2月28日 福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)記者会見 6 |
動画:http://www.youtube.com/watch?v=Wt6Zdc2Zyzs
北澤 (承前)よろしいでしょうか。それではあの、私への質問なんですけれども、結局菅さんを評価するのかどうかということなんですが、東電を撤退させなかった、ということが、ま、どの程度あれかはともかくとしまして、撤退、結果的には撤退しなかった。それによって最悪のシナリオまで行くことがなく済んだというようなことからすれば、非常に、あの、効果があったというふうに言ってもいいかと思います。
しかしながら、それでは、菅政権は国民の支持を得て、普通危機の時には政権の支持率は上がるのが当たり前であります。その危機の時に何で菅政権の支持率は上がらなかったのでしょうか、と言うと、それは、菅政権が国民への情報の出し方で失敗したということと、マイクロマネジメントまで走ってってしまったっていう、この二点だと思いますね。だから、その意味で、全体とすれば、国民のその評価を失ってしまったわけですから、菅政権のこの危機に対する取り組み方は、全体からすれば、不合格と言わざるを得ないということになるかと思います。
川村 はい、ありがとうございました。それでは船橋さん。
船橋 はい。倉重さん、ありがとうございました。メディアの役割、これは実はあの、私どももう少しやらなきゃいけないなというふうに進めながら考えたとこなんですけど、十分出来なかったテーマです。
その旨、あの、我々の報告書でも記しておりますけれども、あの、この一番危機の時に、一番必要な情報を国民に、特にその近隣の住民に伝えることが本当にできたんだろうかと、ここだと思うんですけどもね、たとえば、じゃあ飯舘村の方にしても、えー、SPEEDIの結果、成果、えー、それがその情報もタイムリーに伝わらなかったと。じゃあ、その時にメディアでSPEEDIというのを果たして我々は報道したんだろうかと。
えー、枝野さんはですね、えー、福山さんもまあ、14、15、そのぐらいにはメディアの方からもそういうのがあるっていうような情報も聞いて、何だ何だそれはと。それで文科省の役人を呼んでいって、これどういうことになってるんだというように気づきましたと。こういうふうにまあ証言してくださってるわけですけれども、んー、しかしあの、ここであの、ソーシャルネットワークのところを我々検証したんですけれども、東京大学の(聞き取れず)さんはですね、教授は、自分のブログでもって、もう既に15日ぐらいからですね、16日ぐらいですか、このSPEEDIというのがあると、これは使えないのかというつぶやきをしていらっしゃるんですね。で、それに対しては相当多くの方がそこでフォロアーとして関心を持ってらっしゃる。そういうのが我々のメディアで十分に捕らえることができたのか、というような、この、課題がひとつありますね。えー、ソーシャルネットワークのところが非常に今回この初めて大きな役割を果たしたにも関わらず、既存のメディアがそこに十分に響かなかったのかなと。
ただ、その、既存のメディアの中でもですね、たとえば我々が調べたところで16日夜の文科省の記者会見、記者ブリーフィング、ここであの、佐々木副大臣に対して、文科省詰めの記者の皆さんが、この、色々その、避難と、それからSPEEDIの関連とか、そういうことを色々問い質してるんですよね。しかし、これは記事に出てこない。この辺は私は分かりません。なぜ文科省詰めの記者がそういう存在に気づいてて、質問までしてるにも関わらず、そのモニタリングの問題、それから、SPEEDIの活用の問題、それがその紙面に、あるいは報道に出なかったのかですね。これはメディアの方でも是非検証していただきたいなというふうに実は思っておりますけれども。
川村 えー、まとめて答えていただきました。それでは次の質問に移りたいと思いますが。はい、どうぞ。
牧野 ジャーナリストの牧野です。D会員です。皆様非常に短期間に精力的にやられたこと非常に敬意を表します。ひとつだけ、あの、北澤さんと山地さんに質問したいんですけど、まああの、失敗の研究は非常に大事で、あの、我々も本当にしっかり受け止めなきゃいかんですけど、やっぱり、今後の問題として、やっぱりその事故の再発防止、つまり、二度とこういう事故を起こしてはならないということで、新しいそのまあ規制庁のあれが出てますが、これに対して、どう監督規制を厳しくやるのかということを是非おふたりにお聞きしたいと思います。
