけれども、消費税の反動減がやや長引いているとか、あるいは世界経済の見通しが、最近のIMFの見通しでもさらに若干引き下げられたとか、様々な要因がある中で、こうしたリスクが出てきているので、そのリスク、これが実際に顕現化してしまうと、先ほど申し上げたようにせっかくデフレマインドを転換させてきている、いわば途中ですので、そこでまたデフレマインドのほうに戻ってしまっては、これまでの成果が減ってしまいますので、そういうことにならないようにこういう対応をしたと、様々な要因からそういうリスクが出てきたのでそれに対応したということで、戦力の逐次投入にもなりませんし、また逆に言えば、何かこれで不十分で、こういったリスクに対応できないというふうには全く思っておりません。これだけのことをやれば、こういったリスクに十分対応できるというふうに思っております。
Q 日本経済新聞の滝沢です。ちょっと下品な質問をさせていただきたいと思うんですけれども、なぜこのタイミングだったのかということに関してお伺いしたいと思います。11月の17日にはGDPの発表がありまして、その間政府が消費税の追加引き上げをめぐる有識者会議を開いたりする(聞き取れず)と思います。安倍総理は12月に消費税の追加引き上げのことを言っておられます。その前のタイミングであえて追加緩和をされたということは、総裁がかねがねおっしゃっておられる財政の再建、消費税の(聞き取れず)の重要性ということを主張しておられながら、このタイミングで緩和してしまうと、ある意味では食い逃げされてしまう、つまり、消費税の引き上げの担保保証金を取れない中での追加緩和ということがあり得るのかどうかということが一点目。
で、もう一点だけ恐縮なんですけれどもお伺いしたいと思うんですけれども、政府の公的な(聞き取れず)運用しているGPIFが、今、資産運用の変更等の過程にあると思います。報道によりますと、政府がGPIFに対して議論しているのは、債権の保有比率を減らす一方で内外の株式の比率を増やせということだと思いますが、ということはGPIFが債権のポートフォリオを減らすぶん、日本銀行が債権の運用を増やせば、まさに国民経済的に見たポートフォリオリバランスになるのかどうかという、(黒田氏が笑う)その辺の認識もぜひお伺いしたいと思います。どうも下品な質問で恐縮でございます。よろしくお願い致します。
黒田 第一のご質問につきましては、私どもの金融政策というのは常に既存の制度、あるいは既存の法律を前提にして政策を行い、あるいは見通しを立てておりますので、消費税の二段階での引き上げというのは法律で決まっていることですので、それを前提にして見通しを立て、あるいは金融政策を運営しているわけであります。
ただ、消費税の再引き上げの件につきましては、政府で経済動向を見極めて決定するということになっておりますので、それはまさに政府で決定されることであり、私どもの関与するところではまったくありません。従いまして、そういったことに影響を与えようとか、どうこうしようというようなつもりもありませんし、そういうことにもなりません。
あくまでも私どもの金融政策は経済情勢を見極め、適切な金融政策を運営していくということに尽きると思います。
なお、中央銀行として財政の持続可能性が担保されるということは当然重要だというのはどの中央銀行でも述べていることでありまして、政府が中期財政計画を決定してそれを着実に実行していかれるということは期待しておりますけれども、消費税云々について私どもが何か影響を与えようとか関与するということはまったくありません。したがって、そういうことを考慮して金融政策を決めるということもありません。
by kokkai-sokuhou
| 2014-11-01 14:06