で、まああの、アメリカもたまたま、あの、原子力の専門家と話聞いてたら、やはり日米にやっぱり危機管理の差が非常に違いがあると。つまり、アメリカは、危機、あの、事故は起きるということがもう当たり前だというその前提で、起きた後に何を起こす、あの、対応するかっていう、そこが非常にリスクマネジメントがしっかりできてる。ところが、日本というのは、そのアメリカ人が言わせると、事故は起こしてはならないと、原発事故は、という法規制で縛って、そのがんじがらめの状況の中で結果的に事故が起きたら何の対応もできてなかったという、この差がやっぱり日米の危機管理の差だと。
僕はその話を聞いて、非常に納得したんですけども、同時に、今度のやっぱりそのNRCのあの元委員長のこのメザーブさんの話を聞いてても、非常にやっぱりアメリカのやっぱりその監督規制というのは非常にしっかりしたあれができて、で、一方で、斑目さんのああいうこの、この間のいくつかの話、あの、証言てのを聞いててもですね、やっぱりその安全基準ひとつ取っても、やっぱりさっきからおっしゃったように、安全神話に乗っかって、やっぱり本当にやっぱりその会社そのものが危機対応してなかったという、そういうことを振り返ると、今度の新しい規制庁、あの、あれに対してどう皆さんが、あの、踏み込んで提言されるか、どうあるべきかというのを是非サイエンティストのおふたりに聞きたいと思います。
川村 それでは北澤委員長にお伺いします。
北澤 はい。ええと、あの、科学者にとっては非常に頭の痛い問題なんですけれども、ええと、今回のですね、原子力安全委員会にしても、あるいは、あの、いわゆるその、アカデミアの観点から原子力に携わる人たちの、ええと、その役割というのを、どの程度プロフェッショナルにきちんと国が引き出すようなシステムになっていたか、って言いますと、日本の場合には、残念ながら、その審議会行政的なですね、そういう感じで、たとえば原子力安全委員長やっていただけませんか、まあ私的にじゃないですけど、まあ何年かかというようなそういう形でですね、引き受けてしまうような、そういうことが起こってはいないかっていうことを、私は非常に気にします。
私が色々な委員をやらせていただく時にも、まあ自分じゃなくても誰でもいいけれども、とにかく誰か名前を書かなくちゃってことで自分がなってるっていうようなことを非常に、あの、気にしますし、全てのことは、あの、事務局が、その、プランして、それで、ええと、そこの委員についている人たちは、よきに計らえというような感じでですね、それを見過ごしてればいいというのが日本の審議会行政であったと思います。
その意味で言うと、原子力安全委員会というのは、動くようにはできていなかったと言わざるを得ないのではないかというふうに思うわけです。
だからそこが規制をすると言っても、それは原子力安全委員会のあの人たち、班目委員長を中心としたああいう委員会がやってるわけでは決してなくて、実は事務局がやってることを、その委員の人たちが黙って見ていたに過ぎないという、こういうやり方である。だから、その意味からしますと、今度規制庁が出来る時には、そこを組織と法律とでそうせざるを得ない形にしなければ、決してそれは機能しないだろうというふうに、あの、思うわけでありまして、その意味で、但木委員が言われる、その、組織と法律がきちんとそれを担保してるかどうかということが、日本ではしていなかったと、あの、言わざるを得ないのではないか。
ただ、これを今後きちんとやって、しかもその時に、そこに人を得なくてはならない。そしてその人というのはどういう人かと言うと、必ずしも専門家としてよく知っているということだけではなくて、ある意味ではシビリアンコントロールのタイプの人もきちんと必要で、ただしそのシビリアンコントロールをする人は、そこのポジションについたら、本当に規制側から、その推進側に対して、きちんとしたブレーキ役になれる人でなくてはならない。それを、今までは、推進側から、2年間だけあなた行って来てね、というような感じで規制側のポジションについていた。と、ま、これでは本当の規制などは行えるわけがないと、そういう日本は組織的な問題を抱えていたのではないかと思います。
山地 ええと、私はまあ、新しい原子力安全規制に求められるもの、ま、キーワード的に言えば、独立と、それから能力、あと、一元化だと思ってます。
ま、独立ってのは言うまでもなく、推進と規制の独立という意味で、これは今出されようとしてるわけですけど、ただ、それだけではないんで、色んな意味の独立があって、たとえば時の政治力からの独立というようなものが必要なところがあって、本当にできるのかということがなかなか独立の問題は難しい。
能力、これもなかなか難しくて、今北澤先生が言った通りでありまして、独立でしかし、たとえば被規制者、あるいは原子力関連メーカー、そういうものから人材を取れないというようなことになりますと、本当に能力のある組織になるのか。ここをどうするか、非常に難しい問題。
で、一元化って申し上げたのはですね、まあ、保安院と原子力安全委員会でダブルチェックっていうのは、本来あまり有効に機能してなかったですね。むしろそれを一元化して、限られた能力を有効に使うということです。
ま、歴史的にですね、とにかく、原子力まず科学技術庁でやってきた。で、実用化になってくると今度通産省がやってた。やがてその実用論の規定は通産省の方に持っていかれるわけですけれども、専門家の多くがたとえば原子力研究所とかですね、それから放射線関係は文科省に残ってると、分散してるんで、こういう限られた専門知を一元化していく、で、能力を高めていく、独立を維持する、これが大事だと思ってます。
川村 ありがとうございました。それでは、他の方、こちらのサイドの方いらっしゃいませんか? 質問? それじゃあ、はい、そちらで手を挙げてらっしゃる方。
柴田 個人会員の柴田と申します。あの、リーダーシップの問題があったということはその通りだと思うんですけども、まあ原子力事故のような時々刻々動いていく、あの、ものに対する対応はですね、その、全ての権限を、その、集中して、全体の指揮を取る、その、いわゆる司令塔を決めないといけないんですね。
これはその、制度的にはまあ首相が持ってるわけでしょうけども、非常にそれはできるわけがないんですから、首相はそれを誰かに任命しなきゃいけないわけですよね。それは今回最後までずっと見えないわけですけど、当然それはそういうことを忠告した人はいるはずだと思うんですけども、誰も忠告しないかったとは思えないし、忠告があっても全く聞かれなかったのは、その辺の分析、私全部はまだ今いただいたばかりで読んでないんですけども、その点についてのですね、そういう司令塔が何で今回未だにその司令塔というのが見えない、見えない状況、対応、事故処理のですよ、これは決してあの東電の所長ではないと思うんですよね。そうじゃなくて、そういう全体の指揮を取る人を決められなかったのかというところは、あの、についての何か分析があるならばちょっとお聞かせ願いたい。あの、誰ということは分かりませんけど、委員長にお聞きできるとすれば(聞き取れず)
北澤 これは山地委員にもちょっと意見を聞きたいとこですけども、私はあの、この報告書を、あの、その辺のあたりですね、見ていただきますと、あ、この人がいいんじゃないかなというのは、ある程度分かるような報告書でもあるんですね。ですから、あの、それを任命できなかったかと言えば、任命できたかもしれない。だけど、それを、あの、期間の間で、まあ、やれ、やれなくて、菅首相は次々と参与という形で、自分のセカンドオピニオンをくれる人を参与という形で次々と加えてったというようなことをされたんだと思うんですね。ですからそれを、ええと、きちんと、ええと、制度として、その人をそういう役割にこうつけてしまうっていうようなことを、考えれば、考えられたのではないかと私は思うんですが、山地委員、その辺はどうですか?
山地 ええとですね、まあ、制度としては、この、本来はオフサイトセンターが、あの、その全体を集約する中心となるべきだと思います。これが機能喪失してる。これはもうこの報告書読んでいただければ分かるんですけど、その時に、じゃあ、バックアップとしてどうすべきだったかということだと思うんですけど、あの、基本的には現地の対策本部と、それから東電の本店は、これはあの、情報的にも非常にリンクが良くてですね、ま、このふたつ、ここが前面に立つということは確かなんですけど、そこを、安全委員会なり保安院なりが、専門的知見から保管していってアドバイスしていくということだったんですけど、実は、安全委員会と保安院というのは、結局官邸についてるわけで、東電にアドバイスするという体制はないんですね。そこはその情報の流れとしてですね、あの、非常に専門的知見を活かせなかった、あの、流れだと思います。
まあ、やっぱり、まずはやっぱオフサイトセンターの崩壊ってのがあって、それに代わるものとして、結局その官邸、首相と数人の政務と、それと、保安院と安全委員会の代表と、あとまあ東電のOBと申しますかね、その、ごく数人でやってしまったところに問題があってですね、そうすると、保安院も情報連絡が悪いし、東電本店との関係も連絡悪かった。それを一気に解決したのが、15日未明の統合対策本部ということになってる。そういう図式だと思います。
あの、今後の対応についてはですね、オフサイトセンターどういうふうに再建していくか、その情報とかそういうのは……(続く)